AIの無断学習、日本の著作権法ではOK 侵害にあたるケースは

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真野啓太 神宮桃子
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 「Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)」などの画像生成AIが急激に普及するなか、米国ではアーティストが運営企業を相手取り、著作権侵害で訴訟を起こすなど懸念も広がっている。

 日本でも昨夏ごろからさまざまな画像生成AIが登場している。AIを使った創作コンテストが開かれたり、生成された画像集が出版されたりと活用が進む。

 一方で作品が無断で学習に使われるおそれがあるとして、ネットで活動するイラストレーターが「AI学習禁止」を宣言するなど、懸念の声がある。中には、日本のイラストレーターの作品を無断転載するサイトのデータが学習に使われているケースもあった。

 ロボット研究者でありながら、画像生成AIの開発を手がける尾崎安範さん(33)もその一人。「イラストレーターにとって画風は自身の人格に直結するもの。AIに一方的にスキルを吸われるような状況が続くことは、大切な人格の一部がとられるような恐怖がある。新しい画風を生み出そうという意欲もなくなってしまう」

 尾崎さんは、著作権フリーのイラストのみで学習させたAIや、イラストレーターに利益が還元されるよう、特定の画風を再現することに特化させたAIを独自に開発している。けれども、学習データを見境なく集めるAIの性能は高く、既に国内外で普及している。「利用者側の意識を高めることが重要だ。他人の画風のイラストをAIで作り、それを自分の作品かのように発表して利益をあげるようなことはしない、というマナーが定着していってほしい」

○○風とAIに指示した場合は?

 ただ、そもそも日本の著作権法では、権利者の許諾なくAIに著作物を読み込ませて学習させることができる。AIなど新技術の活用を促し産業競争力を強化する観点から、2018年の法改正で整備された。

 著作権に詳しい福井健策弁護…

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この記事を書いた人
真野啓太
国際報道部
専門・関心分野
戦争、災害、ナショナリズム、テクノロジー