一生に一度の結婚式がぶち壊し…。新郎側の招待客による「ありえない言動」について、慰謝料請求できないかという新婦からの相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
女性は約10年前に結婚式を挙げた際、夫の同僚を招待することになってしまいました。その同僚は披露宴のキャンドルサービスの時に勝手に花火を始め、「花火はきれいだけど新婦はきれいじゃねえ」と何回も言ったそうです。その発言は披露宴の様子を記録したDVDにも残ったとのこと。最近、子どもと一緒にそのDVDを見たところ、発言にショックを受けた子どもが泣いてしまいました。「子どもには素敵な結婚式を挙げたと言ってきたのに」と、怒りが込み上げているそうです。
同じような相談は、別の女性からも寄せられています。
女性は、披露宴の最中、夫の友人が写真を撮る際、ふざけたのかイスの上に登って、花瓶の水を新郎新婦の頭からかけたそうです。しかもこの友人は、事前には欠席の連絡があったにもかかわらず、当日突然、式場のスタッフを押しのけて押しかけてきた「招かれざる客」でした。この言動もやはりDVDの記録に残ってしまい、思い出も台無しに。女性は「DVD制作費16万円だけでも請求したい」と訴えています。
せっかくの晴れ舞台をぶち壊した招待客に、慰謝料請求やDVD代の請求はできるのでしょうか?
●「水をかける行為」は暴行罪に該当、結婚式でも違法行為に
最初の女性は、容姿についてけなされ、それが思い出のDVDに残ってしまいました。慰謝料請求はできるのでしょうか?
「『新婦はきれいじゃねえ』という発言は侮辱罪に該当します。ですので、この発言によって精神的苦痛を被ったのであれば慰謝料請求の対象となります。ただし、慰謝料請求は『損害及び加害者を知ったとき』から3年間という時間制限があるので、10年前の結婚式当時の精神的苦痛を原因とする慰謝料請求はできません。
問題は『子どもがDVDを見て泣いてしまった』という事実に基づいて慰謝料請求をできるかということになりますが、さすがにそこまで精神的苦痛の範囲を拡大するのは難しいでしょう。残念ですが慰謝料が認められる可能性は低いと思います」
では、水をかけられた女性はどうでしょうか?
「新郎新婦の頭から水をかける行為は暴行罪に該当します。実際に水をかけて逮捕され、有罪となったケースもあります。結婚式は多少であれば羽目を外すことは許されますが、さすがに今回の行為は行き過ぎで、違法という評価になるでしょう。
問題はDVDの制作費の賠償を請求できるかですが、友人がDVDを破壊したというわけではないので直接DVDの制作費を請求できるわけではありません。DVD制作費の16万円という数字は慰謝料算定の判断資料の一つとなり、最終的には慰謝料という形での賠償となると思われます」