在沖縄米兵、少女に対する不同意性交罪で起訴

輸送機オスプレイ

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画像説明, 在日米軍基地の大多数が沖縄県にある

沖縄県の米軍基地に所属する兵士が、16歳未満の日本人少女を誘拐し性的に暴行したとして、不同意性交とわいせつ目的誘拐の罪で那覇地検に起訴されていたことが25日、明らかになった。極東最大級の米軍基地が置かれる沖縄でのこの事件が、基地をめぐる地元の反発をあおるのは必至だ。

在日米軍兵約5万4000人のうち半数以上は、沖縄に駐留している。

地元の怒りは、複数の性的暴行事件を受けて高まっている。1995年に3人の米軍人が12歳の沖縄の少女を強姦した事件は、最も注目を集めた事件の一つで、数カ月にわたる抗議デモを引き起こした。

今回も、日本の性交同意年齢の16歳に満たない未成年者が巻き込まれている。

地元メディアや米軍の星条旗新聞によると、起訴されたのは米空軍兵のブレノン・ワシントン被告(25)。昨年12月24日に少女に暴行を加えたとされる。少女の家族が通報し、防犯カメラ映像から被告が特定されたという。

林芳正官房長官は25日午後の記者会見で、この米兵が起訴されていた事を明らかにした。起訴は3月27日付で、日本当局に勾留されているという。

「アメリカ軍人などによる事件・事故は地元に大きな不安を与えるもので、あってはならない。今後もアメリカ側に対しさまざまな機会に事件・事故の防止を徹底するよう求めていく」と林官房長官は述べ、米当局は日本の捜査当局に全面的に協力しているとした。

外務省を通じて、ラーム・エマニュエル駐日米大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れたことも明らかにした。

また、7月12日に那覇地裁で初公判が開かれると付け加えた。

沖縄県の玉城デニー知事は25日、「県民に強い不安を与えるだけでなく、女性の尊厳を踏みにじるものだ。強い憤りを禁じ得ない」と述べた。今回の報道を受けて問い合わせるまで、外務省が起訴について県に連絡しなかったことについては、「信頼関係において著しく不信を招くものでしかない」と非難した。

地元メディアによると、米兵は勤務時間外に公園にいた少女に近づき、車の中で話さないかなどと声をかけた。少女を車で基地外の自宅に連れて行き、暴行したとされる。

日本は、世界最大級の米軍海外基地を受け入れている国の一つ。

アメリカは第2次世界大戦で日本に勝利して以来、沖縄に基地を置いている。現在、同県には約3万人の米兵が駐留している。

沖縄は台湾に近く、アメリカが中国の脅威に素早く対応できることから、これらの基地の戦略的重要性は増している。

宜野湾市にある普天間飛行場

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画像説明, 米軍基地の一つは宜野湾市中心部にある

米軍人の存在感の大きさは、沖縄各地にある商業施設や店舗、ステーキやハンバーガー、タコス、ルートビアフロートを提供するレストランの様子からもうかがえる。

普天間基地がある宜野湾市などでは、輸送機オスプレイのエンジン音で目を覚ましたり、公営住宅の上空をオスプレイが飛行する光景はめずらしいことではない。

昨年行われた世論調査では、沖縄県民の70%が、同県に米軍基地が集中していることを「不公平」だと感じていた。一方で、基地撤去を求める抗議行動につながることも多い反基地感情が存在するものの、多くの若者が米軍の駐留について諦めていることが分かった。

それでも、日本人が犠牲になる事故や犯罪が起きるたび、米軍のプレゼンスをめぐる緊張をかき立ててきた。

2012年には、米海軍大尉が富士山へ向かう途中で交通事故を起こし、日本人2人が死亡した。

1995年の事件の次に大きな抗議行動が起きたのは、2017年。前年に地元の20代の女性をレイプし殺害した罪で、軍属の男が有罪判決を受けた時だった。

2013年には米海軍兵2人が、前年に地元の20代の女性をレイプした罪で実刑判決を受けた。

この事件をきっかけに、日本全国の米兵に外出禁止令が出された。

米軍基地を沖縄の人口の少ない地域に移そうとする動きもあるが、地元住民は基地の全面撤退を望んでいる。

しかし複数の専門家は、日本とアメリカの軍事同盟はあまりに強固で、基地の全面撤退は実現しないと指摘する。係争中の海域や島々をめぐる中国の権益主張拡大や、北朝鮮のミサイル発射実験など、日本政府が直面する課題をふまえると、日本にはアメリカが必要だと、専門家たちは見ている。

(英語記事 US soldier charged in Japan for rape of minor)