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昨今、サッカースクールは子どもたちにとって「サッカーと出会う場所」「サッカーを始める場所」として重要な役割を果たしています。その先駆けとなったのが、日産サッカースクール時代から数えて今年で40年の歴史を持つ、横浜F・マリノスが運営する「マリノスサッカースクール」です。同スクールでは「サッカーを通して子どもたちの未来をつくる」という理念のもと、子どもたちの可能性を最大限に引き出す育成に取り組んでいます。スクールを統括する和田武倫氏は、1991年からスクールに携わるベテラン指導者です。日産自動車サッカー部での選手経験を経て、スクールやアカデミーを通じて、子どもたちの育成に力を注いできました。今回は、子どもたちの育成に携わり、30年以上のキャリア持つ和田氏に「マリノスサッカースクールの理念と育成スタイル」について、話をうかがいました。サッカーを始めたばかりのお子さんを持つ保護者のみなさん、必見の内容です。(取材・文鈴木智之)©F.M.S.C.<<関連記事:松田直樹さんの魂を「#命つなぐアクション」へ。横浜F・マリノスの取り組みから学ぶ迅速な119番通報の方法■サッカーの技術・戦術だけでなく人としての育成を目指す「5アクション」とはマリノスサッカースクールが掲げる理念は「真のスポーツマンを育成する」こと。これは単にサッカーの技術・戦術を教えるだけでなく、人としての成長を重視する姿勢を表しています。和田氏は「サッカーの技術・戦術だけでなく、マナーや協調性、そして何より大切な自主性を育み、将来的には地域に貢献できる人になってもらいたいという思いを込めて、指導にあたっています」と柔らかな口調で語りかけます。©F.M.S.C.スクールでは「挨拶」「尊重」「伝達・傾聴」「自己管理」「挑戦」という5つのファイブアクションを通じて、子どもたちの成長をサポートしています。「挨拶はコミュニケーションの第一歩です。自分を知ってもらい、相手を知るスタートになります。尊重はチームプレーの基本であり、自己管理は自立につながります。挑戦は失敗を恐れない心を育て、伝達傾聴は自分の考えを表現する力、相手の考えを聞く力を養うことを意識しています」©F.M.S.C.指導において重視しているのは、子ども自身が考えてプレーすること。和田氏は「コーチがああしろこうしろ、この場面ではこういうプレーをしなさいということは、サッカーとして適切ではありません」と語ります。「子どもたちは一人ひとり、身体能力もテクニックも違います。スクールでは、その子が持っている力を最大限に活かし、自分でチャレンジしていけるような環境作りを心がけています」その上で「若年層で一番大事なのは、結果が今ではないということ」と和田氏は強調します。「子どもの可能性は無限大です。その無限の可能性に対して、コーチが蓋をしたり、違う方向に導いたりすることは避けなければなりません。子どもたちは非常に素直で、コーチの言うことをよく聞きます。だからこそ、私たち指導者は言葉一つ一つに気を配る必要があります」■他の子と比べない、できることを褒めることをコーチたちが意識している©F.M.S.C.サッカー少年少女の保護者に対しては、「他人のお子さんと自分のお子さんを比べないようにしましょう」とアドバイスを送ります。「子どもの成長は一人ひとり違います。スポーツの世界では、足の速い子もいれば、スピードはなくてもテクニックに優れた子もいます。大切なのは、お子さんができることを認め、一緒に喜んであげることだと思います」日本には欠点を指摘する文化が根強いですが、和田氏は「できないことを指摘するのではなく、できることを伸ばし、考えてもらうことが大事」と語ります。「例えばリフティングが3回しかできなくても、それを褒めて認めてあげる。そうすることで、子どもたちは安心して、新しいことにチャレンジできるようになります」特に小さな子どもには、褒める、拍手を送る、笑顔で接するなど、様々な形で認めることがポイントで、マリノスサッカースクールでも、コーチ陣が意識しているそうです。「この場では『失敗を恥ずかしがる必要はないんだよ』という安心感を持ってもらうことを心がけています。怒られることを恐れてプレーしていたら、サッカーは楽しくありませんよね。コーチたちには、そういった環境づくりを常に意識してもらっています」最初から上手くできる子はいません。失敗を繰り返して上達していくもの。その様子を見守るのも、コーチや保護者といった大人の役割です。「スクールの子どもたちには、リフティングをやろうと言うと、できないからボールを脇に抱えている子がいたりします。『みんな最初からはできないから、一回上にボールを蹴れるようにやってごらん。ワンバウンドでもいいんだよ』と背中を押してあげる。そうすることでチャレンジを繰り返し、成長に導くようにしています」■サッカーを通して子どもたちの未来をつくる©F.M.S.C.サカイクでも5つのライフスキル(リーダーシップ、コミュニケーション、感謝の心、考える力、チャレンジ精神)を大切にしていますが、マリノスサッカースクールと通じるところがあります。これらは子どもの成長にとって、普遍的に大切なものなのかもしれません。和田氏は「我々はサッカーの上手い下手ではなく、サッカーを通して子どもたちの未来をつくることを理念として掲げています。私たちの理念やコンセプトに共感いただける方は、ぜひ体験会に参加してください」と呼びかけます。神奈川県内12校でスクールを開校し、「幼児」「小学生」「中学生」「大人」の年代別カテゴリーに加え、「Girlsクラス」や「GKクラス」「エンジョイクラス」など、レベルに合った環境が用意されています。サッカーの上達に加えて、子どもたちの自立心やチャレンジする心にも良い影響があること、間違いありません。興味のある方は、ぜひマリノスサッカースクールサイトを見てみてください。マリノスサッカースクール和田武倫(わだたけのり)一般社団法人F・マリノススポーツクラブスクールダイレクター日産自動車サッカー部の選手として4年間、ジヤトコで現役を引退して横浜マリノス誕生前の1991年にスタッフとして復帰してからは30年以上にわたって育成に力を尽くしている。
2025年03月05日普段の環境とは違う雰囲気の中、サッカーに取り組むことができるサカイクキャンプ。1度参加すると「また行きたい」とリピートする子も多くいます。今回お話を聞いたカズキくんは、5年生の3月が初参加。その後、6年生の夏と秋もリピートし、4回目となる今回の春キャンプにも申し込み予定だとか。何度も参加したくなる理由や、親から見てのキャンプ後の成長や変化について伺いました。(取材・文:小林博子)サカイクキャンプでトレーニング中のカズキくん<<兄妹でのキャンプ参加も!サッカーを通して、頼もしく成長していく二人が何度も参加したくなるワケ■サカイクキャンプとの出会いはお母さんからの薦めカズキくんが初めてサカイクキャンプに参加したのは2024年3月。5年生から6年生になる春休みでした。申し込みのきっかけはお母さんから。「最高学年になる前のタイミングで、県外で子どもだけで泊まりがけの合宿的なイベントに参加する"今しかできない"経験をさせたかった」という気持ちで、サッカーにこだわらず探していてみつけたのがサカイクキャンプだったそうです。「県外」「1人」にこだわった理由は、カズキくんのお母さんもちょうど同じタイミングでとある合宿に1人で参加して学びが多かったことから。6年生を前に自分と同じ体験をさせたかったと話します。1人で公共交通機関を使って現地に移動すること、数泊するために必要なものを自分で準備すること、初対面の人ばかりの集団に入っていくこと、その人たちと新たなコミュニティを構築すること......。6年生の子どもには大冒険の連続です。親や先生など見知った頼れる人がいない中で過ごしてくるだけでも貴重な経験ではないでしょうか。ちなみに、カズキくんの住まいは徳島県。大阪キャンプには、大阪行きの高速バスに1人で乗って明石海峡を渡って向かいます。親元を離れて単身で"海を超える"のも初めてのことだったそう。「最初は怖かった、はぐれたらどうしようとドキドキした」と、カズキくんは当時の素直な気持ちを打ち明けてくれました。■キャンプでの最大の変化は「チャレンジする心」が育まれたことサカイクキャンプでは、サッカー以外の"オフザピッチ"での過ごし方や考え方にも重点をおいたプログラムが組まれています。中でも「ライフスキル」の座学は子どもたちに身につけてもらいたい能力として、力を入れていることのひとつです。文部科学省が掲げているライフスキルは10項目ですが、サカイクキャンプでは子どもも理解しやすいように、以下の5つを挙げています。1.考える力2.リーダーシップ3.感謝の心4.チャレンジ5.コミュニケーションこの5つについて学んだことで、最も変化したのは4つ目の「チャレンジ」でした実は、ヘディングが怖くてできなかったというカズキくんでしたが、チャレンジすることとは、ということを学び、帰宅後最初の試合で思い切ってヘディングをやってみることができたとか。「やってみたらできた!もう怖くないです。ヘディングができると胸でトラップしなくても次の動きができるのでワンステップ早くボールを繋げられることがわかった。失敗を恐れずにチャレンジする自分になれた」と嬉しそうに語ってくれました。「以前は試合中にコーチから"そこはヘッドだろう"と注意されていたけれど、もうそうは言われない」とも。チャレンジ精神がついたという目に見えるキャンプの効果を実感しているようです。■「心理的安全性」があるからこそ、積極的になれるカズキくんは優しく穏やかな性格なので、何かに対してぐいぐいといくことは普段はあまりないそうですが、キャンプ中は積極的にコーチに質問する姿がよく見られたこともキャンプ中の顕著な変化でした。その理由は「ここなら恥ずかしがることもないので聞きたいことを聞けました」とのこと。キャンプでコーチたちは「心理的安全性」のある雰囲気作りにも注力しています。何を聞いても大丈夫だからこそ、子どもたちは素直に疑問を口にすることができます。3日間しかないこと、そして普段の友達とのコミュニティではないことなどもあいまって、知りたいことは帰る前にちゃんと知って帰る、という意識が芽生えているようです。■キャンプの"その後"エピソードは?サカイクキャンプでトレーニング中のカズキくんサカイクキャンプのその後はどうだったのでしょうか。その答えはお母さん曰く「ばっちり!」とのことです。学校では、「しっかりしてきた」と担任の先生から評価されるようになったほか、忘れ物が減ったり、友達とのコミュニケーションに今まで以上に思いやりがもてるようになったりと、はっきりとした成長がみられます。「相手が言われて嫌なことは考えながら話す」というスキルが身についたと本人も感じているそう。最高学年として活動する所属チームでは、仲間が揉めていると仲裁にはいるのはいつもカズキくん。中立的な立場での意見を貫くしっかり者としてチームのムードメーカー的存在として慕われるようになりました。これらの成長は、1回目より2回目、そして3回目と回をおうごとに顕著になっていったとお母さんは語ります。■ライフスキルを3回も学ぶ意味はある?という疑問にお答えライフスキルの座学は、カズキくんのようにリピート参加者には「毎回同じことを聞くことになるのでは」と懸念されがちですがご安心を。2回目、3回目だからこその気づきが多数ありますし、状況に応じてリピーター向けの回を設けることもあります。コーチに聞いたところ、カズキくんの場合も、2回目ではより深くインプットして積極的に行動できるようになり、3枚目は自らが学んだことを年下の参加者にアウトプットする場面もあったそうです。■コーチも太鼓判!「組織にいてほしい人材になれる」サカイクキャンプでトレーニング中のカズキくんキャンプで指導している柏瀬コーチは、カズキくんの2回目以降の「気づきの幅と深さの広がり」に着目。困っている子がいたら手を差し伸べること、試合中のポジション取り、グループの雰囲気作りになどについて深みのある考えと行動が出るようになったことが目をみはる成長だったと話します。それと同時に、本人が困っていたら周りが助けたくなるような愛されキャラでもあると評価します。「カズキくんがいるチームは雰囲気がよく結果もついてきてうまくいく」という頼もしい存在なのだとか。チームの重要な心の支柱であり、勝ちをもたらす選手として、これからもサッカーだけでなくあらゆる場で活躍してくれるはずと期待しています。■帰ってすぐに「また行きたい」とリピート参加を希望カズキくんは1回目の最終日に迎えに行ったその場で、両親に「次も行く」と2回目の参加を熱望。その繰り返しでまもなく4回目。さらにカズキくんの弟もキャンプに参加することになり、兄弟で複数回リピートしています。金額的にも決してリーズナブルではないサカイクキャンプですが、その価値は十分にあると考えるからこそ、子どもの希望を快く叶えてあげられる、とお母さんは話します。もともとの目的だった「"今しかできない"経験」に加え、心の成長やサッカー技術の上達も目に見えるからこその感想だと言います。「参加するか迷っているなら、行ってみなよとアドバイスします」とカズキくん。楽しいし、友達ができるし、できなかったことができるようになる3日間が待っています。気候がいい春キャンプは、初挑戦にも最適です。
2025年03月04日ボールを動きながら受けて次のパスがしやすい場所にコントロールするにはどうしたらいい?止める、蹴るはサッカーの基本だけど同年代でも強豪チームは動きながらそれをしている。ボールを取られない場所にコントロールする方法を身に着ける方法を教えて、というご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ボールコントロールを身に着けるメニューを紹介します。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ショートパスでつなぐスタイルもいいけど、時にはロングボールも必要「使い分け」の判断を身に着けるメニューはある?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。子どものサッカーの成長を見続けたら私もサッカーにはまり、チームに誘っていただき保護者兼コーチの立場でかかわっています。(学校のチームです。カテゴリーとしてはスポ少かと。担当はU‐11)今回池上さんにご相談したいのは、動きながら速いパスを受けて、次のプレーがしやすい場所に置くことができるようにしたいのですが、そのためにはどんなトレーニングをしたらいいかということです。止める、蹴るはサッカーの基本ですが、最近同年代でも強いチームを見ていると、そもそも止める時にその場で止まっていない(動きながら受ける)のでボールを取られないんだなと思います。だからすごくボールが持てるというか......。おすすめの方法があれば、お願いします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。動きながら、速いパスを受けて、プレーをしやすい場所に置くことができる。それはつまりファーストタッチをいかに有効的なものにするかがポイントになります。コーチたちがよく言う「ボールの置きどころ」というものです。■ボールをスペースに動かしたほうがいい場合と足元に留めたほうがいい場合があるご存知のようにサッカーというスポーツは、その瞬間の状況に合わせて全員が動かないといけません。ボールを受けるとき、自分の足元から遠いスペースへぽんと運ぶというかボールを動かしたほうがいいときと、自分の足元に留めたほうがいい場合があることをまずは理解してもらいましょう。例えば動かしたほうがいい場合は、自分をマークするために近づいてきた相手をかわすため。あるいは、わざと相手を引き付けるためにボールを動かします。■プレッシャーが厳しいときは足元に止めるほうが有効これに対し、本当にプレッシャーが厳しいときは足元に止めるほうが有効です。相手がそのボールを狙いに来るので、かわしやすくなります。相手のプレスが厳しいのにボールを動かしてコントロールすると、そのままの勢いで相手が取りに来るので、奪われる可能性が高くなります。ディフェンス側の選手に対しコーチが「飛び込むな」とよく言いますね。やみくもに取りに行ってしまうと、オフェンス側にしっかりコントロールされてしまうからです。お互いに正対している状況ですと、オフェンス側からすれば足元に置いたボールは自分の体の中心線にあるので、右でも左でもどちらでもドリブルでかわせます。そのように状況によって異なることを、まずは指導者が理解しておかないといけません。ドリブルの練習で「相手より遠いほうの足でプレーするように」と恐らく皆さんおっしゃっていると思います。ボールと相手との間に自分の体を入れるようにといったアドバイスをされています。■相手から遠いほうの足でコントロールすればよいしたがって、走りながらの場合も相手よりも遠いほうの足でコントロールすればよいのです。そのための練習がどんなものかといえば、実際に相手がいないとだめなので、オフェンス側が動くとしましょう。パスを受けて「相手が右から取りに来たら、どっちにコントロールしますか?」と言ってやらせてみる。次に「左から来たらどうしますか?」さらに「今度は後ろから来るかもしれないね。どうしますか?」と考えさせながらやります。■おすすめのトレーニング例:2対1で「ボールをどこに留めればいいか」を理解させるその狙いも持ちながら練習をするのですが、子どもたちが楽しくできるように2対1でやってみるといいでしょう。例えば、AとBの2人がオフェンス側、Cがディフェンスとします。Aがボールを持っていて、Bにパスをします。そこでCはそのパスをカットするつもりで飛び込みます。まずそこでボールをどこに留めるとか、そんなことがわかりやすくなります。Cがすごくいいタイミングで取りに来たとしたら、BはファーストタッチをCから少し離れるようなところにコントロールします。そうすると、それにCがついてきたとしたら、ここではワンツーが成立しやすくなります。Aからボールを受けたBが少しCから離れるようにコントロールするというのは、Cを引き出すことになります。したがって、Cの裏を狙えるということです。逆にCがあまり激しく取りに来なかったとしましょう。そのようなとき、BはCに向かってボールをコントロールする。よく「ボールをさらす」といった表現をしますが、それをやるとCはそれに反応するかもしれません。もし反応して食いついてきたとしたら、またAを使ってのワンツーが成立しやすくなります。つまり、Cの動きによってBがコントロールする場所は変わるわけです。指導者がそのような理解をしたうえで「ボールコントロールの練習をするよ。どちらがいいか自分で判断しよう」と声掛けをしてからトレーニングをしてください。■ボールコントロールの場面でも相手との駆け引きが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)動きながらパスを受ける状態というのは、このようにワンツーの場面を多く作ることが必要です。子どもたちのサッカーを見ていると、ボールコントロールのところでそういった駆け引きがなかなか見られません。であれば、練習の段階でそのような状況をつくってあげる。意識してできる環境をオーガナイズする必要があります。言葉として「状況に応じて、足元に止める場合と動かす場合を使い分ける必要があるよ」と話しながら、それを体験できる練習を提供してあげてください。最後に本当に単純なトレーニングとして、2人で走りながらのシザースパスです。ここでボールタッチ数を2タッチにします。そうして、お互いのスピードを落とさないように、走りながらワンタッチ目でコントロールして、次のタッチで相手にパスをすることになるので、コントロールからパスまでをスムーズにできるようになるトレーニングは私のチームでもよくやるトレーニングです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2025年02月28日「子どものやる気が見えなくてイライラする」「やる気が見えるなら応援できるのに」、最近サカイクに投稿されるお悩み相談にもこのように書かれていることが少なくありません。試合に負けてもヘラヘラしていて悔しくなさそう、うまくなりたいというのに自主練しないでゲームばかりしている......、そういう姿にいら立つ親御さんも少なくないですが、果たしてお子さんは本当にやる気がないのでしょうか。以前サカイクの取材で、「親と子のやる気の出し方が違うと、親が子どものやる気に気づかないこともある」と教えてくれたメンタルトレーナーの筒井香さんに、子どものやる気を育てるために本質的に大切なこととは何か、をうかがいました。(取材・文木村芽久美)(写真は少年サッカーのイメージです)関連記事:「やる気」にも種類がある!「子どものやる気が見えない」と嘆く前に知ってほしい子どものやる気の種類■まずは否定せずに、子どもの行動を認めてあげることが大切保護者の人生経験の中では、負けたら悔しがるのが当然だと捉えられていたり、負けているのに笑っているのが「ヘラヘラ」しているように見えるのかもしれませんが、子どもにとってはそうじゃないかもしれませんと筒井さんは言います。最近は相手チームのことを敵チームと言わなくなりましたし、ラグビーの場合、試合終了の「ノーサイド」の笛が吹けば、敵も味方もなくなります。一緒にスポーツをしている仲間だという意識があれば、試合内容によっては負けても楽しかったと思うかもしれません。親と子どもは別人格で、そこには感情があります。親が見えていない場面では悔しい表情をしていた可能性も。なぜそういう感情になったのか理由が子どもにはあるので、「ヘラヘラしている」とイライラする前に、「あの時どうして笑っていたの?」など、対話することも大事なことなのだそうです。ゲームに時間を費やすなら、その分サッカーを頑張ってほしいと親は思うかもしれませんが、子どもにとっては大切な自主活動の一つなので、まずは認めてあげることが大切なのだといいます。「否定されたら、誰でも防衛反応が働くと思います。まずは子どもの行動を認めつつ、違うアプローチもしてみる。次はそっちをやろうかなという気になるかもしれないですよ」■誰が主役?スポーツの現場でも重要視されている「アスリートセンタード・コーチング」とは?(写真は少年サッカーのイメージです)そもそも子どものやる気が見えないと素直に応援できないという保護者について、「主役が置き換わってしまっている」と筒井さんは言います。スポーツ界でも選手を主役とし、選手が主体的にどう学ぶかにフォーカスした「アスリートセンタード・コーチング」という手法が注目されています。選手のパフォーマンスを伸ばすには、選手自身が学ぼうとする意欲が重要なのだそうです。これを踏まえ、子どもが主役と考えた時、子ども自身がどうなりたいのか考えることが大切だと言います。■低年齢の時から強い競技性を持ちすぎることの弊害とは(写真は少年サッカーのイメージです)本来小さい子どもは興味・好きなことは時間を忘れて、夢中になってやるものですが、いかに早い段階で、自分の興味を深掘りしていく経験ができるかが大切なのだそうです。早い段階で勝ちにこだわり、競技化を強めたり、ルールを重要視しすぎると、子どもが主体的に興味を深めるところにいけない危険性があると言います。また競技性を持ちすぎることで早熟な子が有利となり、早生まれが不利になりがちですが、こうした環境も子どもの成長の妨げになる危険があります。