雨ときどき本

マンガ中心にラノベ・小説・アニメについて語るブログ

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こちらでは、漫画やライトノベル、アニメ、小説など、さまざまな作品についての紹介や感想をお届けしております。

記事の内容には、作品の魅力を余すところなくお伝えするために、一部ネタバレを含む場合がございます。

作品をまだご覧になっていない方は、その点を十分ご留意の上、お楽しみいただければ幸いです。

今後とも、皆さまに楽しんでいただけるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【超人X 第1巻】‐‐不遇の名作と本気で向き合う‐‐

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僕の場合は、表紙のイラストが他のマンガと違う点に惹かれて単行本を購入。

 

仕事の空き時間とかに読んでいるので、基本的にマンガはデジタル版で購入することが多いが、やはり単行本を手に取ると読書熱あがる。

 

それにしてもかなり不気味なイラストである。

青年と思わしき人物の顔面がペストマスクのように歪んでいて、目のあたりはまるで涙でも流しているかのように配色されている。

一見すると普通のホラーマンガだが、実はコチラのマンガは『異能力バトルもの』不思議な力を手に入れた主人公の少年の葛藤と成長が描かれているのだ。

 

【超人X】を手に取った理由と世間からの反応

 

まずは、【超人X】を手に取った理由と、このマンガに対する世間の反応などを見ていこう。

【超人X】を手に取った理由‐‐単純に表紙のイラストの個性に惹かれた‐‐

手に取った大きな理由の一つに、他には類を見ない表紙イラストの不気味さがあげられる。

一見するとホラーマンガかのようなイラストが描かれていて、インパクト大。引き寄せられるように手に取ったのを覚えている。

 

しかし、僕には順番待ちをしている積読マンガが山程あるので、気になってはいたもののどんどん後回しになってしまった。申し訳ない。

 

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【超人X】に対する世間の反応---不遇の名作だと思う---

【超人X】とネット検索すると、最初にヒットするのは『パクり』とか『打ち切り』というバッドワードである。

 

気になって調べてみると、【東京喰種】のパクりで面白くない。という意見がチラホラ目に入る。

 

しかし、この【超人X】を描いている作者の石田スイ先生は、実は【東京喰種】の作者なのだ。

 

おそらく、東京喰種の頃と画風が少しだけ変わったので、それに気づかない読者が東京喰種のパクりなのではないかと言い出したのではないか?

 

【超人X】は東京喰種のパクりなのではなく、東京喰種のような異能力バトルものを描くのが得意な石田スイ先生が、描いた別の異能力バトルものはのだ。

 

さらに、打ち切りになったという噂が流れてしまい、ヤフー知恵袋には『超人X』はなぜ打ち切りになったんですか?という質問さえある。

引用元:Yahoo知恵袋

人気漫画タイトルでありながら、さんざん読者に振り回されてきた作品といえよう。

【超人X】のあらすじ

高校生の黒原トキオと東アヅマは、「超人の仕業」と噂される旅客機墜落事故のボランティア活動に参加する。しかし帰り道、不良グループに絡まれた2人は、異常な力を持つ「超人」と化した不良に襲われる。追い詰められた2人は、生き残るための覚悟を決め、非日常の世界へ足を踏み入れていく――。

【超人X】の重要な登場人物の紹介

■黒原トキオ 



ヤマト県在住の高校二年生。ある事件をきっかけに『超人』と呼ばれる特殊能力を持つ存在に変貌する。

 

自ら超人になることを選択した彼は、力を手に入れたことで平凡な生活が一変していく。

 

トキオは最初からヒーロー的な存在ではなく、悩みや葛藤を抱えている普通の少年。

 

その彼が超人として異常な存在に変わり、日常とのギャップに苦しみながらも進んでいく姿が描かれている。

■東アヅマ

黒原トキオとは対照的で積極的な性格をもつ、正義感に溢れたキャラクター。

 

黒原トキオとは幼い頃から友人関係にあり、彼もある事件をきっかけに非日常に足を踏み入れた。

 

正義感が強く人助けが大好き。悪人を退治して、犯罪の切り抜きをスクラップして収集するのが趣味。

 

個人的には行き過ぎた正義感を振りかざす系のキャラだと思っている…

■乙田エリイ

乙田エリイはお金持ちになる夢を抱く農家の娘。

 

品評会という野菜や果物の出来栄えに評価をして、優れたもの表彰するというイベントのために墜落した飛行機に登場していた人物。

 

