かなり間が空いてしまいましたが前回の続きです。
今回は後半部分にあたる常念岳への登頂、そして前常念経由での下山編です。
というルートの二日目途中から三日目にあたります
いいことばかりじゃない
辛いこともあったけど
全力でかけぬけた縦走路です。
本当に死ぬかもしれないッ!
そんなことを思い出しながらこの記事を書きました!
■ 常念岳とは?
北アルプスに属する標高2857mのお山。
昨年の6月に登り酷い目にあった懐かしい山ですね。
細かい情報はこちらをご覧ください。
今回歩いたルートは二つ
蝶・常念間の縦走路はアップダウンが多く、最後に待っている常念岳への登り返しがキツイ・・・
前常念からの下りは急傾斜が続きとてもシンドイ・・・
先に感想を書いてしまえばそんな感じでした。
ことの詳細は下記をご覧ください
■ 快晴の縦走路!
見てください!この美しい縦走路ッ!
いやー快晴の中、こんな道を歩けるのは嬉しいなー
一回めっちゃ標高下げてから登り返す形になるけど(
基本的に後ろ向きなだいたいいろです。
蝶ヶ岳山頂での休憩もそこそこに常念岳へ向かっていきましょうー
ちょっと高度感を感じる道からスタートです。
北アルプスらしく雪の下には岩が待ってます。
気をつけて足を進めていきましょう。
この縦走路、常に穂高が見えるのでペースに悪い(
常念岳までのコースタイムは約4時間。
歩き応えのある見た目してやがるぜ
最低鞍部へ向かう道。
角度は付いてますし足元の雪はかなりの緩さ・・・油断すると下まで滑り落ちそう・・・
最低鞍部へ辿り着くとそこで待っているのは当然ながら登り返し・・・
一旦上げた標高をなぜ下げないといけないのか・・・?そんな疑問が頭から離れません。
そんな後ろ向きな気持ちをまた登れる喜びに変えて頑張っていきましょー
登っては
樹林帯を抜け
また登る
想像してたよかアップダウンが多いぞ・・・
その途中で振り返っての1枚。
俺は……まだ! ここにいるぞ!!と主張するかのように飛び出した蝶槍。
未だ登れていない槍ヶ岳に似ているその姿は槍を関するにふさわしいです。
最後の樹林帯を抜けた後、ちょっとしたトラバースを超えていきます。
このあたりは雪が緩く何度か滑り落ちそうになりました。
快晴の残雪期の怖いところ、といったところでしょうか。
トラバースを超えた先が2592ピークと呼ばれる場所です。
常念岳山頂の次に高いピークです。
そこから見えるのは常念岳。
鋭く切り立った稜線がどこか怖い印象を与えてきます。
稜線にとりつけるのはもうちょっと先です。
ルートは一度大きく右へ向かいます。
その先で待っているのは・・・小さいピークです。
でも大丈夫。見た目ほど厳しくない。
ちょっと分かりにくいのですがこの小ピークはハイマツの隙間を縫って登っていきます。
うーん・・・見つけにくい。
常念岳手前の小ピークは北アルプスらしい岩場。
このあたりでアイゼンの歯が丸まることは気にならなくなります(
小ピークを超える今日のボス、常念岳への挑戦権が得られます。
下りはちょっと急。
西穂高独標から西穂高側への下りを思い出します。
岩場は常念岳山頂を常念小屋方面へ下りるまで続きます。
高度感と岩場の組み合わせが登山者の体力をゴリゴリと奪っていきます・・・
アイゼン外したいけど絶妙に雪が残ってるんだよな・・・
なんとか無事に下りた後に待っているのは約400mの登り返しッ!
ナイスな展開じゃないか!
■ おや・・・?てんきのようすが・・・?
ここから先はひたすら岩場を登っていきますッ! アイゼン外したいけどそれなりの量の雪が残っており外すのを躊躇わす親切設計。
完全な岩場かーアイゼン外すかー
いや雪あるなー滑りそうだしつけておくかー
岩場ぁ・・・
あー微妙・・・
みたいなことがずっと続きます(
たまに足場の狭い場所を通過したりと油断できない道が続き体力・メンタルを削ってきます。
岩場に取り付いてから約1時間。
山頂が少し近づいた・・・?
