目次
ページ
・目次
・1ページ (大罪)
2ページ (始まりの鏡~鏡の鏡)
・3ページ (湖の鏡~イベントなし幻想体)
紅炎蛾
燃える体を持つ蛾の幻想体。
大まかなモチーフはヒトリガと火に飛び込む習性だと思われる。
溶岩の流れる火山がある、地面が割れた空間を形作る。
E.G.Oの《紅炎殺》はデザインが特徴的。
他のE.G.OのデザインはLCBの制服をベースにしたような*1ものや、幻想体のイメージが中心となったようなデザインのものが大多数であるのに対し、
《紅炎殺》のデザインは有り体に言ってしまえば「背の翼以外ただの服」であり、
文明とも人間性ともかけ離れた炎の世界に住まう紅炎蛾のイメージにはそぐわないほどに人工的なつくり。
左腕の部分にプリントされた「N」という意味深な文字も気にかかるため、もしかすると明確な理由があるのかもしれない。
軽蔑の螺旋
絡み合う黄金のトゲと祈りを捧げる人間のような姿の幻想体。
手からは赤い液体が流れ落ちている。
この幻想体の刺すような軽蔑の視線を受けると、トゲのついた螺旋が食い込むような感覚と共に嫌悪と軽蔑の感情がかき立てられる。
鏡屈折鉄道3号線の終着駅に登場する幻想体で、専用のBGM『Cur dolorem sentis』(ラテン語で"なぜ苦痛を感じるのか")がある。
戦闘では自身の体を液状化させ、トゲや手の形に再構築して攻撃してくる。その際、金属の擦れるような音が鳴る。
ステージのフレーバーテキストにでは"黄金郷"という言葉が使われており、戦闘時の空間には独特なオブジェや黄金のトゲが生えている。
空間の中央には滝があり、そこから流れる赤い液体が足元全域を満たしている。
跪き、祈るポーズになる特殊死亡演出もある。その際、体には幻想体と酷似した黄金のトゲが絡まる。
相手は"下"であり、自分が"軽蔑する者"であるという信念がこの幻想体の根幹を成しているらしく、それを崩す事が軽蔑の螺旋に対抗する鍵となっているようだ。
鏡ダンジョンでのイベントでは、軽蔑の螺旋がしたのとは逆に視線を外すという"無関心"の軽蔑を返す事によって影響を逃れていると解釈でき、
戦闘時のギミックは、力を示すと同時に軽蔑の視線を返すことで軽蔑の螺旋が弱るというものになっている。
(少なくとも過去作では)識別番号に含まれる03は宗教との関連性を示す分類であり、軽蔑の螺旋も宗教と関係している可能性がある。
鏡イベント中で軽蔑の感情を植え付ける事が「食い込む」事で象徴されていること、「何でもないことを畏敬し」との記述などから、
人から人へと「緩やかに浸透し」、軽蔑が軽蔑を、畏敬が畏敬を生むという信仰の側面を「螺旋」に象徴させて表現しているのかも知れない。
ギフト名が〈倒錯症〉〈畏敬の念〉であることから、
軽蔑と畏敬が表裏一体であることもテーマの一つである可能性がある。アンチは最大のファン
倒錯症(도착증)という単語が日、韓どちらにおいても性的倒錯に対して用いられる単語であることから、妙な趣味があると疑いをかけられていたりもする。
専用バフ視線や似た名前のスキルを持つことからN社の異端審問官と関係があるのではないかという推測がある。*2
???
絶叫する人間あるいは幽霊のような姿をした巨大な灰の幻想体。
この幻想体の出す灰の霧に飲み込まれると、精神被害を受けるようだ。
ひび割れた荒れ地に枯れ木が生えた空間を形作る。
E.G.Oギフト"灰は灰に"、"塵は塵に"が子を抱える親のような形に見えるため、良秀と関係がある、もしくは地獄変の何かをモチーフにしたのではないかという説が存在する。
鏡ダンジョン内でのイベントでは"灰は灰に"しか入手できないが、宿した綿花が形態変化で赤く染まることを考えると、この幻想体も"塵は塵に"のような形態に変化する可能性がある。
???
大きなハサミと点滴スタンドで移動をする看護師の姿をした幻想体。
足が無く、下半身が点滴スタンドに絡まっている。
頭には脳と思わしきものが見えている。
出会った者へ何の対価も無しに自分の血を分け与えてくる。
しかし、逆に血を寄付しようとすると腕を切断してくる。
携帯用救急セットの幻想体と似た容姿をしている。
そして空間が病院であることから、鎮痛剤の幻想体と秘密保持誓約書の幻想体とも関連があると思われる。
上記の他幻想体がギリシャ神話に登場する生物に近い見た目をしているため、この幻想体もギリシャ神話の生物をモチーフにしたと思われる。
TGSでは"ヘモラジー・マーマレード"という名前であった。
幻想体のデザインは『サイレントヒル』シリーズに登場するナースのオマージュだと思われる。
???
棺の中から赤い腕が複数出ている幻想体。棺は中の何かを封じ込めるかのように縄で結ばれている。
この幻想体には"キズモドキ"と酷似した虫が沢山這いまわっている。
暗い森に沢山の紐とお札のような物が貼られた空間を形作り、辺りは泣き声で満たされている。
棺の中身は、縄を解くやり方によって(ゲーム内では判定の成否に応じて)変化する。
封じ込める必要がある「何か」があふれ出すこともあるが、実際には棺の中は空っぽだった、という物語もありうるようだ。
モチーフは判明していないが、東洋の民間信仰、主に韓国の信仰だと思われる。
???
茶色のコートを着た折り鶴の幻想体。左右には紙でできた兵士がいる。
初登場は始まりの鏡のイベント。
優しい雰囲気であるが、礼儀などがしっかりしていないと怒られ、摘まみだされてしまう。
また、彼の返答には論理が飛躍しているような違和感がある。
詳しい事は分からないが、非常に人間的に見えてどこかが人間とは決定的に異なっているようだ。
会社の社長室のような空間を形作る。
夕焼けの旅人
黄色いひょうたんのような体で細長い手足を持つ幻想体。
現在登場した幻想体の中で一番優しく、危険性が低そうな幻想体である。
休憩することを勧めてくるが、無視しても怒らず、親切に手を振ってくれる。
イベントではどちらの選択肢を選んでも良い効果をもたらしてくれ、危険度ZAYINっぽいと評判。
夕焼けに照らされた森のような空間を形づくる。
痛がるテディ
グロテスクな熊のぬいぐるみの姿をした幻想体。
目はくり抜かれ身体は何本もの釘で貫かれており、傷からは血が流れ出す。
幸せなテディの変異体*3と思われる。
見た目に反して敵対的な行動は取らず、
ただのぬいぐるみのように両腕を広げて抱きしめられるのを待っている。
しかし体を貫く釘があちこちから飛び出ているので、抱きしめれば釘に貫かれることになるだろう。
"痛がる"という名前に反し、釘が抜けなくても痛そうな素振りは見せない。
あるいは見せることができないのだろうか。
子供部屋のように見えるが、釘が刺さっていたり、血のようなものが壁に付いていたりと不穏な空間である。
皮膚の予言者
人型の上半身に一つ目の頭部が3つある幻想体。
敵としては5章の白鯨内部で登場した。
皮膚の予言の変異体と思われる。
燃える羽根ペンで何か本に記録しているが、その内容は理解できず、見た者は精神へダメージを受けてしまう。
鏡ダンジョンイベントで登場時、色欲属性スキルを持つ味方だけは精神ダメージを受けないことから、エグいエ◯本を読んでいるなどとネタにされたり
戦闘時は目が悪いからなのか予言の結果なのか不明だが、条件達成時に自分を狙って攻撃する。唐突なNTRで脳が破壊されたなどとネタにされたり
自滅技の名前である《6章5節》は必殺技の《9章2説》を逆さまにしたものとも取れる*4ため、明順応でよく見えず本を逆さまに持ってしまっている可能性が高い。*5
燃え盛る炎がある石造りの空間に住む。
モチーフは三大預言書の1つ『イザヤ書』であると思われる。
我、空に至れり
ヒビが入った仏像の幻想体。
中に肉のような物が詰まっていることからデザインのモチーフは肉身菩薩だと思われる。
仏像の姿から仏教関連だと思われるが、鏡ダンジョン/屈折鉄道では全く異なる組織の者たちを洗脳し、眷属にして登場した。
質素な赤く光る空間を形作り、戦闘時の専用BGMはお鈴のような音と読経を思わせる低い声が不規則に響くのみの静かなもの。
なお、BGMは『Budda』という悪くないインパクトの曲名であり、
24/8/23に唐突にYoutubeにアップロードされた*6ことで管理人の腹筋に若干のダメージを与えた。
洗脳された者たちがいる間は本体へダメージがほぼ通らず、彼らを盾に錫杖を操って攻撃してくる。
他にも専用バフ業報を使用し、
数値が108になった者は我、空に至れり自身を含め即座に死亡するギミックがある。
名前が「我、空に至れり」であるのに反し仏像の中は肉でいっぱいで、台座の内部の肉は脳のようにも見える。
自分の考えを口に出して吐き出す事を通じ、俗な考えや欲を捨てて「空」になろうとしているようだが、
実際にその目的が達成できているようには到底見えない。
