仮想と現実の真ん中あたり

主に舞台探訪とか聖地巡礼と呼ばれる記録をつづるブログ

ツイートデータで見る舞台探訪(2021年冬シーズン)

 Twitter APIで収集した、2021年冬シーズン(2021年1~3月)の探訪関連ツイートデータ分析です。
 前回に引き続き、今回もアカウント数,アクティブ・ファンの分析を行っています。
 今期はあのアニメの独走かな?、…と思っていたら意外な作品も伸びてたり。またCOVID-19の第三波の影響が気になるところですが…。

2021年冬シーズンの舞台探訪関連ツイートデータ

 ところで、今回から24時間稼働のミニPC(命名:KOROMO)によりデータを取得しています。これで電源ON忘れとはおさらばです。なぜKOROMOかって? それは、小さくて強力(Ryzen5 CPU)だから。「子供じゃない、KOROMOだ!」

 それはさておき、まずは、いつものように探訪関連ツイート数の動向を見てみましょう。


 ※上のグラフは舞台探訪関連のキーワードを含むツイートを投稿日単位で集計したもの。(検索条件は頁末)
 ※青線が探訪関連のツイート全体数、橙色線がその7日間の移動平均。灰色線の「探訪作品ツイート数」は、例えば宗教的な「聖地巡礼」等の目的外のデータを排除するため、舞台探訪アーカイブ Wiki*から抽出した舞台探訪作品の一覧の作品名(略称含む)が含まれているツイートを抜き出した数であり、黄色線はその移動平均。

 概況として見ると、ツイート数的にはやや低調。前半がやや下降傾向、後半がやや上昇傾向、というところでしょうか。
 比較的低調だった理由ですが、あまり本筋ではないので簡単に分析すると、

  • 季節(気温)要因
    2020年秋シーズン終盤から既に全体として下降傾向で、20201年2月後半から回復傾向のため、この影響は大きいようです。
  • 探訪向きの作品が少なかった
    2020年秋シーズンと比べると平均して低調なため、この影響も大きいでしょう。
  • COVID-19第三波と非常事態宣言の影響
    解除前と解除後で大きな変化が無いため、この影響は意外と少ないようです。

 実際には要因が複合していて、どれも多かれ少なかれ影響あると思いますが、他のシーズンとの比較から上記のような要因と読み解きました。

 さて、次に作品別にツイート数の累計の推移を見てみます。
 これは、2021年冬シーズン期間中の、舞台探訪関連キーワードと作品名を含むツイート数を作品別に累計をとり、上位の10作品の推移をグラフ化したものです。
 ※機械的な検索のため、実際に現地に行かなくても、作品名と「舞台」等を含むツイートを全て収集しています。


 ※各週は月曜日開始の7日間で集計 ※12/28の週は1/1~3までの3日間、3/29の週は3/29~31までの3日間のデータ

 『ゆるキャン△』の伸びが印象的ですね。驚くのは、アカウント数で集計した次のグラフです。



 上のグラフでは、あるアカウントがその作品名を最初につぶやいた1回のみをカウントし、2回目以降をカウントしないようにしています。つまり、「言及したアカウント数の伸び方」を見ています。
 このアカウント数ベースで見ても、『ゆるキャン△』の伸びは頭一つ抜けています。前シーズンでも『神様になった日』の圧倒的多さに隠れていたとはいえ、アカウント数の伸びが印象的ではありましたが、ここに来てブレークした感があります。
 『ゆるキャン△』の伸びを良く見ると、2/1の週と2/22の週に大きな伸びがあります。これは…、


静岡放送の番組で取り上げられたためのようです。地方の放送局の番組がこんなに影響力があるとは意外でした(失礼!)が、何と、探訪作品関連でリツイート数No.1がこのツイート、2/22にも同じく静岡放送のアナウンサーが『ゆるキャン△』を取り上げたツイートをしていて、これがリツイート数No.2でした。地上波がTwitterの拡散力と組み合わさるれると影響が大きいという実例ですね。
 さらに天竜浜名湖鉄道のラッピング電車とのタイアップもあり、前シーズンは主に山梨県内でタイアップしていた『ゆるキャン△』が、今シーズンは静岡県で存在感を見せた形となりました。


 2位につけたのは『響け!ユーフォニアム(以下、ユーフォ)』。元々根強い人気作ですが、今期は『舞台めぐり』のスタンプラリーや、京阪電車とのコラボで現地を訪れたファンが増えたようです。


