アベノミクス・消費増税・森友
安倍政権7年8カ月の軌跡

安倍内閣は9月16日、総辞職する。第2次内閣以降の安倍晋三首相の連続在職日数は歴代最長となったが、持病再発で幕を閉じる。7年8カ月の軌跡を日経平均株価や内閣支持率の推移とともに振り返る。

安倍内閣支持率

  • 支持
  • 不支持

1回目

支持
00%
不支持
00%

2回目

支持
00%
不支持
00%

2012年12月

第2次安倍内閣が発足

安倍内閣支持率

支持 62 %

不支持 29 %

認証式を終え、記念写真に納まる安倍首相と新閣僚(2012年12月26日、首相官邸)

2012年12月の衆院選で自民党は圧勝し、政権に返り咲いた。安倍首相にとっては約5年ぶりの再登板だった。

日経平均株価

10395.18

目玉は「アベノミクス」

大胆な金融政策、機動的な財政政策、投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」を打ち出した。

2013年3月

日銀総裁に黒田氏

日銀批判を掲げて衆院選に圧勝した首相が主導した人事で、デフレ脱却に向けた金融緩和に布石を打った。

2013年7月

参院選で与党が勝利、ねじれ解消

安倍内閣支持率

支持 63 %

不支持 29 %

立候補者ボードは当選のバラで埋まった(2013年7月21日)

政権奪還後、初の大型国政選挙で「アベノミクス」をかかげて自民党が圧勝。衆参両院で与党が多数を占め「衆参ねじれ」は解消した。

日経平均株価

13668.32

2013年9月

2020年の東京五輪開催を決定

安倍内閣支持率

支持 66 %

不支持 26 %

2020年五輪の開催都市が東京に決まり、喜ぶ安倍首相(右から3人目)、猪瀬直樹知事(同4人目)、岸田外相(左から3人目)ら=2013年9月7日、ブエノスアイレス(共同)

首相は2020年の五輪・パラリンピックの招致に立候補した。アルゼンチンでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で開催が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪は1年延長されることになった。

日経平均株価

14455.8

2013年12月

首相が靖国神社を参拝

安倍内閣支持率

支持 56 %

不支持 35 %

靖国神社を参拝する安倍首相(2013年12月26日、東京都千代田区)

首相は靖国神社を参拝した。安倍氏の首相としての参拝は第1次政権も含めて初めてだった。中国と韓国は反発し、関係は冷え込んだ。

日経平均株価

16291.31

2014年4月

消費税率8%に

安倍内閣支持率

支持 56 %

不支持 32 %

消費税率8%に増税後初めて、食品売り場で買い物する安倍首相(2014年4月5日、東京都中央区の日本橋三越本店)

消費税率を5%から8%に引き上げた。安倍氏はもともと消費増税に慎重だったが、8%への引き上げは野田内閣時代の2012年8月に民主、自民、公明の3党が合意したものだった。駆け込み需要の反動減は予想以上だった。

日経平均株価

14304.11

2014年5月

日朝がストックホルム合意。北朝鮮は拉致被害者の再調査を約束

安倍内閣支持率

支持 53 %

不支持 32 %

日朝外務省局長級協議に臨む伊原純一・外務省アジア大洋州局長(右端)と宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使(2014年5月、ストックホルム)=共同

首相は北朝鮮による拉致問題の解決をめざし、日朝関係の打開へ動いた。スウェーデンのストックホルムで開いた外務省の局長級協議で、北朝鮮は日本人拉致被害者らの再調査と特別調査委員会の設置を約束。しかしその後に北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射を繰り返し、日本は独自制裁を決め、日朝関係は冷え込んだ。

日経平均株価

14632.38

2014年7月

集団的自衛権の行使を認める憲法解釈を閣議決定

安倍内閣支持率

支持 48 %

不支持 38 %

集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことについて記者会見する安倍首相(2014年7月1日、首相官邸)