「トップアスリートでも4〜9月生まれが多いと言われていますが、能力の高さの差というよりは、幼少期の経験から自信の持ち方の差が大きいのでは」と筒井さんは言います。保護者も指導者も周りの子と比較せず、個々の成長に合わせ、子どもが好奇心を持って取り組める環境を作ってあげることが大事だと言えるでしょう。■親の関わり方で変わる、子どもの興味を育てる大切さ自分の目標を達成するためには、生まれつきの才能や資質よりも、やり抜く力「GRIT(グリット)」が重要だと言われています。GRITは生まれつき持っているものではなく、後天的に身につけていくものなのだそうです。興味はそれを育む要素の一つだといわれ、この興味を伸ばしてあげられるかが重要なのだと言います。「例えば子どもが好きなプレーや、やりたいプレーがあるのであれば、そういう映像を一緒に見たり、試合をテレビで一緒に見たり、実際に会場に見に行ければ、さらにいいと思います」と筒井さんは言います。サッカーについて自分で調べてみたり、練習してみたり、子どもが興味を深掘りしていく力を身につけさせるために、まずは保護者が子どもの個性に合った環境を根気強く作ってあげられると良いようです。■親の心が健康であることも大切。まずは自分の感情を認め、自分の感情に思いやりと好奇心を持って自分の子どもの行動やプレーを見て、ついイライラしてしまう親が、決して悪い親というわけではありません。一番身近にいる、大切な子どものことなのだから、ある意味自然なことだと言えます。ただ、思いが強くなりすぎてしまうと、どうしても近視眼的に物事を見てしまい、他の良いところも見落としがちになってしまいます。そうならないよう「まずは自分の感情を認めて、理由に寄り添うことがすごく大切」だと筒井さんは言います。つい子どもにイライラしてしまうのは、自分が熱心に子育てを頑張っている証。「私、今日も本気で子育てしているな」と自己受容してあげると良いでしょう。自分の感情を認めてあげると、自分に矢印が向くようになります。感情の持っているエネルギーを自分に向け、それをプラスとしてコントロールできるようになれると良いと言います。感情を言語化するのも良いことなのだそうで、例えば保護者同士で悩みを打ち明けあって心の発散をしながら、最後には自分の感情を認めたり、分かち合うことは良いのだそうです。イライラしたり負の感情が出てきたら、放っておかず、その理由は何だろう?と自分の感情に好奇心を持つことも大事なのです。子どものサッカーを気持ちよくサポートしたいなら、親の心が健康な状態であることも大切です。親御さんも自分自身を大事にして親子でサッカーを楽しみましょう。筒井香(つつい・かおり)株式会社BorderLeSS代表取締役博士(学術)日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士大学・大学院時代に人間行動学、臨床発達心理学、スポーツ心理学などの心理学から「人間の特性」を広範に学び、また、博士論文では、「個別性を重んじたポジティブシンキングの多様性」に関する理論を構築。現在はジュニア選手からプロ選手、オリンピック、パラリンピック選手のメンタルトレーニングのほか、指導者やスポーツを頑張る保護者の学び舎「大人のメントレコミュニティ」を運営し、子どもの主体性を育む大人の在り方や、人としてのキャリアのなかにアスリートとしてのキャリアも含めた、包括的な人生設計に重要な理論と実践方法を伝え、子どもの「キャリア=人生育て」を心理学の視点からサポートしている。2023年12月書籍「シン・ポジティブ思考-しなやかなメンタルのトリセツづくり-」を刊行。株式会社BorderLeSS著書:シン・ポジティブ思考-しなやかなメンタルのトリセツづくり-
2025年02月27日上手くなりたいと言うのに自主練しない。アドバイスも嫌がる息子に悩むという相談への回答が「口出しせず何も言わない」だったが、全くもって納得できない。本人が気づくまで待てということ?それが本人のためになるの?何も口出ししなければ気づくの?一生気づかない子は諦めろってこと?というご質問をいただきました。子どものサッカーでの成長について、見守るだけでいいの?という不安を感じたことがある保護者の方もいらっしゃることでしょう。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、投稿いただいたご意見にお答えします。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<練習をサボった子が先発で真面目なわが子はベンチ。上手ければ休んでいいのか問題<サッカーママからのご相談>9歳の子どもを持つ母です。以前の連載記事にあった、「上手くなりたいと言うのに自主練しない。アドバイスも嫌がる息子に頭を悩ませている問題」への返答が「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」というのに全く納得いかず、共感もできません。【該当記事】上手くなりたいと言うのに自主練しない。アドバイスも嫌がる息子に頭を悩ませている問題練習中や試合中に砂いじりしていても何も言わないということですよね?なぜですか?本人が気付くまで待てという事でしょうか?それが本当に本人の為になるのでしょうか?「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」を続けていたら自分で気づけるようになると思いますか?一生気づかない子は諦めろということでしょうか?教えてください。<島沢さんからの回答>記事へのご意見、誠にありがとうございます。9歳男児ということは小学3年生でしょうか。ご意見された記事のご相談者様と同じような年齢ですね。まず、こちらの記事をもう一度お読みになることをお勧めします。お母さんは当該記事に対する私の返答として「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」を挙げられ、そこに「全く納得いかず、共感もできません」とおっしゃっています。しかしながら「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」とおっしゃっているのは、ご相談者様ご自身です(以下、記事部分です)。私の言葉ではありません。まず、そこを勘違いされているようなので、ぜひご確認くださいね。自信がない中でも毎日文句ひとつ言わず練習に通い頑張っているとは思うし、昨日の自分と比べたら上手になったね!と褒めてはいますが、もっとチャレンジしなさい、考えなさい、練習しなさい、と言ってしまっているのも確かです。関わり方がわからず最近しんどいな、と感じています。きっと本人はもっと息苦しい思いをしているかもしれません。楽しんでプレーしている息子が見たいから、もう何も口出ししない、褒める以外は何も言わない、と決めたのですが、試合中ベンチで砂いじりをしている息子を見て叱ってしまったり、結局どうしたらいいのか頭を悩ませています。いかがでしょうか。記事にある相談をされた方のお子さんは小学3年生。まだ8歳か9歳です。試合に出られずずっとベンチに座らされたら、砂いじりもしたくなる年齢です。叱ったとて、何ら効果はありません。無駄なことです。ご相談者様はそこに気づかれたので、自ら「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」と決めたのではないでしょうか。■自分の行動の至らなさを「自分で気づいて正す」には年齢やタイミングがあるさらに、お母さんは「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」を続けていたら自分で気づけるようになると思いますか?一生気づかない子は諦めろということですか?と書かれていますが、成人サッカーでベンチにいるときに砂いじりをする大人を私は見たことはありません。自分の行いの至らなさを「自分で気づいて正す」には、それができる年齢やタイミングがあります。■件のご相談者様が「褒める以外は何も言わない」と決めたのには理由があるはずお母さんは「共感できない」と書かれていますが、そもそもこのご相談者様が「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」と決めたのは、大きな理由があってのことだと私は感じています。ご相談者様夫妻は、息子さんがせっかくサッカーを楽しくやっていたのに「あまりにも技術が身に付かない」と評価。エンジョイを優先するクラブでさえ技術の習得が遅れていた子どもを、何ゆえか「強い少年団」に移籍させました。理由として「本人が上手になりたいと言うので」とありますが、強いチームに入れば技術がアップするわけではありません。ご相談文に「以前に比べたらドリブルもずいぶん上手くなりました」と書かれていますが、前のチームにいた2年時より、3年生になれば上達スピードは増します。そして、強豪ゆえに試合に出られず、コーチは厳しい。結果的に息子さんにとって成功とはいえない移籍になっているようです。親である自分たちがいらぬ口出しをしてしまい、子どもを苦しめてしまったことからの反省だと私は感じました。それゆえに、ご相談者様は口出しせず褒めようと決めたのでしょう。それなのに、以前より厳しいサッカー環境でわが子が苦しんでいる姿が、ご相談者様には情けなく映る。イライラするので叱る。叱るのは逆効果だ、子どもの成長を待たなくてはいけないとわかっているのに叱ってしまう。その苦しみに耐えられなくて、私に相談をされたのだと考えました。要するに、このご相談者様夫婦は方向性の結論が出ている。それならば、あとは彼らになかった視点を知らせてあげればいいかなと判断しました。■子どもの成長を促すガソリンは自己肯定感彼らの子育てに加えて欲しい視点は、子どもの成長を促すガソリンは自己肯定感だということです。最初に、公園で友達に誘われてもサッカーをしたがらない、サッカー経験のある父(夫)ともやりたがらないという態度を見せたとき、彼らは「なんのためにサッカーをしているのかわからない」とまるで大人に向けるような視点でわが子を見ています。この時点で「この子は自分が下手であることを気にしている」とわかったら、「なぜ気にしているんだろう?」と理由や背景を考えるべきでした。自分たちの態度が、結果ばかりを求めていなかったか。追い詰めていなかったか。サッカーを「楽しんでくれればいい」「好きになってくれればいいよ」といったジュニアスポーツで最も重要な視点を忘れていないか。その点を振り返ったほうが良かったと私は思ったのです。それなのに、対応を間違えてしまい強いチームに入れてしまった。周囲のレベルは前のチームよりまた一段上がっているので、子どもはよりいっそう委縮してしまっています。そこで、相談者に「言葉や行動の表面で判断せず、その裏にある『なぜ?』を考えよう」と子どもの姿や事象を深く促しました。自己肯定感の重要性も併せて伝えました。ご相談者様はすでに自分たちの間違いに気づいている。でも、現実を突きつけられると焦ってしまい、思わず子どもに当たってしまうのです。■気づくまで待たずに世話を焼き続けたら、指示されないと動けない大人になるリスクがある(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)最後に、「本人が気づくまで待つのは本当に子どもためになるのか」という質問ですが、気づくまで待たずに世話を焼き続けていれば、誰かに何かを指示命令されないと動けない大人になってしまうリスクがあります。その理由や根拠は、こちらの連載のそこここに書かれています。この回で200回を迎えました。よろしければご高覧ください。お母さんももしかしたら、うまくいかないことがあり悩まれているのでしょうか。何かありましたらまたお便りいただけたらと思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2025年02月26日子どものサッカーを見ていると、「スペースに走れ」「そこで止まって」など、声に出さずとも思ってしまうこと、ありますよね。ピッチサイドにいると適切な位置などがよく理解できるものです。ですが、実際にプレーをしているとどうでしょう?サッカー少年団でお母さんコーチを経験した後、自身もサッカーを習い始め「実際にやってみたら周りも見れないし、足も止まらない」と話すお母さんに、子どものサッカーへの理解について聞いてみました。現在中学生で反抗期真っただ中のお子さんとのサッカーという共通ワードでの会話も、参考にしてみてください。(文・木村芽久美)(写真はサッカーのイメージです)関連記事:「なんで走らないの」なんて言えなくなった。サッカー未経験の父たちが、自身もサッカーを始めて変わった子どもへのかかわり方■サッカー未経験のお母さんがコーチをやることになったきっかけ川崎市在住のササキさんのお子さんは、小学校入学時に小学校のサッカー少年団に入部し、サッカーを始めたそうです。当時は仕事が忙しく、普段一緒に遊ぶ時間がなかなか作れなかったため、サッカー未経験だったけれどもお母さんコーチを始めたのだそうです。「熱心なコーチがいて、お母さん達にも『コーチやりませんか?』って気さくに声をかけてくれて」チームのコーチ自身が元々サッカー未経験者で、お子さんのサッカーがきっかけで大人になってからサッカーをやり始め、インストラクターをするまで上達をされたのだそうです。「お父さんコーチだけじゃなくてお母さんコーチもウェルカムな感じで、『教えるんじゃなくて、見守るだけでいいんです』って言うので。サッカーは未経験でしたけど、子どもと一緒にいる時間をできるだけ作りたくて挑戦してみました」とササキさんは振り返ります。■見るのとやるのでは全然違う。サッカースクールに通い始めて、理解が深まる(写真はサッカーのイメージです)お母さんコーチをしていた時も多少ボールに触っていたけれども、大人のフットサルに時々誘ってもらったり、サッカー大会に参加しているうちに自身もサッカーが楽しくなっていったそう。お子さんも中学に入学し、親の手を離れ始めたこともあり、2か月前から大人のためのサッカー教室に通い始めたのだそうです。「これまでもサッカーやフットサルのイベントに参加はしてたんですけど、体が全然いうこと効かなくて(笑)。子どものサッカーを見ている時には『もっとああして、こうすればいいのに』って思うんですけど、自分がいざピッチに立つと、ボールがきてもうまくできないし。だから私も習いたいなと思って」お母さんコーチをしている時から『サッカーは見るのとやるのでは全然違う』とは思っていたそうですが、実際やってみると、自身の体で実感したそう。「子どものサッカーを見てた時は『あのスペースに走って』『そこで止まって』とか思っていたんですが、自分がやってみると周りを見る余裕もないし、走ってると急に止まれなくてバタバタバタってなってしまったり......。どこにパスを出していいのか判断の難しさを実感し、自分がやってみたからこそ、子どもたちは頑張ってサッカーをしているのだと、さらに理解が深まりましたね」■サッカーが、思春期の息子との大切なコミュニケーションツールに(写真はサッカーのイメージです)今、中学2年生の息子さんは部活でサッカーを頑張っていますが、まさに反抗期のまっ最中。「試合を見に来ないで」と言い、機嫌が悪い時はもう話しかけないでほしい雰囲気を出しているといいます。子どもの気持ちもわかるけど、それでも気になるのが親心というもの。「先日、息子にみつからないようこっそり見に行きましたけどね。中学入学以降、試合を見に行ったのは初めてです」とはにかみながら教えてくれました。反抗期真っただ中の息子さんですが、サッカーの話題になると「これができるようになったよ」と自分から報告してくれたり、ササキさんからサッカーのことで息子さんに「これどうやるの?」と聞くと「お母さん、それだと全然ダメだよ。もっとここで触るんだよ」と教えてもらっているのだそうで、親子にとって、サッカーは良いコミュニケーションツールになっているのだそうです。「サッカーは反抗期の子どもとのコミュニケーションにも役立っています。上から目線ですけどね(笑)」■サッカーは人生を豊かにし、生涯楽しめるのが魅力ササキさんは学生の頃ソフトボールをしていたそうで、その楽しかった経験から、スポーツの価値は競技志向というよりは、生涯スポーツとして人生を豊かにしてくれることにあると位置付け、息子さんのサッカーについても口出しせず、夫婦で温かく見守っているのだそうです。「スポーツで別にプロにならなくても、サッカーは仲間もできるし、国内外問わず色々な人と出会えたり、仕事関係以外でも仲間ができたり、人生を豊かにするものだと思っていて。だから小学校でやめちゃうよりは中学校、その先でも続けてスキルを上げた方が、人生的にも自分で頑張ってきた証になるし、積み重ねたものになれば」と話します。ひとつのことをやりきる充実感や忍耐力は、生きる力につながるでしょうし、友人たちとのコミュニケーションを学ぶ場として、また社会人になっても趣味として楽しめるという点などをサッカーの最大の魅力だと捉えているのです。■サッカーを通じて、親子で一緒に成長する息子さんにはできれば高校入ってからもサッカーを続けてほしいとササキさんは言います。「社会人になってからも趣味でサッカーをしたり、サッカー観戦を楽しんだり、生涯サッカーを好きでいてほしいなとは思いますね」ご自身の目標は『サッカーがもっと上手になりたい』そうで、「スクールでは今年一年ドリブルをやるみたいなので、ドリブルとかボールタッチがうまくできるようになれたら」と意欲を示します。お母さんが目標に向かって頑張る姿は、息子さんにとって大きな力になるでしょう。保護者が行動で示すことは、お子さんに大きな影響を与えるという意味でも大切だと言えるでしょう。大人も年齢に関係なく、自分の趣味や目標を持ち、サッカーを頑張るお子さんを、楽しみながら支えていけるといいですね。
2025年02月20日食中毒は夏場だけのものではありません。FC東京の栄養アドバイザーを勤めている管理栄養士の久保田尚子さんに伺ったところ、実は冬も食中毒対策は必須なのだとか。冬は風やインフルエンザが流行する時期ですが、子どもが受験を控えているご家庭は特に体調管理に気をつかう時期でもあります。冬の食中毒対策と免疫力について伺いました。(取材・文:小林博子)(写真はお弁当のイメージ)<<前編:おいしく食べて午後も元気なサッカーのエネルギー源にするお弁当の中身とは?■食中毒対策の基本は夏と同じと心得て食材が傷みやすい夏ほどではないにしても、冬に食中毒が皆無になるわけではなく、お弁当が傷むシーンは多々あります。暖房が効いた室内や車内や、直射日光が当たる窓辺に長時間置いてあれば、夏のように暖かくなることも。また、胃腸炎のウイルスなど冬ならではの食中毒もあります。お弁当づくりの食中毒対策は季節に関わらず「つけない!増やさない!やっつける!」を守り、容器は詰める前にしっかり洗い消毒をする、食材にはしっかり火を通す、熱々のまま密封しない、食材を素手で触らないなどの基本は夏と変わらず行いましょう。また、冬場でも温度管理に気を遣うべきものには保冷剤を付けることを忘れずに。■スープジャー内の細菌の繁殖に注意「熱いものを熱い器に入れる」が鉄則(写真はスープジャーのイメージ)冬のお弁当の人気アイテムであるスープジャーは、使い方によっては食中毒を起こしやすいアイテムに様変わりしてしまいます。人間にとって飲み頃の30〜40℃は細菌が繁殖しやすい温度でもあります。スープジャー内での細菌の繁殖を抑える方法は、まず朝は高い温度にして持たせること。スープ類を入れる前に熱いお湯であらかじめスープジャーを温めておきましょう。熱湯に近い温度のお湯であれば殺菌効果もあり一石二鳥になりますし、何より容器が冷たいままよりも中に入れたスープの保温性もぐっと上がり、お昼に蓋をあけるまで高温をキープできます。中に入れるスープはコーンスープクラムチャウダーなど牛乳を使用したものや、シチューやカレーなど粘度の高いものは傷みやすいため避けることも対策の1つです。クリーム系のスープを飲みたい場合は、スープジャーにはお湯だけを入れておき、食べる直前に粉タイプのスープの素を入れて食べることをおすすめします。■サッカーをするために必要なのエネルギーは炭水化物チームによっては試合日のお昼ご飯に指定されることもあるおにぎり。子どもの栄養摂取の観点から、具材にたんぱく質を選びたくなる親御さんは多いと思いますが、前回の記事でお伝えしたように冷めて固まる脂を使った具材は味わいの面から冬場はおすすめしません。また、衛生面からも炊き込みご飯などは傷みやすくなる可能性があります。ではどうしたらいい?と思うかもしれませんが、たんぱく質を意識しすぎて炭水化物が疎かになることが最も避けたいことです。サッカーをするために必要なエネルギー源は米や小麦などの炭水化物。体内に蓄えた炭水化物は、個人差はありますが6時間程度で空っぽになってしまいます。少なくとも運動時の食事ではエネルギー源になる炭水化物が最優先と考えて下さい。3食バランスよく食べるのがもちろん理想ですが、もしお弁当が炭水化物中心で、たんぱく質が足りないなどバランスがとれなかったとしても、前後の食事で補えばいいので気にしすぎなくても大丈夫です。実はご飯には、たんぱく質も案外含まれているのです。※参考;おにぎり1個(110g)に含まれるたんぱく質は約2.8g。もしおにぎりを3個食べたとしたら、たんぱく質は約8.3gとれます。ちなみに、牛乳200mlには約6.9gです。■「おにぎり嫌い」な子はどうしたらいい?「冬は特におにぎりを嫌がる」という子もいるようです。その場合は、前回ご紹介したようにスープジャーの中にうどんなどを入れるのも手段の1つ。また、米ではなくパンでもかまわないとのことです。ただし、パンは脂質を過剰摂取しがちなのが懸念点。脂質は消化に時間がかかるため午後のパフォーマンスに悪い影響を及ぼしてしまうこともあるでしょう。脂っこいものを挟んだサンドイッチや、バターをたくさん使った菓子パンなどは避けましょう。■免疫力をキープする栄養素3つ感染症対策には粘膜強化が有効(写真は柑橘類のイメージ)風邪やインフルエンザなど、細菌やウイルスで罹る感染症対策のため、免疫力の向上は冬の命題です。せっかく食べるなら免疫力をあげるものを食べてもらいたいところですね。意識したい栄養素は以下の3つです。・ビタミンC体内に侵入したウイルスや細菌に対する抗体を作り出す白血球の1種である「マクロファージ」の働きを助けるほか、コラーゲン生成を促すことで粘膜を強化してくれます。そのほか、抗ストレスホルモンの生成も助けてくれます。〈ビタミンCを多く含む食材〉柑橘類、キウィフルーツ、パプリカ、ブロッコリー、じゃがいも、さつまいもなど・β‐カロテン(ビタミンA)β‐カロテンは体内でビタミンAに変換され、粘膜の強化をサポート。粘膜が強くなるとウイルスや細菌の侵入を阻止してくれるため、感染症にかかりにくい体になります。〈β‐カロテン(ビタミンA)を多く含む食材〉ニンジン、ほうれん草、モロヘイヤ、レバーなど・ビタミンD以前はカルシウムの吸収促進が注目されていたビタミンDですが、最近は免疫力向上やアレルギー症状改善の働きが注目されています。サッカーのように屋外で活動する選手は紫外線を浴びることで体内でも合成されますが、免疫力向上のためには食事から摂ることも意識してみましょう。〈ビタミンDを多く含む食材〉鮭、しらす干し、うなぎ、まいたけ、きくらげ、干しシイタケ など■保護者は最強のサポーター今回お話を伺った久保田さんのもとには、Jr.ユースやユースチームで栄養サポートをしてきた選手がトップ選手になったりしてからも栄養の相談をしてきてくれたり、食事の写真を送ってくれることもあるとか。育成年代で保護者やコーチの助言もあって食事の大切さもしっかり学び、よい栄養バランスが自然と身についていることがうかがえて嬉しいと話してくれました。体づくりやコンディション維持の重要な部分を占める食事だからこそ、おいしく食べながら自然な形で身に付けることができたら理想的ですね。久保田尚子管理栄養士1997年からFC東京。(1998年までは前身の「東京ガスフットボールクラブ」)にて管理栄養士としてトップチームの選手の栄養指導を行う。現在はFC東京トップチームから育成セクション(U-18、U-15)までの栄養アドバイザーとして栄養面からサポートしている。