体力はすでに限界直前・・・
休憩したいのですが適地となる場所が見つからず仕方なしに歩いている状況・・・
ちょっと気になるのが雲の量。
視線を西側に向けてみると・・・いけない感じの雲が迫ってきてます。
穂高・槍ヶ岳方面は雪が舞っている感じですね・・・
あの雲はヤバイ・・・早く登らないと!と気持ちだけは焦ります。
が・・・昨日の疲労が残っている上に大小のピークを超えてきた体は期待に応えてくれません・・・
蝶ヶ岳までの稜線は綺麗。雲はヤバイんですけどね(
もはや無心・・・ただただ無言で岩場を超えていきます。
さきほどの雨雲がついに頭の上に・・・
2592ピークから歩くこと約3時間・・・
体力は限界を超え、もう無理・・・もう歩けない・・・うずくまりたいとか思い始めます。。。
そんな中、遂に小雪がちらつき始めたころに見えてくるのが・・・
常念岳山頂です・・・!
長かった・・・本当に長かった。
雪は吹雪に変わり眺望は望めません。
座っているだけで体力を奪っていく環境の中で休むのは得策ではないッ!
ということで
最後の体力を振り絞って小屋まで1時間の下りを始めます。
天気はまさかの吹雪・・・
もうめっちゃ寒い(語彙力
常念岳山頂から小屋までは広い稜線を歩きます。
夏の時点でも道はかなり分かりにくかったのに降りしきる雪がトレースをしっかり消してくれます!
道を間違えると簡単に死ねるのでペースを落としてでも確実にルートを辿ります。
頂上からの下り始めること約30分。
吹雪の向こうに本日の天国、常念小屋が見えてきます。
なんですが・・・登山ルートはジグザグに下っていきます。
まっすぐ登ると角度ついて大変だらからね。
普通なら親切心に打ち震えるような設計ですが、今は別。
遅々として小屋に着かないので絶望だけが心に降り積もりました・・・
そんな絶望を感じながら歩くこと約1時間・・・
吹雪の中・・・無事に常念小屋に・・・到着しました・・・ッ!
もはやこの時点でだいたいいろとdocさんからは表情が消えています。
言葉少なく熱量を生み出すためだけにお昼ご飯を流し込みます・・・
その後、昨日と同じようにテント張りをお手伝いし、残りの時間はずっとストーブの前で温まり続けました・・・
■ 新雪を・・・ラッセル・・・?
昨日に続き星を撮ることを諦め体力回復に努めた結果・・・待っていたのは再びの快晴ッ!!!
朝焼けが綺麗だ・・・
どこからともなくフォトグラファーさん達が現れ、美しい朝焼けを思い思いにカメラで捉えていきます。
気持ちのいい下山になりそう。
日の出を待つ横通岳。
このまま日の出まで・・・と行きたいところですが常念小屋には朝ごはんをお弁当に変えるオプションはありません。
命の元たるご飯を頂きに小屋へ戻ります。
ササっと朝ごはんを頂いたあと、待っていたのは美しいモルゲンロート。
槍・穂高方面にばっちりです。
照らされる横通岳。
日の出も一通り楽しんだところで下山を開始します。
本日の下山は一度常念岳へ登った後に前常念、三股駐車場へ下りるルート。
なので・・・もう一度常念岳へ登ります!!!
始めて快晴の下、常念岳を登るぞ!
下山時にも書きましたが常念岳直下の登山道はジグザグに進みます。
なかなか山頂に着かないの・・・
それでもこの天気・・・昨日より足取りは軽い気がします
小屋から15分登るだけでこの景色・・・ッ!
横通岳までの稜線が気持ちよさそう・・・
天気はよく気持ちいいとは言え足元は油断できません。
大小さまざな岩が並ぶ登山道を抜けていきます。
さらに新雪まで・・・ 岩を隠してしまうので足の置き方に気をつかいます。
まさかGWにもなって新品のシュカブラを眺めることになるとは・・・
昨日は朦朧とした意識の中、歩いていたので気がつかなかったけど・・・
トゲトゲした殺意ある登山道でしたね、そういえば
小屋から登ること約1時間。
大天井までの稜線が一望できるようになります!
