一部の企業や個人から、他人の商標の先取りとなるような商標出願が大量におこなわれている問題に関連して、特許庁が6月8日、公式ウェブサイトを更新。6月9日施行の改正商標法によって、本来商標をもつべき人の登録がこれまでも早くできるようになると説明している。
特許庁によると、近年、一部の出願人から、他人の商標の先取りとなるような商標出願が大量におこなわれており、そのほとんどが、出願手数料の支払いがなく、手続き上の瑕疵があるものとなっているという。
まったく関係がないにもかからず、「民進党」や「PPAP」などを商標出願して、そのほとんどで出願手数料を支払っていなかったとされるベストライセンス社(大阪)や、同社代表の上田育弘氏のことを指すとみられる。
●却下されても、先願者の地位が残るルールが変更
これまでの商標法では、商標出願の分割(分割出願)をおこなった場合、新しい出願の出願日が、もとの出願日に遡及するという効果が生じていた。商標登録、基本的に早いもの勝ちというルール(先願主義)であるため、出願人はもとの出願の日から先願の地位を確保できていた。
しかし、もとの出願の際、手数料を支払っていない場合にも、こうしたルールの適用を認めることは適切ではない。そのため、改正法は、もとの出願で手数料を納付したものに限って、分割出願の出願日の遡及という効果を与えて、手続きの適正化を図っている。
特許庁は、一部の出願人による大量出願については、出願日から4〜6カ月で却下処分をおこなっていた。だが、分割出願されることによって、もとの出願が却下されたあとも、事実上もとの出願が残り、あとに出された本来商標をもつべき出願の早期登録がむずかしいケースがあった。
今回の改正によって、あとから商標出願した場合でも、これまでより早く登録できるようになるという。