統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。今回は、「1970年代生まれの親はどのように育ってきたのか」について取り上げます。
 70年代に生まれた人達は、生まれながらの「消費者」であり、幼少期はマンガやテレビ、ゲームを貪るように体験しながら育ちました。またいじめも多発していました。こうした自分の生まれ育った環境を振り返ってみれば、わが子の成長についても、よりおおらかに見守れるのではないでしょうか。

 こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。今回は子どもではなく、親であるわれわれ自身に関するお話です。

 1976年生まれの私は今年で39歳、来年には40になります。人生80年とすると、折り返し地点に差し掛かっているわけですが、ここらで、自分の生きてきた軌跡を振り返るというのはどうでしょう。自分の歩みを知ることは、今の自分を客観視することにつながります。現在、子育ての最中でしょうが、その姿勢の中に(暗黙に)埋め込まれた原体験を認識できるかもしれません。また、「自分のころもそうだったな」と、子どもの成長をおおらかに見守る構えが得られるかもしれません。

70年代生まれの人の子ども時代は?

 読者の皆さんの多くは私とほぼ同世代、つまり70年代生まれかと思いますが、この世代が生きてきた軌跡をたどってみようと思います。

 世代(generation)とは、同一時期に生まれ、育ってきた時代状況を同じくする群をいいます。「**世代」という言い方を聞いたことがあるでしょう。多様で個性ある人間をそのように一括することに違和感を持たれるかもしれませんが、「世代」とは、人間理解のキー概念であるのも事実です。人間は、育った時代状況の刻印を帯びるもの。特に、人格形成がなされる幼少期から青年期を、どのような時代で過ごしたかが重要になります

 私は、横軸に年齢、縦軸に時代(年)をとったマトリクス上に、自分の世代の軌跡線を引いてみました。(0歳、1976年)と(39歳、2015年)の2点を結んだ直線です。電車の時刻表と同じ形式ですが、ダイヤグラムをもじって「ジェネレーショングラム」と呼ぶことにしましょう。私の恩師の松本良夫先生(東京学芸大学名誉教授)が、世代研究のツールとして考案された図法です。図の中には、各時期の主な出来事、教育政策、はやったアニメなどが書き込まれています。

 この世代が生まれたのは、高度経済成長が終焉した後です。上の世代によって、何もかも作り上げられた時代。今の子ども達と同じく、私達も生まれながらの「消費者」でした。インターネットこそ無かったものの、カラーテレビがほとんどの世帯に普及し、人気歌手・山口百恵さんの歌声がお茶の間に流れていました。名作『キャンディ・キャンディ』のテレビ放映開始は、私の生年の1976年だそうです。