スケッチ2050 わたしを待つミライ 2

スケッチ2050 スケッチ2050

2050年、技術は私たちの生活や価値観をどのように変えているのだろうか。日本経済新聞の取材を織り交ぜながら大胆な未来予想を劇画で描く。

これまでのあらすじ


17歳の私、未来(みき)は2019年から50年にタイムスリップする。そこで出会ったのは30年後の自分「ミキX」。みきはXに連れられて技術によって様変わりした社会を目の当たりにする。

エピソード2
ロボセクシュアル×150歳


みき

みき

りょう君は今どうしてるんだろう?

私は幼なじみだった男の子、りょう君に会いにミキXと彼が住む大阪に向かった。リニア新幹線で東京―大阪は1時間の距離だ。

大阪のりょう
りょう

りょう

僕は大阪から毎日東京に通勤してるよ。

みき

みき

1時間なら通勤圏内だもんね。

みき

みき

右の人は?

りょう

りょう

結婚相手だよ。ケンって言うんだ。
同性同士だけど僕たちには実の子どもマサルもいる。

みき

みき

え、え、どういうこと?

始原生殖細胞を活用した生殖技術
りょう

りょう

子どもは僕とケンから採取して作製したiPS細胞由来の「始原生殖細胞」からできたんだ。

みき

みき

衝撃的…。

りょう君の始原生殖細胞が精子となり、ケン君の細胞が卵子に生育。胎児は人工子宮で育ちこの世に生を授かった。

みき

みき

ちょっと信じられない。
生殖技術の進化、やばい。

iPS細胞を利用し、卵子のもとになる「卵原細胞」を作ることに初めて成功したと、18年に京都大が発表。


英国・ドイツ・フランス・日本では18年までにiPSを使った精子・卵子の作製が認められており、英国では受精卵の作製も認められた。日本は受精は倫理的な理由から禁じられているが、体外での作製技術は進展している。

ミキX

ミキX

性は「男女」だけじゃないのよ。

「ロボセクシュアル」という性を持つロボット

AI搭載のロボットやアンドロイドは人格を帯び「ロボセクシュアル」という性を持つまでになった。憲法第24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」の「両性」が改正されたから同性やロボットも結婚対象になった。

みき

みき

ロボットと結婚するってどういうこと?
私にはムリだけど、30年後は今以上に親しみや愛情を持ってるのかな。

サウジアラビア政府が2017年、ヒューマノイド型ロボットに市民権を与える。


神経細胞のネットワークをソフトウエア上に再現し、情報をアルゴリズムによって処理すれば意識を機械に宿すことは理論的にできる。
(東京大学の渡辺正峰准教授)


世界的なAI専門家デビット・レビ氏は「ロボットを配偶者に選択するのは抗えない時代の流れであり、人間とロボットの結婚も2050年ごろまでに合法化されるだろう」と主張。

りょう君と会った翌日、大阪で余生を過ごすお父さん、むねおに会いに行った。趣味のスポーツクライミングをする姿を見たけど、ビックリしたのは外見も肉体も若々しいってこと。

ゲノム編集で細胞が若返ったみきの父

理由は特定の遺伝子情報を書き換えたり、切り貼りするゲノム編集。お父さんは遺伝子治療で老化した細胞を若返らせることに成功したんだって。がんの遺伝子も持ってたんだけどゲノム編集で治療したんだとか。

みき

みき

私もそりゃ老けたくないけど、いくら何でもやりすぎなんじゃない?

再生医療の国内市場規模は2030年に1兆円、50年には2.5兆円に。
(経済産業省)


中国の研究者がゲノム編集によってエイズウイルスに対する免疫を持った双子の赤ちゃんが誕生したと発表


バイオビバUSAのエリザベス・パリッシュCEOは遺伝子改良用のウイルス注射によって、寿命に影響する染色体の一部「テロメア」を伸ばすことに成功したと公表。細胞を45歳から20歳若返らせたという。


2050年には人間の身体の心臓や肺といった主要器官を含むほぼ全ての部位をiPS細胞で再現できる。
(iPS細胞から血液製剤を開発するスタートアップ企業 メガカリオン)

2050年に人口の4割弱が65歳以上の高齢者となってる日本。

みき

みき

街を歩く65歳以上のおばあちゃんが20~30代女性と同じくらいに、ファッションの主役になってる!

若々しいおばあちゃん
ミキX

ミキX

年齢なんて関係ないエージレスの時代
高齢者に偏った福祉政策はいらなくなってるわ。

2050年の日本の総人口は9510万人。高齢化率(65歳以上)の割合は39.6%に。
(国立社会保障・人口問題研究所)


2050年にはゲノム編集などによって免疫機能が強化され、実年齢に比べ見た目年齢が大幅に若い人々が増える。
(KDDI総合研究所の小林雅一フェロー)


2050年、人間の寿命は150歳まで延びる。
(日本経済新聞の国内若手研究者アンケート調査で最多回答)

この漫画は日本経済新聞の取材に基づいて予測しています。登場する人物、名称などは架空でありストーリーはフィクションです。

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取材・制作
上阪欣史、久保庭華子、森田優里

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