2024年11月27日
かつては「自己都合での退職は良くない」といった考え方が主流だった。しかし、現代では働き方が多様化し、個々の価値観が尊重される時代へと移行している。今でも古い価値観に縛られることは少なくないが、それに固執するのはもはやナンセンスといえるだろう。
ただし「自己都合」の内容によっては、その後の人生にとってプラスになるか、マイナスになるかは、多少変わってくる。本記事では、自己都合退職の実態や、その主な理由について紹介する。
前提として自己都合退職と会社都合退職には、以下のような違いがある。
会社都合退職の場合、失業保険を早期かつ長くもらえるといったメリットがある。
終身雇用が崩れつつある現代では、自己都合退職はキャリアを自分で切り開くための重要な手段と考えられるべきだ。働き方が多様化し、自分の意思で環境を変えることで、キャリアアップやライフスタイルに合った働き方を追求できる。
また、複数の職場での経験は、広い視野やスキルを獲得でき、市場価値の高い人材として評価されやすい。自己都合退職は身勝手な選択ではなく、次のステップへ進むための積極的な一歩といえる。
では、どれくらいの人が自己都合退職をしているのだろうか。厚生労働省が2021年11月に公開した最新データを紹介しよう。
自己都合退職の割合は ?
転職者が直前の勤め先を離職した主な理由を見ると「自己都合」が76.6%と最も高い。
理由 | 割合 |
---|---|
自己都合 | 76.6% |
倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職 | 5.8% |
契約期間の満了 | 4.9% |
定年 | 3.0% |
出向 (移籍出向) | 2.3% |
不明 | 1.8% |
早期退職優遇制度等 | 1.0% |
その他 | 4.5% |
どうして自己都合退職した ?
自己都合退職をした理由 (※回答者は3つまで複数回答) をランキング形式で紹介すると、以下の通りだ。
順位 | 理由 ※カッコ内は割合 |
---|---|
1位 | 労働条件 (賃金以外) がよくなかったから (28.2%) |
2位 | 満足のいく仕事内容でなかったから (26.0%) |
3位 | 賃金が低かったから (23.8%) |
4位 | 会社の将来に不安を感じたから (23.3%) |
5位 | 人間関係がうまくいかなかったから (23.0%) |
退職は、従業員が自由に決められる基本的な権利である。特に「心の病」や体調不良など健康上の理由での退職は、心身を守るための重要な判断だ。
他人から退職理由について「言い訳」と見なされることがあっても、他者の評価に左右される必要はない。自分自身の選択に対して、過度にネガティブに捉えるべきではなく、自身の健康と未来のために前向きな決断と捉えることが大切である。
自己都合退職がその後の人生に良い影響を与えるかどうかは、理由や準備に大きく左右される。プラスに働くのは、目標が明確で、退職後の行動計画が具体的に描かれている場合だ。こうしたケースでは、退職がキャリアアップや新たな挑戦のチャンスとなり得る。
一方、目標が不明確なまま「なんとなく」退職してしまうと、後悔やキャリア停滞に陥りやすい。そのため、退職を決める際には、将来のキャリアプランをしっかりと立てることが欠かせない。具体的な準備が、その後の成功の鍵となる
ただし、どんなに綿密なキャリアプランを立てたとしても、自己都合退職後の生活や仕事が計画通りに進まないことは珍しくない。希望する業界で次の仕事がすぐに見つからなかったり、予想外に年収が下がることも十分にあり得る。こうした場合、モチベーションの低下や経済的なリスクが増大し、事態が深刻化することもある。
このような不確実性に備えるためには、事前の対策が必要だ。その一つが「退職前からコツコツと資産運用に取り組む」という方法である。資産運用を行っていれば、収入源が「労働」に偏ることなく、「資産」からの収益も得られるため、仕事がうまくいかない場合でも、経済的なダメージを和らげることができる。
退職はその後の人生を左右する大きな決断であり、慎重な判断が必要だ。しかし、労働だけに頼るのではなく、「お金にも稼いでもらう」という資産運用の視点を持つことも重要だ。労働収入と資産運用収益の二本柱を築くことで、転職後の不確実性によるリスクを軽減することができる。
資産運用にはさまざまな方法があるが、初心者には「インカムゲイン型」の運用が適している。これは、保有しているだけで利息や配当が得られるタイプの運用で、リスクが比較的低く、安定した収益が期待できる。
例えば、円預金よりも高い金利が得られる外貨預金は、投資対象の選択肢も限られており、初心者でも始めやすい運用方法だ。これにより、転職後の収入が一時的に減少しても、資産からの安定した収益でリスクを緩和することができる。
こうした資産運用の方法を上手に取り入れながら、将来に向けた経済的な備えを着実に進めることが重要だ。
(提供:株式会社ZUU)