【5656】二世古 生酛純米(にせこ)【北海道】
【N居酒屋にて 全10回の②】
高校同期のKと彼の奥さま、そしてわたくしの3人で、なじみのN居酒屋でお酒をいただく。ある植物の撮影でKのお世話になったので、それにかこつけて飲むことにしたもの。お酒を飲むのに大した理由は要らないのだ。店主はわたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類、用意してくれた。このさりげない心遣いがうれしく、また来たくなる。
トップバッターは「春心 酵母無添加 生酛純米×コシヒカリ仕込」。続いていただいたのは「二世古 生酛純米」だった。「二世古」は当連載でこれまで、4種類を取り上げている。さて、いただいてみる。
香りほのか。さらりとした口当たりを感じてすぐ、辛みがくる。辛みの次に旨み、その次に酸が適度に来る。時間差攻撃でさまざまな味が出てくるが、味の主体は辛み。しかし、旨みの無いドライなだけの辛口とは違い、ちゃんと旨みのある辛みなので好感が持てる。辛みと旨みのドッキングのため、けっこうしっかりとした味わいになっている。酸も出ているので、飲み飽きしないタイプで、食中酒に適している。クラシックタイプの、ボディーはミディアムとライトの中間あたり。あるいは醇酒。
瓶の裏ラベルは、この酒を「北海道酒造好適米『きたしずく』を原料米に、生酛造りにて丹精込めて醸した商品です」と紹介している。
裏ラベルのスペック表示は「原材料 米(国産)米麹(国産米)北海道酒造好適米『北雫』100%、精米歩合60%、アルコール分15度、製造年月2024.6、製造責任者 蔵元杜氏 水口渉」。
使用米の「きたしずく」は、北海道立総合研究機構中央農業試験場が2002年、「雄町」×「ほしのゆめ」の子と「吟風」を交配。選抜と育成を繰り返し品種を固定、2012年に品種登録され、2014年6月にデビューした酒造好適米。北海道生まれとしては「吟風」「彗星」などに続く新しい酒造好適米。コメの特性としては、①濃醇で甘みの強い「吟風」と淡麗辛口の「彗星」のちょうど中間に位置する香りと味わいを持つ ②雑味が少なく、柔かな酒質に仕上がる傾向にある-という。
北海道で生まれた酒米「きたしずく」は、「鍋島」など全国の有力地酒蔵で使われている。このようなケースは極めて異例のことだとおもう。そして、北海道米として誇るべきこと、とおもう。
酒名・蔵名の由来となっている「ニセコ」について、ウィキペディアは、以下のように説明している。
「ニセコは、北海道後志総合振興局の岩内郡岩内町、岩内郡共和町、虻田郡倶知安町、虻田郡ニセコ町、磯谷郡蘭越町からなる山岳丘陵地域の総称。この5町のうち、外国人を含む観光客の間で特に人気が高い3町(俱知安町、ニセコ町、蘭越町)が『ニセコ観光圏』と称されることもある」