他者を洗脳して自身を信仰させたり、戦闘中に味方を攻撃するのがなんとただの八つ当たりである可能性が示唆されていたりと、
なかなかに俗な感情に振り回されているようだ。
鏡ダンジョン4で追加されたイベントの選択肢では、目の前にコインを置いてみせただけでその「空」とやらにボロが出る様子も見られた。
仏教要素が強い幻想体であるが、正確なモチーフは不明である。
洗脳などといったことから仏教系統のカルトという推測もある。
さすらいの狐
背中に傘の柄が刺さった狐の幻想体。
古傘で作られた巣穴がある、ゴミ捨て場の路地の空間を形作る。
狐の周りにも落ちているそれらの傘は、かつての雨の日路地にうち捨てられていた狐に同情心で与えられた贈り物だが、
とうに古びて破け、もはや本来の役目を果たしていない。
今や傘は、薄っぺらな同情による自己満足の道具に使われた悲しみと怒りを狐に与えるだけの存在となっており、
シンクレアによる記録でも、「傘の石突ではなく柄が背に刺さっているのは、悪意でなく厚意が狐を傷つけていることを意味するのではないか」という推察がされている。
さすらいの狐は傘を忌々しく思うと同時に、自分が受け取った唯一の思いやりとして縋るような思いを寄せてもいるようで、
どんなに自分を傷つけても、どんなに破れ朽ちていてもその傘を捨てたり、路地を去ったりはしない。
鏡ダンジョンのイベントでは周囲に置かれた傘を持っていこうとすると激しく抵抗されるほか、
戦闘中に周囲に召喚する古傘、狐が咥えた傘、背中の傘*7と傘を折っていくと、
心まで折れたかのようにどんどん弱体化するというギミックがある。
敵対した相手には咥えた傘で攻撃をしてくるが、本来は好戦的な性格ではない。
目先の解決だけを求めるのではなく、理解と共感をもって接する相手には心を開いてくれるようだ。
ちなみに、さすらいの狐の英語名は"Drifting fox"だが、"Drift"に滑るなどといった意味もあるためか、滑りながら貫くような攻撃もする。侵蝕スキルのアニメーションから狐雨イサンもドリフト狐などとネタにされる。
正確なモチーフは不明だが、E.G.O/ギフトが"狐雨"であることから、韓国の説話『여우 시집가는 날 (狐が嫁に行く日)』だと思われる。*8
誰も泣かぬように
お札が無造作に貼られた木偶人形の姿をした幻想体。
沢山のお札が貼られた部屋を形作る。
幻想体に貼られたお札は幻想体の願いであり、部屋に貼られたお札は幻想体を封印する役目がある。
モチーフはイサンの詩『가정 (家庭)』である。
幻想体のデザインは話者に例えられた藁人形である。
話者の辛い心情などを呪いとし、悲惨な状況を乗り越えようという「決心」がお札を貼り直すというギミックに反映されている。
高威力・高火力なスキルを使用するほか、鏡屈折鉄道2号線では最初の戦闘で登場し、
精神力が上がっていない事で攻めあぐねていた管理人たちに最低値が17に強化された《誰も泣かぬように》を見舞って大いに泣かせてしまった事から、
冗談で「お前が泣くように」だ何だと呼ばれることもある。
他にも、《誰も泣かぬように》のモーションから鉄拳シリーズの「木人」を連想した管理人もいるようだ。
胴体部位破壊時、頭部に頭蓋骨のような物が見える。
専用バフ絡み付いた呪いの札、貼り直された呪いの札には「부적 (呪符)」と書かれている。
E.G.Oギフト《お札の束》には「唯我獨尊」と書かれているように見える。
真鍮の雄牛
皮膚の無い、あるいは焼けてしまった人間が中に入っている、牛の姿をした幻想体。
その体は常に熱されており、水が触れても一瞬で蒸発してしまう。
そのため、幻想体自体もその熱と渇きに苦しみ叫んでいる。
地割れした地面や上空から流れてくる溶岩など、地獄を彷彿とさせる空間を形作る。
4章にて敵として登場したがその際は識別番号が"M-01-11-07-TEAR"、名前が"真鍮の雄牛 - 涙を流す"であった。
幻想体の姿もE.G.Oイラストや選択肢イベントと異なり、青い液体が流れている。
後にK社の職員であったドンランがこの幻想体で実験をしていたことが判明。
本来の姿と違う状態であったのは、K社内での実験が原因であると思われる。
モチーフは伝承上の処刑・拷問器具であるファラリスの雄牛だと思われ、
英語版の"Brazen Bull"という名称はずばりファラリスの雄牛を指す英語でもある。
E.G.Oのカポーテはスペイン発祥の闘牛から取られたものである。
紳士妖精
ふくよかな体の妖精の幻想体。
腹部には大きな口があり、紳士要素として帽子とネクタイを付けている。
妖精の祭典の変異体だと思われる。
友好的な幻想体であるが、差し出してくれるお酒はあまり良い物ではない。
味は悪くないが喉越しが気持ち悪いらしく、たくさん呑むと吐き気を催す。*9
酒飲みであるため、戦闘時でも酒に関するギミックがある。
悪臭が漂う洞窟を形作る。
モチーフはヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールであるアブサンだと思われる。
別名"緑の妖精"とも呼ばれる。
???
腹部辺りに1つの目があるたすきを掛けた宙に浮く幻想体。
左腕で杖のような物を持ち、右腕で石板のような物を浮かせている。
E.G.O《執行》の抽出元として名前が登場している「天の執行官の補佐」と似ており、
ロージャのE.G.Oのパッシブも〈文字の刻まれた石板〉と似た効果を持つため、同一の幻想体ではないかと推測されるが、
一方で別の幻想体ではないかという見解も管理人の間では一定数あるらしい。
イベントイラストがかなり見にくいため、正確な姿が判断できないこと、*10*11
イベントの「正邪を記録する。彼の者が下した正邪を、それは記録する。」を見るに執行官というよりも書記官などの方が適切だとも思えることなどが指摘されている。ただこれは天の執行官の補佐の英語名がHeavenly Executor's Scribe(直訳で天の執行官の書紀)のため誤訳、意訳の可能性も存在する。
柱のある宮殿のようなエメラルド色の空間を形作る。
天の補佐シリーズの内の1体だと推定される。
その為、モチーフはユダヤ教の天使の1人であるメタトロンという推測がある。
薔薇の表示板
十字のように重なり茨が絡みついた木の板と、それに磔にされた肉の塊の姿をした幻想体。
崩れた教会のような場所に沢山の薔薇が生えた庭園を形作る。
専用BGMは『Flore sicut rosa』(ラテン語で"薔薇の花のように咲く")。教会を彷彿とさせる鐘の音が特徴的な、静かな雰囲気の曲である。
薔薇の表示板は永遠に存在するというその庭園を、薔薇でより美しく彩る事を望んでいる。
そしてその薔薇は人間の罪――より具体的には自身の願いが罪を伴う事を自覚しつつも、なお切実に何かを望む心――によって花開くという。
前作、前々作のストーリーの大きなテーマや、E.G.O発現/ねじれのメカニズムと類似する点があるが、
それら以上に「罪」に焦点をおいたメッセージ性を感じるため、本作のストーリーとも関係があるのかもしれない。
薔薇となって咲いた心は持ち主の心から失われてしまうらしく、戦闘では罪悪資源の消滅という形で再現されている。
薔薇の表示板は囚人から奪った感情をただ「罪」と呼び、また罪としての側面しか見ようとしないが、
ホンルの残した観測記録を見るに、そう簡単に失われて良いようなものではなさそうだ。
また、同記録では表示板の本体とみられる板とそれに縛られた肉が「拘束と観察」を意味することが示唆されている。
茨はその棘を肉に食い込ませ傷つけている一方で、その茨によって肉の形が維持されているという側面もあるらしく、
鏡イベントでは薔薇を手折ることに対しては何も反応がないのに対し、茨を解こうとすると肉が崩れて悲鳴をあげる。
他の選択肢では、板ごと倒されても茨を使って立て直していた。縛られている事がアイデンティティの割には、案外器用なようだ。
戦闘時には人格の持つ属性に合わせて7種の薔薇を咲かせ、一定ターン経つとその薔薇に対応した囚人が即死する。
その際、磔刑を彷彿とさせる特殊モーションがある。
モチーフは判明していないが、キリスト教関連もしくはイエス・キリストではないかという推測がある。
その為、鏡屈折鉄道の終着駅には毎回宗教に関連した幻想体が登場しているのでは?という推測がある。
TGSでは"張り裂け締め付けるもの"という名前であった。
歩く真珠
緑色の粘つく物質を口から絶えず溢れさせる、足の生えた貝の幻想体。
貝部分にはいくつか小さな目がある。
粘液の中には幼虫が無数に蠢いており、絶えず共食いを繰り返している。
この幼虫は状態が良い獲物を優先的に狙う習性があり、戦闘でも体力が最も高い人格に取りつく性質を持つ。
なお効果は精神力が減ることだけの模様
緑色の粘液は毒性、腐食性、麻痺性の触れるだけで危険なシロモノ。