集団的自衛権を使えるようにするため、憲法解釈の変更を決めた。「専守防衛」の基本理念のもとで自衛隊の活動を制限してきた戦後の安全保障政策の転換点となった。

日経平均株価

15620.77

2014年11月

第2次政権以降、首相が初めて中国の習近平国家主席と会談

安倍内閣支持率

支持 44 %

不支持 39 %

会談を前に握手を交わす安倍首相と中国の習近平国家主席(2014年11月10日、北京の人民大会堂)=共同

首相は北京で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した。本格的な日中首脳会談は2011年12月の野田佳彦首相と胡錦濤国家主席以来、約3年ぶり。日中関係は改善に向けて動き出していった。

日経平均株価

17459.85

消費増税は延期

10%への消費税率引き上げの1年半延期と衆院解散を表明。

2014年12月

衆院選で与党が勝利、第3次安倍内閣発足

安倍内閣支持率

支持 51 %

不支持 36 %

当選のバラを付ける安倍首相、谷垣禎一幹事長(2014年12月14日、自民党本部)

首相は消費税率引き上げ延期の是非を問うとして衆院を突如解散した。「アベノミクス」継続の是非を最大の争点に掲げて圧勝した。

日経平均株価

17450.77

2015年8月

戦後70年の首相談話を閣議決定

安倍内閣支持率

支持 46 %

不支持 40 %

記者会見で戦後70年談話を発表する安倍首相(2015年8月14日、首相官邸)

戦後70年にあたり首相談話を出した。過去の首相談話でキーワードだった「植民地支配」「侵略」「反省」「おわび」の文言自体はすべて盛り込む一方、「謝罪外交」に区切りをつけたい意向をにじませた。

日経平均株価

18890.48

2015年9月

安全保障関連法が成立

安倍内閣支持率

支持 40 %

不支持 47 %

安全保障関連法案に抗議し、国会前で気勢を上げる人たち(2015年9月18日、東京都千代田区)

安全保障法制の成立で、自衛隊の活動の幅を広げた。米軍の艦艇や航空機を守る任務もできるようになり、日米同盟の強化につなげた。

日経平均株価

17388.15

アベノミクスは第2ステージに

「新3本の矢」として「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」を打ち出した。

2015年12月

慰安婦問題で日韓合意

安倍内閣支持率

支持 48 %

不支持 36 %

共同記者発表を終え、握手する岸田外相(左)と韓国の尹炳世外相(2015年12月28日、ソウルの韓国外務省)=共同

日韓合意で、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決をうたった。しかし朴槿恵(パク・クネ)政権の後の文在寅(ムン・ジェイン)政権は合意の柱である財団を解散。戦時中、日本企業に動員された朝鮮半島出身の元徴用工を含めた賠償請求問題もあり、日韓関係は悪化していった。

日経平均株価

19033.71

2016年5月

主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開催

安倍内閣支持率

支持 53 %

不支持 40 %

安倍内閣支持率

支持 56 %

不支持 35 %

G7サミット・ワーキングセッションに臨む安倍首相(手前左)、オバマ米大統領(同右)ら(2016年5月27日、三重県志摩市)

伊勢志摩サミットで首相は議長を務めた。世界経済が最大のテーマで、減速阻止策を柱とした首脳宣言を採択した。

日経平均株価

17234.98

2016年5月

オバマ米大統領が広島訪問

安倍内閣支持率

支持 53 %

不支持 40 %

安倍内閣支持率

支持 56 %

不支持 35 %

原爆ドームが見える場所で、別れ際に安倍晋三首相の肩をたたくオバマ大統領(2016年5月27日、広島市中区の広島平和記念公園)

