【相談】
毎年この時期になると大々的に報じられる「新語・流行語大賞」と「今年の漢字」。流行語の方は「そんな言葉、流行したかな?」と思いつつ、自分の知らない社会事情を勉強しています。問題は漢字です。五輪があった年は大抵「金」(過去4回)、昨年は増税の「税」でズッコケました。この多様化社会を漢字1文字で表すのは無理があると思いますが、弘兼さんはどう思われますか。ちなみに念願の100キロマラソンを走破した私の今年の漢字は「百」です。(71歳・学校用務員)
【回答】
71歳で100キロ走破とはすごいですね。職業は学校の用務員さん。普段から体を動かしているのでしょうか。もう私なんて1キロを歩くのもしんどいです(笑)。心から敬意を表します。
「新語・流行語大賞」や「今年の漢字」が発表されると年の瀬を感じます。もはや冬の風物詩と言ってもいいでしょう。私も酒席で仲間とワイワイと予想しています。これが結構盛り上がって楽しいんです。
確かに、ノミネートの中には「そんなに流行ってんのかな」と思うこともありますが、老人が知らないだけで、若い人の間では流行ってる言葉も結構多いです。
さて、すでに「新語・流行語大賞」は発表されましたね。年間大賞は「ふてほど」。ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)の略称です。私が予想していた「50–50」はトップ10に入りました。テレビも新聞も大谷翔平選手一色でしたから当然かもしれません。
「今年の漢字」も例年通りなら12日に発表されるはずです。何になるでしょう。自公政権が少数与党に転落するきっかけになった裏金問題から「裏」もありそうです。
ウクライナ、シリア、リビア、パレスチナ、アフガニスタン、イエメンなど、世界中で紛争や内戦が続いているところから「戦」や「争」もあるかもしれません。調べてみると「戦」は22年にも選ばれています。この年にウクライナ侵攻が始まったこと、冬季五輪やサッカーワールドカップなど様々な「戦」があったことで選ばれたようです。
「高額報酬」や「ホワイト案件」などを謳い、SNS経由で犯罪の実行役を募集する「闇バイト」も、今年は大きな社会問題になりました。なぜ、こんな安易な文言にダマされてしまうのか。簡単、短時間で高額報酬がもらえる甘い仕事など、あるはずがないことなど、少し考えればわかるはずですが。「闇」も有力な候補でしょう。
「裏」「戦」「争」「闇」と暗い漢字しか思い浮かびませんが、こんなご時世ですから「自分の身は自分で守ろう」という意味を込めて「安」でもいいかもしれません。調べてみると、これも15年の漢字に選ばれています。
ちなみに私の今年の漢字は「寿」です。今年は9月の誕生日で77歳になり「喜寿」を迎えましたし、画業50周年も盛大に祝っていただきました。ありがたいことです。これからも、60周年、70周年を目指し、面白い漫画を描き続けたいと思っています。