横通岳から続く登山道が気持ちよさそうだなー
登ってきた道を振り返っての1枚。
ジグザグに登ってきたこともありそこまで辛さを感じませんでしたが、それなり以上の角度ついてますねー
ここまで登ってきたら山頂は本当にすぐそこ。
吹雪の下山より快晴の登りの方が断然楽だ。
ゴツゴツの岩を乗り越えた先にあるのが・・・
常念岳山頂ですッ!!!
初めて・・・三度目の挑戦で初めて・・・快晴の山頂を踏むことができました!
三度目にして初めてゆっくりと山頂からの景色を味わったりします。
こちらは大天井方面。
諸先輩方の話を聞く限り、常念小屋方面から登るほうが楽らしい。
なのですが今年の夏は燕岳方面から登る予定です。
昨日、死を覚悟しながら歩いた蝶ヶ岳への縦走路。 大小さまざまなサイズのピークを越えてきたのが分かります
こちらは穂高方面。
見る位置、見る時間、見る天候を変えて様々な表情を眺めてきました・・・
絶対に登りたい・・・
これから下る前常念岳。
昨日の雪で冷やされた空気が雲になって上がってきています。
雨雲ではないので怖さはなく純粋に格好いいな・・・
常念岳から三股駐車場への下りコースタイムは5時間弱。
あんまりゆっくりしてる時間はありません。
山頂での絶景もそこそこに下山を開始します。
常念岳から前常念に下りるにはいったん登ってきた道をもどります。 画面右下に標識が見えます。あそこが分岐です。
辛い思いばかりが先行する常念岳・・・最後だけは気持ちよく終われそうです。
10分もしないで分岐に到着。 左に行くと常念小屋、右に行くと前常念へ向かいます。
前常念への縦走路は相変わらずの悪路。
岩を踏みながら進みます。
山頂方面を振り返っての1枚。
山頂は細く尖った形してるんですね
ちなみに縦走路の右側は切り立った崖です。
滑落停止なんて考えられない急斜面なんで本当に気をつけていきましょう!
気をつけたいのは山々ですが大きな岩の横をトラバースしたりと、相変わらず山体からは殺意を感じます。
大きな岩を超えた先に待っているのは真っ白な雪原・・・・
え・・・?もしかして・・・新雪をラッセルするの?
だって5月だよ?残雪期だよ?
軽くない絶望を感じながら新雪を踏みしめていきまーす
ところどころにラッセル跡は残っていますが・・・
誰も歩いてない雪の上を歩くのは気持ちがいいッ!
Step by(Hi!) Step by(Hi!) Step by Step! Growing! Gronwing!
なんて口ずさんだりします。
疲れは溜まっているので足取りは軽くないですが気持ちは軽いです。
いや嘘です・・・歩きにくいし気をつかうしで体力はもう限界・・・
はやく帰りたいよ・・・(本音
夏道ならハイマツの間を抜けていく道なのでしょうが・・・雪に埋まっていますねー
道だと思って足を下したら岩の上でバランスを崩すことがしばしば・・・
狭い稜線なのでやめてほしい。
ちなみに景色は最高です。
なんというか絶妙なツンデレ感?厳しいけど優しい・・・みたいな。
疲れからか変なことばかり頭をよぎります。
新雪をラッセルして進んでいるのでペースがとても悪い・・・
分岐から1時間かけて山頂直下の登りに到着。
登り切ったところには常念小屋への分岐が待ってます。
前常念山頂はもうちょっと先。アップダウンはないのが救い
岩場はまだまだ続いていきます。
アイゼンを履いているのでバランス崩さないよう気は使うし、ペースは落ちるし、とても疲れる・・・
途中振り返っての1枚。
今回は下りだったので気がつきませんでしたが・・・これ登るとなると大変そうだな・・・
これが本日のピーク・・・これを超えると・・・
前常念山頂に到着です!
小さッ!!山頂標識ちっさッ!!