彼女も黒原トキオ同様、超人の能力を持つキャラクター。

 

彼女はどちらかというと、真の正義的なキャラかも知れない。まだ一巻しか読んでいないのでなんとも言えないが……

【超人X 】第一巻を読んだ感想‐‐全く新しい世界観とは言い難いが安定の面白さがある‐‐

『超人X』第一巻を読んだ感想を簡単に言うと「新しさ」よりも「安定した面白さ」が光る作品だと思った。

 

物語の設定やダークな雰囲気は、石田スイ先生の代表作『東京喰種』を彷彿とさせる部分が多い。

 

特に異能力を持つ者の苦労や葛藤。日常が非日常へと変わる瞬間の描写は、読者に既視感を覚えさせる。

 

しかし、それは本作の弱点ではないと思う。

 

同じテーマを扱いながらも、キャラクターの個性やストーリーのテンポなどは、『東京喰種』にはない独自の魅力を放っている。

 

【超人X】第一巻で印象に残ったシーン

1.ちょっとエッチで母親思いのチンピラが超人化して異常な殺人行動をとる

物語の序盤で登場するチンピラ風の男3人。

 

明らかに悪人ヅラをしているものの、母親思いで憎めないキャラクターだ。

 

しかし、謎の人物に超人化のクスリを譲り受け、リーダーの『竹山ジョニーキヨシ』が超人化。根っからの悪人に豹変する。

 

軟体の超人へと変貌したキヨシが、仲間二人を首を伸ばして絞め殺すシーンはとてもポップに描かれており若干の狂気を感じた。

引用元:超人X 第一巻 単行本より

「超人化=死が容易」というメッセージかも知れない。

2.黒原トキオが超人化して平凡な日常が壊れていく様と過去の自分との決別

主人公の黒原トキオは、序盤とても平凡な人間として描かれている。

 

しかし、超人化したのを皮切りに、その平凡な日常が加速度的に変貌を遂げていく。

 

まず、外見だが。ペストマスクを付けているような見た目になり、戻ることができない。

引用元:超人X 第一巻 単行本

 

おそらく、超人化しても今までの外見に戻せるはずなのだが、トキオはまだ能力をコントロールすることができず、戻せないのだ。

 

もちろん、そんな見た目では学校にも行けないし。家族と顔を合わせることもできない。

 

こうして急速に平凡な日常が壊れていく様子を描いている。その妙にリアルな人間模様×異能力(超人的な力を手にしてしまった人の末路)が生々しく、石田先生っぽさが滲み出ていた。

3.乙田エリイとの出会い

第一巻の終盤では、黒原トキオと乙田エリイが出会う。

 

エリイは正義感は強いが、東アヅマのような『正義感を振りかざし』はみられないキャラだ。

 

第一巻序盤では飛行機墜落事故から乗客を守り、物語終盤ではトキオを守ってくれる。

引用元:超人X 第一巻 単行本より

 

自分も超人化したばかりで、力の使い方もろくに分からないのに、自然に人を守る様は、僕には乙田エリイこそヒーローのように見えた。

 

彼女が超人化したことで、どのように変貌を遂げるのか、どのように成長し、物語が進んでいくのか楽しみである。

『超人X』はダークな世界観×異能力バトルが好きな人におすすめ!

■このマンガが好きな人におすすめ!■
  1. デビルマン/永井豪
  2. ドロヘドロ/林田球
  3. レベルE/冨樫義博
  4. 呪術廻戦/芥見下々

ブログを書いていたら気付いたことなのだが、石田スイ先生の作品はどこかデビルマンを彷彿とさせる。

 

永井豪先生をリスペクトしていたりするのだろうか……

さいごに

石田先生の作品には、異常な力を得た人間が「どう生きるか」という普遍的な問いが描かれているように思う。

 

それは、ただの異能力バトルを超えた深い物語の魅力の一つ。

 

まだ第一巻しか読んでいないので、今後どのような展開を見せてくれるのか楽しみで仕方ない。

 

特に、トキオが力を完全にコントロールできる日が来るのか、そして彼の選択がどのように物語を変えていくのか……。

 

期待せずにはいられない!

 

『東京喰種』や『超人X』のようなダークな世界観と異能力バトルが好きな方にはぜひ読んでいただきたいですし、石田スイ先生の描く「人間ドラマ」の虜になること間違いなしだ。