生えた足は黒く真っ直ぐな棒がジョイントで繋がれたもののようにも見え、どこか無機質な印象を覚える。
貝の中には輝く真珠があるが、それはこの幻想体が作り出した物である。
奪われても再び作ることができるようだが、輝く真珠にとっては非常に重要で、存在意義に近いものであるようだ。
緑色に汚れた干潟に、幻想体の粘液と似た物質が散乱した空間を形作る。
打ち棄てられた鉄骨のようなものも見られ、水質汚染を彷彿とさせる。
空間は4.5章 う・み・ダの舞台となったU社の裏路地と似ており、シンクレアの記録でもクラップ蟹を思い出させるとの言及がある。
鏡イベントではその干潟に「もはや何かがいるような気配がしなかった」と語られており、
「かつては美しい海であり、粘液によって現在のように汚染された」という背景の存在を示唆していると考えられる。
歩く真珠自身は粘液を振り撒くよりもむしろ口に取り込もうとしており、戦闘中にも緑色の粘液を《捕食》というスキルで積極的に倒すのだが、
それと同時にそもそも緑色の粘液を生み出したのも歩く真珠であることが戦闘でのギミックや鏡イベントでのダンテの見立てから推測できる。
そういった点からも、どことなく人間と自然の関係を思わせる。
幻想体のデザインは漫画家"伊藤潤二"の『ギョ』を参考にしたのではないかという推測がある。
幻想体自体のモチーフは韓国のガチョウに関する昔話の可能性がある。*12
戦闘中はノリノリで貝部位を左右に動かす。*13
宿した綿花
触手の付いた白い綿花の姿をした幻想体。体をゆらゆらと動かし、手招きをしてくる。
近づくと頭を下げ、綿花を贈り物としてくれるが、手を振り返すと花を赤く染め、襲い掛かってくる。
触手は根の役割を持っており、人間の血を吸おうとして来るが、とても固くて簡単には払えない。
血を吸うと幻想体の花部位が赤く染まっていく。
戦闘時には一番多く血を吸った者を集中的に狙って攻撃をしてくる。
赤い空の下、一面に広がる花畑の空間を形作る。
恐らく全て綿花だと思われる。
宿した綿花について語る上で外せないのは彼のギフトの〈白い綿花〉、通称綿花の送った歴史である。
サービス開始初期の鏡ダンジョンである「始まりの鏡」では、E.G.Oギフトの売却や合成ができなかった。
その上で宿した綿花の鏡イベントの内容は、
当時二つあった選択肢のうち一方は「判定が発生し、成功で〈白い綿花〉を獲得、失敗で再び選択肢へ」。
もう一方は「大罪との戦闘で、勝利するとこれまた〈白い綿花〉を獲得」
という、まさかの〈白い綿花〉不可避イベントであった。*14
当時の〈白い綿花〉は性能も今以上にデメリットの目立つものであり、
はっきり言って邪魔でしかないギフトだったため、綿花と綿花イベントは管理人の間ではクソだなんだと散々ネタにされていた。
その後は、ある日突然名指しでの調整が入り、戦闘勝利後の報酬がレベルアップイベント*15に変更されて神イベとまで呼ばれるようになったり、
鏡2でレベルアップイベントそのものが廃止されてまたもやクソイベに落ちぶれたり、
鏡2ハード実装のアップデートで他のイベント共々コストがもらえる効果が追加されるも、もらえるコストがやたら少ないことでやっぱりクソイベ扱いだったりと、
リンバスカンパニー全体を見渡しても屈指と言って良いほどの激動の歴史を送った。
プロムンもユーザーによる綿花の扱いは把握しているらしく、
観測記録を見てみると鏡ダンジョン内での事をヒースクリフが愚痴っている。
現在はというと、鏡ダンジョン3でE.G.Oギフトの強化が可能になったこと、リワークにより攻撃・防御レベル減少効果を得たこと、
要らなければ合成や売却もできるようになったことから、好んで獲得しようとする管理人も増えた。
鏡屈折鉄道3号線にて敵として登場することが判明した際、国を問わず多くのユーザーが反応を示した。
幻想体のモチーフは判明していないが、綿花の伝説だと思われる。
道を失った乗客
両腕が千切れており、肩から新たに腕を生やした幻想体。
顔から胴体にかけて大きく割けた口を持っている。
生やした腕は刃の形になっており、ワープ整理要員のように次元を裂くことができる。
乗客という名前であるが、能力や容姿を考えるとワープ整理要員の方が近い。イベント内では運送会社の職員と呼ばれている。
見た目に反して理性を保っている幻想体であり、頭を下げ礼をする、道案内をするといった行動が確認されている。
ワープ列車内を彷彿とさせる機械的な空間を形作り、その所々には肉がこびりついている。
またW社との関係性に関する考察はムルソーによる観測記録でもされており、
イサンの《次元裂き》では獲得時演出にW社のロゴがはっきりと写っている*16。
腕の刃で次元を裂き、過去作で爪が「血清W」の使用時見せたようなワープをすることができる。
しかし、腕を破壊されてからでも次元を裂き、逃げることができることから、次元を裂く能力自体は腕と関係ない可能性がある。単なるバランス調整の都合の可能性もある
様々な耐性があるのか不明だが、戦闘時には血の流れる次元、絶えず振動する次元、電流を吐き出す次元、毒の湧き立つ次元に潜っている。
バンザイをしているようにも見える特徴的な腕やあらぬ方を向いた目など外見のインパクトが強く、
《次元裂き》実装時には主張の強すぎる変顔でイラストに登場し笑いを誘った。
サービス開始当初は彼のギフトの〈藍色のジッポライター〉の評価が今以上に高かった*17事もあり、名前が判明していなかった当初から「ジッポくん」などの愛称で親しまれている。
幻想体のデザインはゲーム"deadspace"に登場する『ネクロモーフ』のオマージュだと思われる。
ちなみにE.G.O 次元裂きは使用者によって武器が異なるが、該当囚人のW社人格で使用している武器と同じ形式のものである。*18
道を失った心
左胸に穴が開いた人型の石像の姿をした幻想体。
体からは黒い腕が6本生えており、腕は何かしらを掴もうと蠢いている。
腕には触れることができないこともあればこちらを引き裂いてくることもあり、
鏡イベントのテキストを見るに、「道を失った心をこちらがどう見なしているか」が道を失った心の性質を左右しているように見える。
自分が他の者に触れることができない虚像のようだと悟ると自壊してしまう。
平らな床の上に、灰色の宇宙のように広がる空間を形作る。
鏡イベントで登場する際には、ダンテは「道に迷った心が行き着く先」という印象を語っている。
TGSでは"夜の思索"という名前であった。
冤鬼木
腕のような枝が生えた枯れた木の姿をした幻想体。
怨念がこもっているらしく、腕のような枝を折ると悲鳴を上げる。
しかし、満足するまで水をやるとお礼として贈り物をくれる。
長い間、水を摂取できていなかったと思われる。
ひび割れた地面の上に奇妙な色合いの空が広がるのみの、何もない空間を形作る。
鏡イベントでは「水をやる。」という選択肢があるが、2回目の「もっと水をやる。」で満足してギフトをくれるかどうかはランダムである。
そのため運が良ければ早く終わるが、逆に悪いといつまで経っても終わらない。
なまじ根気強く水を与えた際の恩恵が大きいために諦めもつかず、この幻想体に複雑な思いを抱く管理人は多い。
今日もどこかで時計頭がキレながら「もっと水をやる。」を連打していることだろう。
モチーフは『ダンテの神曲』の地獄編に訪れる"第七圏 暴力者の地獄 第二の環 自己に対する暴力"にて"ハーピー"に啄ばまれる自殺者が変化した奇怪な樹木だという推測がある。
泣きヒキガエル
青い目の巨大なヒキガエルの姿をした幻想体で、「ぐぇん、ぐぇん」と泣くのが特徴的。
その鳴き声や目や舌には人を憂鬱な気分にさせる力がある。
青黒い粘液が付いた、全体的に暗い洞窟の空間を形作る。
他の幻想体に比べ穏やかな性格であるため、こちらが危害を加えなければ襲ってこない。*19
鏡イベントでは適当に声真似をして会話を試みることができ、会話が成立した場合は共感によるものか分からないが囚人を回復してくれる。
また泣き止むまで隣に座っていてあげると、感謝の気持ちとして自分の目玉を渡してくれる。
ちなみに鳴き真似の意味が分からなかった場合は、一人で泣きたいのかどこかへ行ってしまう。
泣きヒキガエルから受ける精神被害は泣きヒキガエル自身が抱える哀しみが伝播しているものらしく、
泣きごえに耳を塞いでみせると却って被害が大きくなる、戦闘中ピンチになった際の泣きごえが途轍もない精神ダメージを持つなどの特性がある。
鏡イベントのイラストでは大きさがよく分からなかったが、戦闘が実装されて予想以上な大きさで驚いたユーザーが一定数いたようだ。
特徴的で可愛らしい泣き方であるため"ぐぇん"という愛称で呼ばれることがある。
モチーフは判明していないが、韓国の民話『은혜 갚은 두꺼비 (ひきがえるのおんがえし)』がモチーフという推測がある。
???