2025年02月17日ショートパスをつなぐのも大事だけど、時にはロングボールを蹴る判断も必要だと思ってる。使い分けを身につけさせたいけど、どんな練習が良いの?というお父さんコーチからの相談。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、リスク管理をしながらロングボールを効果的に使えるようになるトレーニングメニューを伝授します。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<真面目でコーチの指示をちゃんと聞くのに理解が遅い子、ポジショニングなど動きを理解させるにはどうしたらいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。子どもがお世話になったスポ少で指導を続けている者です。(わが子はとうに卒団済み、私のみお父さんコーチとして残っている。今や趣味です)主に高学年(U-12)を見ることが多いのですが、パスの使い分け、判断についてのご相談です。最近は後ろから繋ぐことを大事にしているチームが多いと思いますが、ボールを運ぶときに、時にはロングボールも必要かと思っています。いつロングボールを蹴り、いつショートパスで繋ぐか。要は使い分けが必要だと思うのですが、そういった判断を身に着けさせるのにおすすめの練習法はありますか?強いボールを蹴れる学年になると、やたらロングボールを蹴りたくなる気持ちは私も理解できるのですが(笑)。逆にショートパスだけにこだわってロストするリスクも知ってほしいので、使い分けを教えたいです。よろしくお願いいたします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。「ショートパスだけにこだわってロストするリスクも知ってほしい」とご相談文にあります。専門的に言えば、ロングパスを蹴っておけば、相手に来られて奪われたとしても、すぐにピンチにならないというイメージなのでしょう。一方で、プロのチームがショートパスをつなぐ場合、自分たちがボールをロストしても、相手もそれを取るためにそこに集まっている状態なのですぐに取り返せるという考えのもとでやっています。つまり、ショートパスが危険なわけではありません。サッカーの原理原則として、ショートパスが高リスクでロングパスはOKではないことを選手に理解させてください。■相手にカットされた際のリスク管理の面からも横パスより斜めのパスが有効問題は「パスの角度」です。横パスよりも斜めのパスが有効です。これは相手にカットされた際のリスク管理の観点から重要なので説明しておきます。横へのパスが一番よくないと言われています。なぜならば、横にパスしたボールをカットされた場合、パスした選手、そのパスを受けようとした選手の2人がともに置き去りにされてしまいます。これに対し、斜め前にパスを出せば、もしもそれをカットされたとしても、パスを出した選手のほうが後ろにいるので戻ってディフェンスできます。斜め後ろに出せば、カットされてもパスを受けようとした人間が残っているので守れます。いわば失点の可能性が高いカウンター攻撃を受けるリスクを減らせる。カウンターへのリスク管理ができます。このような原理原則を、1990年代に日本代表監督を務めたハンス・オフト監督が当時の代表選手たちに「パスの角度に注意しなさい」と伝えていました。かなり前の話です。パスがつながるように「トライアングル」という概念も伝えていましたが、パスの角度が悪いと指摘していました。角度が悪いと「相手に取られたときに守れなくなるよ」と口酸っぱくおっしゃっていました。■ロングボールを蹴るときは、全体が見えているかがカギ一方、ロングボールを蹴るときは、全体が見えているかどうかに注目してください。遠くにいるフリーの選手を見つけられるか。ただ蹴るのではなく、広い視野を持つことが重要です。それは練習の中で「遠いところを見つけたときは(ロングボールを)蹴っていいよ」と言ってあげること。それで挑戦する子が出てくればいいでしょう。さらに言えば、ロングボールでも横ではなく斜めに出すよう促してください。■おすすめのトレーニングメニューその1練習としては、二つのグリッドをつくり、それぞれで3対1の鳥かごを行います。グリッド間でパスを展開するトレーニングです。<イメージ>例えば、グリッドAの3人が最低3本、5本でもいいでしょう。そのくらいパスをつないでから、逆サイドにあるグリッドBの3人内手を挙げている選手にパスをします。Bはすぐに始めずに、ボールが渡ったら仕切り直す形でそこからスタートして何本かつないで、またAに戻す。AとBの間は10m以上あるといいでしょう。それを繰り返します。逆サイドにパスをするためには、誰にどんなパスを出したらが蹴りやすいかといったことを理解しトライさせます。■おすすめのトレーニングメニューその2もうひとつは、シザースパスです。「ショート・ショート・ロング」という呼び方をします。選手A、選手B、選手Cと、3人1組で行います。Aがボールを持っていて、Bは近くにいます。Cは離れています。AからB、Bが一度Aに戻してから、AがCに長いパスを送ります。次にBがCのところに走って行きます。そこでCはBに1回パスをして、BがCに折り返したら、CはAにロングパスをする。<イメージ>ここでは、パスをした後に折り返しが来る間に、遠くにいる相手見ておいて蹴ってみましょうと伝えます。形としては、3人グループがずらりと横並びに整列してやるといいでしょう。例えばゴールラインに平行にプレーする。グループの間は5メートルくらい離れてやれば、ボールがそこまで交錯することなくやれるでしょう。さらに、例えば一番遠い人は、ボールを受けるために移動してもらいます。3人が動きながらやる。そうすると、他のグループもやっていると重なってしまうので、どこかスペースを見つけて走らないとバスがもらえません。ごちゃごちゃしてきますが、そのようなカオスな状態でショート・ショート・ロングをやると、ディフェンスがいなくてもライブ感が出てきます。要するに試合に近くなってくるので、動きを入れてやるのも非常に有効です。わざとカオスが生まれるようにして、イメージとしては「全体を使って動こう」と伝えてください。■トレーニングのアレンジタッチ数を制限して負荷をかける(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)概ねできるようになれば、高学年なのでタッチ数の制限をするなど負荷をかけてもいいでしょう。例えば「全員2タッチでやってみよう」と声がけします。そうすると、長いボールを受けた子は、遠くから飛んでくるボールをワンタッチでコントロールしないといけません。その次は、ボールを受けに来る子に正確にパスを出さないといけない。視野を確保する力がつきます。私の場合はこの練習を「ダイレクトでやってごらん」ということもよくあります。ダイレクトでやるとなると、それぞれが何か考える必要が出てきます。ロングパスを受ける人はボールが落ちる地点に向かっていかなくてはいけません。しかも、蹴ったらすぐに走らなくてはいけない。これをダイレクトでやるとなれば、みんなが正確にならないとうまくいきません。ただし、そんなに長くやる必要はありません。私のトレーニングは基本的にひとつのメニューを長くやりません。長くやる必要はなく、仲間がどこに走っているかを見て、蹴る。そんなイメージをつかんでくれればよいのです。そのあとにゲームをするときに、裏を狙ったり、遠くにいる味方に蹴ってみようかな、といったトライができればと思います。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2025年02月14日練習を早退したり、週末Jリーグを観に行くからと欠席するのに公式戦でスタメンに選ばれる子。うちの子と技術的には大差ないのに、引っ込み思案な息子が良くないの......?うちの子は休まず練習に出ているのに、しょっちゅう休む上手い子が選ばれることに同じ月謝を払っているのに納得いかない、という気持ちを持ったことがある保護者は結構いらっしゃるのではないでしょうか。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、お母さんがどうすべきかアドバイスします。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<子どもたちに実力差を作ったコーチに不信感。「スタメン取れなければやめる」の条件つけるべきか迷います問題<サッカーママからのご相談>息子2人を同じクラブチームに所属させています。長男は元々おっとりしており、サッカーで運動できれば良いくらいでした。次男は大人と話せず引っ込み思案ではあるものの、技術はあります。息子達が所属しているチームには親子でJリーグファンの方が多くおり、水曜日に早退したり、土日に欠席する方がいらっしゃいます。それでも、風邪以外で遅刻も欠席もしない息子(次男・8歳)より、Jリーグ観戦のために欠席する子が公式戦でスタメンで出ます。技術は大差ありません。引っ込み思案な次男が悪いのでしょうが、月謝8000円払って、休まずに練習に行ってるそのチームでは上手くならないという事でしょうか?私は、休んでも上手ければ良いという育て方をしたくありません。それでも、彼にとって環境が変わる事の方が良くないのかもと悩みますが、この環境のままで良いとも思っていません。毎回試合のたびにイライラしてしまいます。チームを変えるべきか、スポーツの世界はそういうものだと考えるべきか教えて下さい。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。ご長男のことも書かれているのですが、8歳男児は次男さんということで話を進めますね。2人の息子さんたちが所属しているチームは、練習を休んだとしても上手な子を試合に出すとのこと。生真面目に練習に出続ける次男さんを不憫に感じているようです。そこで私から4つほどアドバイスさせてください。■公式戦だけに目を奪われずに、チームの指導方針を今一度確認してみよう1つめ。公式戦ばかりに目を奪われないこと。お母さんの書かれていることだけでみると、実力主義で指導するクラブかもしれません。そこにお母さんは不満を感じておられるようですが、こういったクラブの指導方針や、クラブが掲げるミッション(社会的使命)、ビジョン(目指すべき姿)を入団を決める際に確認してから入れたでしょうか。どんなことを掲げているか。それをチームのホームページなどで今一度見直してください。もし、子どもを主体に全員がサッカーを楽しめる環境を目指しているようなら、息子さんは公式戦に出られなくてもその後にB戦と呼ばれる試合でプレーしているのかもしれません。ほかには、例えば練習試合等を組むなどして、年間を通して全員に同じだけプレー機会を与えるようにしているクラブは少なくありません。ぜひ公式戦だけ注目するのではなく、息子さんが練習試合や練習で頑張っている姿に視線を送るようにしてください。■「上手ければいいわけではない」には賛成、自分の力で変えられないこと(=他人)に翻弄されないで2つめ。コーチを始めとした、周囲の大人は変えられません。そこを今一度こころに留めてください。練習に来ない子どもをどう扱うかはさまざま考え方があります。それはチーム(もしくは担当コーチ)の考えによりますが、私たち保護者はそこを矯正も強制もできません。お天気と一緒です。自分の力で抗えないものに抵抗したり、がっかりするよりも、ご自分のお子さんの顔をもっと観察し対話することにエネルギーを使いましょう。何より、他人の子どもが練習を欠席しているか否か、試合に出たかどうかを気にしているご自分自身をどう思われますか?ほんの少しでも自己嫌悪に陥る瞬間があるのであれば、このことについて考えあぐねるのはやめましょう。他方、練習に出ていない子が先発したことを息子さんが怒っているのであれば、自分でコーチに「おかしくありませんか?」と言えるといいなと思います。もちろん無理強いは良くないですが「自分で言ってみたら?」とやさしく背中を押してもいいでしょう。子どもが気にしなければ、親が干渉する必要はありません。お母さんが書かれている「上手ければいいわけではない」の意見に、私も大賛成です。そして、息子さんは真面目に練習に出ています。じゃあ、それでいいではありませんか。サボっても俺は上手いから試合に出られるんだと、自慢するような子どもでなくて良かったではありませんか。無論、他の子どものことはわかりません。要するに、他の人の子育てや、変えられないクラブの価値観に翻弄されてはいけません。人は人、自分は自分です。■子どもがサッカーを楽しんでるのに親がチームにネガティブな感情を持つのはマイナスになる3つめ。わが子がサッカーを楽しんでいるのなら、チームにネガティブな感情を抱くのはマイナスになると心得ましょう。お母さんは「技術は大差ない」と書かれていますが、サッカーの評価は足下のスキルだけではありません。どこまでサッカーをご存知かはわかりかねますが、ひとつ言えるのは、お母さんの評価はチームとは関係ありません。サッカーについてはチームに任せること。親はなるべく評価せずに頑張ったり努力するプロセスだけを見て「頑張ってるね」と励まし続けましょう。息子さんが試合に出られないことで、こころが揺れるのはよくわかります。そこで「残念だったね」と子どもの感情に共感するのはよいことです。が、お母さんが子どもの「悔しい」という感情に同化してはいけません。わが子が評価されなかったり、何かがうまくいかないたびに親が揺れていると、子どもの自己肯定感は下がります。なぜならば、試合に出られない自分は愛されない存在、という受け止めになるからです。したがって、試合に出られなくても「サッカーが好きならいいじゃない。真面目に練習に通っていてすごいなってママは思ってるよ」とほめてあげてください。自分が成果を出さないとママの機嫌が悪くなる――そのような日々は子どもにとって針のむしろです。子どもにとって家庭は安全基地であるべきです。嫌なことがあっても、お母さんの笑顔を見るとホッとする。うちのママは結果じゃなくてプロセスだけ見てくれると子どもに伝わるように接してください。■主体的に取り組む子どもが伸びる!チーム状況や子どもの気持ちを観察し続けて(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)4つめ。とはいえ、クラブがB戦を組むといった配慮がなかったり、息子さん自身が「もっと試合に出たい、チームを替わりたい」と言うのであれば、もう少し試合に出られそうなクラブを探しましょう。以前は何人も選手を抱えてふるいにかけ勝利のみを目指す。出して!と頼んで前に出てくる子どもに、コーチが「上手くなってからね」と両手で押さえる姿を私は何度も見ました。お母さんは「スポーツはそんなものか」と書かれていますが、スポーツの捉え方は時代とともに変化してきています。とにもかくにも子どもの意思を尊重してください。子どもの気持ちを無視してクラブを渡り歩く親御さんは少なくないです。そうしてしまうと、うまくいかない時に子どもは親のせいにし始めます。主体的に取り組んだ子どもが必ず伸びます。サッカーのスキルよりも、息子さんに笑顔があるかどうかに注目を。そして長男くんにもぜひ目を向けましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2025年02月12日1年で最も寒い日が続く時季、子どもが試合やトレーニングに行く土日に悩ましいことの1つにお弁当づくりが挙げられるのではないでしょうか。冷たくなったおにぎりやお弁当をなかなか食べてくれないと困っている保護者のみなさんへ向け、管理栄養士としてサッカーの現場で長年活躍している久保田尚子さんから教えていただきました。(取材・文:小林博子)(写真はお弁当のイメージ)サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■冬のお弁当は「体を温める」を意識(写真はお弁当のイメージ)「冷たくて食べる気がしない」「かえって体が冷えるのでは」など、この時季ならではの悩みが生じる冬のお弁当。寒空の下でサッカーをする子どもたちが午後も元気に走れるよう、できるかぎり栄養になるものを食べさせてあげたいと思うのが親心ですよね。お弁当でできる寒さ対策。体を温めるコツは3つあるそうです。"体を温める食材"を活用冷えてもおいしい味付けに食べやすい調理法をスープジャーはもはや必需品!■"体を温める食材"を活用冬のお弁当メニューには体を温める食材を積極的に使いたいところです。まっさきに思い浮かぶのは生姜や辛いものかもしれませんが、苦手な子どもも多く不向きかもしれません。小学生におすすめなのは、未精製のもの発酵食品の2つを使うことです。未精製のもの、とは一般的に体を冷やすとされる精製された白砂糖よりも、未精製の黒砂糖や三温糖を、米は白米よりも胚芽米を使うなど、体を冷やさない食材を積極的に使うとよいでしょう。酵素が多く含まれ、腸活にも良いとされる発酵食品も体を温めると言われている食材です。調味料であれば味噌や塩麹がおすすめ。チーズも手軽に食べられるので、お弁当におすすめの発酵食品です。■冷えてもおいしい調理法に食べるころには冷たくなってしまう冬のお弁当は、冷えてもおいしく食べられるかどうかを意識しましょう。●脂に注意冷えると固まってしまう動物性の油脂は冬のお弁当には不向きです。例えばバターを使った料理は、冷たくなるとバターが固まり食感が悪くなります。また、肉類も脂分が白く固まり、見た目からも食欲がわかなくなってしまう懸念が...。さらに、脂っこいおかずは午後のパフォーマンスも低下させてしまうため、特に冬は避けたほうがベターです。●味付けはしっかりと料理は温度が低いと味を感じにくくなるため、普段よりやや濃い味付けにするとおいしく食べることができます。また、焼き冷まし感が出ずしっとりとした仕上がりになる調理法にするのもおすすめ。その2点を満たす、焼き浸しや味噌漬けなどはいかがでしょうか。●おにぎりは固くならないひと手間をおにぎりは、冷たく固くなったり、ボソボソとした食感になったりと、寒い日には子どもが嫌がるという意見が多いものですが、実はつくり方で改善できるのです。冷たくなってもおいしいおにぎりのポイント炊く前の吸水時間をしっかりとる水蒸気の蒸発を最低限におさえるホイルで包むまずは炊く前の吸水時間から。時間は短縮せずしっかり取り、お米に水分をたっぷり吸わせましょう。炊き立てのご飯では違いはあまり感じないかもしれませんが、冷えたご飯では差が生じます。ご飯は炊き上がった直後から水蒸気を蒸発させ、徐々に保有する水分量が少なく、固くなっていきます。そこで「おひつ」の中では冷えたご飯が時間が経ってもおいしいことと同じ原理をおにぎりで再現しましょう。適度に水分をキープしつつ、余分な水分をのがすことがポイントです。炊けたご飯はすぐにほぐし、おにぎりにするとき、ご飯にほんの少しの油(アマニ油や米油がおすすめ)か、はちみつを混ぜて握ります。おにぎり1つ(ご飯100~120g)に対して小さじ1/4~1/2ほどの、ほんの少しでOKです。そうすることで米粒1つ1つを油分がコーティングし、水分の蒸発を抑えてくれます。握ったおにぎりは常温に冷ましてから、ラップではなくホイルに包みます。寒冷な冬の野外に置いてあるおにぎりは、ラップで密封すると蒸れてべちゃっとなりがちだからです。ホイルで隙間をつくりながらフワッと包めば適度に水分をのがしてくれます。この3つでおにぎりの味わいに差がでますので、ぜひ挑戦してみてください。■スープジャーはもはや必需品今や、寒い日のお弁当のマストアイテムと言っても過言ではないスープジャー。あたかいものを口にできるだけで体の温まり具合は格段に上がります。具沢山の味噌汁や豚汁をつければもうそれだけでおかずも兼ねることができますし、おにぎりなど主食を食べられない場合は、スープにうどんやパスタを入れて炭水化物を補給できる工夫をしてみても。ただし最近のスープジャーは保温性が上がっているので、やけどには十分注意して飲むようにお子さんにお伝えください。とは言え、飲み頃に冷めているものを入れるのは避けて下さい。(後編で詳細をお伝えします)■朝食で体をあたためて1日をスタートすることも大切ここまで冬場のお弁当づくりのさまざまなコツをご紹介しましたが、寒い日こそ、朝起きて1日を始める段階から体を温めておくことがとても大切です。朝は誰でも体温が低い状態。その体温で体が冷えたまま出かけてしまうと、寒さをより一層感じやすいコンディションで1日を過ごすことになってしまいます。外で食べるお弁当よりも、子どもが安心して心地よく食べられる朝食から「温め」を意識。味噌汁やスープなどあたたかいメニューで体温をぐっと上げて体の中からの"ウォーミングアップ"をして、元気にサッカー会場に向かいましょう。久保田尚子管理栄養士1997年からFC東京。(1998年までは前身の「東京ガスフットボールクラブ」)にて管理栄養士としてトップチームの選手の栄養指導を行う。現在はFC東京トップチームから育成セクション(U-18、U-15)までの栄養アドバイザーとして栄養面からサポートしている。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2025年02月06日男子に比べ環境が整っていない女子サッカーの課題とは何なのか。前編では女子サッカー界の課題や垣本さんの活動の一つ、「ラピスプロジェクト」についてうかがいました。後半は育成年代の課題であるキーパーについて、また女子の育成環境をどのように整理していけば良いか、引き続き垣本右近さんにうかがいます。(取材・文木村芽久美)<<前編:試合会場での着替え、おしゃれなイメージなし、GK不足......女子サッカー普及の課題、解決の糸口は?(2024年12月に開催された第2回ラピスカップに出場した女子選手たち)サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■キーパー少ない問題。実際にカッコいいプレーを見れば、印象が変わる?(写真は女子サッカーのイメージ)育成年代の女子の大きな悩みの一つとして、キーパー希望者が少ないことが挙げられます。小学生チームでは女子がキーパーを希望することが少なく、ほとんどのチームは男子がキーパーをすることが多い現状です。おのずと女子でキーパーをやっている子が少ないので、中学生の女子チームの3部や4部のチームになるとキーパーをやってきた選手は少なく、ほとんどのチームがフィールド選手がキーパーを交代でやっています。