オバマ米大統領は現職の米国大統領として初めて被爆地、広島を訪れた。演説で核廃絶への決意を訴えた。首相は同行し、日米の和解をアピールする歴史的な場面となった。

日経平均株価

17234.98

2016年6月

消費増税を再び延期

10%への消費税率引き上げの2年半延期を表明し、参院選で国民の信を問うとした。

2016年7月

参院選で与党が勝利

安倍内閣支持率

支持 58 %

不支持 35 %

笑顔の安倍首相(2016年7月10日、自民党本部)

首相がめざす憲法改正を掲げる勢力で、非改選も含めて全議員の3分の2を超えた。憲法改正の国会発議ができる環境になった。

日経平均株価

16569.27

2016年12月

首相が米ハワイの真珠湾訪問

安倍内閣支持率

支持 64 %

不支持 26 %

慰霊を終え、演説する安倍首相とオバマ米大統領(2016年12月27日、米ハワイ州オアフ島)

首相とオバマ米大統領は日米開戦の地となった米ハワイの真珠湾を訪問した。旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊するアリゾナ記念館をともに訪れた。

日経平均株価

19114.37

2017年5月

首相が2020年に新憲法を施行する意向表明

安倍内閣支持率

支持 56 %

不支持 36 %

憲法改正を訴える会合に寄せられた安倍首相のビデオメッセージ(2017年5月3日、東京都千代田区)=共同

憲法改正について「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。9条を改正し自衛隊の存在を明記する改憲案を挙げた。だがその後、国会での改憲論議は進まず、宿願の改憲は実現できなかった。

日経平均株価

19650.57

2017年10月

衆院選で与党が勝利

安倍内閣支持率

支持 50 %

不支持 42 %

当選のバラをつける安倍首相(2017年10月22日、自民党本部)

首相は「国難突破」を目指して衆院を電撃的に解散した。自民党が公明党と合わせて全議席の3分の2を超える議席を維持した。

日経平均株価

22011.61

2018年6月

森友問題で財務省が文書改ざんの調査報告書

安倍内閣支持率

支持 52 %

不支持 42 %

森友学園が小学校として建設していた建物(2018年5月24日、大阪府豊中市)

学校法人「森友学園」への国有地売却の問題が安倍政権をゆさぶった。財務省は決裁文書の改ざん問題を巡る調査報告書を公表し、当時の理財局長が文書の改ざんや破棄の「方向性を決定づけた」とした。野党は「首相への忖度(そんたく)があったのではないか」と追及した。

日経平均株価

22304.51

2018年9月

党総裁選で首相が石破元幹事長に勝って連続3選

安倍内閣支持率

支持 55 %

不支持 39 %

自民党総裁に選出され、石破氏(左)と手を取り合う安倍首相(2018年9月20日、自民党本部)

総裁選で石破茂元幹事長を破り、3選を決めた。記者会見で「憲法改正にいよいよ挑戦し、平成の先の時代に向かって新しい国造りに挑む」と訴えた。

日経平均株価

24120.04

2018年10月

首相が約7年ぶり中国公式訪問

安倍内閣支持率

支持 50 %

不支持 42 %

安倍内閣支持率

支持 48 %

不支持 42 %

歓迎式典に臨む安倍首相(2018年10月26日、北京の人民大会堂)

首相は「戦後日本外交の総決算」を掲げ、ロシアとの平和条約締結、北朝鮮による日本人拉致問題の解決、中国との本格的な関係改善を目指した。中国の習近平国家主席とは新たな時代の日中関係について「競争から協調へ」などの3原則を確認した。

日経平均株価

21920.46

2018年11月

日ロ首脳会談。日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉へ

安倍内閣支持率

支持 51 %

不支持 38 %

会談する安倍首相(左)とロシアのプーチン大統領=2018年11月14日、シンガポール(共同)

ロシアとの関係強化に注力した。プーチン大統領との会談で、平和条約締結後に北方四島のうち歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速させることで合意した。

日経平均株価

22351.06

2019年5月

皇太子さまが新天皇に即位。「令和」に改元

安倍内閣支持率

支持 55 %

不支持 35 %

新元号「令和」の公表後、談話を発表する安倍首相(2019年4月1日、首相官邸)

