「文化の日」に想う、「言葉」の大事さ
今日は「文化の日」だ。
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことが趣旨の国民の日で、1948年に制定された。
学園祭や美術館、コンサート、伝統工芸の体験会など、文化を体験する人も多いだろう。
9月末、文化庁が、全国の16歳以上を対象に実施した「2022年度 国語に関する世論調査」を公表していた。AED(自動体外式除細動器)やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といったアルファベットの意味がわからず、困ることがあると答えた人が80%を超えたという。
「異様だと感じてあきれる」の意味で、「引く」という言葉を使う人は約70%。
「気に入って応援している人や物」の意味で、「推し」を使う人は約50%。
「どうしようもなくなった」の意味で、「詰んだ」と使う人は約30%。
逆に「詰んだ」の言葉が気になる人は30%を超えた。
自分が、その言葉を知っていても、相手が知らないこともある。
世代や場面に応じて、大事に選ぶように心がけたい、そう感じた。
今年話題になった言葉を選ぶ「2023ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語が昨日発表された。
その中に、ワールド・ベースボール・クラシックで話題になった大谷翔平選手の「憧れるのをやめましょう」があった。
スター軍団であるアメリカを前にした試合直前で、大谷選手は「憧れるのをやめましょう。憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」と。
侍ジャパンの栗山前監督は、「致知10月号(致知出版)」での対談で、こう振り返っていた。
「試合前の円陣で誰が話すか決まっていなくて、コーチが急に指名するんです。その中で、パッと言ったので、僕らも選手たちも、すごくインパクトがありました」と。
そして、こう続けた。
「正直、アメリカとの決勝戦の直前練習の時に、そういう空気があったんですよ。誰もが知っているスター選手たちを目の前に、写真撮って、とか」と。
大谷選手からかけられた、この「言葉」が侍ジャパンの発奮につながったのだ。
この瞬間の、この場面で発する言葉の力を感じる。
「言葉」は人と人を結ぶ。
聞く人に優しく、人の力になる言葉を大事にしたい。