 そして、2月下旬になって突然ランク圏外から3位に浮上したのが、マンガの『よつばと!』。データの収集は去年の春から始めていますが、アニメ化されていない作品が上位に入ったのは初めてのことです。

 2/27に『よつばと!』15巻が約3年ぶりの発売となりましたが、そのエピソード中によつばが石拾いに行くシーンがあります。そのシーン中に舞台の場所をGoolgeマップで示すコマが描かれたため、それを読んだファンが現地を訪れたことでこの突然のランクインが起きたわけです。

『よつばと!』第15巻 第100話

 『咲-Saki-』クラスタでお世話になっているいのけんさんが、その現地を訪れた様子をTogetterにまとめられているので、ここにご紹介しておきます。  


 前回に引き続き4位をキープしたのは『ゴールデンカムイ』。昨年は北海道の冬の訪れとともにツイート数が伸び悩んでましたが、今シーズン後半になって回復して来ました。北海道作品ならではの季節変動と言えそうで、これからの伸びが楽しみです。


今期のアクティブ・ファンの分布傾向

 今期のファン分布の傾向を見てみましょう。


 上のグラフは、その作品に言及したツイートの半数が、全アカウントのうち何%のアカウントによって発信されたかを示す率で、上からツイート数順です。グラフが右に伸びているほど平均的にツイートされており、左に行くほどツイート数が多いコアなファンが多いことを示します。

 今期は、先期の『神様になった日』や『おちこぼれフルーツタルト(以下、おちフル)』のように、一部のアクティブファンのツイートが突出した作品は見られませんでした。
 ここで、ツイート数1位の『ゆるキャン△』の先期からの変動を見てみましょう。まずツイートしたアカウント数の増減ですが…、

アカウント数全体は先期よりも倍以上に増えています。さらに、全ツイートの半数を占めるアカウント率を見てみると…、

アカウント数全体が先期よりも増えているにもかかわらず、全ツイートの半数を占めるアカウント率はむしろ先期よりも減っています。
 このことから、ライトなファンもコアなファンも活動が活発だったことが分かります。『ゆるキャン△』のファン層の勢いを感じますね。

 最後に、コアなファンが比較的多かった作品に注目すると、『ユーフォ』,『おちフル』,『ジョゼと虎と魚たち』,『放課後ていぼう日誌』であることが分かります。
 そんな中から、(拾える範囲で)個人アカウントとしてリツイート数No.1を記録したこちらのツイートをご紹介。多数のリツイートを獲得したのもうなずける、良質なレポです。


 さて、次なる今年の春シーズンはどんな舞台が登場するのでしょうか?
 COVID-19の影響が気がかりな中、皆様にご安全な探訪活動があらんことを祈りつつ、また次回まで。

 本記事内の『よつばと!』の画像の著作権はあずまきよひこ先生にあり、ここでは当該作品を含むファン活動の研究を目的として引用しています。

今回のデータ収集方法について

 今回のツイートの検索・収集条件は下記の通りです。

  • 舞台探訪関連ツイートデータの検索キーワードは、"舞台探訪" OR "#butaitanbou" OR "聖地巡" OR "舞台巡" OR "舞台めぐり" OR "聖地めぐり" OR "モデル地めぐり" OR "モデル地巡り" OR "聖地探訪"
  • リツイートは検索しない(Twitterの検索設定は"-filter:retweets")
  • 引用ツイートは集計結果から除外
  • Botは集計結果から外す(同一ユーザーIDで3つ以上の重複ツイートがあるとBotと判断)
  • 次の作品は他の単語と混同の可能性があるため除外する→『ハル』,『ef』,『インフィニット・ストラトス』の略称の『IS』,『ペルソナx』の略称の『Px』,『アクセル・ワールド』の略称の『AW』
  • 次の単語を含むものはプロモーションと判別して除外する「舞台めぐりコラボ企画」,「【キャンペーン情報】」
  • 週1回定期的に検索(後からジワジワ伸びるRT数はカウント出来ない)

 また、Twitterの検索APIに起因する制約は以下の通りです。

  • 機械的検索の制約
    • キーワードが入ったツイートしか収集出来ない
    • キーワードが入っていると、「行きたい」という願望のツイートや以前に行った探訪の再投稿など、現地に行っていないツイートも収集される
  • Twitter検索の制約
    • 鍵付きアカウントのツイートは収集出来ない