くじらのねむる場所@はてなブログ

岡山県南西部在住。1983年生まれの41歳。経済、ミステリ、ウイスキー等について細々とブログに書いています

30-34歳男性の労働力率は下がっている

 黒田総裁のジャクソンホールでの講演資料より

デフレーション、労働市場、量的・質的金融緩和(日本銀行)

 
 講演全体の感想は別エントリーで書くとして、今回は講演資料を見て「おや?」と思ったことを。その部分とは各年齢階級別の労働力率の変化を示したグラフ(図表8)です。


 労働力率とは、生産年齢人口(15-64歳人口)に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合です。式で表すと以下のようになります。


 労働力率=労働力人口(就業者+完全失業者)/生産年齢人口(15-64歳人口)

 今回の図表は年齢階級別となっているので、こう書き換えた方がいいかもしれません。

 
 各年齢階級別の労働力率=各年齢階級別労働力人口(就業者+完全失業者)/各年齢階級別人口


 
 さて、この図表は2012年から2013年の労働力率の変化を示しています。黒田総裁は「今回の回復局面では女性や高齢者を中心に労働力率が高まっている」として、この図表をだしています。たしかに、女性や高齢者を中心にほとんどの年齢階級で労働力率の上昇がおこっていることが確認できますね……あれ!?労働力率が減少している年齢階級があるぞ。


 労働力率の減少は非労働力人口の増加(つまり(若年)無業者)の増加を示していると言えるでしょう*1。30-34歳と言えば働き盛りじゃないですか。ここが減少しているとは……


 もう少し広い視点で見てみると、就職氷河期世代(30前半から40前半)の男性の労働力率はほとんど上昇していません。雇用の面から見れば、今回の景気回復局面であまり恩恵を受けていないのは就職氷河期世代の男性なのかも。

 だから、アベノミクスは失敗だったとは言いません。とはいえ、就職氷河期世代の男性が恩恵を受けないうちに、消費税増税をやってしまうとはなあorz
 

*1: (若年)無業者だけでなく学生や専業主婦も非労働力人口に含まれるんだけど、この世代で急に学生が増えたり専業主婦(主夫)が増えているとは考えられないので、ほとんどは無業者となっていると思います。