新元号を「令和」と決めるのは首相が主導した。歴代続いてきた中国古典(漢籍)を出典とせず、日本の古典から採用した。

日経平均株価

20601.19

2019年6月

20カ国・地域(G20)首脳会議を大阪で開催

安倍内閣支持率

支持 56 %

不支持 36 %

大阪城をバックに記念写真に納まる各国首脳ら(2019年6月28日、大阪市中央区)

日米欧や新興国のリーダーが一堂に会する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の日本開催は初めてだった。議長を務めた首相は「自由、公正、無差別な貿易体制を維持・発展できる共通点を見いだすことができた」と総括した。

日経平均株価

21275.92

2019年7月

参院選で与党が勝利

安倍内閣支持率

支持 52 %

不支持 38 %

笑顔でインタビューに答える安倍首相(2019年7月21日)

首相は2012年12月の衆院選から国政選挙で6連勝。ただ憲法改正に前向きな「改憲勢力」は非改選と合わせて3分の2を割り込んだ。

日経平均株価

21521.53

2019年10月

消費税率10%に、軽減税率導入

安倍内閣支持率

支持 57 %

不支持 36 %

イートインスペースに掲示した消費税率を伝える紙(2019年10月1日、千葉県松戸市のイオンフードスタイル新松戸店)

消費税率を8%から10%に引き上げた。在任中に2度、消費税率を上げた首相は安倍氏しかいない。

日経平均株価

22927.04

2019年10月

菅原経済産業相、河井法相が相次ぎ辞任

安倍内閣支持率

支持 57 %

不支持 36 %

辞任を表明する河井法相(2019年10月31日、首相官邸)

菅原一秀経済産業相は地元選挙区で秘書が有権者に香典を配った問題で辞任。河井克行法相は妻の選挙事務所での公職選挙法違反の疑いで辞めた。長期政権の緩みが背景にあったとの見方は多い。

日経平均株価

22927.04

2019年11月

通算在任日数が桂太郎を抜いて歴代最長に

安倍内閣支持率

支持 50 %

不支持 40 %

通算在任日数で歴代単独1位になり、報道陣の質問に答える安倍首相(2019年11月20日、首相官邸)

通算在任日数が戦前の桂太郎を超えて憲政史上最長となった。長期政権が続いた背景は選挙に強いことで、自民党総裁の4選を可能にする案も自民党内で取り沙汰されるほど政権は安定していた。

日経平均株価

23293.91

2020年4月

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言

安倍内閣支持率

支持 48 %

不支持 42 %

新型コロナウイルス感染症対策本部で全国への緊急事態宣言をする安倍首相(4月16日、首相官邸)

新型コロナウイルスの感染抑止が最大の課題になった。緊急事態宣言を出し、外出自粛で景気にもブレーキがかかった。政府の取り組みへの不満が出て、安倍内閣の支持率は低下した。

日経平均株価

20193.69

2020年8月

慶応病院で検査

安倍内閣支持率

支持 43 %

不支持 50 %

慶応大学病院に入る安倍首相(8月24日、東京都新宿区)

持病との闘いが続いていた。潰瘍性大腸炎の再発が8月上旬に確認された。新しい薬の投与により、24日の検診で効果が見られたが、同日中に辞任を決断した。

2020年8月

連続在任日数が佐藤栄作元首相のもつ最長記録を超えトップに

安倍内閣支持率

支持 43 %

不支持 50 %

連続在任日数が佐藤栄作氏を上回り、歴代最長記録になり、報道陣の質問に答える安倍首相(8月24日、首相官邸)

首相は官邸で記者会見し、辞任する意向を表明した。辞任表明直後の内閣支持率は55%で、政権末期としては異例の高さになった。「安倍1強」と呼ばれた政権は7年8カ月で幕を閉じる。