垣本さんのチームの場合も学年によって希望者がいる時といない時があり、どうしてもいない時は最終的にジャンケンなどをして決めることが多いそうです。ジャンケンで決めた場合、やりたくないのにやらなければいけなくなった子は、メンタル的に落ち込んでしまうこともあるそうです。「ボールも全然取れないし、やる気あんのかなと思うこともあります(笑)」カフリンガの女子中学生チームで仕方なくキーパーをやってくれた子が、その後元なでしこジャパン秋山智美さんのキーパースクールに参加するようになり、基礎を学ぶことで試合でもシュートを止めれるようになり、それが自信になりキーパーが楽しくなったそうです。またポジティブな考え方を持つ秋山コーチのスクールではコーチ本人がカッコよくセービングをしてる姿を目の前で見たり、体験・体感することは何よりも説得力があると言えます。実際にスクールで秋山智美さんが飛んで止めたり、カッコよくセービングしている姿を見ると子どもたちも盛り上がるのだそうで、やはり目の前で見たり、体験・体感することは、何よりも説得力があるのだと言えます。■キーパーするのを怖がるのは当然。実は専門的な技術が必要「キーパーの技術は実は専門的で、きちんと教えるのは自分たちでも難しい」と垣本さんは言います。実際、小学生年代でキーパーコーチが常駐しているチームはごく稀です。垣本さんのスクールは人工芝でやるので、土のグラウンドでやる練習より痛くないのが良いのだそうです。最初は人工芝から慣れていき、徐々に技術が上がっていけば土のグラウンドも怖がらずにできるようになるのだと言います。スクールに通っていた小6の女の子が、中学で垣本さんのチームのキーパーをやることになったそうで「やってきたことの一つが繋がった」と言います。キーパーは高校でも希望者が少ないこともあり、身長が高かったり、ある程度技術があるとスポーツ推薦が取りやすいという面もあるそうで(※学校にもよるので一概には言えませんが)、垣本さんも本人の意志を尊重しながら推薦についても進言することもあるそうです。■女子もずっとサッカーを。引退しないでサッカーを続ける人を増やすために垣本さんの女子中学生チームでは、5年生位から無償で練習参加を受け付けています。「その先サッカーをやるかやらないは別として、特に男子チームでサッカーをしている女子には、まず女子の中で、今までとは違う雰囲気を見てもらったり、自分がこの先こういうところでサッカーやるんだっていうイメージを持って欲しくて」例えば中学と高校がもっと一緒に合宿したり練習できれば、高校で行うサッカーのイメージに繋げられ、楽しくサッカーしていいんだということがわかるのではないかと言います。また思春期は心や体の悩みも出てくる時期、悩みを共有できる先輩が身近にいる方が心強いと言えるでしょう。また、サッカー本来の楽しさを実感してもらうため、地元がお隣の元なでしこジャパンの岩渕真奈さんにも協力してもらい近隣地域の交流戦を企てているそうです。チーム参加だけではなく、寄せ集めチームや選抜チーム、個人参加で募ったチームなど誰でも参加することができるように模索しています。■小学校→中学校、中学校→高校どんなチームを選べばいい?女子サッカーの進路他の女子チームの監督とは「合同で来年は一緒に合宿行きましょうとか、練習試合やりましょうとか、よく情報交換している」と言います。中学から高校年代、小学生から中学生年代に上がる時、どのようなチームを選べばいいのか、自分のレベルに合ったチームを探し、見極めるのはとても難しいそうです。「だから育成年代の女子サッカー選手を集めて、合同説明会をやりたいなと思っていて」進路については、保護者が実際より高いレベルを求める傾向にあるので「本人の意志にもよるけれども、全体的にもう少しハードルを下げた方が良いのではないか」と感じているそうです。また特に強豪チームの場合は推薦をもらえたり、すでにパイプがある場合が多いけれども、下のカテゴリーになると、トレーニング強度やチームの雰囲気など、個々でチームに求めるものも違い、複雑なので、詳細な情報や客観的な意見があった方がいいようです。「女子サッカーの縦社会を、もう少し繋げられるような環境に整えてほしい」と垣本さんは規則やルールの柔軟性を求めています。■生涯スポーツとしてずっとサッカーができる環境を!地元の東久留米市にサッカーグラウンドを作りたい垣本さんの今後の目標をうかがったところ、「女子の試合もそこで出来れば」と地元である東久留米市に人工芝のサッカーコートが欲しいのだと言います。「僕たちが目指しているのが、生涯スポーツとして地域でずっとサッカーができる環境を作ることです。トップチームをもち、サッカーやフットサルを競技としてやっていますが、生涯スポーツとしてもシニアやママさんチームなど、誰しもサッカーやフットサルができれば」現在は地域の子たちにフットサルを親しんでもらうため、小平市に自分のフットサルコートを作り、運営しているのだそうです。「この街に住んでいればいつでも、いつまででもサッカーができるっていう環境を作りたい」と話す垣本さんの今後の活動には期待するばかりです。垣本右近NPO法人東久留米スポーツクラブ代表理事/株式会社KELNCHU代表取締役カフリンガ東久留米/カフリンガBOYS東久留米/FCフエンテ東久留米など8つのクラブを持ちそれぞれの年代でサッカーを楽しめる環境作りをしている指導者・選手としても活動中サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2025年02月04日真面目で勉強はできるタイプだけどサッカーの理解が遅い子。説明に耳を傾けているのにいざやってみるとその子だけポジショニングやスペースの使い方がわかってない......。難しい伝え方をしているつもりはないけど、その子がイメージできるようにするにはどんなアプローチをしたらいい?とのご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、指示を理解してもらうためのアプローチを伝授します。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<小学校入学と同時にサッカーを始める新一年生、未経験の子たちを指導するときは何 から教えればいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。担当しているのはU-10です。理解が遅い子への対応について教えてください。おとなしい子で、真面目です。私を含め、コーチたちの話にもしっかり耳を傾けています。が、レクチャーしたことができないのです。ポジショニングや空いたスペースの使い方、どこに動けばいいのか、などを説明してからトレーニングしても、その子だけキョトンとしています。強豪チームでも何でもない、普通の少年団ですが、ほかの子は割とすぐに出来るので、そんなに難解な内容でもないと思いますし、伝え方も難しい言い方はしてないつもりです。親御さんも「何事も真面目でコツコツやるタイプ」と言っていて、学校の成績は良いみたいなのですが、イメージする力が弱いのでしょうか。医学的な相談をしたいわけではないのですが、ほかの子より理解が遅い子への良いアプローチをご存じだったら教えていただきたく思います。やんちゃで話を聞かない子ならまだ納得ですが、真面目で話も聞いている、自主練もコツコツするタイプと自認してるため本人の落ち込みも見えてしまい......(話を聞いてない子たちのほうが練習の意図や本質を理解するのが早かったりするのがまた......)<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。5つほどアドバイスします。■頭の中で咀嚼できていない可能性がある、内容を理解しているか確認しよう1つめ。指導者はできない子を責めてはいけません。ご相談文の最後のほうに「本人が落ち込んでいる」と書いてあります。落ち込んでいるのなら尚更「みんなができるのにどうしてお前はできないのか」と責めるような言動はやめてください。2つめは、その子に問いかけること。できないことをこの子は自覚しています。どう理解するか、例えばこれもその子に質問する必要があるでしょう。「こういうふうな説明したけど、理解できたかな?」と。どう理解できたか言ってもらってその理解度を指導者側がまずは把握するのが重要です。よくあるのが「多分わかってないだろう」みたいに憶測だけで止まってしまうケース。これからどうするかを一緒に考えよう、という姿勢をコーチがまず見せましょう。すごく真面目でよく聞いているけれども、ひょっとすると単に聞いてるだけで、自分の頭の中でもう一度それを咀嚼する、つまり理解する作業ができていないかもしれません。したがって、ぜひ「理解してますか?」といった問いかけをしてみてください。例えば「これはどうしたらいいのかな?」と尋ねて、一度その子の言葉で表現してもらいます。それはみんなが見ている前で言うのではなく、その子ができないときに、そのときもしくはその後で話をするほうがいいでしょう。他の子たちがすでに練習を進めているのなら「ちょっと練習やっといて」と告げ、その子をつかまえて対話してください。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■実際の動きを見せて「こういうことをしてほしい」と伝える3つめ。みんなの動きを一緒に見てもいいでしょう。例えば「さっき説明したことってさ、ほらあの子こんなふうにしたでしょう?こういうことをしてほしいんだよね」と伝えましょう。それは一回だけでなく繰り返し行うこと。コーチは根負けせずに付き合ってあげる必要があります。私が過去に教えたなかにも、私が言った説明を聞いて「はい」と返事をしてすぐやろうとするのにできない子どもはたくさんいました。ほかの子どもたちにはそのまま練習を続けさせて、その子に話を聞いて、これはこういうことで、こうしていかないといけないんだと一度頭の中で考えてごらんよという話をしました。頭の中が整理できたらプレーしてみる。そうすると、動き出しは遅いのですができるようになりました。ちょっと待ってあげて、考える時間を与えます。並ぶ順番を後ろにして、他の子がやっているのを見せてからやってもらいました。そういった工夫をしてほしいのですが、どうしても子どもにベクトルが向く指導者は少なくありません。あいつはダメだ、みたいになりがちです。そうならずに丁寧に教えて行けば、ひとり一人が上手くなっていくのでチームの底上げになるのでぜひ理解してほしいところです。■理解度に合わせてグループ分けをするのも1つの方法4つめ。なかなか理解できない子がいたとしたら、グループ分けをしてもいいでしょう。その子たちは理解できるようなことから始めてあげる。つまりメニューを少しだけ簡単にします。複雑すぎて、考えなきゃいけないことがいっぱいあって、その中から何を選びますか?というのは難しいけれど、いくつかの選択肢の中から何を選びますか?といったものからスタートします。練習のすべてではなく、そのように習熟度別で行う時間帯があってもいいと思います。■成長には個体差がある各個人の進化、変化を見るようにしよう5つ目は、基本的な教育観を持つこと。すべての子どもが楽しめて成長できるようにすることを心がけてください。子どもたちには違いがあります。例えば4月生まれと早生まれでは理解する力や身体的な発達が異なります。そういった個体差がある。認めることが大切です。理解が遅いというのは、他の子と比べるから遅いだけ。そのような考え方です。この教育観を持てれば「最初はこうだったけど、今はこうなったね」と子どもの進化、変化をきちんと見てあげられます。その変化をしっかり見ることができ、なおかつ指導者としてそれを楽しめるようになってほしい。よくいわれる「スモール・ステップ」を待てる、気づける、楽しめる指導者を目指してください。それとは逆に「他の子はできているのに、この子は遅い」「全体の練習が進まない」とイライラすることがあってはいけません。トレーニングをスムーズに続けるために「この子をどうするか」という受け止め方ではなく、こういう子がいることこそ他の子にとってもすごくいい経験になることを知ってほしいです。誰かが何かを出来ないことをほかの子どもたちが受容して、カバーする。そんなチーム、いいと思いませんか?サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■理解できているか個別に確認することが大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後に少しまとめましょう。その選手に個別に質問をし、どのように理解したかを確認することが重要です。他の選手と比較するのではなく、その子自身の成長に焦点を当て、丁寧に付き合ってください。個別の声かけや、その子のペースに合わせた指導が重要です。指導者は、他の選手との比較ではなく、その選手自身の成長に焦点を当てること。子どもたちの自然な運動欲求を活かしながら、楽しくサッカーを学べる環境作りを目指してほしいと思います。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2025年01月31日プレーヤーの少なさが課題だと言われて久しい女子サッカー。育成年代にスポットを当ててみると、女子は小学生年代は約1万9400人と男子の1/10の割合、中学生は約1万1100人とさらに減ります。(2023年3月末の女子登録者数)2022年にサッカーとフットサルを活動する女子チームを立ち上げ、女子の育成にも力を注ぐ垣本右近さんに女子サッカーを取り巻く環境について、お話をうかがいました。(取材・文木村芽久美)(2024年12月に開催された第2回ラプスカップに出場した女子選手たち)サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■なかなか整理されない女子サッカー界の底辺(写真は女子サッカーのイメージ)垣本さんが代表を務めるカフリンガ東久留米の女子のトップチームは全国大会に行くような実力がありますが、その一方で、下のカテゴリーの女子チームも指導しています。そのような状況の中、男子のサッカー環境は整理されてきているけれども、女子はまだまだ整理されていないと感じているのだそうです。「女子中学生リーグの3部や4部になると指導者も不足していて、選手も少なくなってしまい解散するチームが多くなっている状況です。数年前は女子の小学校チームもたくさんあったんですが、ここ5年ぐらいで一気に減って、半分ぐらいになっているんです」競技人口も多い男子は、同カテゴリーでも人数が揃っているし、それなりの強度でサッカーをしていて、モチベーションも高い場合が多いのですが、女子の場合は楽しくサッカーをすることが一番の目的だったりする中で、男子と同じ規則やシステムの中では同様にはならず、最終的にやめてしまう子もいるのだそうです。小学生年代の女子チームが少ない為、男子チームの中でサッカーをする傾向があり、女子だけでサッカーをする機会が少ない状況です。■女子だけで試合をしよう!と始めた「ラピスプロジェクト」とは男子の中でしかサッカーをしたことがないという子は、地方にもいます。そういった子に女子だけの試合を提供することを目的に開始された「ラピスプロジェクト」。垣本さんは伊豆諸島でサッカーをしている女子小学生を集めて、女子だけの試合「ラピスカップ」を開催しました。第1回目は神津島で伊豆大島、新島、式根島、神津島、御蔵島の女子たちに、カフリンガの中学生女子チームも加わり総勢約40人、2024年12月に開催した第2回目では西東京市の岩倉高校で近隣チームも加わり、約70人が集まりました。「毎年カフリンガでは伊豆大島に合宿に行ってるんですよ。神津島はサッカー文化が根強く、女子プレイヤーも結構いるんですけど、男子の中でしかやったことがないから、女子だけで試合やってみたいよねって神津島や伊豆大島の方たちから相談があって」元なでしこジャパンの原菜摘子さん、小林弥生さんがゲスト講師として参加し、楽しい雰囲気でイベントは盛りあがったのだそうです。■イベントを通じて感じる感謝の気持ちや楽しい体験先日の第2回開催では、1日目に悪天候で船が欠航になってしまうトラブルがあり、島からの参加者にとっては移動が大変だったそうですが「普段、年間数試合しかできない状況にいる島の子たちにとって、試合ができるというだけで本当に幸せを感じている」と、参加された監督さんは話されていたそうです。島の子どもたちにとっては試合だけでなく、島にはないコンビニに行くことや、家族のお土産にマクドナルドやミスタードーナッツに行くことを楽しみにしているのだと言います。東京の参加者にとっても普段当たり前に試合ができる環境が、当たり前ではないことを実感でき、サッカーができること、協力してくれる周囲への感謝の気持ちを持つ良い機会になります。また最近は家族で海に行く機会も少なくなっているそうで、参加したカフリンガの女子の保護者は「子どもたちだけで船に乗って島に行くという経験は、とてもありがたい」と話していたそうです。サッカーに関することはもちろんのこと、サッカーを通じ、貴重な体験ができるのも、周りの大人の見守りやサポートがあってのこと。垣本さんも「島のたくさんの人が協力してくれています」と感謝を示し、次回の伊豆大島での開催についても意欲を見せています。■女子選手はガサツで洒落っ気が無いというイメージを変えたい!日本でもオシャレでサッカーが上手い選手の育成環境を「プロや上のレベルを目指す中で、強い強度の中でできたり、早い判断力も身につくので男子チームでサッカーをするのもメリットは多いと思います。ただ女の子の中でやることで男子にはないキャッキャ楽しい雰囲気があったり、女子だけの感性や悩みを相談できたりします」垣本さんはスペインに毎年女子の選抜チームを連れて試合に出場するのだそうですが、初めて行った時、多くはスカートを履いていたり、綺麗なロングヘアーが多かったり、日本との違いに驚いたと言います。ガールズスクールも担当している元なでしこの原菜摘子さんはネイルをしたり、オシャレを楽しんでいますが、2005年のアジア最優秀選手にも選ばれたこともあるレベルで、サッカーが上手くてオシャレな先輩ということで、子どもたちからは憧れの的なのだそうです。必ずしも女子が誰しもスカートを履きたいわけではないし、ロングヘアーに憧れているわけではありませんが、男子チームに所属している場合、女子特有の感性やマインドが表現しづらいかもしれません。垣本さんは原さんと「日本の女の子もスカート履きたい子は履いたり、オシャレしたり。でもサッカーも上手いよねっていう中で育成していかなきゃダメだよね」と話しているのだそうです。■着替えについては周囲の大人が目を配ってほしいまた、サッカー先進国であるスペインでは、スポーツの文化がしっかりしていて、グラウンドには必ずロッカールームがあります。試合前は必ずここに案内され着替えやミーテイングを行うことができます。日本の場合、例えば河川敷のグラウンドなど、更衣室どころかトイレも整備されていない場合があり、着替えもその場で行うことがしばしばあります。最近は低学年であっても「プライベートゾーン」についての説明があったり、体をほかの人に見せないように注意喚起されているので、男女一緒の着替えに抵抗がある子もいるでしょう。ましてや高学年になれば、同じ場所での着替えを躊躇する子も出てくるもの。プレー以外の要素でサッカーが嫌になるきっかけになりかねません。子どもの着替え環境に関しては、日本におけるスポーツの考え方が古く、競技レベルが高くになっているにも関わらず環境が整備されない実情があります。特に女子の更衣の問題は、日本のスポーツ文化の発展のために早く良い環境にしていく必要があると思います。■女子は男子チームと女子チーム、どちらでサッカーをした方が良い?(写真は女子サッカーのイメージ)男子チームに入れたほうが、強度が高い練習ができて上手くなれると期待して男子チームに入れる保護者も多いですが、垣本さんは、サッカーが上手い子が、男子チームに所属することについて、理想としては女子チームでサッカーをすることを勧めています。「女子サッカー界全体のレベルを上げるためには小学生年代から女子チームでやることも大切だと思います。レベルの高い小学生女子が男子の中でプレーすることもいいとは思いますが、カテゴリーを越えて女子中学生や女子高校生に混ざってプレーすることで自分のレベルを知ることと共に、強度も保つことができます。そして女子全体のレベルがアップすると思います」以前は日本サッカー協会で「女子部」が存在していたそうですが、数年前から女子は男子の第3種に所属され、種別での女子の縦関係が繋がっていない状況なのだそうです。「女子部」として一括した組織化ができれば、例えば、普段は男子チームに所属していたとしても、学年の垣根を超えて中学生の女子の試合に出場できるような環境を作ってあげることもできるのでは、と垣本さんは言います。自分が女子の中でどの位のレベルにいるかが理解できること、また原菜摘子さんの例のように、先輩が身近にいる環境にいる方が、先々の自分のイメージができ、サッカーを続けやすい環境につながるのではないかと話しています。(後編に続く)垣本右近NPO法人東久留米スポーツクラブ代表理事/株式会社KELNCHU代表取締役カフリンガ東久留米/カフリンガBOYS東久留米/FCフエンテ東久留米など8つのクラブを持ちそれぞれの年代でサッカーを楽しめる環境作りをしている指導者・選手としても活動中サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2025年01月27日小規模で細やかに指導してもらえると思って入ったチーム。最初は実力差がなかったはずなのに、いつの間にか補欠が続き、スタメンになれない姿を見るのがつらい。夫婦ともにサッカー経験がないし、コーチに子どものアピールをしてこなかったのも原因かもしれないが、実力差を作ったコーチに不信感。所属し続けるのは私がしんどいから、辞めることも考えるが......。というご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、お母さんがどうすべきかアドバイスします。(構成・文:島沢優子)※文中に、柴崎岳選手、松井大輔さんの発言紹介もあります(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカー経験者でコーチでもある父親に「気持ちがない」と責められる息子。同じチームにいさせていいのか問題サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>><サッカーママからのご相談>10歳の息子がいます。今年から所属チームに入りました。小規模で細やかに厳しく指導してもらえると思い、セレクション後入団して選手登録もして、平日週3回、頑張って練習を続けています。入団してしばらくはそこまで実力の差が見えず、チーム内で上手い方ではないが、親の目にはなんとなくついて行けているようでした。(実際はすでに実力の差は出ていたのに、親として気づいていなかったと思います)夏ぐらいから実力差が顕著に出始めて、11月の公式戦では補欠がとても多くなりました。もともと人数が少ないチームなのに、スタメンになれない姿を見て親としてかなり辛いです。我が家は夫婦ともサッカーの経験がなく、家庭で子どもに的確なアドバイスもできません。また、コーチに対しても子どものアピールも全くしてきませんでした。親としてできていない事もあったなと反省もしています。