米連邦議会、連邦政府機関の閉鎖回避に「つなぎ予算」案を可決　

米連邦議会上院は21日午前零時半、来年3月半ばまでの連邦政府機関の資金を支える「つなぎ予算」案を可決した。21日午前零時が予算成立の期限だった。これに伴いジョー・バイデン大統領は同日午前、法案に署名し成立させた。

与党・民主党が多数を占める上院は、賛成85、反対11の圧倒多数で、予算法案を可決した。この法案は、現行のつなぎ予算の期限を12月20日から来年3月14日に延ばすもの。

法案には、ドナルド・トランプ次期米大統領が要求していた連邦債務上限の引き上げは含まれなかった。来年1月20日からホワイトハウスと議会上下両院を掌握する共和党に対して、トランプ氏の支配力が全てに及ぶとは限らないと示すかたちになった。

政府機関の閉鎖を回避するには、法案を12月20日中に議会通過させる必要があった。

上院に先立ち、下院は20日夕、期限の6時間前に賛成366、反対34の賛成多数で、つなぎ予算法案を可決した。

野党・共和党が多数を占める下院で予算案が可決されなければ、連邦政府職員の人件費などが払えなくなり、2019年以来の政府機関閉鎖になるところだった。

下院のマイク・ジョンソン下院議長ら共和党執行部が当初取りまとめ、可決の見通しだった予算案については、トランプ氏とトランプ氏にさまざまな助言をしている米富豪イーロン・マスク氏がこれを拒否するよう共和党議員に指示したため、頓挫（とんざ）した。

トランプ氏はマスク氏の応援を得ながら、連邦債務上限の引き上げを要求。さらに、債務上限の停止期間の延長を加えた新たなつなぎ予算案を求めた。しかしこれについて19日に下院で採決した際には、民主党に加え、身内の共和党からも造反の動きがあり、反対多数で否決された。現行のつなぎ予算の失効が20日いっぱいと迫る中、ジョンソン議長は同日、債務上限への対応を取り除いた新しい修正案を発表。これが超党派の支持を得て可決された。

法案には、ハリケーンなど災害被災地への支援予算1000億ドルや、農家への助成100億ドルなどが盛り込まれている。

ジョンソン下院議長は可決後、「正しいことをするために全員がまとまったことに感謝している。今年最後の仕事としてこれをこなした今、1月に大きく重要な、新しい出発の準備ができた」と記者団に話した。

議長はさらに、法案可決に至る交渉の中でトランプ氏とマスク氏の両方と、頻繁にやり取りをしたのだと話した。

マスク氏は所有するソーシャルメディア「X」で、「今の状況からして、議長は良い仕事をしたと思う」と書き、「何ポンドもの重さの法案が何オンスの法案になった」とした。

トランプ氏の当選を精力的に支えたマスク氏は、連邦政府の支出削減に取り組むようトランプ氏に指示されており、当初の予算案に強く反対していた。

下院の民主党議員たちは、公選されたわけではない民間人のマスク氏が予算案採決手続きに関与したことを、強く非難している。

つなぎ予算が成立せず、連邦政府機関の資金が確保できなくなり政府機関閉鎖となれば、数百万人もの連邦政府職員が給与を受け取れなくなるほか、自然災害の被害者支援や農家支援なども制限される恐れがある。

（英語記事　US House votes to avert government shutdown　)