2018年8月23日、キーウで開催された独立記念日のイベントで展示されるスタグナP対戦車ミサイル。
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- アメリカと欧州諸国は、ロシアの侵攻と戦うウクライナ軍を支援している。
- 供与している兵器の中には対戦車兵器、アメリカの「ジャベリン」とイギリスの「NLAW」がある。
- しかし、ウクライナは独自の対戦車ミサイル「スタグナP」を製造しており、ロシアの装甲車に対して効果的に使用されている。
スタグナP:ロシアが恐れるウクライナの対戦車ミサイル
ロシアの戦車は、あなたがまだ聞いたことがないかもしれない対戦車兵器によって倒されている。スタグナP(Stugna-P)対戦車誘導ミサイルは、ロシアの戦車を苦しめ、打ちのめしている。これはウクライナの国産兵器で、レーザー誘導式で長距離でも十分な貫通力があり、ジャベリン、NLAW、AT-4以外の有効なオプションとなっている。スタグナPの使い方は非常に簡単で、ウクライナの元政治家で軍人に転向した人でさえ、これを使用することができている。
兵士は隠れてリモコンで操作できる
スタグナPはキーウに拠点を置くルチ設計局が製造している。この兵器の長所は、三脚に設置できることだ。そして50メートル離れた場所からノートPCのように見えるリモコンで操作することができる。操作する兵士は反撃を恐れる必要がない。
元国会議員がスタグナPを使い、対戦車のエースに
簡単に使えるため、ウクライナの元国会議員が軍服を着て、この武器で対戦車兵になったという。42歳のタチアナ・チョルノヴォル(Tetiana Chornovol)は、2014年に議員になったが、政治家としてのキャリアを保留して、ジャーナリストとしてドンバス国境戦争を取材していた。
ロシアの侵攻後、チョルノヴォルは兵士になることを望んだ。2児の母である彼女は、キーウ地域のスタグナPのオペレーターとして配属された。
2018年8月23日、キーウで開催された独立記念日のイベントで、スタグナP対戦車ミサイルを運ぶウクライナの兵士。
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彼女はスタグナPをこう使った
チョルノヴォルはスタグナPで戦闘を経験したことがある。「戦車が現れるのが見えたので、私はオペレーターの持ち場に就いた」と彼女はこのビデオで記者に語っている。「スイッチを入れると、画面に戦車が映し出された。彼らはミサイルの射程距離で入ってきたので、狙いを定め、最初の戦車を破壊した…。燃料電池のそばに撃ち込み、弾薬を爆発させた。戦車は道路から外れて、今は森の中のどこかにあるだろう」
インターネット上で数多く取り上げらている
スタグナPは多くの戦果を上げており、紹介しきれないほど多くの動画がソーシャルメディアにアップされている。ここでは、ミサイルがまっすぐ飛んでから弧を描いて上昇し、ロシアの戦車に上から着弾する様子を撮影したビデオを紹介する。
戦場への供給が追いつかないほど
スタグナPは2011年にウクライナ軍で運用が開始された。約100基が使用されており、その製造が追いつかないほどだ。
射程距離も長い
この対戦車兵器は、射程距離が100メートルから5キロメートルだ。ミサイルの弾頭は、対戦車榴弾など使用でき、爆発反応装甲も貫通する。
手動でも自動誘導でも
ランチャーは32kgの重さがあり、三脚に設置する必要がある。ビデオ誘導装置付きの赤外線カメラを搭載している。兵士がジョイスティックを使って手動で誘導することも、ファイア・アンド・フォゲット・モードにして自動で誘導することもできる。
元国会議員のような軍事経験のない人でも使えるこのシステムは重要なものだ。分かりやすく、簡単に使えるスタグナPは、戦力増強剤とも言える。戦争が集結するまで、ロシア戦車を待ち伏せし続けることだろう。
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「19fortyfive」の国防・国家安全保障担当編集者を務め、新たな脅威を専門とするブレント・M・イーストウッド(Brent M. Eastwood)は、『Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare』の著者で、元アメリカ陸軍歩兵将校。Twitterアカウントは@BMEastwood。
[原文:Ukraine has its own anti-tank missiles that it's using to shred Russian armored vehicles]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)