現状、そこまで実力差を作ってしまったコーチに対して、少し不信感を持ってしまって、親としても素直な気持ちでコーチに接する事が出来ないです。子どもは何の不信感もなく、割と楽しく通っています。チーム内でなんとなくポジションも固まり出して、我が子の居場所がない気もします。このような状態で現チームに所属し続けるのは、親としては、精神的にしんどいです。子どもは少し気にしているが、練習は楽しく、辞めようとは思っていないようです。今すぐに辞めるという事はないですが、今後どのように対応していけば良いでしょうか。期限をつけて子どもに課題(次回公式試合でスタメンなければ、やめる)などを与えようかなとも考えています。出来ればまだチームに残って頑張りたいのですが、残る意味があるのかどうか迷っています。アドバイス宜しくお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。お母さん、あのね、私はいまお母さんに感謝しています。よくぞメールを書いてくれた、と。息子さんのために、これはどうにかしなくてはというのが私の偽らざる気持ちです。そこでいくつかアドバイスさせてください。■「子どもの気持ち」が大事試合に出られなくて辛いのは親?子ども自身?子育ては、親の感情よりも、「子どもの気持ち」が大切だと心得ましょう。お母さんは「スタメンになれない姿を見て親としてかなり辛い」「このような状態で現チームに所属し続けるのは、親としては、精神的にしんどい」とご自分の気持ちを正直に書いてくださっています。私も子どもがサッカーをしていたころ試合に出られない時間もあったので、少なからずお気持ちを想像できます。しかしながら、試合に出られなくて一番辛いのは息子さんではありませんか?まずはそこを理解してください。■活躍できないわが子が情けなく、「明日の試合でゴールできなければ辞めろ」と言った父子どもに期待して、裏切られたら逆上する。そんな保護者の姿を私もたくさん見てきました。補欠でスタメンでない息子に「明日の試合でゴールできなかったらサッカーはやめなさい」と命じたお父さんがいました。レギュラーでゴールする友達の親御さんがうらやましく、活躍できない息子が情けなくなり、チームにかかわらなくなれば自分が楽になると思ったそうです。幸いにも子どもがそのことを周囲に告げたため、コーチの方がお父さんと話をしました(お父さんは高校まで部活動でサッカーをしていました)。以下の4つを主に話されたと聞きました。①息子さんはディフェンダーなので公式戦でゴールをする機会はあまりないけれど、練習ではシュートを決めて喜んでいること。②子どものスポーツは心身の発達の違いもあって、どこで伸びるかわからないので目の前の結果に一喜一憂しないでほしい。長い目で見て欲しい。③小学生の間は、サッカーを好きになってくれることが一番なのでそこを第一に考えて指導している。公式戦でプレー時間に差はあっても、Bチームの試合を組むなど、プレー時間をなるべく均一にしている。④サッカーのことはコーチと子どもでやっていくので、保護者はプレーについてあれこれ言わないでほしい。特にサッカー経験がある親御さんはご自分の経験則でアドバイスをしたり、試合や練習を分析して口を出してしまうが、多くの場合子どもにマイナスになっている。保護者は食事や睡眠など基本的な生活を支えることに集中してほしい。最後に、コーチ(クラブの代表)は「子どもを真ん中にして、クラブと親御さんで子どもを支え合いましょう」とお願いしました。その結果、お父さんは納得され、その子どもはサッカーを続けることが出来ました。中学になっても部活動でサッカーを続け、高校ではハンドボールに転向。大学にも進学し今は教員をしています。■実力差はコーチが作ったものではない、発達進度が異なる年代ということを理解しようこの話からわかることが2つあります。お母さんは「実力差を作ってしまったコーチに対して、少し不信感を持ってしまった」と書かれていますが、これはお門違いです。実力差はコーチが作ったのではありません。そもそも、個体差があります。子どもの発達や上達の進度は異なるのです。上記のコーチが言ったように長い目で見てあげましょう。■親がサッカー経験あるかどうかは関係ない2つめは、親がサッカー経験者であろうがなかろうが関係ないということです。むしろ経験者のほうが余計な口出しをしたくなったり、自身の物差しで「今後は伸びてもこんな感じかな?」と見限ってしまいがちです。サッカー経験者も別の意味でわが子のサッカーに葛藤を抱えているのです。例えば、サカイクに柴崎岳さんのインタビューがあります。「親がサッカー経験者じゃないと上手くならない?柴崎岳選手の回答」彼はそこで「母はいわゆる、ママ友応援団という感じで応援に来ていました。ピッチの外からワーキャー言っていましたね。○○しなさいとかではなく、単純に子どもたちのプレーに対して『惜しい~』などとリアクションする程度でした。母は僕のサッカーに対しては何も言わなかったです」と述懐しています。松井大輔さんが親のサポートについて述べたインタビューもあります。「親はサッカー経験者ではなかったが、寄り添い、自分の決定を支えてくれた」「熱心に取り組むのはいいことです。ただ、親がやらせすぎて、子どもがサッカーを嫌いになってしまうケースを見てきました。何より大切なのは、子どもが楽しいと感じること。『サッカーをやりたい』『もっと上手くなりたい』という気持ちが、子ども自身から湧いてくることが重要です。子どもの思いを第一に考えることが、サッカーを楽しみ、長く続ける秘訣だと思います」いかがですか?お母さんがおっしゃった「コーチに対しての子どものアピール」なんて、誰もしていません。親が何かを言えば、コーチもわが子も影響を受けるなんて思わないでください。教育やスポーツの育成は、もっと純粋で崇高なものです。■あなたの考える「課題提示」は子どもを脅す発言になりかねないこの点からもうひとつ。お母さんは「次の試合でスタメンがとれなかったらチームをやめなさい」と脅せば、息子さんが望み通りにスタメンになれると考えているのでしょうか?こう言えば、恐らくお母さんは「いや、脅すなんてそんなつまり滅相もありません」とおっしゃるでしょう。ご相談文には「期限をつけて子どもに課題(次回公式試合でスタメンなければ、やめる)などを与えようか」と柔らかい表現で書かれていますが、これは「課題」と呼べるでしょうか。もしかしたら「スタメンとれないならやめることも考えようか」といった提案型にするつもりだったのかもしれませんが、いずれにせよ息子さんにとっては威嚇に感じることでしょう。子ども時代に最も大事な自己肯定感がつぶされてしまいます。■わが子が理想通り育たないとダメ?どうしてサッカーさせているか、原点に立ち返ろう(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そこで、「何のために子どもにサッカーをさせているのか?」をご自分で考えてみましょう。月謝だってかかる。送迎とかもろもろサポートする側の保護者は大変です。それでも、少年サッカーをさせている。そこには、息子さんにサッカーを通じてどうなってもらいたいのか、希望があるはずです。ぜひ自分の胸に手を当て、湧き出てくる言葉を思い浮かべてください。何が何でもプロ?違いますよね?息子さんは練習も休まず通っている。楽しくサッカーをしている。そこを親として「腐らずに練習も試合も行って偉いね」とまずは評価してあげて欲しいです。そのうえで、例えば「でも、もっと試合に出られるチームに替わりたいなって思ったら一緒に考えようか」と提案してもいいでしょう。どうか子どもの意思を大切にしてください。わが子が望み通りの姿でなくては我慢できないお母さんがいる限り、息子さんの自己肯定感は育まれません。今なら間に合います。どうか違うお母さんに変わってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2025年01月22日小学校入学とともに入団してくる新一年生。全員サッカー未経験だけど、一番最初はどんなことを教えたらいい?というご相談。学生時代サッカーをしていた親御さんでも、いざ教える立場になると何から始めればいいのか迷ってしまいますよね。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ご自身の主宰するチームのお話などを踏まえ、おすすめの練習を紹介します。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<低学年あるある「パスをしない」を解消したい。どんなタイミングでパスを出せばいいか、気づかせる方法を教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。学校のチーム(カテゴリーとしてはスポ少だと思います)で、U-8年代の保護者兼コーチをしております。サッカー経験は高校までで、特に強豪でもない部活でやっていました。相談内容は、来年度迎える新一年生の指導です。全員サッカーは全くの初めてなのですが、サッカーを一番初めに教えるときにどんなことをしたら良いのか教えてほしい。という相談です。サッカー経験者ではありますが、改めて今の時代に合った指導を知りたいと思いまして。4月から新一年生が入ってきます。学童のように放課後を過ごす場としてサッカーさせてるような感じであり、全員が同じ状態からスタートです。田舎で保育園時代にサッカーする場はないので。運動能力については、都会の子より低めだと思います。最近は地方でもボール遊びができない公園なども増えてきており、田舎の子たちも外遊びする子などあまり見かけません。野山を駆け回るなど皆無です。まして、コンビニにすら車で20分とかザラにある地域なので、子どもたちはどこかに行くときは親の車で移動するのが当たり前、体育以外の運動をしている子は少ないです。(スポーツも文化的なものも、クラブやスクールは車で30分とかなので)こんな感じの子どもたちへの「初めてのサッカー」で、どんなことを体験させればいいのかアドバイスをいただけると助かります。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。今の時代に合った新1年生の指導はどうすればよいか?という質問ですね。これから春になり1年生がクラブに加入する時期を迎えるので、指導で心がけていただきたいことをお話しします。■まずは楽しくボールを追って、簡単にゴールが決まるような経験をさせてあげるまずは試合をさせることが重要です。5対5や8対8など少人数で設定します。最初はみんなボールになかなかさわれないけれど、ワイワイと楽しく追いかける。それで十分です。ただし、自分から行けない子も出てきます。そこで「この人数だとボールをさわれない子もいるから、ちょっと分けてやってみましょう」と言って、そういう子たちとひとりで行ける子でグループ分けをします。さらに人数も減らして、2対2とか3対3で試合をしてもらいます。あくまでも楽しくやることを目指します。例えば得点が入ったときにみんなで喜ぼう、といったルールにします。そういうことを最初に経験させてあげると、子どもはもっとサッカーをやりたくなります。サッカーを始める入口では、いかにモチベーションを上げるかが大事です。それはこちらがどんな練習を提供するかで変わってきます。子どもはゴールできるとうれしいので、点が入らないような試合だったらコーチがそこに一緒に入ってうまくパスをしてゴールさせてあげるお膳立てをしてもいいでしょう。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■体を動かしたい、という欲求を満たしてあげる「田舎でも子どもたちが外遊びをしなくなった」ということですが、日本全体の体力テストを見ても地方の子どものほうが数値が低いようです。親御さんたちの時代は何キロも歩いて通学したのに、今はスクールバスが出る。外出も習い事に行くのも電車はあまり使わず自宅から親の車で移動する。そのように地方は車社会なので歩く機会が減っています。ほぼご相談者様の見立て通りだと思います。だからこそ、最初に試合にしてあげてボールを追いかけることが楽しい、体を動かすことが嬉しいという感覚を味わってもらいます。やっているのはサッカーなのですが、そういった子どもたちが本来持っている「常に体を動かしたい」という欲求を満たしてあげることを念頭においてください。■子どもは本当に苦しくなると自分から休む子どもは本当に苦しくなると、必ず自分で休みます。自分から足を止めるとか「コーチ、もう走れない!」と言ってくれます。そのため、やりすぎるということがありません。運動不足の子たちはすぐにあきらめてしまいがちですが、休めばまた動き出します。全員が本当に動きが悪くなったら、ちょっと1回休もうかと休憩を入れます。そうやって、なるべくゲームをする時間を長く取ってください。最初の1か月くらいはゲームしかしないぐらいのつもりで練習を組み立てましょう。私が地元で主宰しているスクールも、練習に来たらまず30分以上は試合をします。1年生は最初のころは途中「のどが渇いた」などと言いに来るのですが、1~2か月もすれば30分試合を続けられるようになります。■スポーツ障害の予防ではウォーミングアップよりクーリングダウンが重要加えて、低学年の練習については「ウォーミングアップは必要ですか?」という質問を受けます。けがの防止という観点から必要だとの意見が多いのですが、いろいろ研究されている中で、アップの量でけがの発生頻度が変わることはありません。つまり、影響しません。スポーツ障害の予防についても、ウォーミングアップよりも、クーリングダウンを重要視したほうがよいという研究結果が出ています。1年生くらいであれば、例えば鬼ごっこをするとか勝ち負けのあるゲーム的なものがお勧めです。■キッズ年代の動きづくりは、体を動かす楽しさを覚えてサッカーを好きになってもらうこと日本サッカー協会が「キッズ年代の動き作り」(サッカー協会のページに飛びます)という言い方でメニューを紹介しています。スキップ、ジャンプ、ターン、ジグザグに走るといったものがあります。そういったことを競争にしてやると楽しめるでしょう。ただし5分か10分で十分で十分なので、すぐ試合をやります。私が所属する京都府サッカー協会で「キッズコーチ」というライセンスを作っています。ゲーム後にジグザグドリブルを、ではなく、最初から2対1に入ります。仲間と一緒に協力して何かができたら嬉しい。2人でプレーして喜んでもらうのが目的です。うまく攻めるとか、うまく守るではなく、失敗してもいいから楽しくやるということに注目します。日本サッカー協会のキッズリーダーのような、まさしくサッカーの入口に立つ子どもへの指導を学んでもらいます。初めてやる子たちが体を動かすことが楽しくなって、それでサッカーを好きになってもらう。そんな考え方です。■常に「見て、判断」しないといけない練習を試合やってみんな楽しくなってきた。次はどうしよう?と考えたとき、やはり技術の向上をと考えます。ただ、ドリブルをするにしても、試合では必ず守備をしてくる相手がいる。自分のボールを取りに来る相手がいます。その都度、右か左か前か後ろかどの方向を選んでドリブルに行きますか?と判断を問われます。したがって、子どもたちが常に「見て、判断」しないといけないような練習を考え出してほしいのです。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■「味方がそこにいる意味」を理解させるような練習を(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)例えば、団子サッカーにならないよう最初に「団子になったらだめだよ」と言うのではなく、最初は団子のままやらせてください。誰かひとりがドリブルしてみんなが団子になっているときに「はい、そこでストップして」とフリーズさせて、「みんな、どう?今、何が起きてますか?」と問いかけてください。広がったほうがいいとか、パスをしたほうがいいとかそういった答えが出てくるでしょう。そこで「じゃあ、広がれるように練習しましょう」と2対1などの練習に移ります。そこで味方がいる意味などを理解するよう練習をしてください。「すぐに試合したい!」と言ってくるような、そういう子どもたちを育ててもらえるといいなと思います。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2025年01月17日子どものサッカーを見ていて、「もっと走れ!」「そこ空いてる」「周りよく見て」なんてピッチサイドから声を上げる親御さん、いませんか?グラウンドの外からだと、動きがよく見えますよね。相手のスペースや味方の位置も理解できます。ですが、ピッチの中ではどうでしょう?子どものサッカーをきっかけに自身もサッカーを始めたら、「思ったより走れないし、顔を上げる難しさもわかった」というお父さん2人に、サッカーを始めてから子どもへのかかわり方がどう変化したのか聞いてみました。(取材・文木村芽久美)サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>関連記事:うるさいから来ないで!息子の一言で正しい応援の仕方に気づいたお母さんの話■サッカー未経験のお父さんたちが、サッカースクールに通い始めた理由とは?ブラジルの国内トップリーグで、育成においても定評があるクラブチーム「クルゼイロ」。そのクルゼイロのスクールを運営する小林ヒロノリさんが主宰する大人のためのサッカー教室に通う、ナカノさんとフジイさん。ナカノさんもフジイさんもサッカー未経験のお父さんでしたが、息子さんたちと一緒にサッカースクールに通い、ご自身もサッカーを楽しんでいます。ナカノさんは息子さんが卒園時期にサッカーをやり始めたことをきっかけに、ご自身も運動不足解消にと、大人のサッカースクールに通い始めたそうです。フジイさんは、今まで運動経験がほとんどなく、所謂「文化系」だったと言います。息子さんが1年生の夏休みにスクールに通い始め、一緒にスクールでサッカーをするだけでなく、コーチや審判のライセンスを取るまでになったのだとか。「自分がサッカーをしてみて、そのコミュニケーションツールとしての素晴らしさみたいなものに気づいて、世界中の人ができるってよくわかったんです。それで子どもにもサッカーを勧めているうちに自分も楽しくなって、一緒に上達したい、『一緒にうまくなろうぜ!』っていう想いで続けてきて」当初息子さんはスクール通いだけだったそうですが、学校のクラスの友だちを集めてチームを作り、区の大会に出場。結果はボロ負けだったのだそうですが、息子さんの向上心に火がつき「 俺、もっとうまくなりたい!」と、本格的にチームに所属し、サッカーをやり始めたのだといいます。■自分のプレーはさておき、練習や自主練にもつい口出ししてしまった経験息子さんたちのサッカーが本格的になるにつれ、つい口出ししたくなる時もあったと話してくれたナカノさん。「やっぱり息子にはチームで頑張ってほしいなっていう思いがあって、 Youtubeを見ながら一緒に練習したり、公園で一緒にボール蹴ったり、ついつい『もっとちゃんと練習やんなきゃダメだよ』って言っちゃうこともありました」フジイさんも普段代表戦やJリーグを見ていることもあり、子どもの試合や練習を見ていて、つい口出ししそうな時があったと言います。「『なんでそこ走んないの』『なんでそのポジションにいるの』とか、色々言いたくなってくるんですよね。でも同じように自分もサッカーをやっているから、自分ができないこともわかるんですよ、自分の動画なんかを見てもできていないですし(笑)」■「子どもたちはよく走っている」、プレーする子どもの立場になって考えられるようにナカノさんはプレイヤーとして同じ立場になってみると、子どもたちがよく走っていることに気付かされたと言います。またサカイク10か条やスクールコーチの声かけや発信物などから、様々な経験を積んだ大人とは、気持ちの持ち方も違うということを理解したり、子どもがやる気がないように見える時があるけれども、実はそうではないということも学べたのだそうです。「大人のサッカー教室だと、コーチの接し方って優しいじゃないですか。そうするとあまりプレッシャーを感じずにサッカーができるんで、サッカーがやりやすい。そういうところは見習って声かけをしています」フジイさんは自身のサッカー経験から、子どもの視点にたち、言い方にも気をつけるようになったのだそうです。「大人でも『お前何やってんだよ』とか言う人がいるんですよ。そう言われると萎縮して余計いいプレーができなくなったり、とにかくうまい人にパスしなくちゃいけないみたいな気持ちになっちゃうんですよ。でもそれってサッカーが楽しくないし、うまくもならないし、何もいいことはない。だからそういう言い方はしないようにしていますね」■ボール一つあれば、世界中どこでもサッカーができる。コミュニケーションツールとしてのサッカーの魅力ナカノさんもフジイさんも、息子さんたちにサッカーを勧めた理由の一つとして、グローバル社会を見据え、サッカーがコミュニケーションツールとして優れている点があるのだと言います。ナカノさんは息子さんにサッカーを勧めた理由に「ヨーロッパを旅行している時に、公園でみんながサッカーをしていたら、国の違いなど関係なく、そこに入って一緒にサッカーしている光景をよく見たんです。知らない人同士がサッカーを通じて一瞬で仲間になる、そういうことができたら楽しいだろうなと思って」と言います。フジイさんは外国人とサッカーをしていて、その国の人たちの性格や特性がプレーに出るという面白い発見があったそうです。「様々な国の人がそれぞれの個性を持ちながら、でもボール1個あれば誰でもサッカーができるっていうのが、コミュニケーションツールとしては非常に優れているなっていう気がしていて。だからサッカーがうまくなるとか、プロを目指すようなモチベーションでやることだけが全てじゃなくて、そこまでではなく、例え遊びでやっていたとしても、 すごくたくさんの人と友だちを作れるツールみたいなのを、サッカーに感じたんですよね。最近妻が英語をやり始めたんですけれども、いや、英語やるよりサッカーの方が外国人とコミュニケーション取れるぞ(笑)。みたいなことを話したりもしています」■子育てを無理なくでき、サッカーをしていて家族が幸せになれることの大切さライセンスを持ち、指導者としての観点も持つフジイさんは、保護者が子どものサッカーに前のめりになり、「レギュラーになれない」とか「試合に出られない」など、親の方が気にしていることが多い気がすると話します。「習い事とかって親も負担があるし、特にサッカーなんて土日全部取られるし、 ものすごい負担感があるじゃないですか。でも自分の場合は、サッカーが好きで一緒にできるから、息子のサッカーのサポートに関して負担を感じずにやれています。だから親自身も楽しいって思える環境が、家族にとっても大事なことなんだと思っています。親が子育てを無理しちゃうと続かないんですよ。だから親も楽しくてサポートできるっていうような親子の関係性を作ることが、家族の幸せに繋がっているって、すごく感じますね」ご自身もサッカーライフを楽しみながら、サッカーを通じて子どもの幸せな将来を見据えているお二人。ついついお子さんのサッカーに口出ししてしまう保護者は、実際にサッカーをしてみると、今までとは違う視点で、お子さんのサッカーを見られるようになるのかもしれません。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2025年01月15日2月15日(土)サカイクが保護者セミナーを開催します。(オンライン/無料)テーマは「自分で考える力」がどうしてサッカーに必要なのか、考える力を身につける方法です。いい選手が必ず持っている「自分で考える力」。シンキングサッカースクールやサカイクキャンプへのリピート参加者で、強豪高に進んだ選手や、Jリーガーになった選手たちの事例なども踏まえ、「自分で考える力」が選手として成長するために必要な理由をお話しします。【目次】1.開催概要2.サッカー選手として「自分で考える力」が必要な理由3.講師について4.詳細・お申込み=======================<開催概要>日時2月15日(土)19:30~20:30形式オンライン(無料)定員50名参加費 無料※後日オンライン(Zoom)のURLをお送りいたします※質問はセミナー中にチャットでお送りください。※セミナーのテーマに沿っていないご質問にはお答えいたしかねますのでご了承ください。>>>お申込はこちら※お申込はLINEアプリを使用してのお申込みとなります。LINE登録画面が表示されて応募フォームに行けない方は、画像右上の×印を押してください。=======================■今なぜ「自分で考える力」が必要なのかサッカーで瞬時の判断を下す際にも「考えて決める力」がベースになります。また、正解が1つではない、もしくは正解がないこれからの社会を生きるためにも必要な力ともいわれている「後天的に身につけられるスキル」です。家庭で「考える力」をつけるのが難しいなと感じている保護者の皆さん、ぜひこの機会にご参加ください。■講師紹介講師を務めるのは、サカイクキャンプのヘッドコーチでシンキングサッカースクールのコーチも務める、指導歴20年超で4児の父・4人中3人のお子さんが本気でサッカーをしている菊池健太コーチと、同じくサカイクキャンプとシンキングサッカースクールのコーチで指導者歴10年、大学では教員過程を専攻し、小学校教諭の資格を持つ柏瀬翔太コーチ。菊池健太(きくちけんた)<資格>日本サッカー協会C級JFA公認キッズリーダーキッズコーディネーショントレーナー佐倉市立井野中学校サッカー部外部指導員<経歴>VERDY花巻ユース 日本クラブユース選手権出場(全国大会)中央学院大学 千葉県選手権 優勝千葉県1部リーグ 優勝柏瀬翔太(かしわせしょうた)<資格>日本サッカー協会公認C級コーチ小学校教諭一種免許公益財団法人日本体育協会公認スポーツリーダースポーツ少年団認定員■コーチも情報をアップデートしています昨年末には、サカイクキャンプで提唱する「ライフスキル」を監修する慶応義塾大学・東海林祐子先生のもと、ライフスキル指導について研修を行い、情報をアップデートしております。<研修の様子>
