風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

関西ひとり旅④完結編

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関西ひとり旅、最終日は市内から京都の西郊に位置する栂ノ尾まで、バスに揺られること1時間。

山の中に佇む世界遺産「高山寺」へ。
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ここはお茶の発祥地、そして「鳥獣人物戯画絵巻」のふるさとである。

夏に札幌で開催され全巻見ることを制覇した私は「鳥獣戯画展」の締めくくりとして、このお寺を再訪しようと決めていた。

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国宝・石水院の門をくぐると視線の先には眩しい緑の光が。山からの風が吹き抜ける長い廊下は回廊になっていて、一気に別世界へ誘われる。

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明恵上人が敬愛した善財童子像は、そのほっぺたのぷくぷく具合とがっしりした下半身がどことなく幼稚園時代の息子に似ている。いつ来ても「また会えたね」と懐かしい気持ちになる。
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縁側の板が樹々に向かってせり出しているので、山と一体化するような不思議な心地よさがある。

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座って足を投げ出して、時間の許す限りここで過ごした。暦の上では秋の入り口だというのに、蝉の声がまたまだ元気だった。
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さて、また1時間かけて里に降りてきた頃ちょうどお腹が空いたので、烏丸のAUX BACCHANALESのテラス席に座り、お魚のランチを食べて休憩した。

京都烏丸店と東京紀尾井町のAUX BACCHANALESはギャルソンのサービスもお店の雰囲気もパリっぽさを残していて好き。

(札幌のはフランチャイズ店なので、ちょっと空気が違うのが残念なのだ)


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旅の最後を締めるのは、河原町丸太町にある書店誠光社https://seikosha.stores.jpさんだ。

ここは自分にとってグッとくるテーマの本や雑貨があり、またその紹介の仕方が素敵なのでオンラインで購入することも多いが、もちろんこうして実際に店舗に足を運べるときが一番幸せだ。

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夫へのお土産に音楽関連の本を買い、お店オリジナルのコラージュペーパーで包んでリボンをかけてもらった。自分への本はビル・ブライトン「人体大全」。
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それからどこでも買えるのに持って帰りたい気持ちにかられ、福音館のたくさんのふしぎシリーズから「釣って 食べて 調べる深海魚」の本を。

本を選んでいる時、ランドセルを背負った誠光社さんの小さなお嬢さんが小学校から帰宅してきた。「友だちと遊びたいから宿題はあとでいい?」とカウンターの中にいたお母さんに聞いたところ「だめ、宿題やってから」と言われて、さめざめ泣いてゴネ出したのが可愛らしかった。悪いけど平和なその光景に思わず笑ってしまった。


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小さな頃から息子は三條若狭屋の「ちご餅」が大好物だったので、伊勢丹の地下でこれをお土産に
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他に「麩嘉」のひろうずなど京都のおばんざいものを夕ごはんのおともに買った。いちいち紙の包みが京都らしくて嬉しく、こういった“紙もの“はいつも家に帰ってから専用の箱に大切にしまう。

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そして字マニア(格好よく言うとフォント)なので、小さな京都の“文字もの“はこうして手帳にベタベタ貼って時々眺めている。
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旅の移動中に読んだ本はアゴタ・クリストフ「悪童日記」。

今年は春からずっとアウシュヴィッツについての映画や本にいくつか触れてきた。この本も架空の都市を舞台にしているとはいえ、書かれている内容は第二次世界大戦下のヨーロッパのとある村での出来事についてだ。勇敢でユーモアのあるふたごの男の子が戦渦をたくましく生きるサバイバル成長期。ページを捲る手がどんどん早くなる面白い本だった。