世界最高峰のプレミアリーグ(イングランド)で4連覇中のマンチェスター・シティが、最大の窮地に陥っている。
12月11日に行われたチャンピオンズリーグのリーグフェーズ第6節で、ユベントス(イタリア)に0-2で完封負け。これで直近の公式戦10試合は1勝2分7敗と勝率1割に。言い訳のできない、悲惨すぎる状態なのである。
今季は8月にプレミアリーグが開幕してから4連勝を飾るなど、10月26日の第9節サウサンプトン戦まで、公式戦は負け知らずだった。しかしそこから一気に絶不調に陥り、常勝軍団は苦しんだままなのだ。
「世界最強」と呼ばれるマンCに何が起きているのか。サッカーライターはこう分析する。
「ペップこと、世界的名将のジョゼップ・グアルディオラ監督が率いてから9シーズン目に入り、さすがにプレースタイルが研究されて、ボールを支配してもチャンスを作れない時間が増えてきました。ところがチームが完成されてしまっていることが仇となり、夏の補強はMFサビーニョと、1年で古巣に出戻りしたMFイルカイ・ギュンドアンのみ。このマンネリ感が火に油を注いでいる」
2024年にバロンドールを初受賞したMFロドリの長期離脱は大きく響き、夏の移籍であぐらをかいていたツケが回ってきたのだ。
「トップレベルのタレントが集まろうが、勝てなくなるとイラ立ちを隠せなくなるのは、どのレベルのチームでも同じ。試合中にベテランのDFカイル・ウォーカーが鼓舞したり、あるいは叱責したりしても、どこか冷めた空気が漂っていました。得点ランキングトップのFWアーリング・ハーランドまでがこれまでのようにゴールを奪えなくなり、チームメイトに対して明らかに不満を募らせた表情が何度も見られるようになりました」(前出・サッカーライター)
まさかのチーム崩壊危機。グアルディオラ監督はどう立て直すのか。しかし、この名将の周辺までが騒がしくなっていた。
「契約が今季限りだったことで、シーズンがスタートしてから去就が注目されていました。グアルディオラ自身は『何が起きてもおかしくない』と退任をにおわせたものの、11月に2年の契約延長を発表。この時点ではサポーターの間で祝福ムードが流れていましたが、まさかここまで低迷するとは、クラブ側は予想外だった。このままトンネルから抜け出せなければ、シーズン途中での電撃解任が現実のものとなりかねません」(前出・サッカーライター)
チームはプレミアリーグの財務規則違反の疑いで起訴されるなど、踏んだり蹴ったり。その裁定は早ければ来年1月にわかるという状況だが、最悪の場合は降格処分を受ける可能性があるだけに、日本でも人気のビッグクラブの黄金期が突如、終わりを迎えてしまうことさえありうる。
今、様々な意味で、マンCからは目が離せないのだ。
(風吹啓太)