2025年01月09日小学校から社会人までサッカーをしていてガツガツ行けるタイプだった夫とは正反対で、身体も小さくおっとりしている息子。トレセンにも選ばれたこともあるし、下手じゃないはずだけど、夫には息子のやる気が伝わらず「勝つ気持ちが見えない」「ほかの子を出したほうがよかった」と言う。息子は夫の目を気にしてプレーしてるし、このまま同じチームにいて良いの?というお母さんのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに、今後どうすべきかをアドバイスします。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<やる気が見えない息子に「ダメ人間」などと暴言を吐く夫を何とかしたいです問題期間中登録で、あなたの過干渉タイプがわかる過干渉チェックシートプレゼント>><サッカーママからのご相談>はじめまして。小学4年生(11歳)の息子が1年生の後半からサッカーをやっていますが、夫がそのサッカークラブのコーチをしています。夫自身も小、中、高、社会人、とサッカーをしており、小学生時代は自分は上手くて韓国遠征にも行ったと自分の事をよく話しています。4年生の息子は背も身体も小さめでおっとりした性格、プレーも「俺が絶対点をとる!」というようなガツガツ当たっていく感じではないそうです。かといって、本人はやる気がない訳でもないし、勝ちたい気持ちもある、と言ってます。夫は自身がガツガツ行くタイプだったようで、「息子のプレーには勝つ気持ちが見えない」「あいつ今日もダメダメだった」「A君(他の子)はすごい伸びてるし、プレーも強気だし息子よりA君出した方が全然いい」などよく言います。息子自身もトレセンメンバーに一応選ばれた事もあり、周りからもコーチの息子だしトレセンメンバーに選ばれた事もあるからうまいと思われているプレッシャーがあるのではないかと思うのですが、なにより夫であるコーチの目を気にして練習や試合をやっているのではないかと......。練習や試合会場までの送迎も一緒なので、うまくできなかったときは帰りの車内の雰囲気もよくないそうです。帰宅後も庭で自主練をやらずゲームをやっていると「気持ちがないよな」と言われた事があり、そう言われるから練習しないと、という流れになってしまっています。このまま親子同じチームでやらせていいのか、母として悩ましい日々です。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。結論から言うと、すぐにでも今いるチームを辞めさせましょう。そして、他の場所でサッカーができるよう、息子さんのプレー環境を整えてあげてください。理由は、このままでは息子さんのこころのバランスが大きく崩れてしまうことが目に見えているからです。お父さんは、自身と異なる性格の息子を認められないようです。勝つ気が見えないと自身の主観だけで息子を非難し、否定し、あろうことか他の選手と比較までしています。やる気が見えないと言いながら、子どもの自己肯定感を下げるような言動しかしていません。■あなたの夫のやっていることは、わが子に対する言葉の暴力この連載でも何度か説明しましたが、「やる気」は叱られると湧いてきません。脳科学的には、ある行動をとろうとするときに、その行動の先に快感(良い気分)が予測されることを「やる気」と言います。この「行動」と「快感」を結びつける働きをするのが、左右の大脳半球の奥にある「線条体」という神経核です。この線条体、認められたり、褒められたりすると、活発に動いてくれてやる気が出ます。ところが、ネガティブな言葉をかけられると活動しません。縮こまって停滞してしまいます。お父さんはもしかしたら、強い言葉で言えばやる気を出すと考えているのかもしれませんが、実は逆効果なのです。もしもやる気を出してほしいと思って他の子と比べているわけでもない、自分がむしゃくしゃして言ってしまったのなら、ただの意地悪だし、言葉の暴力です。いずれにせよ、過去の言動を息子さんに謝るべきです。■母であるあなた自身がどう動けばいいか加えて、お母さんが2人の間に入ってどう対応されているのか気になります。お父さんが意地悪で理不尽なことを言っても、それをお母さんがたしなめて息子さんをかばっているのなら、まだ救いがあります。日本の家庭文化はまだまだ男性優位ですが、現時点ではお母さんのほうが本質をとらえているし、息子さんの気持ちに寄り添おうとしているようです。ここがお母さんの踏ん張りどころです。息子さんのために一番良い選択は何なのか。そこをぜひ考えてみてください。私としては、息子さんに「お父さんと離れて、違うチームでサッカーをしよう」と提案してみてほしいです。そこで彼が同意したのなら、お父さんに「このままではこころが壊れてしまうし、サッカーを嫌いになってしまう。チームを替えさせたい」と伝えましょう。■両親のパターン別、子どもをつぶすリスクサッカー少年の親御さんには、今の時代の子育て観を学んでほしいと私は思っています。気をつけないと子どもをつぶすリスクがあるからです。育成年代を20年以上取材してきたなかで、両親がいる場合のリスク順に簡単に説明すると以下のようなパターンが見られました。★子どもをつぶすリスク【大】=両親ともに子どもを追い詰めるタイプ★リスク【中】=父親が子どもを暴言や理不尽な言動で追い詰め、それに狼狽する母親が手を打てないうちに、子どものこころが折れてしまう(うつ病、不登校、サッカーをやめてしまう)★リスク【小】=父親か母親のどちらかが熱血でも、片方が冷静で包容力、判断力、行動力があれば、時間の長短の違いはあるものの子育てを軌道修正できる★ノーリスク・ハイリターン=両親ともに子どもを尊重できるタイプ。主体性のある子どもが育つ■スパルタ的な指導を肯定する意見を見て、自分は間違ってないと思っているのではしかしながら、日本の育成は欧州などのサッカー大国に比べると遅れています。ネットで報じられるサッカーの育成に関する記事やSNSでも、いまだに子どもに対し威圧的に振る舞う指導者を称えたり、スパルタ的な子育てを肯定するものが目立ちます。そういった情報を、お父さんが見てしまって「自分はこのやり方でいい」と思い込んでいるかも知れません。人は「育てられたように育てる」動物ですから、長年そのように指導されてきて、韓国遠征をするような選手だったのであれば「俺は厳しい指導のお陰で成長した」と考えてもおかしくないでしょう。■子育ても指導も今の時代に合わせてアップデートが必要その一方で、厳しい指導を奨励し、S級をとってプロの指導者になった元Jリーガーたちが過去に何人もパワーハラスメントで訴えられたり、ライセンスをはく奪されたり、監督を辞めさせられたりしています。これに対し、選手として長く海外でのプレーを経験したり、指導を学ばれている指導者はそういったことがありません。彼らはずっと先を歩いています。つまり、お父さんには新たな学びが必要なのです。今回は自分の息子でしたが、今後ほかの子どもに対して不適切な指導をするかもしれません。ぜひともお父さんを啓もうできそうな本を買ったり、記事を見せるなどして夫婦で話し合ってみてください。■父親が厳しく指導したのち不登校、サッカーをやめたケースも(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)私が取材したなかで、息子さんが中学生に入ってサッカーをやめたケースがあります。父は少年サッカーのコーチ、息子は選手。そのいびつな関係性が続いた結果、父親に激しく叱られた後、息子さんは不登校になりそのままサッカーもやめてしまいました。その家庭は、父親が常に強権をもって、母親がハラハラしつつもそれを止められないままでした。お母さんは私を頼ってくださいました。できればのちのち後悔しないよう、夫との関係性を見直し、これから少しでも対等に話し合って家庭を運営できるようにしてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2025年01月08日冬休み、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、もっとも読まれたコラム・連載記事をランキングでご紹介します。公開当時に見逃した記事もあると思いますので、この機会にぜひご覧ください。期間中登録で、あなたの過干渉タイプがわかる過干渉チェックシートプレゼント>>第3位朝練も自主練もなし、練習時間も断然短いのにスペインで「上手い選手」が育つ理由第3位は、小澤一郎さんの書籍から抜粋したスペインの育成に関する記事でした。スペイン代表といえば、足元がうまく華麗なパスサッカーで魅了する、サッカーIQが高いといったイメージもあり、保護者の方も「海外サッカー」の中でもその育成に関心が高い人が多いですよね。実際にスペインで指導したこともある小澤一郎さんの書籍には、練習時間が日本より短いのに上手い選手が育つ理由が紹介されています。その一部をご覧ください。記事を読む>>第2位保護者とのコミュニケーションが希薄で、些細な諍いが絶えなかった大所帯チームを変えた、保護者と指導者の「10の心得」とは第2位は、保護者とチームの関係性が改善されたWingsのインタビュー記事。千葉県の強豪チームWingsが、関連4団体も含めサカイク10か条を保護者に配布した理由をお伺いしました。大所帯だとどうしても些細な問題が大ごとになりがちですが、配布後は保護者とのコミュニケーションも改善されるなど、すぐにいい影響が出たとのこと。Wingsの変化をご覧いただき、自チームでもぜひ、という方は記事内のリンクよりお申し込みください。記事を読む>>第1位最後の試合も上手な下級生優先でわが子ひとりだけほぼ出場なし。これまでしてきたチームへの手伝いは間違っていたのか問題第一位は、6年生最後の公式戦での出場機会についてのご相談記事でした。我が子の出場機会でがっかりしたり、つらい思いをした経験がある親御さんに共感されました。6年生最後の大会で、学年で我が子だけ出場機会ほぼ無し。少ない同級生と頑張ってきたのにそういった状況になったらガッカリするのは当然ですよね。怒りに震えるお父さんから、「これまでのチームへの手伝いは間違っていたと分かった」とのご投稿でしたが、チームへの手伝いは我が子のポイントを上げるためにするものでしょうか。ご自身も子どもが試合に出れず辛い思いをした経験がある島沢優子さんが、悔しい気持ちの消化の仕方をアドバイス。お子さんが5年生以下の方もぜひご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、2025年もご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
2024年12月30日冬休み、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年8月から12月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親からのお悩み相談記事をランキングでご紹介します。公開当時に見逃した記事もあると思いますので、この機会にぜひご覧ください。サカイクLINE登録で過干渉にならない方法が学べる>>第3位暴言で受けた脳ダメージはリカバリーできる!傷ついた子どもに親ができること&すべきこと第3位は、脳研究の大学教授に聞いた「暴言と脳委縮」のテーマの後編でした。「暴言で脳が委縮する」というのは事実です。チーム指導者の暴言だけでなく、親からのひどい言葉でも一緒です。脳は委縮したら戻らないもの?という疑問に、東北大学教授の瀧靖之教授が脳科学の観点から回答してくれました。暴言が脳に与える影響、委縮した脳(海馬)のリカバリーについて、ぜひ大人が知っておいてほしいことです。記事を読む>>第2位子どものサッカーで親が燃え尽き症候群に?毎週末のサッカーが無くなって「喪失感」を抱かないための3つの準備第2位は、親の燃え尽き症候群について過去記事を再配信したもの。11月もしくは12月に最後の公式戦が終わり、小学生年代のサッカーに一段落。というチームもありますよね。毎週のように練習や試合に帯同していたのがなくなり、子どもより親のほうが燃え尽き症候群になってしまうこともあるのだとか。そうならないためにどうしたらいいかメンタルトレーナーからのアドバイスです。記事を読む>>第1位早い子は3年生から。高学年になったら親同士腹の探り合い子どものサッカーの進路、決めるタイミング第一位は、サッカーの進路についてサカイクアンバサダーのお母さんに聞いた記事。12月に配信したのに下半期の保護者の悩み系記事トップになるほど関心を集めました。子どものサッカーの進路、いつぐらいから意識し始め、どう動いているか。気になるけど周りになかなか聞けない、ほかの家庭もどこかに移籍を考えているみたいでセレクション情報とか調べてるみたいだけど、絶対口外しない。そんな保護者のリアルな関心事に、すでにそれらを経験済みのサカイクアンバサダーが答えてくれました。地域や所属チームによりますが、一つの参考例としてご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
2024年12月27日サッカーの試合を円滑に進めるために欠かせない審判。その役割と重要性を深く理解するためのDVD『審判』シリーズ四部作の最終章『国際審判員 カルテットのレフェリング』が発売されました。DVD『国際審判員』は、国際試合でのレフェリングがテーマではありますが、四級審判員や三級審判員でも意識する事の出来る審判員の動作について語られています。たとえば、荒木友輔レフェリーは速攻時に意識する事。聳城巧ARは『やべっちスタジアム』のSTOP解説のように、ARのポジショニングや見方、協力について教えてくれています。さらに、西橋勲ARは、反復横跳びからダッシュに移行する足の運びを。他にも、国際審判員ではないが、林大地選手や田中駿汰選手や村上昌謙選手が伸びるきっかけとなった接触技術を用いる大阪体育大学出身の御厨貴文レフェリーは、レフェリーの動作について明かしています。そんなDVD審判シリーズ四部作の完結編となるDVDを、抽選で2名様にプレゼントします。下記をご確認の上、ご応募ください。<DVD『国際審判員(主審・副審) カルテットのレフェリング』ダイジェスト映像>DVDのポイント■CHAPTER.1Jリーグインターナショナルシリーズ2024横浜F・マリノス vs ニューカッスル ユナイテッドレフェリングレビューインタビュー:「国際試合でのレフェリングについて」荒木友輔・聳城巧■CHAPTER.2Jリーグインターナショナルシリーズ2024浦和レッズ vs ニューカッスル ユナイテッドの舞台裏・スタジアム入り・審判団控室の様子とウォーミングアップ・試合前から選手だまりの様子・試合中(レフェリーCAMと中継映像の二画面にボケイロ音声)・試合後飯田淳平、淺田武士、平間亮、川俣秀※国際親善試合ですので、ボケイロ音声で日本語同様に英語も多用されています。英語テロップはありますが、日本語訳はありません。■CHAPTER.32024Jリーグアウォーズ独自映像の舞台裏と独占インタビュー御厨貴文、西橋勲、松尾一、高山啓義協力:公益財団法人日本サッカー協会 審判委員会制作:公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)など今回は抽選で、2名様にプレゼントします!▼応募はコチラから審判DVD「国際審判員(主審・副審) カルテットのレフェリング」DVDプレゼントに応募する>>応募期間:2024年12月27日(金)~2025年1月5日(月)■ご連絡事項※当選は発送をもって代えさせていただきます。※応募時に記載いただく個人情報は、株式会社イースリーが管理し、頂いた個人情報をプレゼントの発送とそのご連絡の場合に限り利用することとし、他の目的に利用する場合は別途お客様の承認に基づき利用するものとします。※賞品のお届け先は、日本国内に限らせていただきます。※本キャンペーンは、WEBからのご応募に限ります。
2024年12月27日サッカーにおいて、「球離れ」は非常に重要な要素です。「球離れ」とは、ボールを持っている選手が、適切なタイミングで、周りの状況を判断し、最も効果的な方法でボールを仲間に渡す、あるいはシュートを打つなど、ボールを手放すことを指します。 つまり、単にボールをキープすることではなく、状況判断と技術、そして戦術眼が求められるのです。サカイクLINE登録で過干渉にならない方法が学べる>><目次>1.サッカーの基本技術としての「球離れ」2.「球離れ」が良い選手と悪い選手の違い3.「球離れ」が悪いとパスミスやボールロストの原因にサッカーの基本技術としての「球離れ」「球離れ」は、ドリブル、パス、シュートと並ぶサッカーにおける基本技術の一つと言えるでしょう。なぜなら、「球離れ」一つで、チーム全体の攻撃のリズムや流れが大きく変わるからです。「球離れ」が良い選手は、常に周りの状況を把握し、最適なタイミングでパスやシュートを選択することができます。例えば、ドリブルで相手を引きつけておいて、フリーになった仲間にパスを出したり、相手の意表を突くタイミングでシュートを打つなど、「球離れ」の技術によって、様々な攻撃パターンを生み出すことができるのです。「球離れ」が良い選手と悪い選手の違い「球離れ」が良い選手は、常に周囲の状況を把握し、最適なタイミングでパスやシュートを選択できるため、チームにリズムとテンポをもたらし、効果的な攻撃を展開することができます。一方、「球離れ」が悪い選手は、ボールを持ちすぎてしまい、相手のプレッシャーを受けやすくなるだけでなく、パスコースを限定してしまい、攻撃のチャンスを逃してしまうことにもつながります。「球離れ」が悪いとパスミスやボールロストの原因に「球離れ」が悪いと、試合中に様々な問題が発生します。まず、ボールを持ちすぎることで相手のプレッシャーを受けやすくなり、パスミスやボールロストに繋がりやすくなります。サッカーは攻守の入れ替えが目まぐるしいので、効率的に攻撃するためには素早く正確なパス回しが必要不可欠です。「球離れ」の悪さは、チーム全体の攻撃のリズムを崩し、相手に主導権を握られる原因にもなりかねません。「球離れ」が悪い選手は、自分のプレーに固執してしまう傾向があり、チームメイトとの連携が不足しがちです。サッカーはチームスポーツであり、個人プレーだけでは限界があります。チーム全体でボールを動かし、連動した動きを見せることが、勝利への鍵となるのです。「球離れ」は、サッカーにおいて非常に重要な要素です。日々の練習を通して意識することで、自身のプレースタイルを大きく向上させることができるでしょう。
2024年12月26日川崎フロンターレやFC東京など、Jクラブ48チームにも導入実績のあるアルファゴール。プロからジュニアチームまで幅広く利用されており、毎年卒団記念品としても多くのチームに選ばれているミニゴールの定番商品です。そんなアルファゴールですが、折りたたみ式で利便性も高いことから個人の自主練習で使っているユーザーも多く、最近では公園などでも見かける機会が増えてきました。今回は、自主練習でアルファゴールを利用されている、菅野さん親子のコメントをご紹介します。■多様な使い方ができる ― (圭さん、父親)コースに打ち分ける練習だったり、低めのシュートの練習やヘディングを叩きつけて入れる練習。そしてセットプレーから飛び込んでいく等、多様なことが出来ますので、休みの日には欠かせないゴールになっています。本当は全サイズ欲しいのですが笑シュート練習以外にも様々な使い方ができるアルファゴールですが、それを支えているのが抜群の耐久性です。頑丈なフレームにより、プロの強いシュートでも倒れにくい耐久性を実現しています。簡易的なミニゴ―ルの場合、風で動いたり子どもが強いシュートを打つと吹き飛んでしまい、その都度立て直す手間もかかりますが、アルファゴールならその心配も無く、思い切りシュートを打つことができます。使う道具によって、練習の質とモチベーションは大きく変化しますが、アルファゴールは常にゴールを意識した練習ができるため、自然と集中力やモチベーションも高まります。 ■設置・片付けも簡単―(海人くん、小学4年生)1人で簡単に作れて、小さく折りたたみが出来るので置く場所も困らないです。ゴールが小さいのでシュートを決めるのが難しく、練習になるなと思いました。折りたたみ式であり、かつアルミ製なので軽いため、女性や子どもでも簡単に持ち運べます。そのため、近所の公園やグラウンドに気軽に持って行くことができ、そのような利便性もアルファゴールが選ばれている理由の一つです。さらに、設置したい場所に置いて広げるだけで、ワンタッチで設置・収納が可能。準備や片付けにも手間が掛からず、限られた練習時間を効率良く使えます。折りたたんで保管すればスペースにも困らず、個人宅でも無理なく保管頂けます。■こんな使い方も こちらは通常ゴールが設置されている場所に限られますが、通常ゴールの中にアルファゴール入れて使われるケースも少なくありません。例えば右下に置いたアルファゴールを狙って練習をすれば、低い弾道のシュートを打つ練習になり、精度も高まります。プロの試合でもチャンスの場面で力が入り、ゴールの上に外れてしまうシーンはよく見られますが、このような練習を繰り返したところ、低い弾道で力強いシュートを打てるようになったと言います。海人くんのコメントにもありますが、小さいゴールを狙って練習を繰り返すことは、精度を高めるための効果的な練習となるでしょう。アルファゴールは全部で4サイズをご用意。用途に合わせてお選び頂くことが可能です。丈夫な作りで長く使えるため、コストパフォーマンスも高いアルファゴール。ぜひ、この冬休みの自主練習にご利用ください。★年末キャンペーン実施中★ただいま開催中の年末キャンペーンに合わせて、「12月23日(月)正午まで」のご購入者には【専用バッグ(4,950円~相当)】をプレゼント中。アルミ製で軽量のため、子どもでも持ち運べますが、 付属の専用バッグがあるとさらに便利にお使い頂けます!その他にも、人気のトレーニングアイテムやリカバリー用品、学習アイテムなどが期間限定でお得に手に入るチャンス!ぜひ、この機会にイースリーショップをご利用ください。
