イギリスの医療崩壊と関連があるのか無いのか
これも日本の未来かもしれませんね。
追記:やっぱり関係ありそう
逮捕者8人に 英国の医師免許持つ容疑者も 英テロ事件
英連続テロ、8人目を拘束…医局員の27歳男
というかこれは、イギリス政府の医療費抑制政策のつけです。朝日が書いていることは原因と結果を勘違いしています。
イギリス政府は、サッチャー政権時代に小泉政権と同じくNHSへの予算を削減することで医療費を大幅に削減しました。それにともなってイギリス人医師の給与や待遇も悪くなり、多くの優秀なイギリス人医師がアメリカへと移住し、アメリカで医者をするようになりました(ドラマERのコーディ先生なんかもそういうタイプでしょうが)。また、残った医師の士気は極端に低下し、その結果、医療崩壊が起きてイギリスの医師が極端に不足しました。
イギリスのNHSでは日本と違って、専門医の診察を受けるためにはプライマリケア医(いわゆるGeneral Practitioner:GP)の紹介が必要になります。アクセスが大幅に制限されているのです。したがって、医師が不足すると風邪の診療でGPの診察を受けるのに2週間待ち、ガンの専門医の診察を受けるのにトータル半年待ちというようなことが当たり前のようになってきます。待っている間に病状が進行して亡くなるということも多くなってきました。そこで、イギリス政府はどうしたか?
海外、特にEU諸国、アフリカやアラブ、インドなどから大量に医師を輸入したのです。
イギリスで医者にかかるとやけに色が黒っぽい人が多いというのはその辺の理由があるからなのです。ちなみに、あまりにイギリスが医師を輸入しすぎたため、アフリカでは優秀な医師が流出し、アフリカの地域医療が崩壊しました。
ブレア政権になって、この状況を改善しようということでイギリス政府はNHSの予算を増やし、医学部の定員も増やして医師を大量に養成(具体的には1.5倍)しようとしました。でも、この策には一つの大きな落とし穴がありました。一度に大量に医師を養成したため、医師の研修先が足りず、移住して英国医師国家資格を取得(これは他国の医師免許を持っている人が、イギリスの病院で一定期間臨床研修を治めて、一定のレベルが満たされれば認められます)しようを試みていた移民系医師を締め出さざるを得なくなったのです。
多くの移民系の医師は、故郷から家など財産をすべて売り払ってイギリスに移住してきていました。彼らは2年ほど医師以外の職をしながら、自分が研修病院にマッチングで採用され、英国医師国家資格を取るために研修できる日々を今か今かと待っていたわけです。ところが、移民系医師を締め出すと、彼らは完全に路頭に迷うことになってしまいます。家財道具を売り払っているので故郷に帰ることすら出来ません。
「イギリスで医師が足りないというから、わざわざ財産を売り払ってまでイギリスに来たのに、イギリス人医学生が増えたからと言って、突然解雇通告をしたり、研修受け入れ拒否をして我々を路頭に迷わせようとしている。人種差別も著しい」
彼らにとってイギリス政府の政策はそのように映ったに違いありません。実はここ2年ほど、各地で移民系医師のデモが相次いでいました。
一つの可能性ではありますが、このようなイギリス政府の移民医師に対する扱いの悪さが今回のテロにつながった可能性は十分にあります。日本も医師不足で中国人医師を輸入するだの、医学部定員を増加するだのと言っていますが、よくよく将来のことを考えて計画しなければ、日本で医師によるテロが起きることだって十分に考えられます。特に彼らは優秀ですからね。現にオウム真理教では医学部出身の幹部がバイオテロ計画を主導しています。
医療崩壊は決して安全保障と無縁ではない、このことを一般人の皆様には理解していただきたいと思います。