細い手足を持つコートを着た人の姿をした幻想体。
頭部には穴が開いており、片手にはリボルバーを持っている。
こちらに銃口を向けてくる。
伏せると銃口はこの幻想体に向いているのに、こちらに弾が飛んでくる。
逆に銃口へ近づくと幻想体自ら自分に銃口を向け、自分の頭へ弾を放つ。
モノクロの世界でビルが聳え立つ空間を形作る。
ゲームリリース前に公式X(旧Twitter)にてこの幻想体のE.G.Oと浸食した姿のイラストが投稿された。
このことからムルソーに深く関係する、もしくは異邦人から考えられた幻想体である可能性もある。
ジャン=ポール・サルトルの『出口なし』をモチーフにしたのではないかという推測もある。
???
所々に黄色い目がある、肉々しいものが人に寄生した姿の幻想体。
喰い込む天国の変異体と思われる。
全体的に喰い込む天国と似た姿で、喰い込む天国同様*20人の心に寄生する幻想体。
しかし、物理的にも合体しているように見える点が特徴的で、腹部には口のようなものまで生成されている。
この幻想体と似た枝が周りに張り付いている空間を形作る。
その目はいつも天国を見つめようとするらしく、寄生した人間にも天国を見せようとする。
目玉は閉じることがなく、それゆえ寄生された人間は天国を見つめることから逃れられない。
イベントでの「私が見たくないものを見ずにいることはできない」との文章は、天国が「見たくないもの」であるかのような印象を与えるほか、
幻想体が天国を見ようとする過程で人が悶え苦しむ光景が現れることが示唆されているなど、
ここで言う「天国」が一般的に想像されるただの楽園であるかどうかには疑問がある。
喰い込む天国のストーリーと合わせて考えても、「天国」にたどり着くためには犠牲が伴うことが前提にあるのだろう。
この幻想体自身も「天国」と形容され、「天国が人に寄生する」と表されることから、
天国のような「結果」を知ってしまえば「過程」にあるあらゆる犠牲を目にしてもなお「結果」に対する執着からは逃れられない、
という心理と関連するのではという仮説を立てることができるだろう。
前作で語られた都市の技術と人間の関係性、
すなわち「人は結果だけを享受して生きることに必死で、翼や特異点が払う犠牲の事は知ろうとすらしない」という設定とも通ずるところがあるかもしれない。
E.G.Oギフトの名前は"大器晩成型タトゥー"。
天国にたどり着くまでの道のりの厳しさを指して「大器晩成」という言葉を用いたと考えることができるだろうか。
???
人の足のような物が沢山付いている星の姿をした幻想体。
見にくいが、幻想体の背景にも同じデザインの足が描かれている。
蒼い星の変異体だと思われる。
蒼い星同様見たものは魅了され、幻想体のように青くなりそれと一体になりたいという衝動に駆られる。
幻想体は他のいかなるものをも寄せ付けない圧力を放っており、幻想体と同じ純粋な「青」であるものだけがそれを超えて幻想体に近づけると思われる。
鏡ダンジョンのイベントではその場を離れる選択肢のほか、近づく選択肢と(近づこうとして)押し返される選択肢が存在する。
近づいた場合は「青」以外の何ものでもなくなってしまうのか、人間としての正常な思考が失われていく。
一方で純粋な「青」になれなかった場合は、幻想体の「青」への畏怖ゆえに不純物である自分がそれに混じることを許せないという心理がはたらき、
そのまま「青」以外を拒絶する星の圧力に弾き返されてしまった。
宇宙のような場所だが、幻想体の付近は少し歪んでいる空間である。
蒼い星がALEPHであることや、いちいち大仰な鏡イベントでのテキストから、この幻想体もALEPHではないかという意見が多い。
???
白い仮面を付けた新郎と新婦が背中合わせにくっついた姿をした幻想体。
花で満たされている、茨でできた蜘蛛の巣の空間を形作る。
一方が一方を背に乗せ巣の中を這っているが、巣が茨でできているため常に手足に傷を負っている。
そのため、片方の血が流れ過ぎるたびに上下を入れ替える。
巣の花は"結婚した2人への周囲の関心や期待、視線"、E.G.Oギフトは"結婚 = 祝福されるべきもの"という偏見を表していると思われる。
恐らくこの幻想体は離婚したいという気持ちがあるため、束縛となっている花を取ってくれて喜ぶのだろう。
しかしながら夫婦にとって結婚は望んだものでなくとも、茨による痛みを分かち合っている様子から分かるように、彼らは彼らなりに支え合って生きている。
また、苦痛に満ちた場所であっても茨の巣だけが幻想体にとっての居場所であるらしく、巣を壊そうとすると怒りを露にする。
モチーフはジェイン・オースティンの小説『高慢と偏見』だと思われる。
他にも結婚の短所を幻想体化したのではないかという推測がある。
TGSでは"結婚蜘蛛"という名前であった。
蒸気運搬機械
ニキシー管が4つ付いた、蒸気機関で動く機械の姿をした幻想体。
左右非対称なデザインで、片方の腕には蒸気銃が付いている。
逆行時計の変異体と思われる。*21
荷物が沢山置かれた、蒸気で包まれている工場のような空間を形作る。
黙々と荷物を運び、その荷物が運び終わるとニキシー管の数字が増える。
こちらが荷物を運べと命令した際、自分のニキシー管を新たな物に交換し、数字が増加したニキシー管をこちらへ渡してくる。
早く運べと命令すると命令通り運ぶ速度が上昇するが、命令をしたこちらも荷物扱いをする、
何もするなと命令すると、"何もしないということをしてしまう"矛盾に何かエラーが起きてか体の温度が急激に上がる異常な状態になってしまうなど、
思考能力はかなり低いことが見て取れ、命令されたことをひたすら実行するという機械であるようだ。
専用バフ蓄積された過去を消耗することにより、体力を回復させる。
他にも胴体を破壊すると蓄積された過去を全て失うと同時に胴体の耐性が大きく上がるなどの様子から、
過去を失うことによって状態が巻き戻り、新品だったころの状態に戻っていると考えられる。
E.G.Oギフトと幻想体の能力を見るに、ゲーム『STEINS;GATE』の"ダイバージェンスメーター"の要素を取り入れていると思われる。
夢見る電気羊
紫色の電気を放つ雲の胴体を持つ、足の長い羊の姿をした幻想体。
空虚な夢の変異体だと思われる。
雷が激しい、夜の都市のような空間を形作る。
この幻想体にはケーブルが繋がれており、都市の発電機のような扱いを受けている。
幻想体は苦痛を味わっているが、代わりに都市に住むたくさんの者が電気を使えている。
ケーブルを切ると、幻想体は嵐のような鳴き声と共にどこかへ去っていく。
電気羊は自由になるが、電力源がいなくなって闇に包まれた都市からは泣き叫ぶ声が聞こえてくる。
逆にケーブルを追加で繋げると、幻想体は更に苦痛の声を上げ、都市の光が激しくなった末、幻想体は力尽きたように眠ってしまう。
モチーフはフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』だと思われる。
衝撃ムカデ
電気が流れる、機械のムカデの姿をした幻想体。
グレゴール曰く、体の鉄板は断面が鋭く研がれた全身刃のようだ。
研究所のような空間を形作る。
しかし、この幻想体のいる空間は水槽の中である。
水槽の前には電気の形をしたボタンと雫の形をしたボタンが設置してある。
水槽の案内表示を見るに超高圧の電気を放出できるようで、「ムカデに刺激と苦痛を与えれば放出する電気の強度がより強くなります。」と書かれている。
電気の形をしたボタンを押すと機械が稼働し、充電池が排出される。
ムカデが発生させた電気を奪い、充電池に入れて取り出すためのボタンのようだ。
体を動かす電気を奪われたためか、こちらのボタンを押した際はムカデはじっとしている。
雫の形をしたボタンを押すと、水槽が水で満たされ、ムカデがうねうねと動き回る。
