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強風下の火災、「木の街」のみ込む
午前11時58分に東京都心部を襲った震度6の揺れに伴って多数の場所で火災が発生。消しきれなかった火は合流して勢いを強めた。強風もあいまって巨大な火災旋風と化し、木造建築物が並ぶ街と人々をのみ込んだ。
お昼時を襲った巨大地震
昼食の時間を襲った地震により、かまどや七輪から出火。記録では発生から午後11時までに98カ所で火災が生じ、27カ所は即時に消火できたが、消しきれなかった71カ所の火災が燃え広がっていった
浅草区(現台東区東部)、神田区(現千代田区北部)、本所区(現墨田区南部)で延焼が拡大。火災に囲まれた場所も
火災が合流し、浅草、神田、本所の3区で過半が焼失
火勢はさらに強まり、多くの人が逃げ場を失っていく
本所区の陸軍被服廠(しょう)跡では北、東、南の三方から火の手が迫り、避難者が持ち運んだ家財などに燃え移った
南風だった風向きが夕方にかけ西風へと変わっていく。その後も風向きは変化し、延焼範囲を広げていった
火災は深川区(現江東区西部)でも広がっていく
火災旋風がこの頃までに各区で多発
深川区で燃え方の勢いが強まる
京橋区(現中央区南部)の火災が隅田川を越え、月島に延焼する
京橋区で飛び火による出火が7件発生
浅草公園(浅草区)が焼失を免れる
麴町区(現千代田区南部)ではこの頃から火災の影響で気温が急激に上昇し、午前1時時点で45度を超える
浅草、神田、深川、本所、日本橋(現中央区北部)の5区では延焼がより進み、午前3時ごろに大半の地域が焼失
芝区(現港区東部)の北部の多くが焼失
下谷区(現台東区西部)南東部が徐々に延焼
2日は朝から南風へと変わり、昼にかけて風速が強まっていく
下谷区の延焼が西側にも進む
延焼はなおも続く。鎮火は3日午前10時まで待たなければならない
延焼は46時間続いた
東京市では地震発生直後から46時間にわたって延焼が続いたという。市域全面積79.4平方キロメートルの4割強となる34.7平方キロメートルが焼失した。
東京市の約4割を
焼失させた関東大震災死者の9割超は火災によるものだった。当時の建物の耐震性、耐火性の乏しさが被害を拡大させた。
被害拡大、
断水や強風も要因
昼食時に発生したことから、調理道具だったかまど、七輪から同時多発的に出火。地震に伴う断水で消火活動が行えない中、関東地方で吹いていた強風によって火災が広がっていった。
家財道具と共に避難した人が多く、逃げ場を塞ぐことになっただけでなく、火が燃え移ったことで甚大な被害を引き起こしたとされる。
都市のアキレス腱、
木造密集地解消道半ば首都直下地震が起こった際に、東京都心部のアキレス腱となるのが木造密集地の存在だ。過去10年で半減したもののなお23区面積の1割強に相当する。都の被害想定では死者の約4割が火災で、木密解消は被害軽減の上で要となる。
都内になお
約8600ヘクタール
東京都内の木造住宅密集地域の推移
2011年の東日本大震災を機に東京都は12年に「不燃化特区制度」を創設。老朽化した木造建築物の解体や建て替えを促し、20年時点での都内の木密は約8600ヘクタールと10年の約1万6000ヘクタールから大幅に減った。
不燃化目標に未達
整備地域ごとの不燃領域率の現状(%)
都が木密解消の指標とするのが空き地や耐火性のある建物などがある地域に占める「不燃領域率」だ。木密の中でも危険性が大きい28地域を「整備地域」とし、全体平均で不燃化領域率70%の達成を目指す。当初は20年度を目標にしていたが、現状は65%と未達だ。
密集地解消へ、
長期的視野が必要
解消が思うように進まない背景には住民の高齢化や道幅が狭い地域では土地利用が制限されることがある。個別の建物の建て替えだけでは限度があり、東京都立大の中林一樹名誉教授(都市防災学)は「木密解消は延焼遮断効果が大きい一定の幅がある道路の整備に加え、細い街路をいかに拡幅できるかにかかっている。行政は長期的な視野で住民に寄り添ってまちづくりをどう進めるか考える必要がある」と話す。
地震大国の日本、
過去を教訓に備えを巨大地震による
人的・物的被害は大きい
関東大震災から100年。高層マンションやビルなど町並みは一変し、日常生活のなかで当時の悲劇を思い起こすことは少なくなっている。だが、国はマグニチュード(M)7クラスの地震が、30年以内に70%程度の確率で起こる恐れがあるとしている。過去を見つめ直し、いまできる備えを一つ一つ積み上げていくことが必要になる。
関東 | 大震災阪神 | 大震災東日本 | 大震災|
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発生日時 | 1923年 9月1日 11時58分 | 1995年 1月17日 5時46分 | 2011年 3月11日 14時46分 |
地震の マグニチュード | 大きさ7.9 | 7.3 | 9.0 |
直接死・ | 行方不明約10万 5000人 | 約5500人 | 約1万 8000人 |
全壊・ | 全焼住家約29万棟 | 約11万棟 | 約12万棟 |
経済被害 | 約55億円 | 約9兆 6000億円 | 約16兆 9000億円 |
GDP比 | 約37% | 約2% | 約3% |