間合いの測り方について

 お前は間合いの詰め方が下手だと言われて考え込んでいる。いや、近接戦闘とかじゃなく、対人関係の話ですが。人に好意や敵意のなさを伝えるには、普通、ちょっとずつアプローチして反応を見ながら距離を縮めていくものだが、お前はその中間段階がない、と。うーん。そうか。そうだよなあ。確かにその辺のプロトコルはまったく身につけてこなかった。スキンシップの経験値の少なさが如実に顕れている。何を考えているのかわかりにくいとも言われて、これは同根の問題だろう。
 自分はもともとコミュニケーション不全の人間なので、意識的に「普通の会話」を修得しようとしてきた。たとえば、オタクの尻尾を出さずに職場の人と世間話をするとか、適時相槌を挟んでいくことで相手の話を聞いていることをアピールするとか、挙動不審にならずに女性と会話するとか。そういう一般常識的な技術はある程度修得できたと思うけど、そこから先の技術にはまだ手が届いていないようだ。当たり障りのない会話や意見の表明はできても、本意や感情を相手に伝える術がない。相手の間合いに入っていく際に踏まなければならないプロセスが根本的に理解できていない。そりゃあ告白しても振られるわけだ。いったい他の人はこの手の技をどこで身につけているんだろうか。恥の閾値を下げることも意識的にやってきたけど、そういう問題とも微妙に違うんだよな。なんだか絶望的な気分になってきた。ときどき自分が、人間の真似をしようとぶざまに足掻くけもののように思えるときがある。

追記

 魚蹴誰かに振られたのかともっともな疑問を呈されたのですが(笑)、指摘されたことに思い当たる節が多く、過去の自分の振られパターンは全部これじゃないかと振り返って凹んでただけですのでほっといてくだたい。

だらりこだらり