ムカデが動く度に火花が走るという描写や水槽の案内から推測するに、
電気の短絡(ショート)でムカデを苦しめて暴れさせ、電気の放出を強めるためのボタンのようだ。
両方のボタンを押すと勿論、両方とも作動する。*22
この幻想体はとぐろを巻くことにより体内に電気を溜めることができる。
幻想体は本来物理法則といった通常の理屈に縛られる存在ではないが、
衝撃ムカデはショートや通電といった物理法則に則ったような法則を通じて動いているようだ。
同様に、電気刺激によって神経が動くのを再現したかのように、体力が尽きても専用バフ自家発電が無くなるまでは動き回ることができる。
E.G.O名の《AEDD》が何の略であるかは不明だが、ギフトとして〈制限解除された除細動器〉*23が追加されたことにより、
自動体外式除細動器(AED)に何かしらの単語を付け加えたものである可能性が浮かび上がった。
ヒースクリフ、グレゴール共にE.G.O 《AEDD》の服装がN社九人会の服装に酷似しているという意見がある。
kqe-1j-23
肉と機械が融合した姿をしたロボットの幻想体。
電子的なエフェクトが発生した工場のような空間を形作る。
鏡イベントの<ようこそ、お客様。町の見学は楽しめましたでしょうか?記念品を贈呈いたします。>という文言や
グレゴールの観測記録から、この幻想体は昔、町の見学案内として使用されていた記念ロボットらしいことが見て取れる。
幻想体の胸には入力が可能な端末が付けられており、入力した文字によって行動が変わる。
今なおプログラムに従って行動しているらしく町の見学案内のマニュアルに沿ったらしい応答をするが、
問い合わせ先である管理者が不在であるなど既にまともに機能はしておらず、こちらの返答一つですぐに深刻なエラーを起こしてしまう状態にある。
一方、<バカ>と打つと怒ったような素振りを見せることやダンテが幻想体から「助けて」という叫びを感じ取ったことなどから、自我が存在する可能性がある。
戦闘中には「町の住民の心臓」という敵が現れるが、ロボットとよく似た機械的なフォルムをしており破壊されるとkqe-1j-23が混乱することから、
観測記録でグレゴールが推測している通り、その心臓はkqe-1j-23自身のものであると考えられる。デカすぎんだろ…
すなわち、《これからよろしくお願いします。お隣さん》といったスキル名から見てもkqe-1j-23は彼が案内する町の住民の一人である可能性が高く、
人間の町で運用されていた機械、というよりはむしろ機械の住む町の住民、あるいは町の住人が機械と融合させられたものなのではないかと思われる。
肉や血の混ざった姿や助けを求める姿、人間を新たな町の住民として歓迎する様子から見てもそれなりに妥当な仮説だろう。
そして識別番号がkqe-1j-23は"O-06-20-02"、何もないは"O-06-20"と最後の数字以外同じであることから、kqe-1j-23は何もないの変異体という推測がある。
しかし、リンバスカンパニーの分類はロボトミー社での分類とは異なるという設定のため、完全な根拠とはなり得ないか。
また、何もないのモチーフが『The Thing (遊星からの物体X)』なのに対し、kqe-1j-23のモチーフは『Virus (ヴァイラス)』であると考えられている。
このことから、変異体ではなくとも、意識はしている可能性がある。
幻想体のモチーフは上記の作品に登場するサイボーグ。
(モチーフ元の映画から何もないとkqe-1j-23が変異体と推測している記事)
???
紫色の髪、白い服を着た、少女の姿をした幻想体。
E.G.Oギフトと同じ人形を抱えている。
血が付いた沢山の落書きがされた、暗い部屋の空間を形作る。
本人曰く、この空間は幻想体だけの空間らしい。
出会うといきなり「私が決めた方法で遊ばなきゃダメなの!」と言い、じゃんけんを挑んでくる。
幻想体はチョキを出すと宣言の上、チョキを出してくる。それに対し、
こちらがグーを出すと「お前の負け。」と言い、片腕を巨大なハサミに変え、腕を切り落としてくる。
パーを出すと「あなたの勝ち。ハサミは布があってこそ役に立つんだから。」と言い、人形をくれる。
チョキを出すと「引き分けたじゃない。私がチョキを出さないとでも思ったの?」と言い、自身のことを信じてくれない者とは遊ばないとでも言うように去ってしまう。
知っての通り現実のじゃんけんも理屈に則って出す手の相性が決められているわけだが、
彼女のじゃんけんのルールは現実のそれよりも深い洞察に基づいて相性が決められているようだ。
景品として人形をくれる際も、「はさみと布で作った人形だよ」と道具や材料の価値を強調するようなセリフを言う。
なかなか理不尽なじゃんけんを持ちかけてはくるものの、モノの価値について深く考え尊重する心を持った少女だと言え、
不気味な空間や笑い方にはそぐわない一面も持っているという印象を受ける。
TGSでは"解消"という名前であった。
???
人の皮を被った多脚の生物の姿をした幻想体。
恥ずかしがり屋の今日の顔の変異体と思われる。
足が複数あり、蜘蛛のようになっている。
ボロボロになった廃墟のような空間を形作る。
幻想体が話す時は同じ言葉を繰り返し言ったり、言葉と言葉の間の繋がりが分かりづらかったりと大勢が同時に話しているような印象を受けるほか、
一人称として「私」のほかに「私たち」を使うセリフがある。
この事から幻想体は集団をモチーフにしていると思われ、足が非常に多いのもそのためと考えることができる。
また、出会った際は自身がした表情を話したり、これからするべき表情について問いかけたりしてくる。
笑えば良いと言うと狂ったように笑うが、被っている人皮は破れ、笑顔をつくるためにかこちらの皮を奪ってしまう。
泣いてと言うと、あらゆる生命が一斉に泣き叫ぶような声を発し、精神的な苦痛を振り撒く。
何の表情も浮かべるなと言うと、どうすべきか分からずじたばたした末、被っていた皮の仮面を残して消えてしまう。
皮の仮面は〈今日の表情〉というギフトであるが、表情の主はいないためその名に反して完全な無表情である。
恥ずかしがり屋の今日の顔は、本来個人の感情を反映するものであるべき「表情」に対して社会が与える圧力をテーマにした幻想体だったが、
この幻想体も表情に対する「正解」を求めていることから、似たようなテーマを持っていると考えられる。
両者の違いとして、恥ずかしがり屋の今日の顔は表情を強要されることにストレスを感じた末の姿であるのに反し、
こちらは逆に何らかの表情を求められることを期待している点、
それから前者は社会から孤立してしまった存在であるのに対し後者は集団そのものであるといった点が挙げられる。
そういった点では対極にある幻想体とも言えるだろうか。
鏡ダンジョン内でのイベント選択の1つ「笑えば良いと思うよ。」は『新世紀エヴァンゲリオン』の"綾波レイ"の「こんな時、どんな顔をすればいいか分らないの。」という問いに対して"碇シンジ"が答えた「笑えばいいと思うよ。」が元ネタだと思われる。
飲んだくれ
褐色肌で露出度の高い服装の人型幻想体。
紳士妖精と同じくお酒が好物であり、こちらにも勧めてくる。
酒樽が沢山置かれた、蒸気が立ち込めている空間を形作る。
幻想体に勧められてお酒を飲むと飲みっぷりを喜んでくれるほか、お酒は体の調子を良くしてくれる薬酒であるらしい。
薬酒は体に合わない者が飲んだ場合は尋常でなく体調を崩してしまうようだが、
幻想体はそんな様子を見ると、勿体ないと言いつつも「もう呑まない方が良い」と気遣ってくれる。
しつこくお酒を勧めてきたりと酔っ払いのおじさんのような幻想体で面倒臭いが、
断固として断っても興醒めしたとその場を去るのみで危害は加えてこないなど、他の幻想体に比べ危険性は低い。
???