2024年12月20日低学年あるある「パスをしない」問題。全員が自らドリブルでゴールまで行くようなタイプでもないのに、パスを出すタイミングがわかってないし、もらうほうも要求が遅い。どうしたら球離れが良くなる?と悩むコーチからご相談をいただきました。パスしない問題はよくあることですよね。皆さんはどうしてますか?ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外での方法や中学生にも実践している練習法を紹介します。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<誰かが抜かれた時のカバーリング、U-10年代だとチャレンジ&カバーを理解するのは難しい?指導のコツを教えて<お父さんコーチからの質問>池上さまはじめまして。スクールでサッカーコーチのアシスタントをしています(U-6~U-8)。学生アルバイトなので、小学生の保護者の年代ではないのですが、直接聞けるかもしれないと思い投稿しました。スクールといっても技術を教え込むような感じではなく、小さい子たちには遊びの要素を入れてサッカーの楽しさを伝えるような感じです。中・高学年になったらスクールと並行してチームに入る子たちもいるようです。自分は主に低学年、3年生ぐらいまでのクラスのアシスタントなのですが、この年代でよくあることとして「パスをしない」という課題があります。みんな、自分でボールを持ってゴールを目指すタイプではないのですが、どのタイミングでパスを出せばいいかわからず、球離れが悪いようです。味方もパスを要求するタイミングが遅いように思います。認知と判断が課題なのだと思いますが、何かおすすめの方法があればご教示くださいませ。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。団子サッカーで味方にパスをしない。日本の低学年ではよく見られます。脳から指令を出して体が動くのですが、指令が来てすぐ動くようにする必要があるのですが、今の子どもたちは自分から考えないので、なかなかボールが出せないようです。■ダイレクトパスの練習で、早く考えて行動する脳の回路を作るそこで、失敗してもいいのでダイレクトのパスの練習をするとよいです。2人で対面でパス交換するのではなく、3人くらいでやると右か左かどちらに出すかという判断を迫られます。そうすると、見て素早くプレーしないといけなくなるので、そのような脳に変わってきます。次に1人ディフェンスをつけて3対1にしたら、より判断、あるいは認知が必要になってきます。なおかつダイレクトでやってもらいます。恐らくうまくいかないはずです。それをコーチたちがいかに我慢して見ていられるか。そこがカギだと思います。できないけれど、やってみる。そうすることで認知しようとする脳が養われます。つまり、3対1でダイレクトにしても上手にボール回しをできるようになるのはもっと先でよいのです。上手にできなくてもいいので、早く考えて、行動するという脳の回路をつくることを目指してください。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■認知能力を刺激することで、子どもたちはミスすることを怖がらなくなる指導者は過去の習慣から「どうしたらできるようになるか」を目指す指導をしてしまいがちです。そこを「できるようになる」ではなく、「認知能力を刺激する」ことが目標なのだと自分に言い聞かせてください。そして、刺激するようなメニューをたくさん考えられるといいでしょう。さらにいえば、このような認知能力を刺激する練習を重ねると、子どもたちはミスすることにタフになります。練習では、守備と攻撃をどんどん交代してくこと。パスがつながらなくても、そのことに言及せず、「はい、取られたら次ね」とどんどんやらせることです。子どもたちには「取られないようにするにはどうするか」ではなく、「ちゃんとボールを受けられるところに動く」ことを指導しましょう。ミスがあっても、ボールを出す人だけが悪いわけではありません。もらえるところに動いていたか。パスのタイミングはどうだったのか。そういったことを振り返りながらやれるよう、声掛けしましょう。指導者は練習中の失敗に対して寛容な姿勢を持ち、挑戦を促すことが重要です。■低学年からダイレクトパスの練習をしてないと、高学年以上でも持ちすぎてしまう低学年なので、2対1をやるなかでワンツーパスからシュートする練習をやってもいいでしょう。パスを出すと相手をうまく抜けるという感覚を養えますし、ダイレクトでパスをすることを習慣づける狙いもあります。常にダイレクトでパスをする場所を探すような習慣をつけておかないと、高学年以上になってやろうとしてもついついミスしないよう2タッチ、3タッチになって持ちすぎてしまうか、ついドリブルをしてしまうのです。■1人でもトライしたらその日の練習は成功トライする意思が見えたら褒めて中学生も指導していますが、彼らに「この練習はツータッチアンダー(ツータッチかワンタッチ)でやるよ」と伝えるとみんな嫌がります。なぜなら難しいからです。そこをチャレンジしてもらうために、例えば、バルセロナのトップや育成カテゴリーの選手がパス回しをしている映像を見せます。完成形を可視化させるのです。「すげー」とみんな目を輝かせるので「バルサみたいになればいいじゃない」と言うと「ええ!できない」と首を振ります。が、そんな彼らでも少しずつできるようになると、そこには達成感や喜びが生まれます。そのようなツータッチアンダーの練習をした後に、「じゃあ後半は試合しましょう」とミニゲームをさせると、誰かがどこかでダイレクトのパスを出すようになります。成功しなくても、トライする意思が見えたら褒めてあげてください。そのように、もし1人でもトライしてくれたら、その日の練習は成功だと考えてよいでしょう。■欧州でもジュニア年代からやっているダイレクトパスの意識づけ他にも3対3でゲームをします。両サイドのタッチライン、あるいはゴールラインでもいいです。そこに中でプレーする6人とは別にフリーマンを置きます。攻守関係なく全員フリーマンを使っていい。ただし、フリーマンはダイレクトでしかパスを出せません。そうすると、どこに出したらいいのかなと考えながら見なくてはなりません。それをやると、フリーマンはぼーっとしてはダメだし、周りもフリーマンにボールが行った瞬間に動かなければなりません。そんな練習を、スペインをはじめ欧州各国はジュニア年代からどんどんやっています。日本で夏休みなどに行われるバルサキャンプでも、そういった練習は必ず入っています。■設定を変えることで、試合での局面の変化に対応する力を伸ばすほかにも、3対3を4ゴールで行う練習もお勧めです。その際、年代に応じてシュートゾーンを作ります。つまり、相手を崩してゴール前まで行かなければシュートを打てない設定(オーガナイズ)にします。時にシュートゾーンをなくして遠くからでもシュートが打てるようにしてもよいです。そうするとチャンスを見つけたときにすぐシュートを打てます。オーガナイズを変えることは、試合の局面の変化に対応する力を伸ばす意味もあるのです。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■決して全てを教えてしまわないこと問いかけて気づかせよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)このようにシュートゾーンを作ったり作らなかったりして、対応力を養います。シュートゾーンを外しているのに同じようにプレーすることもあるので、そういう時はプレーを止めて「いま、(オーガナイズは)どうなってるの?」と問いかけましょう。決して「おい、シュートできるぞ」などと教えてはいけません。参加できるコーチがいるならば、コーチが入ってシュートを打つと、子どもたちもわかってきてシュートを打ち始めたりします。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年12月20日サッカーがうまくなるには、何よりサッカーを楽しむことが大切。けれど、楽しく練習できる道具って意外と少ない...。そんな声にも応える練習アイテムが「テクダマ」です。いつもの練習でボールをテクダマに置き換えると、メニューは同じでも難易度が上がります。最初はうまく扱えないケースが多いですが、その難しさに夢中になり、自ら進んで練習するようになったとの声もよく聞かれます。今回はクリスマスプレゼントとして購入され、自主練習に使って技術向上に励む親子のコメントをご紹介します。■ドリブル上達のために購入。室内で使える点もポイント。今回コメントを頂いたのは、小学2年生の遥希くんとそのお父さんです。―(お父さん)昨年のクリスマスプレゼントに購入しました。自主練に使ってもらいドリブルを上達して欲しいと思いプレゼントしました。今でも自主練用に使っています。使い始めた頃は難しいと感じていたようですが、今はドリブル、パスの練習を楽しんで行なうようになりました。変則的な動きが子供には楽しいようです。室内でも使えるので重宝しています。過去にサカイクが実施したアンケートからも、ドリブルを向上・改善させたいと感じている選手が多いといった結果が出ています。ボールタッチの細かさや緩急の付け方など課題は様々ですが、自主練習においてドリブルに取り組む時間は比較的長いようです。また、テクダマは2号球サイズと小さめに作られているため、室内での練習にも最適です。室内であれば天候に左右されずに、好きなタイミングでトレーニング可能ではありますが、室内で使えるアイテムや練習メニューはそれほど多くはありません。テクダマは使うに当たって特別なメニューを用意する必要は無く、いつものドリブルやリフティングでボールをテクダマに置き換えるだけで良いため、室内練習にも取り入れやすいアイテムとなっています。■やはり最初は難しい。けど、続けることが上達に繋がる。―(遥希くん)最初は難しいと思ったけど、今は慣れたから大丈夫。ドリブルがうまくなってきたと思う。頑張ってます!テクダマは高校生でも最初は苦戦する選手も多く、なかなか最初からうまく扱えることは少ないですが、その「適度な難しさ」が子どもの遊び心を刺激するため、自ら進んでテクダマを使って練習するようになったり、練習自体が楽しくなったという子どもも少なくありません。楽しいからこそ練習を続けられるようになり、結果として一層の技術向上にも繋がっていきます。また、テクダマを長く使い続けられる他の理由として、常に変化があることが挙げられます。普通のサッカーボールでドリブルやリフティングを行うと、同じ動作の繰り返しになりがちですが、テクダマは当たる場所によって様々な動きをするため、自然と集中力も高まります。テクダマの監修者である三木利章さんや、エコロジカル・アプローチを紹介されている植田文也さんも過去の対談の中で、「例えばリフティングがうまい選手は、変なところにボールが行っても、とっさにカバーができる対応力がある。そのような力は単純な反復練習ではなく、様々な変化や制約を設けることで身に付きやすくなり、動作のバリエーションを高めることが有効である」と話されています。そのような点においても、不規則に動くテクダマは技術の習得に適していると言えるでしょう。■子どもの自信にも繋がる初めのうちは難しいかもしれませんが、練習を続けていくうちに徐々に扱えるようになり、技術向上を実感することができるでしょう。特に、テクダマを使った後に普通のボールに戻すと、扱いが簡単になったという声は非常に多く聞かれます。このような「できた」という体験は子どもの自信に繋がり、さらに上を目指すきっかけにもなりそうです。いつもの練習に取り入れるだけで、通常の練習では得られない効果が生まれるテクダマ。ぜひ、この冬休みの自主練習に使ってみてはいかがでしょうか。★年末キャンペーン実施中★イースリーショップでは、12月23日(月)正午までキャンペーンを開催中。テクダマが送料無料など、人気のトレーニングアイテムやリカバリー用品、学習アイテムなどが期間限定でお得に手に入るチャンス!ぜひ、この機会にイースリーショップをご利用ください。
2024年12月19日千葉県で活動する「Wings」は、伝統ある強豪チームとして知られています。この秋Wingsとグループ4チームの保護者に対して「サカイク10か条」を配布しました。サカイク10か条とは、「サッカーと教育」をテーマに保護者に向けて情報を発信する「サカイク」が、子どもが心からサッカーを楽しむために、「勝たせたい」「上手くしたい」の前に大事にしてほしい親の心得をまとめた内容です。Wingsがサカイク10か条をチームで配布しようと思った理由、配布してどんな変化があったのかを高橋慎一コーチにお伺いしました。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>Wingsの選手たち■配布してすぐに、いい影響が出たサカイク10か条は、子どものサッカー歴やサッカーのレベル、チームの強弱にかかわらず、すべての子がサッカーを本気で楽しみ、成長していくための大人のスタンス、行動指針を提示したものです。以前よりサカイク10か条に賛同いただいていたクラブの代表・久保巳郎さんが、Wings及びグループ4団体にも配布を希望されたのが、チラシ配布のきっかけでした。配布から約1か月後、保護者の反応やチームの変化をうかがってみると「すぐに変化が出た」と教えてくれました。サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■コーチと保護者のコミュニケーションが不足していたWingsは所属選手が200人ほどいるため、指導者も複数の学年を担当していたり、1つの指導現場が終われば次の子たちの指導に移動するなど、時間に追われ、保護者とじっくり話をする機会自体が少なかったそう。関係性が希薄ゆえに、コミュニケーションが取れていればすぐに解決できるような問題が大事(おおごと)に発展しやすい状況にあったのだとか。チームとしても、もっと保護者とコミュニケーションを取る必要性を感じており、サカイク10か条を配布し、「自分たちもここに書いてあるようなことを大事にして指導している」と、チームの理念を伝える機会を設けたのだと教えてくれました。クラブの理念と同じことをサッカーメディアも発信している、とチラシを見せることで、背中を押されている気分になり、伝えやすくなったようです。サカイク10か条をこのように活用する一つの例として参考になるのではないでしょうか。■保護者だけでなく指導者も変わった多くの保護者からは特別な感想などはなかったそうですが、それまでと比べて保護者のほうから話しかけてくれる機会が増えたそうです。これは、サカイク10か条の第5条「コーチやクラブの考えを聞いてみよう」を見て「話しかけていいんだ」と思えたからかもしれません。もともと「サッカーの指導はクラブに任せましょう」というスタンスだったこともあったため、保護者との距離がほかのチームより出来やすかったのかもしれない、と高橋コーチは振り返ります。今でもその姿勢は変わりませんが、10か条配布以降保護者とのサッカーのことだけでなく日常会話も増え、意思の伝達がしやすくなったそう。高橋コーチ自身の話だけではなく、ほかのコーチたちも同様に保護者との会話が増えたそうです。■ピッチ外での親から子へのダメだしが減ったほかにも、試合の時に我が子にダメ出しをする親御さんが、我慢してくれるようになった例もあると教えてくれました。ピッチサイドで見ていてミスや不甲斐ないプレーを目にすると、「何やってんだ!」と怒鳴る保護者もいますよね。指導者から見ても我が子に対してそこまで言わなくてもいいのではないか、と感じるぐらい厳しいダメ出しをする親御さんもまだまだいるようです。ですが、10か条配布後にはそういった保護者の方が声を出さないようにしている場面が増えたそうです。10か条チラシ配布からほんの1か月もたたないうちに、目に見えて良い影響が出たと嬉しそうに教えてくれました。■「勝ちたい」も大事だけど、小学生年代では何より「楽しい」が大事高橋コーチは、小学生年代は楽しむことを大事にしてほしいと語ります(写真提供:Wings)Wingsは東京ヴェルディの準支部でもあり、強豪ひしめく千葉県で好成績を残しているチームでもあります。そういったクラブの立場として、勝つことを目指してはいますが、小学生年代ではサッカーが楽しいと思えること、楽しいから練習に行くというのをないがしろにしたくないと高橋コーチは言います。勝ちを目指すことは悪いことではありません。子どもたち自身、サッカーに真剣になるほど「勝ちたい」と思うのは自然なことです。勝負にこだわることも大切だと指導しているけれども、ただ勝つことが優先されるのではなく、楽しいから上手くなって、強くなった。だから、勝てた。そんな順序を理想的だと考えていたそうで、コーチ自身もサカイク10か条が指導者にとっても大事な心得だと感じている、と語ってくれました。■コーチ自身がサカイクの情報をピックアップして共有するようになった今では高橋コーチ自身が良いと思ったサカイクの記事をピックアップして、保護者にメールなどで共有したり、積極的に保護者に向けて情報をお伝えしているそうです。保護者と意思疎通が円滑になり、チームの指導方針を共有することで、チームに一体感が生まれます。そうすることで、子どもたちの指導環境もより良くなっていくのです。今後、時間がたてば今の気持ち、10か条の記憶が薄れて行くかもしれないけれど、断続的に保護者に伝えて行きたいと高橋コーチは語ります。これから10か条の考えがより浸透して更なる変化がでるのか、楽しみにしたいものです。近年、インターネットやSNSの普及で保護者も様々な情報を得ているがゆえに、子どもをもっと上手くしよう、選手として高いレベルにしたいと親のほうが熱くなってあれこれさせていることがありますが、そんな保護者たちに「ちょっと待って。上手くすること、勝つことの前に大事なことは何?」と気づかせてくれるサカイク10か条。あなたのチームでも配布しませんか。チームでのサカイク10か条配布を希望の方はこちら(配布は無料です)>>サッカー少年少女の考えるやチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2024年12月19日身体能力も高くサッカーの才能もあるのにやる気が見えない息子。そんな息子に夫は毎日イライラ。息子も試合当日の朝練で上手くいかないと夫に当たり、空気が悪いまま試合に行くという......。試合に勝ってもひどい言葉を浴びせるし、言うのを辞めてほしいと伝えれば「もう知らない」と見捨てる発言。最近ではサッカー辞めさせようとしてる。どうしたらいいの?というご相談。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、お母さんにアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<最後の試合も上手な下級生優先でわが子ひとりだけほぼ出場なし。これまでしてきたチームへの手伝いは間違っていたのか問題サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>><サッカーママからのご相談>こんにちは。やる気の無い息子(11歳・小5)と温度差のある父(夫)について相談させてください。息子は年長からサッカーを始めております。本人がしたいと言った訳ではなく、引っ越しした事もあり、まずは友だち作りの為にはじめました。1年生になる頃には夫との自主練で泣いたりする様になり、お互いイライラしながらの自主練になっていました。息子は正直、身体能力も高く才能はあると思います。なのに、イマイチやる気が見られないんですよね。そんな姿に夫はイライラする毎日......。試合の朝など、自主練をしても出来ないとイライラしだし、夫に当たる事が毎回。それに対して夫もイライラして帰宅し、空気が悪い中、試合に行くと言う日々です。夫のほうも、試合に勝っても「弱い相手に勝って喜んで何が嬉しいんだ」「こんなやる気ないなら今すぐ辞めてほしい」「ダメ人間」など、聞いていて私でも嫌になる言葉を浴びせます。「そんな事言われたらそりゃ、やる気出ないでしょ」と私が言っても、そうだなと思う事も無く「じゃあもう知らない」と見捨てる様な発言。最近はもう、年内の公式戦を最後に休会か辞めると夫が決めています。私もどうして良いかわかりません。サッカーを続けてくれたらと思う気持ちもありますが、そんな事(夫からのひどい言葉)を何年も言われ続けたら何もかもできない人間になるのではと心配です。夫や息子が前向きになれる様にするにはどうすれば良いのでしょうか。サッカーを通じた子育て、ではなく家族間の問題を相談するような形ですみませんが、何か助言をいただけると幸いです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。わずか6歳か7歳の小学校1年生に自主練を(恐らく)やらせて泣かせる。「今すぐ(サッカーを)やめろ」「ダメ人間」などと言ってしまう。そのうえ、年内の公式戦を最後に休会、もしくはサッカーをやめさせることを夫が決めていると書かれています。このような子どもの人権を無視した拒絶的な態度や暴言は、子どもに心理的外傷を与えます。エスカレートすれば子どもへの心理的虐待になります。私は息子さんがかわいそうでなりません。■あなたのとらえ方がズレている「将来」じゃなく「今」のつらさに目を向けてそれなのに、お母さんはとらえ方がかなりズレているように私には見えます。例えば「そんな事(夫からのひどい言葉)を何年も言われ続けたら何もかもできない人間になるのではと心配です」と、今現在の彼のつらい気持ちよりも、何もできない人間になったらどうしようと将来を案じています。さらには「夫や息子が前向きになれる様にするにはどうすれば良いのでしょうか」と私に質問しておられます。大人の夫と、わずか11歳の息子を同等に置いてはいけません。