報道各社の世論調査で、岸田文雄内閣の支持率がかつてないほどに低下している。比較的支持率が高かったFNN世論調査(10月14、15日調査実施)で政権発足以来、最低の35.6%となった。すでに「危険水域」と言われる20%台に落ち込んでいる調査もある。自民党内では支持率の急降下ぶりから、解散・総選挙を打てずに総辞職した菅義偉前総理の二の舞になるのではないか、と囁かれ始めているのだ。
朝日新聞の調査(10月14、15日実施)では29%と、同じく発足以来、最低を記録。同じ日程で行われた共同通信社の調査でも、前回9月の調査から7.5ポイント下落し、32.3%と過去最低だった。毎日新聞のケースでは発足以来最低だった9月の調査と同じ、25%で横ばいだった。
岸田総理は9月に内閣改造を行い、5人の女性閣僚を登用したほか、10月中に総合経済対策を策定する方針を示しているが、政権浮揚にはつながっていない。記者団に対しては、
「各社から出されている世論調査には、従来からコメントしていない。一喜一憂することなく、経済対策の策定に全力で取り組んでいきたい。先送りできない課題に、これからもひとつひとつ取り組んでいく」
と強調してみせたが、街頭演説に立てば「増税メガネ」とヤジが飛ぶなど、岸田総理を取り巻く情勢は日に日に悪化している。
自民党内からは「選挙の顔」としてはふさわしくないとの声も、徐々にだが出始めている。このままでは菅氏同様に解散に踏み切れない上、来年9月の総裁選で交代論が高まることが予想される。岸田総理はいよいよ、崖っぷちへと追いやられつつあるのだ。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)