人間の頭蓋骨の姿をした3体の幻想体。
尖った物が沢山生えた、牢獄のような洞窟の空間を形作る。
この幻想体には胴体がないため、転がりながら移動してくる。*24
それぞれ歯をカチカチと鳴らしながら様々な表情を浮かべる。
1つの骸骨は何が楽しいのか分からないが、歯を鳴らしながら笑っている。
別の骸骨は気分が悪いのか、何かを嚙みちぎろうとするかのように歯を鳴らしながら怒っている。
そしてまた別の骸骨は気が狂ったように不規則に歯を鳴らす。
どの骸骨も持ち上げた者によっては急に無表情になり、噛みついてくる。
四百輪の薔薇
KR : 사백 송이의 장미 EN : Four-hundred Roses CN : 四百朵玫瑰 |
---|
識別番号 : F-04-16-04 |
危険度 : WAW*25 |
E.G.O : 渇望-ミルカラ |
血の湧き出る泉に咲いた、大きな薔薇の姿をした幻想体。
ノスフェラトゥの変異体だと思われる。
根が張られた、赤い洞窟のような空間を形作る。
かつては小さく美しい薔薇であったようだが、誰かが流した血をひっきりなしに飲んで今は巨大に成長している。
その様子は忌まわしいものではあるが、花はただ血のある場所に咲いただけであってその血が流れる原因を作ったわけではない。
そのため湧き水を塞いで血を飲ませないようにしても、代わりの血を求め襲われるだけの結果に終わる。
逆に湧き水の入口を広げて血を飲みやすくすると、血を飲ませてくれたお礼をくれる。
E.G.Oギフトの名称からモチーフは"シェリダン・レ・ファニュ"の小説『カーミラ』だと思われる。
そのため、この幻想体はノスフェラトゥのように血鬼に関連する幻想体である可能性がある。
???
複数のガラス瓶がくっついたような姿をした幻想体。
中には桃色の液体がうねっている。
木造の実験室のような空間を形作る。
ガラス瓶の中にある桃色の液体は複数個体に分かれており、独自の表情を持つ。
液体が動くことによりガラス瓶が動き、フラスコ全体を移動させているようだ。
鏡ダンジョンのイベントではその液体の1つが他の液体によって外へ追いやられてしまう。
どうやら他の雫にいじめられていたらしいその雫にとってガラス瓶の中は地獄のような環境だったらしく、
雫を元居たガラス瓶の中へ戻そうとするとむしろ恨まれてしまう。
その代わり雫を慰めてあげることが助けになり、感謝の証として贈り物をくれる。
ファウストのシンボルがこの幻想体の姿/ギフトと酷似している。
他にもギフト名が〈フラスコの中の子供〉であることからモチーフは『ホムンクルス』だと思われるが、詳細は不明。
???
笑顔の白い楕円状のロボットの姿をした幻想体。
何でもお手伝いしますの変異体だと思われる。
幻想体 何でもお手伝いします同様、胴体から腕を伸ばせるが、腕の先には掃除道具が付いている。
鏡ダンジョンのイベントにて最初に「私は何でも拭いて差し上げます。」と名乗っていることから、恐らく名前は「何でも拭いて差し上げます」だと思われる。
清掃が好きな幻想体であるが、他のモデルに色々な機能が付いていることを自慢されたことをきっかけに、
何か優れたものを持っていないと特別な存在にはなれないのかと悩んでいる。
「私はこのままでも特別ですか?」と問いかけてはくるものの彼自身の中では「自分は特別ではない」という答えが出ているらしく、
安易に「特別だ」と慰めようとしても、その答えも「特別になりたい」という気持ちも自ら否定して去ってしまう。*26
逆に特別ではないと答えると、特別になれなかった自分を受け入れられないかのように、自身のパーツを外し、何か他の物をくっつけようと暴れる。
その後「私は特別になりたかったようです。」と言い残し、消えていく。
ギフト名は〈幻想狩り〉。お掃除ロボの持つスプレー缶のような見た目にしては妙に物騒かつヒロイックな名前。
特別である存在に打ち勝つ力を秘めている、ということなのだろうか。
???
黒い煙を背中から出している、老人の姿をした幻想体。
ダンテの見立てによると幻想体から出ている煙は「孤独」を具現化したもののように感じられるらしい。
老婆の変異体と思われる。
灰色の狭い、木造の空間を形作る。
天井が高い代わりに幅が狭い部屋で椅子に座り、絵を凝視している。
絵はこの幻想体の家を描いたものであるが、彼はその場所に帰りたくとも帰れなかったらしい。
そのため、絵を眺めているだけでも悲しみが湧いてくるが、凄まじいまでの未練により絵を見ずにはいられないという矛盾を抱えている。
鏡イベントではその未練を断ち切るために、いっそ自分から絵を取り上げて持ち去って欲しいという頼みを受ける。
彼の家である絵を持ち去る際には、「儂が君の家を奪う前に、早く持って逃げるんじゃ。早く。」と意味深なことを言うが、
その言葉が「君が今持っている我が家の絵」という意味での言葉なのか文字通りダンテらにとっての家を指すのか、詳細は不明。
E.G.Oギフト"帰路"に描かれた風景が幻想体 帰り道/臆病な猫の空間*27と似ている点、幻想体自体が元の家に帰れない特徴が帰り道と似ている点などから
"ライマン・フランク・ボーム"の『オズの魔法使い』に関連するという推測がある。
???
頭部がなく痩せた胴体と6本の腕を持つ、人型の幻想体。
一番低い星の幻想体と同じく蒼い星の変異体、もしくは関係する幻想体だと思われる。
青紫色の夜空のような空間を形作る。
6本の腕にはそれぞれ蒼いガラス玉を持っているが、幻想体はそのガラス玉のことを星だと言う。
ただの蒼いガラス玉だと否定しても判定の成否によっては「君がそういう風に見たいのなら。そう見た方が良いんじゃないのか?」とこちらを肯定してくれ、
実際にはその信念をあまり重要視していないように思える。
彼曰く彼は元々蒼い星に居た存在であり、今はそこへ戻りたいと願っている。
しかし戻ることができないため、ガラス玉を自身から発している光で輝かせ、自分自身が星となれるように振る舞っているのだという。
その玉が星であることをこちらが認めてもなお彼は自分の行いを虚しく思っている様子で、その思慕の念の強さが窺える。
ちなみに幻想体の背後にある雲が手のような形状になっている。*28
モチーフは不明だが、蒼い星とデミアンが関係しているという推測が多くある。
デミアン陣営(星は主になる者たち)が済州島の神話に関係している推測がある。
(上記の翻訳)
この推測に付随して、この幻想体は칠성신(七星神)などと関連していると思われる。*29
???
ムカデのような下半身を持つ、布を纏った人型の幻想体。
文字のようなものが書かれた紙が貼られた、礼拝室のような空間を形作る。
幻想体からは腐った死体の臭いがしており、全身に祈祷書がくっついている。
地面には無数のムカデが這っており、血のようなものが重力に逆らって浮いている。
何かを祈って信仰しているが、信じるものは何かと問うと、怒ってこちらへ攻撃をしてくる。
信仰心や信仰そのものを重んじているらしく、それに意義を求め疑問を投げかけることは彼の信心への侮辱にあたるようだ。
身体に付いてる祈祷書を取っても何もしてこない。
信仰に夢中になってそもそも気づいていないこともあるが、もしバレても攻撃をしてくることはない。
異様なまでの信仰心を持つ彼にとって、信じるものとは自分の内にあるものであり、既に祈祷書は必要としていないらしい。
煙戦争第4戦線
複数の死体が絡み合って、蛇もしくは虫のような姿をした幻想体。
煙戦争と酷似した、もしくは同じ風景の空間を形作る。
数多の死体が鉄条網と共に絡んで1つの生命体のような形を作っている。
鏡ダンジョンのイベントではその形態を「達成した平和の形象化」と呼んでおり、また戦争の犠牲者を鉄条網が一つに縛っているという描写があることから、
「平和のための犠牲となった者」や、「平和を謳歌する人間のもつ犠牲に対する無関心」に焦点をあてた幻想体と考えられる。
平和は生き残った者たちによって築かれ、また生き残った者同士がかつての敵を隣人として手をとりあっていくが、
もたらされた平和が既に死んだ者の味わった苦痛を和らげてくれることはない。
そのため数多の死体は鉄条網によって絡まり、今なお苦痛の中で戦場を這っている。
かつては敵同士であった者が鉄条網によって一つになり、苦痛と共に「お互いに目と肉を合わせさせ」られていることが強調されているのは、
決して取り返しの付かない「死」という犠牲を強いられた者たちにとって「和解」や「平和」という結末すら押しつけられたものでしかない、という意味だろうか。
指先を切り、血を鉄条網の上に流すことによってその痛みへの理解を示してやると幻想体もこちらへ憐れみを向けてくれるが、
実際にはその戦争に参加しなかった者にとって彼らの苦痛を完全に理解することは不可能である。
生半可なやり方ではむしろ、そのような方法で自分たちを理解できると思った傲慢さに対する怒りを買ってしまう。
鉄条網を少し取り外すことは難しくないようだが、幻想体の果てしない苦痛の前では大きな意味をなしえない。
また、半端な気持ちで鉄条網に触れるとその中に飲み込まれて傷を負ってしまう。
安易に解決を求めるよりもその痛みを理解してくれることを願っている、と解釈することができそうだ。
正確には不明だが、トロイア戦争にて使用されたトロイアの木馬がモチーフだと思われる。
???
