ある若者の「冒険」への小さな不安と大きな期待
フォーサイト誌9月号「シリコンバレーからの手紙」(121)に書いた「ある若者の「冒険」への小さな不安と大きな期待」
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u121.html
が、ネット上にアップされました。はてなの近藤淳也が渡米した直後、ミクシィ上場の直前に書いた文章です。
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昨年七月十八日、社内ブログで近藤は突然こう書いた。
「スター・ウォーズIIIを見て、こんなところでぬくぬくと暮らしていたらいけないな、若いうちにもっと困難に立ち向かわないといけないな、と思いました。ということで、今後のはてなと近藤の行動プランを考えてみました」
その行動プランの中核が「はてなのアメリカ法人を作って、その代表に近藤が就任」「日本法人の指揮は取締役たちに任せる」というものだった。「こんな重要な話のきっかけがスター・ウォーズIIIなのか?」ということも含め、びっくり仰天した。私の直感的反応は「さすがにこればっかりは近藤に翻意を促したほうがいいかなぁ」だった。
冒頭の新聞記事でミクシィについて「上場時の時価総額は一千億円を超す」とあるのと同様、日本でのはてなの成功確率と潜在リターンを掛け合わせた期待値はかなり大きい。創業者・近藤の個人資産という観点から考えたって、この機を逃すか逃さないかは、数百億円単位の話である。創業からの努力の結果として目前にしているその期待値と、日本人がアメリカで何かをゼロから始めるリスクとを天秤にかければ「ノー」が常識だろう。「そう言ってやるのが大人の役目かもしれないぞ」が私の第一感だった。
ただ、世の常識から「カネへの欲」を差し引いて、頭をまっさらにしてよくよく考えてみれば、「上場したら自由な冒険や挑戦ができなくなる」「ネット・サービスを創造するからには世界を相手に勝負したい」「べらぼうな資金は必要ないのだから、どうせやるなら早く」という近藤の発想のほうがかえって自然なもののようにも思えてきた。
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全文は、新潮社「フォーサイト」誌サイトでお読みください。