【米大統領選2024】 ハリス副大統領、民主党の大統領候補指名が確実に

カマラ・ハリス米副大統領

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11月の米大統領選に向けて2日、カマラ・ハリス副大統領(59)が民主党の大統領候補になることが確実となった。党の代議員によるバーチャル投票で、必要な票数を確保した。今月19日からシカゴで始まる全国党大会で、正式に指名される。

民主党は代議員によるオンラインでの投票を1日に開始した。投票は5日に終わる見通し。2日午後の時点で必要な過半数の代議員2350人がハリス氏支持を表明した。民主党によると、これまでに全体の99%にあたる3923人が、ハリス氏を支持している。

ハリス副大統領は電話で、「候補になる見通しとなって光栄」だと、党の代議員たちに伝えた。

「私たちはアメリカが約束するものを信じている。それが今回の選挙戦のテーマだ」とハリス氏は述べ、「簡単なことではないが、私たちは目標を実現する」と強調した。

アメリカの主要政党が黒人女性、そして南アジア系の女性を大統領候補にするのは、ハリス氏が初めて。11月の選挙で共和党のドナルド・トランプ候補に勝利すれば、ハリス氏はアメリカ史上初の女性大統領になる。

今年初めから行われた民主党予備選では、現職のジョー・バイデン大統領が再選を目指すと表明していただけに、実質的な対立候補はほとんどなく、バイデン氏が3月までに99%の代議員の支持を固めていた。しかし81歳になるバイデン氏の体調などに関する懸念は根深く残り、6月末のトランプ候補とのテレビ討論会で特に精彩を欠いたことから、支持率は低下し、バイデン氏撤退を求める声が党内でも高まった。バイデン大統領は結局、7月21日に大統領選撤退を発表し、代わりの候補としてハリス副大統領を支持した。

今月19~22日の党大会より前に、代議員の投票をオンラインで実施するという決定は、バイデン氏がまだ出馬している最中に決められた。これはオハイオ州法が、大統領選の候補が投票日の90日前までに確定していることを求めているからだった。今年は投票日が11月5日で、その90日前は8月7日。

オハイオ州の共和党幹部はこの州法の厳守を求めるとあらかじめ忠告していた。従来はこうした場合、例外規定が可決されてきたが、民主党は問題を確実に回避するため、党大会に先駆けて代議員の投票を実施する方針を決めていた。

副大統領候補の決定は、この規定の対象にはならない。

ハリス氏は5日までに、副大統領候補を決めるものとみられている。現在は、激戦州ペンシルヴェニア州のジョシュ・シャピロ州知事(51)、同アリゾナ州選出のマーク・ケリー上院議員(60)、ミネソタ州のティム・ウォルツ州知事(60)が特に有力視されている。ほかに、ケンタッキー州のアンディー・ベシア州知事(46)、ピート・ブティジェッジ運輸長官(42)の名前も取りざたされている。

ハリス氏は1964年10月、カリフォルニア州オークランドで生まれた。父はジャマイカ、母はインドからの留学生だった。伝統的な黒人大学のハワード大とカリフォルニア大学ロースクールを卒業した後、カリフォルニア州の弁護士資格を得た。サンフランシスコ地区の検察官からカリフォルニア州司法長官を経て、2016年にカリフォルニア州選出の連邦議会上院議員として初当選。銃規制強化などを推進したほか、司法委員会の公聴会で最高裁判事候補に質問する様子が全国的に注目された。

2020年大統領選に出馬するも、予備選開始前に撤退。ジョー・バイデン氏の副大統領候補に選ばれ、初の黒人副大統領となった。副大統領としては、不法移民対策や女性が人工中絶を選ぶ権利保護などのために活動。外交においては、特に2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻を受けて、欧州諸国との連携支援確立のために動いた。

夫のダグ・エムホフ弁護士はユダヤ系アメリカ人。エムホフ氏と前妻の間の子供2人には、「カマラ」と「継母(ステップマム)」をもじった「ママラ」と愛称で呼ばれている。

(英語記事 Kamala Harris formally chosen as Democratic nominee)