頭にエンケファリンボックスを被っている、拘束された人型の幻想体。
捨てられた殺人鬼の変異体と思われる。
ロボトミー社の幻想体収容室のような空間を形作る。
埋没したロボトミー社の支部で救出されず、ずっと生き残っていた職員から生まれた幻想体だと思われる。
いつ幻想体によって殺されるかも分からない中で救出を待つ時間を耐えるため、エンケファリンボックスに頭を突っ込み、現実逃避をするしかなかったようだ。
そのため、エンケファリンが溢れるのを止める首元のOリングを切ろうとすると幻想体は拒んでくる。
ちなみにエンケファリンに漬かっていた頭は既に人間のものとは思えない形状になっているらしい。
「ドン―ドン―ドン―」とドアに頭をぶつける音にはリズムがある。
彼をそっとしておく事を選んだ時そのリズムに歓喜が籠もっているようにダンテが感じたこと、
また「私たち」はエンケファリンに頭を浸したと幻想体が語ることから、
エンケファリンボックスを被った職員同士そのリズムで意思疎通をとっていたのかもしれない。
他の社員が別の場所に存在するのか、既に幻想体に殺されてしまったのかは不明。
薔薇の狩人
蔓でできた馬に乗る、頭部が薔薇の人型幻想体。
緑色の蔓だらけの森の空間を形作る。
依頼でとある人を狩ろうとしている。
そのとある人とは彼と出会う前に囚人たちへ匿ってもらおうと寄ってくる、呪われて捨てられた林檎。
恐らくこの林檎は白雪姫の林檎であり、依頼人は黒檀女王の林檎なのだと推察される。
彼と依頼主は「物語は筋書き通りに進むべき」という思想を持っている。
「白雪姫を殺す役目を果たせなかった林檎」という存在が筋書きに反し姫になることがないよう女王から依頼を受けたと考えられるが、
それゆえに林檎を匿ってやったとしても、それが新たな「物語」であると彼が判断したなら(林檎に気づいていそうな素振りに反して)そのまま見逃してくれる。
しかしその際、「それがそなたによって違えられたのであれば、その責任を負わねばならぬだろう。」と意味深な言葉を残していく。
「物語を生み出した者はその物語が登場人物に辿らせる運命に対して責任がある」ということだと思われ、
前々作、前作に登場するとある人物らの関係性を思わせる。
モチーフはグリム童話の『白雪姫』に登場する猟師(狩人)だと思われる。
???
トカゲのような姿をした幻想体。
尻尾の先は人間の手になっており、人差し指でこちらを指している。
口からは恐らくE.G.Oギフト 茨の道を出している。
見えにくいが背中に巨大な目も付いている。
空の見える白い宮殿のような空間を形作る。
幻想体曰く、天の指示官に仕える存在らしく、指示する者が誰であろうと"指示に従う"ことを責務と考えている。*30
指示をする際の声から目的性を判断しているようで、濃いと認知すると従い、薄いと無意味な指示と判断し、罰を与えてくる。
何も指示をしないと、その行為自体を罪であると判断し、敵意を向けてくる。
しかし、「慌てて手を振りながら弁解した。」という行動に対して、「...指示を理解した。そういう意味だったのか。」「指示は遂行されるであろう。」と返し、その場を去る。
恐らく"指示をしたくなくてしない"ではなく、"指示をしたいができない"と判断したと思われる。
背景にはゲーム内マウスカーソルに酷似したオブジェクトがある。
人差し指でこちらを指し、何か指示を求め、その指示に従うことから、裏路地組織である人差し指に関連しているのではないかという見解もある。
〈文字の刻まれた石板〉*31と天の執行官の補佐と同様、天の補佐シリーズに該当する幻想体だと思われる。
そのため大天使の一人であるミカエルをモチーフにしたのではないかという推測もある。
塔右饒
4本の腕を持つトルハルバンの姿をした幻想体。
手足はモチーフ元の石像とは違く、細長い形状である。
穴のあいた石が山積みになった空間を形作る。
幻想体は願いが込められた石塔と誰かの墓の石塚を積んでいる。
石塔には誰かの願いが込められており、こちらも石を積むことができる。
しかし崩してしまうと代償として、物理的なダメージと精神的なダメージを負う。*32
石塚には誰かが生き埋めにされており、石塚を崩そうとするとこちらも石塚の中に閉じ込められてしまう。
幻想体のデザインは韓国の済州島を象徴とする石像"돌하르방 (トルハルバン)"である。
「穴のあいた石でできた山」から黒い穴の空いた玄武岩が多い済州島を表してることが分かる
済州島の人々は墓を山と表現するため、幻想体が作っている石塚は村に厄が入るのを防ぐために建てられた"방사탑 (防邪塔)"とも考えられる。
韓国では石に願いを込めることが歴史的にあるが、幻想体の名前は仏に対する称賛及び、極楽王生を祈願する"탑돌이 (塔돌이)"である。
これらのことから、全体的なモチーフは済州島の石に関する歴史などだと思われる。
足長妖精
細長い手足を持つ人型の妖精の幻想体。
片手で大きなクローバーを傘代わりに差している。
緑色の葉が生い茂る森の空間を形作る。
妖精の祭典の変異体だと思われる。
幻想体がいる空間には粘性の高い雨が降っており、幻想体曰く触れると溶けてしまうようだ。
その為、幻想体は大きなクローバーを傘のように使用している。
幻想体は紳士妖精のような親切な姿を見せ、丁寧な喋り方で自身の傘の中へ入ることを勧めてくる。
しかし、それは獲物を手間なく得るための罠である。
雨に触れると溶けるというのも嘘で、実際は逆に治癒効果がある雨のようだ。
同じ変異種と考えられる紳士妖精とは違い、妖精の祭典のように獲物を食べるために相手にとっても利益となる行動を取る。
ただこの幻想体は発声による会話が可能なため、言葉巧みに相手を騙す方法で獲物を捕まえる。
紳士妖精同様胴体に口が付いており、片腕は異様な程伸びている。
自身のことのみを考える妖精、そして名前が"足が長い"という点しか触れていないことなどから
モチーフはアイルランドの伝承に登場する妖精"レプラコーン"だと思われる。
???
ほのかに緑色に発光する、姿がはっきりしない幻想体。
次元屈折変異体の変異体だと思われる。
次元屈折変異体 同様薄っすらと顔のようなものが見える。
何もないセメントの部屋の空間を形作る。
ダンテ以外の囚人たちには認識できない存在である。
だが部屋の明かりを消すことにより、微かに見えるか程度になる。
光があると見えないが、自ら光るわけではなく、心の中でのみ投影できる存在である。
この幻想体自体が他の次元に繋がっており、触れると溶けてしまう。
しかし実際には溶けておらず、別次元の手と代替されているだけである。
イベントにてダメージを食らうことから、溶けるような痛みと同時に別次元の物に代替されているのだと思われる。
妖精提灯
緑色の妖精が留まっている木の枝の姿をした幻想体。
胴体は地面の中にも埋まっているため、妖精部位が破壊されていないと見れないが、実際には埋まってる部分に黄色い目が沢山ある。
肉の提灯*33の変異体だと思われる。
様々な花や背の高い木が生える森の空間を形作る。
通常は上記で書いた通り、本体部分が埋まっており、枝に妖精が留まっている。
この状態は擬態であり、妖精は自分の元へ引き寄せる魅了効果を持つ。
足長妖精と同じように、相手を騙して捕食するという方法を取っている。
しかし足長妖精は01であり、面倒だからああいった手段を取ったと人間らしい所がる。
それに対してこの幻想体は04であり、戦闘でも同じパターンを繰り返すのみであることから、足長妖精とは違い、魅了する方法しか持っていないということが分かる。
「もっと楽で居心地の良い場所に案内してくれるような気もした。」という風に楽な場所が妖精の近くだと思わせる魅了のようだ。
ちなみに自身の近くで休息を取らず、その場から離れようとすると魅了できなかったと判断したためか、枝を伸ばし強行してくる。
E.G.O名が肉の提灯と同じく"提灯"であるため唯一名前が被っている。
実装時は識別番号が"F-01-11-15"と足長妖精のIDが間違って付けられていたが、今は修正されている。
E.G.Oギフトの名前が"真冬の夜の悪夢"であるため、"ウィリアム・シェイクスピア"の『夏の夜の夢』に関連する幻想体だと思われる。
???
