ダメなUXデザイナーが言いそうな10のセリフ

Nick Babich

Nickはロシアのセントピーターズバーグ出身のソフトウェアデベロッパー/ブロガーです。彼による他の記事はこちらをご参照ください。

この記事はNick Babichからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

10 quotes from a bad UX designer

優秀なUXデザイナーについて書かれた記事はインターネットに多く存在しますが、本記事はそれらとは違います。今回は悪いUXデザイナーを見分ける方法について話したいと思います。

デザイナーが優秀かどうか見極めるのに役立つセリフを10個ご紹介します。

私はUXデザイナーなので、ユーザーにとって何が最善か知っています

ステークホルダーよりも、チームメンバーよりもはるかに問題領域に詳しいと信じているデザイナーは少なくありません。ときにはユーザーより把握していると考える人さえいます。したがって、デザイナーが自分たちのソリューションに固執し、批評から逃れようとする状況がよく起こります。

理解しておくべきは、どれだけ長くデザイナーとして経験を積んでいようと、すべてのアイデアは仮説でしかないことです。そして、仮説は証明しなければなりません。検証段階を飛ばしてしまうと、裏付けのない想定に基づいてデザインすることになります。「優れたデザイナーはユーザーの問題に首ったけだが、悪いデザイナーは自分のデザインに首ったけだ」と経験豊富なデザイナーが言う理由はここにあります。

前回機能したので、今回も機能します

ギリシアの哲学者ヘラクレイトスの名言にもあるように、「まったく同じ川に2回足を踏み入れることはできない」のです。UXデザインにおいても、1つのコンテキストで機能したものが必ずしもほかのコンテキストでも機能するとは限りません。そのプロジェクトにもっとも適したツールや技術を選択する必要があります。

UXの認知的負荷が高いようなので、私たちの直感的仮説が正しいかどうかヒューリスティック評価をする必要があります

この文は、デザイナーが日々のディスカッションで専門用語を使う場面のほんの一例です。UXチームには親しみのあるフレーズですが、別の社員にアイデアをシェアするときには非常に混乱させてしまうでしょう。UXデザインの技術に詳しくない人にとって、この文は意味を成さず、聞きなれない単語に混乱するだけです。

専門用語を並べても尊敬されることはありません。ミーディングやデモンストレーションを実施するのは、デザイナーを良く見せるためではなく、貴重なフィードバックを得るためであることを忘れないでください。

UXデザイナーにとって欠かせないスキルの1つに、複雑な事象をシンプルな言葉で説明する能力があります。UXをわかりやすく説明することで、全員がプロジェクトに取り組めるようになるでしょう。

プロトタイプを作成する時間がないため、プロダクトを公開してから考えましょう

プロトタイプの作成を飛ばして実際のプロダクトに膨大な労力を割くのは、たくさんのデザインチームが犯してしまう危険な間違いです。有効だと信じているものを作るのに多くの労力を割いたのに、公開した後に自分たちのソリューションが想像よりも機能していないことがわかると、非常につらく感じるでしょう。

プロトタイプを作成することで、エンジニアチームが実際のプロダクトを構築する前に、仮説を検証することができます。これによって、公開後にプロダクトを修正するよりも費用が格段に安くなるため、デザインプロセスにおいて問題を早期に発見しやすくなるでしょう。デザイン会社IDEOの創設者であるDavid Kelly氏は「早く失敗すれば、早く成功できる」と述べています。

プロトタイプの作成には、必ずしも時間はかかりません。プロトタイプには、違うデザインの技術を使用しましょう。便利なプロトタイプ作成の技術として、ラピッドプロトタイピングが挙げられます。Webサイトやアプリなどのプロダクトの完成像を素早く制作し、ユーザーグループで検証できる有名な方法です。

プロダクトが完成したので、次の仕事に移ります

プロダクトが公開された時点で自分たちの仕事は終わったと考えるデザイナーもいます。しかし、プロダクトのデザインプロセスはマーケットに公開されたら終わるわけではありません。ほとんどの場合は、公開後に発生する作業量のほうが公開前よりも多いでしょう。デザイナーはユーザーがどのようにプロダクトを操作するのかに焦点を置いた分析データと照らし合わせて、デザインを評価し、理解し、より良い体験のために修正しなければなりません。