夫は前向きになる前に、猛省しなくてはなりません。お母さんには失礼な言い方ですが、あまりに能天気すぎるのではないでしょうか。■わが子が期待通りでないと、自分の子に嫌悪感を抱く父親がいるまず、一般論を言います。父親が心理的虐待をしてしまうケースは、少年サッカーでは少なくありません。期待が大きければ大きいほど、目の前のわが子の姿が自分の期待通りでなければ、父親はわが子に対し強い「嫌悪感」を抱く傾向があります。嫌悪は憎悪に姿を変え、心理的虐待に及ぶまで時間はかかりません。そうなったとき、子どもを救うのが母親の役割です。■息子の味方であってほしい母親のあなたも「やる気のない息子」を悪いと結論付けている次にこの相談について。父親から虐待まがいの扱いを受けている息子さんが唯一の味方であってほしいはずのお母さんは、彼の気持ちに寄り添っているように見えません。なぜそうなるのか。それは、お母さんもお父さん同様に「やる気のない息子」を嫌悪しているからです。相談文の冒頭に「やる気の無い息子と温度差のある父」と表現されています。他にも「イマイチやる気が見られないんですよね」と書かれています。お母さんはお父さんの態度は良くないと断じつつ、こころのどこかで「でも、やる気のない息子も悪いんだよね」と結論づけていませんか?■息子さんのやる気を奪っているのは両親ともになのでは?やる気がなくて何が悪いのよ?と私は思います。私なんてしょっちゅう仕事にやる気をなくします。しかも息子さんはまだ11歳の子どもです。もっと言えば、そもそも息子さんの意欲を奪っているのはご両親ではありませんか?私は親向けのセミナーも行っていますが、保護者から「やる気スイッチはいつ押せばいいか」と相談されるたびに、「そんなものはありませんよ」と言って、脳科学のエビデンス伝えています。拙書『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』を執筆する際、諏訪東京理科大学共通教育センター教授で脳科学者である篠原菊紀先生に取材しました。それまでも何度もお話を聞いてきた、教育をベースに脳科学を研究されてきた方です。先生によると、ある行動をとろうとするときに、その行動の先に快感(良い気分)が予測されることを「やる気」というそうです。この行動と快感を結びつける働きをするのが、左右の大脳半球の下側にある「線条体」という神経核になります。スポーツであれば、こうやって練習したら上手くなるに違いないと思うと意欲的になれますね。■暴言や過度な指示命令は「恐怖学習」抑圧するほど子どものやる気は出ないところがこの線条体は、誰かに否定されたり、怒られると動きが鈍くなります。つまり、大人が暴言や過度な指示命令で抑圧すればするほど、子どものやる気は出ません。脳が意欲的にならないからです。それなのに、大人たちは発奮させようと「渇を入れる」などとガツンと怒ったりします。この方法は「一発学習」別名「恐怖学習」とも言われ、子どもの記憶に強く残るため、一時的にパフォーマンスが上がります。つまり、即効性が高いのです。よって、学校現場やスポーツ指導、それこそ子育ての場面でも、手っ取り早い一発学習が長く採用されてきました。ところが、恐怖学習が繰り返されると、子どもはそれがトラウマになりバーンアウトしやすいという副作用が生じます。怒鳴られたり、たたかれるような強い刺激を受けてしまうと、それなしでは物事に取り組めなくなります。小学1年生から自主練で泣かされて、こんな心理的虐待まがいの扱いをされれば、意欲を失います。ミスしたらお父さんに怒られる。試合に勝っても「弱い相手に勝って何が嬉しいんだ」と叱られる。何も認められず、励まされもしない。線条体は鈍いままです。■希望を感じる二つのこと1つ目は「親に抗う力が残っている」こと、もう1つは......(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)それでも、二つほど希望を感じます。息子さん、試合の朝に自主練をして、何かが出来ないとイライラしてお父さんに当たったのですね。親に抗う力が残っているのが救いです。そして、もうひとつの救いは、お母さんが私に相談してくださったことです。「最近はもう、年内の公式戦を最後に休会か辞めると夫が決めています。私もどうして良いかわかりません」と書かれているところをみると、お母さんは夫であるお父さんにある意味支配されていないでしょうか?夫婦は対等でしょうか?家庭内のすべてのことはお父さんが決めてしまうことになっていませんか?パワハラ夫のことで私に相談してくる女性たちの多くが、夫と渡り合う言葉を持ちません。彼女たちは「言い負かされて何も言えない」と頭を垂れます。そこで、私は「説明なんてしなくていいんだよ」と言います。どちらが正義か。論点はそれだけでもいいと思います。お母さんも夫に対し長々と説明する必要はありません。「この子には人権がある。自分で決めなさい。自分の好きなことをしなさい」と息子さんに言ってあげましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年12月18日2019年の誕生から、累計販売数17,000球を突破したテクダマ。発売当初から話題を呼び、現在はジュニア世代を中心に、プロも含めた幅広いユーザーに愛用されています。テクダマはドリブルやリフティングなどの自主練で使用する選手が多いですが、ゴールキーパー練習やゲーム練習に取り入れるチームも最近では増えており、活躍の場が広がっています。今回はテクダマの企画・開発に携わった、竹原和雄取締役(株式会社イースリー)に、開発の経緯やこだわりについて聞きました。テクダマはどのようなきっかけから生まれ、そしてどんな想いが込められたボールなのでしょうか?■まず、テクダマとはどのようなものでしょうか?見た目は普通のボールと同じですが、バウンドさせると不規則に変化する特別な構造によりサッカーの技術向上に必要な「自分の身体を思い通り動かす力」が身につくトレーニングボールです。ドリブル、リフティング、トラップなど普段の練習をテクダマに変えるだけで、そうした力を自然と身につけることができます。特別なメニューや指導は必要なく、使っているうちに予測不能な動きに対しても自然と身体や足が動くようになります。■どうしてそのような力がサッカーで必要なのですか?サッカーというスポーツでは、ボールの軌道やピッチの状態など様々な状況に合わせてボールタッチを変えるといった、動きのバリエーションが重要になります。上手な選手ほど、動きが安定しているだけでなく、状況に合わせて「とっさに動く」「動きを調整する」能力が高いと言われています。またそうした能力は単調な反復トレーニングでは身につきにくいという研究結果もあり、そうした力を身につけるためにもテクダマのように予想不可能なボールは非常に適しているのです。■テクダマはどのようなきっかけから開発されたのでしょうか?子どもたちの自主練を変えたいと思ったのがきっかけです。多くの子どもたちがリフティングの練習を行なっていますが、回数を稼ぐことが目的になり、つま先でチョンチョンと同じ動作を何度も反復する様子を見てきました。先ほどお話したとおり、反復練習が悪いわけではありませんが、サッカーに必要な力を身につける上で、もっと効果的なトレーニングはないか?と考えたのがきっかけでした。そこで、出会ったのが「動きづくり」のスペシャリストとしても知られる三木利章さんです。■監修者の三木さんとは、どのような出会いだったのですか?サカイクの取材がきっかけで三木さんと出会いました。三木さんは、「身体を上手く動かせないとサッカーは上手くならない」という考えのもと、様々な動きを組み合わせた独自のリフティングやドリブルメニューで "サッカーで活きる"身体の動きづくりを行っていました。その結果、練習は1日2時間の週2回だけ。しかもグラウンドはフットサルコート1面のみ。そんな限られた時間と環境の中でセレクションもしないのに、小学校時代無名だった子たちを育て次々と全国の強豪校に輩出していたんです。この三木さんの考えを道具で表現したらどうなるんだろう。三木さんと目指したのは「蹴っているだけで、身体を動かせざるを得ないボール」でした。■開発を進める中で、苦労したことや工夫したことは、どのようなところでしょうか?難しすぎても練習になりませんから、予測できない動きと"最適な難しさ"を実現するために、いろいろなバランスのボールを試作し、開発には1年近くかかりました。また、その中で工夫した点は、ボールの大きさと重さ、そして見た目です。テクダマは、重さや感触は普段子どもたちが使っている4号球と同じですが、大きさは2号球サイズです。それは小さくすることで難易度を高めつつ、ボールの蹴った感触や反発など普段のサッカーボールのリアリティを残しています。そして、デザインにもこだわりがあります。ボールの回転も見やすいよう白い線が入っており、また小さいボールなので子どもが無くさないように蛍光カラーのカラーリングに仕立てました。実はそういう細かいこだわりもあったりします。■テクダマはどんな方に使ってもらいたいですか?サッカーをうまくなりたい!と思っている子どもたちはもちろんですが、サッカー経験のないコーチの方や、お父さん、お母さんにもオススメしています。経験がない場合、プレーの見本やポイントを伝えるのは難しいですが、テクダマは普段のボールに置き換えるだけでOKなので、「教えなくてもうまくなるボール」なんです。また、親子で一緒に使ってみても面白いと思います。テクダマの独特な動きは子どもの遊び心を刺激しますが、遊び感覚で使うだけでも技術力が身に付きます。そのため、親子で楽しみながら蹴るだけでもトレーニングになるでしょう。そして、テクダマには三木さんが監修してくださったトレーニング動画も付いてますので、簡単なトレーニングから真似してみるのもよいと思います。ぜひ、大人も一緒に楽しみながらトレーニングしてもらいたいですね。★年末キャンペーン実施中★イースリーショップでは、12月23日(月)正午までキャンペーンを開催中。テクダマが送料無料など、人気のトレーニングアイテムやリカバリー用品、学習アイテムなどが期間限定でお得に手に入るチャンス!ぜひ、この機会にイースリーショップをご利用ください。
2024年12月18日子どものサッカーの進路、いつぐらいから意識していますか?今回は、中学生以上のサッカー少年少女を持つサカイクアンバサダーにご協力いただき、いつごろから情報収集を始めたか、どんな準備をしたのか、保護者としてどんなことに気を付けたのか。を伺いました。地域や所属チームの保有組織(ジュニアユースがあるか)などにもよりますが、一つの参考例としてご覧ください。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>写真は少年サッカーのイメージ■中・高学年になると親同士、腹の探り合いが始まる年々加熱するクラブチームへの入団希望。教員の過重労働改革のために部活動を学校から切り離す動きもあり、中学以降はクラブチームでサッカーを続ける子が増えています。多くの保護者がいつごろから情報収集を始めているのか、何を使って情報収集しているのか、周りに嫌味を言われずにスムーズにセレクションを受けるにはどうしたらいいか......。など気になっている方は多いですが、多くの場合、保護者間でもわが子がどこを受けるか、という情報は中々オープンにしませんよね。子どもが4、5年生ぐらいになると親たちの腹の探り合いが始まるチームもあると聞きます。なので、現状はチームの中で聞ける空気がなければ、個人戦となり、インターネットや口コミを駆使して情報を仕入れ、スケジュールを調整しなければならず、親も疲弊します。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>■現在中学1年生のお子さんがいるSさん(仮名)の場合情報収集は小3からSさん(仮名)の地域では、中学でのサッカーは以下の3つの選択肢があるそう。・Jクラブの育成組織・街クラブ・部活動上記の通り、部活動の地域移行が進んでいることもあり、また、今のところお子さん自身が勉強があまり好きではないこともあって勉強は勉強、サッカーはサッカーで別々に頑張る(部活動だと進路に影響する可能性があるため)ことにしたので、部活動の選択肢は低かったといいます。当時所属していたチームには、引っ越しをきっかけに3年生の終わりごろに所属したそうですが、そのときすでにお子さん自身が所属したいクラブ(ジュニアユース)が決まっていたそうで、スムーズな移籍をするためにどうしようか、というのは頭の片隅にあったと言います。今いるチームに不満があるわけでなく、チームに感謝しているけど行きたいチームがあるから辞めるとき揉めたくない、というシチュエーションも多いですよね。Sさんのお宅もまさにその状況で、周りの保護者ともコミュニケーションをとりながら、将来的な移籍について、チームのルールを教えてもらうなど情報を収集していったそうです。■4年生ぐらいから各種セレクションを受けに動き出す子もSさんのご家庭では、3年生、4年生の時にいくつものセレクションを受けたそうです。「サッカー指導者をしている夫と子どもで、表を作って『ココに行くとこんなメリットがあり、デメリットは......』『将来どうなりたいか』などを話し合ってセレクション申し込みの計画を立てていました」そして、Jクラブのアカデミーを受験したそうですがそちらは残念ながら合格ならず。本命は他にあったので、Jクラブへの挑戦はその時のみだったそうです。最近は、早い子は4年生ぐらいからセレクションを受けだしたり、移籍に向けた行動を起こし始めることが多いようです。同時に、4年生ぐらいから公式戦が始まることもあり、チームの中で波風を立てたくないご家庭は移籍に向けても慎重に事を運ぶほうがよさそうだと教えてくれました。■移籍情報入手は個人戦学年が進むにつれ情報共有が減る写真は少年サッカーのイメージ高学年になると進路を意識しだしますが、保護者間でどのチームが、いつ・どこでセレクションをするかなどの情報を教えあうことはなく、周辺の「行きたいと思えるチーム」の過去のセレクション情報を見て、大体の日程を予測し、小まめにサイトを見に行き応募する、という個人戦が繰り広げられていたそう。「3、4年生まではどこのセレクションが始まったとか色々共有していたけれど、5年生のときは無かったです。お互いにどこを受けるのか探り合いのような感じの会話はありましたが......」とのこと。Sさんのお子さんはチームのほかに、Jクラブのスクールにも入っていたそうで、スクール生向けの告知でいち早く情報を入手することもできたそうです。(練習会も優先的に参加できたそう)日々必死にセレクション情報をチェックしながら、チームでは協力的な姿勢を見せ怪しまれないように......、というご家庭も多いですよね。親も子どものために情報を見逃さないように、と焦りもあるかと思います。「スクール生だから必ずしも受かるわけではありませんが、情報が早く入手できるという点では良かった」とSさんは言います。このあたりはチームにもよると思うので、あくまで一例として参考にしてください。■5年生の時にコーチに相談そして5年生の時、移籍を考えていることをコーチに相談したと教えてくれました。実はチームに入団してすぐに、ほかの保護者から「中学以降は自クラブのジュニアユースに所属することになっている」と聞いていたそうですが、Sさんがお子さんの入団にあたって誓約書を書いた際にはそのような慣習を明確に記載していなかったそうです。そういった事情もあり、揉めることなくスムーズに移籍に向けて動けたようです。■重要視したのは「本人のレベルに合う」「試合出場機会」あくまで決めるのはサッカーをしている本人。納得して入団するのが一番ですが、親目線でチーム選びの際に重視したのは、本人のレベルにあっているかどうか、と試合出場機会がありそうか。という点だったそうです。そして、これから進路を考える人たちに向けて、こんなアドバイスをくれました。「名前だけで決めてしまうと、有名強豪クラブだと試合に出れないこともありますよね。レベルの高い環境で練習することは価値があると思いますが、やはり試合に出て経験を積むことが大事だと思うんです」Sさんのお子さんは、最終的に意中のチームに合格できて現在チームメイトと切磋琢磨しながらサッカーを楽しんでいるそうです。親としては子どもが仲間とサッカーを楽しんでいる姿を見られることが何よりの幸せですよね。進路を考え出す時期や動く時期など、各家庭によって価値観が違うと思いますが、一つの参考にしてみてください。サッカー少年少女の考える力やチャレンジ精神を育てる方法をLINEで配信中>>
2024年12月17日味方が抜かれた時のカバーリング、どう動くのかわかってない。抜かれるかもしれないという想定、パスコース限定のためにどこに動くか。それらの判断が難しいもよう。U-10年代にチャレンジ&カバーを理解させるには、どんなふうに教えたらいいの?というお父さんコーチ。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、U-10までに身につけさせたい守備の意識とおすすめのトレーニングを伝えます。(取材・文島沢優子)サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<GKの真正面にシュートしてしまう子どもたち、ゴールの空いているスペースに蹴れるようになるにはどうしたらいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。地域のクラブで見守り保護者兼コーチをしています。(U-10担当)最近は途方でも少年団が少なく、クラブチームが増えていることを実感します。私のような立場の方が多く、指導を学んだ専門のコーチがいるわけではありません。(公式戦に出場するのでライセンス保有者は数名いますが、D級とかです)ご相談内容は「チャレンジ&カバー」についてです。とくにカバーリングについて、どんなタイミングでどう動けばいいかを伝えるのにおススメの練習法はありますか?チャレンジした選手が抜かれるかもしれない可能性、パスコースを狭めるためには何を見てどう判断するのか、がまだまだ分かっていないみたいで。練習の積み重ねとは思うのですが、いいアドバイスがあれば教えていただきたいです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。チャレンジ&カバーは昨今、育成年代にも指導する要素として挙げられています。ただ、ご相談者様が指導されている子どもたちは10歳以下です。そのくらいの年齢では、基本的に自分がマークした選手をしっかり守ること、つまり目の前で起こっていることにまずは注意を払うことを伝えたほうが良いでしょう。■チャレンジ&カバーの概念が独り歩きしていないかそもそも論になりますが「チャレンジ&カバー」という概念が独り歩きしているような気もします。ボールマンにチャレンジに行く選手が、抜かれるのが前提のような感覚になっていないでしょうか。マンマークをしっかりしなくてもカバーしてもらえるからOKだと思っているような節があるのです。例えば、抜かれた選手が他の選手に「カバーしてよ」といった態度を見せることがあります。小学生の年代では特に、抜かれた選手はすぐさま追いかけてボールを取り返す習慣をつけたほうがいいはずです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■自分が抜かれたら他の人が守るのが正解だから走らなくていい?ところが、抜かれるともう追いません。チャレンジ&カバーなので、他の人が守るのが正解だから自分は走らなくていいと考えてしまいます。コーチもカバーさせることに一生懸命になって、抜かれた子どもの動きを見ていません。そうならないよう、抜かれてはいけないというマンマークの意識を中学1年生くらいまでに養いましょう。マンツーマンでゲームするような練習をしてください。そのなかでも誰かが抜かれることはあります。例えば抜かれてシュートまで持ち込もうとしたら、そこに近い人が守る。それがゾーンディフェンスの始まりなので、それを教えましょう。■10歳ぐらいまでは、まずは自分が抜かれないようにするのを徹底させるゾーンディフェンスだと、ボールサイドに寄れば寄るほどの1人のゾーンが狭くなり、ボールから離れれば離れる1人の守像範囲は広くなります。そういったことを10歳くらいで理解するのは難しいので、まずはちゃんと自分のマークを守りなさい、抜かれないようにするためにはどうしますか?ということを徹底させてください。そして高学年になってきたら「自分のマークだけでなく、周りとボールを見ながら守れるようになろう」という意識を持たせましょう。■カバーのタイミングを学ぶのにおすすめの練習メニューそのようにマンツーマンでの守備を徹底的にやったあと、その先に行くとしたら3対2の練習をします。オフェンスでは数的優位の状況でどう攻めるかを会得するメニューですが、守備側の2人はカバーする感覚やタイミングを学ぶ練習になります。ゴールをつけずにライン通過してフィニッシュするかたちのトレーニングをお勧めします。3人を2人でどう守るか。局面によってどのような距離感で守るかを考えさせましょう。オーガナイズする際は、横は試合や練習をするコートの幅でよいのですが、縦の幅を狭めに設定してください。つまり、横長の長方形のようなコートを作ります。なぜならば、縦が長い場合、相手の3人のうちの1人が通過するライン近くまで入ってきてしまうと、2人で守っているので到底間に合わなくなる。そうなると攻防が成立しないし、楽しくありません。オフェンス側にも「横をどう使いますか?」みたいなテーマにしておくと、ディフェンスも早く横にずれることがわかってきます。それはオフェンス側の理解を深めることにも役立ちます。日本の子どもたちは特にですが、ボールを持ったら前にしか行かない傾向があります。縦に長いと練習にならないのです。■練習の意図を理解して設定を考えないと、子どもたちが獲得するものも変わってしまう実際に私の講習会でこの練習をしたことがあります。指導者に説明だけして、さあやりましょうとコートを見たら、コートを縦長に作っていました。私が「これはこういう意図があるので、縦長じゃないやり方にしましょう」と伝えました。大人のほうが、どんな意図でやる練習かをくみ取って自分で考えて設定を考えなくてはいけません。そうしなくては、目的は達成されないし、子どもたちが獲得するものも変わってしまいます。よく言われる「練習のオーガナイズが重要である」というのは、そういうことなのです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■チャレンジ&カバーという言葉を使う必要はない、大事なのは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)加えて、3対2で練習するときに「チャレンジ&カバー」と言う必要はありません。ボールマンにひとりがガッツリ詰めて抜かれてしまうと、もう1人が相手3人を守らなければいけなくなります。最初のほうは「2人で守るにはどうするか?」という意識になってもらうことが重要です。自分が絶対に抜かれてはいけないということがわかってくると、次はボールがどこかにパスされたとき、どちらが行ったほうが得かといったことを先に覚えたほうがいいでしょう。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年12月13日