履歴書で作られた蝶の頭部を持つスーツ姿の人型幻想体。
幻想体の周りにはギフト"死にたがり"のような蝶が舞っている。
死んだ蝶たちの葬儀の変異体だと思われる。
白黒の裏路地のような空間を形作る。
死んだ蝶たちの葬儀 同様、胸から腕が1本生えており、その腕で電子端末をいじっている。
幻想体曰く、この空間には自身と似た者たちがおり、皆大手会社の面接を受けたようだ。
全ての者が幻想体と同じような存在なのか不明だが、この幻想体は落ちたと知った際、頭部の蝶が羽ばたいて胴体を捨て消えていく。
幻想体はもし面接に落ちたとしても飛んでいきたいという気持ちがあったため、頭を履歴書に変えたという。
ちなみに片手で持っている袋には蝶の頭部が入っており、合格したと言われた際にはその袋を置いていく。
モチーフは不明だが、競争社会である韓国の新社会人と"落ちる = 社会的死"を合わせた存在だと思われる。
上記で書いた通り、頭部の蝶は履歴書でできているが、その1枚にロボトミー社のロゴのようなものが描かれているという意見もある。
死んだ蝶たちの葬儀の変異体とも考えられることもあって、この幻想体もロボトミー社へ入社しようとしていたのだと思われる。
凶弾の射手
頭部が赤い煙のような人型幻想体。
魔弾の射手の変異体だと思われる。
魔弾の射手は長銃を使用するのに対して、この幻想体は散弾銃を使用する。
煙戦争のような空間を形作る。
背景の建物には、顔に穴が開いた旧G社の兵が描かれている。*34
この幻想体は戦争の最中に悪魔と契約を行い、「何でも破裂させられる銃」を手に入れた。
契約は、「最後の弾丸は愛する人の頭を破裂させる」というもの。
幻想体は何らかの手段で愛する人を忘れてしまうことで契約による殺害を回避し、躊躇なく銃を撃ち続けていた。
愛する人を自身は覚えてないが、撃った相手は覚えている。そんな相手を撃つことを痛快に感じている。
鏡ダンジョンのイベントの「射手の味方」というのは恐らく、愛する人を忘れた者同士という意味だろう。
判定に失敗した際、こちらが愛する人を忘れていないことを知り、敵対してくる。
しかし愛する人を忘れることを決めても(恐らくその人の写真の入った)ペンダントを手放すことはできなかったらしく、それを見ると愛する人を思い出してしまう。
その事に怒りこちらへ発砲してきた弾丸は空中に消えてしまったが、これは恐らくこの幻想体が愛する人の元へ向かったのだと思われる。
幻想体は絶望と共にへたり込み、この結末を待ち望んでいた悪魔の笑いが聞こえてくる。
なお、彼は散弾銃を使用するが、彼から抽出できるE.G.Oの《凶弾》はライフル銃であり、
E.G.O使用時のアニメーションでも魔法陣を通過する前は発射されている弾丸も1発のライフル弾であることが確認できる。
モデルは恐らくリー・エンフィールド。(その内のSMLE Mk.ⅢかMk.Ⅰのどちらかに見える)
『嵐が丘』の舞台でもあるイギリスで陸軍に採用されていた銃であり、軍人としての背景を持つ凶弾の射手から抽出できるE.G.Oにふさわしいと言える。
幻想体の英語名"Der Fluchschütze"はドイツ語で"呪いの射手"という意味になる。*35
???
紙でできた蛇のような姿をした幻想体。幻想体と同じような紙で一杯の狭い部屋の空間を形作る。
この幻想体は今まで放置されてきた課題側の目線で、課題を後回しにしてきた学生などへの怒りを持っている。
課題にも提出してほしいという欲求があるようだ。
この空間に課題が残っている者が訪れると、その者の課題が現れガサガサと音を立て始める。
鏡ダンジョンのイベントにて「(課題を先延ばしにしたことが)無い」と答えるとE.G.Oギフト"特別契約"を貰えるが、
文脈的にこれは"今後も課題を放置しない"という幻想体との契約だと思われる。
「お前は課題を先延ばしにしたことあるか?」とこちらを疑ってかかってきた割には、
ただ一言「無い」と答えるだけであっさり信じてしまい「強い信頼」すら露にするという点が特徴的。
もらえるギフトが強力な割に、信じてもらえるかどうかの判定なども存在しない。
なんだかんだ課題をバックレてもどうにかなってしまうことの比喩…かどうかは不明だが、何らかの意図を込めての描写に思える。
課題に関連するギャグ性のある幻想体であるため、大学生限定で一番恐ろしい幻想体だと扱うネタがある。モチーフも恐らく、課題に追われる大学生などだと思われる。
そのため、根源のアルファベットは"T"だと考えられる。
???
ベットの骨組みと融合した看護師の姿をした幻想体。
ちなみにキャスターには手が付いている。
血液採取パックの幻想体と似た姿をしている病院シリーズの1体。
病院の廊下のような空間を形作る。
胴体がベットと融合しているため、ベットのキャスターで移動している。
頭部には点滴が繋がっており、そこから赤い液体を注入されている。
イベント文から察するに、栄養を与える通常の献血の逆で、栄養を吸い取っていたのかもしれない。
判定失敗時では誤って注射器の針が刺さってしまうが、直後に目眩に襲われていた。
イベント文では患者と推察されているが、服装が看護師にも見えるため、詳細は不明。
しかし、幻想体自体は"療養を行う患者"というよりかは"養分を取られる被験者"の方が近いと思われる。
正確なモチーフは不明だが、4本足のベットと先端に人型の上半身がくっついていることから"ギリシャ神話"に登場する半人半獣"ケンタウロス"だと思われる。
幻想体のデザインは『サイレントヒル』シリーズに登場するナースのオマージュだと思われる。
???
医者のような恰好をした7つの人間の頭部を持つ幻想体。
植物のように長い首で1つの体にまとまっており、胴体からは聴診器が2本生えている。
病院シリーズの1体。
廃病院の手術室のような空間を形作る。
各頭部に意思があり、お互いで会話もできるようだ。
幻想体曰く、この病院は庭園であり憩いの場である。
鏡ダンジョンのイベントでは判定を行うと、成功失敗の結果は関係なくギフト"鎮痛剤"が貰える。
そしてこの幻想体は複数の医者から成る存在であるが、特別凄い技術を保有しているわけでもないため、手術を失敗することがある。
これらのことから、この幻想体の行う手術というのは痛みを誤魔化しているだけなのではないだろうか?
成功しても失敗しても精神的な被害を負ってしまう。*36
携帯用救急セットの幻想体がこの幻想体の患者の1人だと思われる。そのため手術に良いイメージが湧かない。
正確なモチーフは不明だが、複数の頭部を持つ姿から"ギリシャ神話"に登場する怪物"ヒュドラー"だと思われる。
???
長い首を持つ二足歩行の幻想体。
玩具売り場のような空間を形作る。
頭部にはハンマーが付いているため、重力に逆らえず、思いっきり地面に叩きつけてしまう。
再びこの頭部を上げるためには尻尾部分にあるフラスコに血を満たさなければならない。
力づくで持ち上げることも可能だが、不安定であるため、再び頭部が落ちてしまう。
モチーフは熱力学で作動する熱機関の玩具"水飲み鳥"である。
???
金色色の壺に頭から入った人型の幻想体。
腹部には大きな口があるが、関節が逆方向に曲がっているため、正確には背中にある。
大きな金庫のような空間を形作る。
幻想体は欲望の結果なのか、頭から壺の中に入ってしまい、胴体で1つの大きな手のひらのようになっている。
壺から頭を取り外そうとすると、拒まれてしまう。
外せたと思っても、最後まであきらめず壺を掴む執念を見せつけてくる。
モチーフは韓国の"過度の欲望は災いを呼ぶ"ことを教訓とした童話『요술항아리 (魔法の壺)』だと思われる。
幻想体を抱きしめた結果、ギフトとして獲得するコストが増える壺が貰えるが、
ギフトは童話に出てくる"入れた物が増える壺"であり、幻想体は"その壺を手に入れた金持ちに起きた悲劇と結末"である。
???
標識を持つローブを被った、無数の頭部を持つ幻想体。
砂漠のような場所にある道路のような空間を形作る。
幻想体は道路で大きな標識を持ち、道を案内している。
大きな道を進めば、再び戻ってくるまでに沢山の時間が掛かる。
脇道を進めば、あまり好感を抱かれないが通してくれる。
幻想体曰く、"交通の神様"という存在が許さない方便であるようだ。
どちらの道も選ばず、引き返すと良い選択だと言ってくれる。
正確なモチーフは不明だが、幻想体は"交通の神様"という存在を信じている。
他にも大きな道は進むのに沢山の時間を必要とする点、高速道路のような空間である点などから、古代ローマ時代に主要都市を結ぶように作られた"ローマ街道"を表現しているようにも考えることが出来る。
そしてギリシャ神話をモチーフにしたと推測される病院シリーズや天使をモチーフにしたと推測される天の補佐シリーズがあるため、この幻想体もローマ神話をモチーフにしたと考えることもできる。
そのため幻想体自体のモチーフは商業・盗賊・通信・旅行を司る男神である"メルクリウス(/ヘルメース)"だと思われる。
TGSでは"ルート887"という名前であった。