またこのフレーズは、当事者意識の欠如という重要な問題を表しています。このような発言をするデザイナーは、自分のソリューションに対して責任を負わないでしょう。

デザイナーはクリエイティブな職業で、技術者ではありません

デザイナーは、開発やマーケティングがプロダクトの制作に不可欠であると認識はしていても、往々にして時間をかけてそれらの分野について学ぼうとしません。言い換えると、デザイナーは自分の枠に閉じこもって楽しんでいるのです。

実際には、枠を取り払うことはUXデザイナーが自分のスキルを高める素晴らしい方法です。開発者と話し、マーケティングチームとのつながりを強めて、彼らの視点からプロジェクトを眺めてみてください。それによって、チームでともに働くメンバーをより評価できるようになるでしょう。新しく学んだ知識とチームメンバーへの共感がより良いプロダクトを開発する手助けになるはずです。

ステークホルダーの要望とまったく同じプロダクトをデザインするべきです

重役の意見に偏重するのは、デザイン業界ではよくある問題です。もちろんステークホルダーの要望とまったく同じようにプロダクトを制作できたら、作業ははるかに簡単に進みます。

しかし、そのようなアプローチに従うのはきわめて危険です。社内で高い役職に就いているからといって、その人物がつねに正しいとは限りません。UXデザイナーは責任者であり、デザインが失敗したら真っ先に追及される立場です。したがって、優れたUXデザイナーは優れた交渉人であるべきでしょう。デザインプロセスでは、重役の意見だけでなく、すべての意見を取り入れる必要があります。

このデザインが実行できなければ、私は辞めます

ユーザーリサーチを実施したら、たくさんのユーザビリティの問題が発覚したとしましょう。あなたはチームメンバーにすべての問題を修正するよう指示します。この指示は正しく、妥協は許されないと考えているでしょう。問題が修正されなければ、粗悪なUXにつながるからです。

デザインの意思決定のために議論をするのは、間違いなくUXデザイナーにとって重要なスキルです。しかし、デザイナーは直面している現状を理解し、柔軟に対応することも必要です。リソースは無尽蔵ではないため、公開前にすべてのUXの問題を修正することは不可能に近いでしょう。そのため、ある程度妥協するためにはチームワークが必要です。プロジェクトを進めるには、指示に優先順位をつけなければなりません。UXに深刻な影響を及ぼす重大な問題には確実に従事し、そうでないものはプロダクトのバックログに保留するなどして置いていておきましょう。

Amazonも採用しているので、取り入れましょう

デザインの意思決定において大企業を引き合いに出すのは、自分の考えを裏付ける確実な手法です。しかし、ほかの企業やプロジェクトで成功したとしても、現行のプロジェクトで成功するとは限りません。デザインを制作する際に、有名なデザインのパターンに従うのは構いませんが、自分たちのプロダクトのユーザー体験に有効であると確信できるときのみ採用すべきです。ソリューションを実際のユーザーで検証すると、その影響が明らかになります。

議論したデザインプロセスのステップに必ず従いましょう

デザインプロセスはUXデザインを決定的に左右します。プロセスが確立していないと、デザイナーは闇雲に作業を進めることになります。一方で、簡潔明瞭なデザインプロセスがあればユーザーに素晴らしい体験を約束できるでしょう。

多くのデザイナーは、すべてのプロジェクトを成功に導く普遍的なデザインプロセスが存在すると考えています。しかし残念ながら、万能なプロセスはどこにも存在しません。プロジェクトごとに個々のステップを定義することもできますが、正確なデザインプロセスはプロジェクトの要件に基づいて選ばれるべきでしょう。プロジェクトはそれぞれ個性的で、ニーズも異なるからです。

また、プロセスは固定ではありません。デザイナーはデータに基づいてすすんでデザインプロセスを修正しましょう。たとえば、ユーザビリティテストやABテストを実施して、デザインを修正するべきプロダクトの部分を見つけたら、ホワイトボードに戻って別のソリューションを考えても構いません。


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