2020年8月

辞意を表明

安倍内閣支持率

支持 43 %

不支持 50 %

記者会見で辞意を表明した安倍首相を映す街頭モニター(8月28日、大阪市中央区)

首相は官邸で記者会見し、辞任する意向を表明した。辞任表明直後の内閣支持率は55%で、政権末期としては異例の高さになった。「安倍1強」と呼ばれた政権は7年8カ月で幕を閉じる。

日経平均株価

22882.65

歴代政権の経済指標の変化

在任日数
(8月28日時点)
就業者数日経平均株価鉱工業生産実質GDP経常利益
安倍晋三
(第2次以降)
2803日1.060倍2.332倍0.832倍0.974倍1.344倍
佐藤栄作2798日1.102倍3.109倍2.264倍1.995倍3.731倍
小泉純一郎1980日0.997倍1.188倍1.094倍1.062倍1.551倍
中曽根康弘1806日1.051倍2.935倍1.254倍1.255倍2.026倍
池田勇人1575日1.050倍1.099倍1.695倍1.494倍1.672倍
橋本龍太郎932日1.011倍0.799倍0.982倍1.009倍0.852倍
田中角栄886日1.010倍1.035倍1.025倍1.063倍0.732倍
鈴木善幸864日1.021倍1.132倍1.011倍1.089倍0.851倍
海部俊樹818日1.041倍0.684倍1.044倍1.095倍0.801倍
三木武夫747日1.020倍1.221倍1.119倍1.077倍2.136倍
福田赳夫714日1.025倍1.262倍1.108倍1.110倍1.568倍
宮沢喜一644日1.009倍0.867倍0.906倍0.990倍0.641倍
小渕恵三616日0.988倍1.192倍1.060倍1.026倍1.427倍
竹下登576日1.030倍1.475倍1.127倍1.064倍1.117倍
村山富市561日0.998倍0.975倍1.032倍1.053倍1.347倍
大平正芳554日1.019倍1.136倍1.091倍1.050倍1.353倍
野田佳彦482日0.996倍1.129倍0.952倍1.002倍1.067倍
菅直人452日1.001倍0.889倍1.003倍1.014倍0.939倍
森喜朗387日0.998倍0.687倍0.972倍1.011倍1.004倍
安倍晋三
(第1次)
366日1.000倍1.019倍1.027倍1.017倍0.993倍
福田康夫365日0.997倍0.747倍0.956倍0.991倍0.803倍
麻生太郎358日0.986倍0.850倍0.827倍0.949倍0.725倍
鳩山由紀夫266日0.997倍0.950倍1.091倍1.036倍1.441倍
細川護煕263日1.002倍0.960倍1.003倍1.010倍1.139倍
宇野宗佑69日1.002倍1.043倍0.997倍1.015倍1.167倍
羽田孜64日0.997倍1.061倍1.009倍1.000倍1.000倍
注)政権発足月と退任月を比較。安倍政権(第2次以降)の就業者数は2020年6月、日経平均は同8月の平均、鉱工業生産指数は同6月、実質GDPは同4~6月、法人企業経常利益は同1~3月期の数字を政権発足時と比較。日経NEEDS調べ

1960年以降の26政権で、日経平均株価や実質国内総生産(GDP)など5指標の変化を調べた。各政権が発足した月と退陣した月で各指標が何倍になったかを算出。数値が1を超えれば政権期間中に指標が改善し、1を割り込めば悪化したことを意味する。

第2次安倍政権発足後、辞意を表明した2020年8月28日までの指標をみると、日経平均は2.33倍、企業の経常利益は1.34倍になった。

首相の経済政策は5年11カ月に及ぶ景気回復につながった。ただデフレ脱却を掲げたが、物価は日銀の2%目標に届かず、脱却宣言はできなかった。成長戦略も力強さを欠いた。アベノミクスは未完のまま終わりを迎える。