Adobe Flash / Flex / AIR / PDF/RIAシステム構築ガイド #19
RIAシステム 構築ガイド Essential
RIAコンソーシアムが発行する、RIAの普及促進や開発に関するガイドライン『RIAシステム 構築ガイド』の2007年版である『RIAシステム 構築ガイド Essential 2007』をWeb担向けに特別にオンラインで公開するコーナー。
アニメーションからバナー広告、業務アプリまで
Flashは、そもそもアニメーション制作ツールという位置づけで誕生しました。それまで、Web上の画像はビットマップ系のものしかなかったのですが、そこにベクトル系の画像(画像に数値計算式的処理が活用できる)という概念を持ち込み、拡大縮小と滑らかな動きで、瞬く間に世界中に開発者を生み出しました。開発元は、FutureSplash、Macromedia、そしてAdobeと変わって行きましたが、ブラウザへのプラグインの普及率から見ても、支持率は常にトップと言っていいものです。
用途としては、数の上ではバナー広告が一番多いでしょう。しかし、マウスの動きに反応したり、エモーショナルな画面遷移は、広告系だけでなく、情報の視覚化や業務アプリケーションにも多用されています。また、忘れてはいけないのは、映像系活用と、マルチ・デバイスのサポートです。
Flashは早くからビデオ映像を取り込むことが可能で、今日のPIP(Person In Presentation)はFlashがなければ成立しないといっても良い分野です。プラグインの普及率から見ると。世界で一番容易にビデオ映像を配信する基盤技術と言えます(YouTubeが好例です)。また、ケータイへの搭載(Flash Lite)や組込み系でも注目され、軽いFlashPlayer(再生環境)は、デジカメの操作パネルや、特殊なタッチパネル系デバイスにも搭載されています。
とはいっても、成功の歴史しかない訳ではありません。Flashの持つ豊かな表現力は、多くのデザイナにとって大きな誘惑でした。伝えるべき本質を忘れ、表現力に酔いしれたために、逆に使いづらいものが多発された時代もありました。それゆえに、Flashであるだけで毛嫌いされた時代も経験しています。しかし、それでも開発者が離れなかったのは、Flashが提供できる能力に魅力がなくなることがなかったからでしょう。
そうした魅力を支えてきた技術は、オブジェクト指向の色彩を強め、開発者もエンジニア系の色彩を強めてきています。Eclipseベースで開発が可能なフレームワーク「Flex(SDK)」はオープンソース化を果たし、エンタープライズ系の開発者を取り込むことに成果を挙げつつあります。また同時に、AdobeとMacromediaの合併の意味として、PDFを取り込む動きも活発になっています。特に日本では、帳票文化と呼ばれる「紙文化」は根強く、印刷に強いというだけではなく、そこにデータを内包できたり、データのやり取りを可能とするUIを組み込めることの意味は大きいでしょう。
そして、Adobeが次に投入したものは、デスクトップアプリケーション:AIR(旧Apollo)です。ローカルファイルへのアクセス、オフラインでの活用、PDFやHTML資産の活用など、次世代のITスタイルに影響を与えそうな機能に満ちています。機能提供ベンダーと機能実装開発者との葛藤は未だ未だ続きそうです。
この記事は、RIAコンソーシアムが発行した『RIAシステム 構築ガイド Essential 2007』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。※掲載されている内容は2007年5月発行時点のデータに基づいています。
RIAコンソーシアムの活動記録とも言える本ガイドは、RIAの普及促進、開発に関するガイドライン、課題解決などについて、マネージメント、ユーザーインタフェース、テクノロジーの3つの視点からみた、それぞれのテーマについてまとめています。
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