掘り返さないとわからないくらいの小ささ・・・
山頂からの景色はこんな感じです。
横通岳と大天井のツーショット
隣にある無名峰までしっかり納めることが出来るので横通岳見るなら前常念がベスト
穂高方面の1枚。
湧いてきた雲、雪が溶けた樹林帯、昨日の新雪とが混ざり合って美しいです。
3日目ともなると疲労が半端ないです。
早く下山してお風呂入りたい欲が強く、山頂からの景色をしっかり味合わずに下山を開始したので写真は少なめです・・・
二泊三日登山の疲労度は半端ない・・・
この体力では先行きが不安です・・・体力アップが急務だと感じました。
もうちょっと味わえばよかったなー
15分ほどで避難小屋を通過・・・
感情が死んでいる二人・・・
穂高が格好いいなー(棒
くらいのテンションで横を通り抜けます
新雪をラッセルしてカラカラに乾いた心では何も感じられないらしいです
なんですが・・・この避難小屋を超えてからが前常念の真骨頂ッ!
こんな感じで岩場と雪がミックスされた・・・
急降下が待ってますッ!!!
疲れた状態でこれを下るのは至難の技なのでは・・・?
一歩一歩に気を使う登山道なんですが景色はとてもいい・・・
蝶と常念の縦走路と穂高が並んでいる風景は圧巻・・・
時刻は10時過ぎ・・・
この時間にここまで登ってくる登山者さん・・・
もしかしなくてもとても凄いのでは・・・
直登を下り始めてから約30分。
角度はまだまだ急な下りは続きます。
足を置いた下には切り立った岩があり盛大に足を滑らすなど冷や汗をかくこともしばしば・・・
そんな登山道ですがこんな感じの岩のゲートを抜けて・・・
このハシゴを下ると急登は終わりです!
終わるのは急登! 登山道自体はまだ半分残ってます!!!
長時間下ってきた気がしますが標高はまだ2400m。
登山口の標高は1500mくらいなのでまだ1000m近く下れるぞ
・・・さすがにシンドイ・・・
もはやここからは無心・・・
ただひたすら樹林帯を無言で下っていきます・・・
標高が2000mを切ると雪もなくなります。
歩きやすくなるなーと思いましたがそこは常念岳。甘くなかったです。
標高が下がるにつれて登山道は荒れていきます。
倒木があったり・・・
道がなくなってたり・・・
とかなりのアスレチック度。
うーん・・・このルート使っては登りたくないなぁ・・・
距離も長いし、疲労が出始める後半に標高上げるタイプだしかなり付き合いにくいタイプ
疲労もあり思考はかなりマイナス側に傾いてきたころ・・・見覚えある標識が・・・
常念岳山頂から下ること約6時間・・・登山口に到着ですッ!
長い・・・!めっちゃ長い下山路だった・・・ッ!!!
二度と・・・二度と歩くものか・・・ッ!
■ さいごに・・・
一言で表すなら
やめとけ
です・・・
蝶・常念間のルートは本当に厳しくて途中で歩くのをやめたくなりました。
- 雪で隠された岩場
- 蝶・常念間の無限に続くようなアップダウン、
- その後に待っている400mの登り返し
- そして吹雪
これだけ苦しいが続いた登山は空木岳以来でした。
今回は吹雪という圧倒的なデバフの中歩いたから余計にそう感じたのだと思います。
少しずつ大きくなる常念岳の姿に圧倒されながらも縦走路は開放感にあふれており、夏道なら楽しく歩けると思います。
また常に穂高が目に入っており、どこで立ち止まっても絶景というルートはこの縦走路ならでは魅力。
累積標高はそれなり以上のものになり体力はかなり必要です。
登山に慣れて3000m級に余裕を持っている人なら楽しめると感じました。
常念岳から前常念経由の下りは怖いの連続です。
細目の稜線を下った先に待っているのは急降下。
高度感が苦手な人は絶対にやめておいた方がいいです。
急降下が終わっても下山路はまだ半分。
そこから先は荒れた登山道を時間をかけて下りていくことになります。
技術的に難しいところはありませんが体力の消耗は相当なものです。
登るのも下るのも相当な手練れではないと難しい・・・
そんな厳しさ溢れるルートでした。