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メジャーリーグ開幕!NPBとMLBの最も大きな違いとは?

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いよいよアメリカ野球・メジャーリーグも開幕しました!

今日は3試合が行われ、他の12試合は明日行われます。

明日はいよいよヤンキース・田中将大がアストロズとの開幕戦に開幕投手としてマウンドに上がります。

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対するは、昨年のサイヤング投手、ダラス・カイケルです。

メジャーリーグについては、
「ヤンキースとか、レッドソックスみたいな人気・お金持ち球団が結局強いんでしょ?」
という、イメージを持っている方多いのではないでしょうか。

しかし、メジャーリーグのシステムはよく考えられていて、決して金満球団が勝ちやすいかというと、決してそうはならない戦力均衡の仕組みが整っています。

これが、日本プロ野球・NPBと大リーグ・MLBの決定的な違いを生んでいるので、今回はMLBの戦力均衡システムについて話したいと思います。

MLBの戦力均衡システム

ぜいたく税制度

選手の年俸総額が基準額を越えたチームに対しては、基準を越えた金額の一定%をぜいたく税として徴収されることになります。

2015年シーズンは1億8900万ドルが基準額となり、ぜいたく税の対象となったチームは、

  • ロサンゼルス・ドジャース(3年連続)
  • サンフランシスコ・ジャイアンツ(1å¹´ç›®)
  • ボストン・レッドソックス(1å¹´ç›®)
  • ニューヨーク・ヤンキース(13年連続)

です。

税率は、基準額を超過すると17.5%、
2年連続で超過すると30%、
3年連続の場合40%、
4年連続以上の場合50%となります。

ロサンゼルス・ドジャースの場合、年俸総計が2億9794万ドルとなっため、

超過した1億894万ドルに対し、40%の税率がかけられ4360万ドル(50億円以上)を支払うことになりました。

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↑ドジャースのエース、クレイトン・カーショウの今季年俸は3200万ドル

お金をかけて強いチームをつくったとしても、このぜいたく税で何十%も持っていかれるのは痛いです。

結果としてヤンキースは、近年ぜいたく税を下げるためにチーム構成に四苦八苦しています。*1

完全ウェーバー制ドラフト

前年度の成績が悪かった順に、1位から指名することが出来ます。

日本のように、ドラフト1位で競合するということがMLBではありません。

また、1巡目・2巡目で指名した選手が入団しなかった場合は、翌年のドラフトでその指名した選手の全体指名順位に1を加えた順位の指名権が追加されます。

2012年にピッツバーグ・パイレーツはマーク・アペル投手を1巡目(全体8位)で指名しましたが、入団合意に至りませんでした。*2

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↑翌年、アストロズに1位指名され入団するマーク・アペル

翌2013年にピッツバーグ・パイレーツは通常の1巡目の指名権に加え、1巡目全体9位での指名権を得られまして、結果として1巡目でドラフト1巡目クラスの選手を2名指名することに成功しました。

そのため下位チームはドラフトで思い切った指名戦略を取ることが出来ます。

他にはドラフト指名順位はトレード材料として扱われることもあり、

スター選手・主力選手を放出する見返りに、有望選手やドラフト上位指名権を獲得するケースもあります。

またクオリファイング・オファー*3を受けたFA選手を獲得した場合、FA選手を獲得した球団はドラフト上位指名権を失ったり、FA選手を放出した球団はドラフト上位指名権が得られるというルールもあります。

ルールファイブドラフト制度

有望選手の飼い殺しを防ぐシステムです。

上記ドラフト会議とは別のタイミングで行われます。

指名対象選手は4年ないし5年以上マイナーリーグに所属する選手を指名して、自軍にチームに加えることが出来ます。

ただし、指名した選手はメジャー契約して、1軍で起用しないといけない、というルールになっています。*4

この制度によって活躍の場が与えられ、ロベルト・クレメンテ、ジョージ・ベルのような殿堂入り選手が誕生しました。

サイヤング投手ツインズのヨハン・サンタナ、本塁打王を獲得するブルージェイズのホセ・バティスタなど、超主力選手となった例もあります。

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↑ツインズ時代のヨハン・サンタナ

オリックスに所属するトニ・ブランコも、かつてはルール5ドラフトで移籍した経験がありますが、MLBでは目が出ずに日本にやってきて成功した例もあります。

何かしらのドラマを生み出すルール5ドラフトも、日本にはない面白いシステムです。

戦力均衡システムの結果

昨年、ワールドシリーズに進出したチームはカンザスシティ・ロイヤルズとニューヨーク・メッツです。

ロイヤルズは年俸総額1億1300万ドルでMLB全体17位です。

メッツは総額1億0100万ドルで全体21位です。

ちなみに、上位3位はドジャース(2億7100万ドル)、ヤンキース(2億1800万ドル)、レッドソックス(1億8400万ドル)です。

ドジャースとヤンキースはプレーオフに進出しましたが、レッドソックスは地区最下位に低迷しました。

レッドソックスの失速の原因は、前年に補強したFA選手がことごとく不調だったことが大きいです。

FAで獲得した選手がちゃんと活躍しないという現象は、日本だけでなくアメリカでもよくあることです。

FAによる補強がリスキーになりつつあります。

たとえお金がなくともロイヤルズやメッツのように、勝てるチームが作れる時代になりました。
選手だけでなくフロント陣、特にGMの手腕が重要となる時代になっています。

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↑ロイヤルズのデイトン・ムーアGM。格安で選手を見抜く目は天下一品。

選手以上の契約金でGMが移籍するケースも発生しています。

結果として2001年以降、ワールドシリーズを連覇したチームがいないという事実からも、この施策がうまく行っていると見ていいでしょう。

今季のメジャーは、戦力均衡システムによって強いチームを作り上げてきたロイヤルズがワールドシリーズ連覇出来るのか見ものなシーズンです。

NPBもメジャーの真似をすればいいってものではないかと思いますが、戦力均衡の仕組みは大いに参考になる部分があると思います。

メジャーにも是非注目してみてください。

*1:その中でFA補強をほとんどせずに、トレード中心にプレーオフ争いに食い込むだけのチームを作るキャッシュマンGMの手腕はなかなかのものです

*2:翌年のドラフトでアストロズに1巡目全体1位で指名され入団、アストロズは2016年シーズンに勝負するためフィリーズの守護神ケン・ジャイルズとのトレードでマーク・アペルを放出しました

*3:所属していた球団からクオリファイング・オファー(メジャーリーグ全体の上位125選手の平均年俸と同額の1年契約)を提示された選手。「Wikipediaより」

*4:AAA所属選手をルールファイブドラフトで指名した場合、ロースターの25人枠に登録しなくてはならないため