ゲーム機のコントローラーのボタン配置と決定ボタンの変遷(その1)

この前PS5で決定ボタンが✕ボタンに変更されるという話題がありました。

nlab.itmedia.co.jp

前々からゲーム機のコントローラーのボタンの変遷についてまとめてみたいなーと思っていた所にこの決定ボタンの話題が来たので、ちょうど良い機会ということでブログにまとめてみます。

 スーファミの決定ボタンについて調べたらやたら長くなったので、そこで一旦区切って「その1」としてます。その3まで書く予定。※追記:その5まで延びそう。

 

 

 

ファミリーコンピュータのコントローラ(83年7月)

f:id:u_mid:20201007191235j:plain

十字ボタンとゴムボタンはゲーム&ウォッチから継承されていますが、A・Bボタンは発売の翌年プラスチックのボタンに変更されています。カードのような長方形で、ジョイスティックと違ってもし踏んでしまっても痛くないし壊れにくい。本体に差し込んで収納もできます(当時の家庭用ゲーム機の中には本体に差し込んだり載せたりして収納する機構を持つ物があった)。

右からA・Bの順になっています。文章を横書きする場合左から順にABC…みたいに書きますが、ファミコンは逆です。まさか縦書き?その後のゲーム機でもアーケードゲームでも左からA・B…が多いです、右からは任天堂と、ファミコンに倣ったPCエンジンくらい?1つ目のボタンを一番外側に配置したかった、とかでしょうか。

決定ボタンについては、ドラクエがヒットしてからはAで決定Bでキャンセルが増えていった印象です。そもそもアクション性のないRPGであるドラクエ1が出るまでは何らかの選択をボタンを押して決定するという場面自体無いゲームジャンルの方が多いです。

以下、1986年までのアクションやシューティング以外のゲームのボタン操作について、わかった範囲で。

タイトル 発売時期 ジャンル A B
五目ならべ 連珠 83/08 TBL 石を打つ 投了
麻雀 83/08 TBL ツモ・選んだ牌を切る 選んだ鳴きや上がりを決定
4人打ち麻雀 84/11 TBL 選んだ牌を切る 選んだ鳴きや上がりを決定
本将棋 内藤九段将棋秘伝 85/08 TBL 駒を持つ・打つ 待った
ポートピア連続殺人事件 85/11 AVG 決定 キャンセル
ドラゴンクエスト 86/05 RPG 決定 キャンセル
ミシシッピー殺人事件 86/11 AVG コマンド決定等 メモをとる等
ディープダンジョン 86/12 RPG 決定 キャンセル

ポートピアの開発者はドラクエと同じ堀井雄二氏です。

1986年で決定する場面があるアクションゲーム等で見てみると、「魔鐘」はAでアイテム買う・使う、「がんばれゴエモン」もAでアイテム買う、「スーパースターフォース」「ワルキューレの冒険」「シャーロックホームズ」はBボタンでアイテム決定、とまだバラバラです。

ゲームを始める時押さなければいけないSTARTボタンこそが、ジャンルを選ばない真の決定ボタンなのかもしれません。

 

セガマークⅢのジョイパッド(85年10月)

f:id:u_mid:20201013073248j:plain
Photo by  Muband / CC BY-SA 3.0 / trimmed from original


ファミコン以前の他の家庭用ゲーム機同様のジョイスティック型コントローラーだったSG-1000から、SG-1000Ⅱでファミコンタイプになり、末期にボタンがゴムボタンからプラスチックボタンになり、そしてその次の世代であるセガマークⅢでもそれが受け継がれています。

ボタン構成は、方向ボタンと、ボタン名は書いてませんが左から1ボタン・2ボタンです。海外版セガマークⅢの逆輸入であるマスターシステムのコントロールパッドではボタン名も書いてあります。

SG-1000Ⅱ同様方向ボタンの真ん中につまみを取り付けてレバー風に操作できます。操作しづらいけど。というか、つまみなしでもファミコンの十字ボタンと比べると操作性は悪いけど。

ドラクエ2と3の間に出たマークⅢ初のRPG「ファンタシースター」は、ドラクエと同じく右の2ボタンで決定、左の1ボタンでキャンセルです。

  

PCエンジンパッド(87年10月)

f:id:u_mid:20201013071218j:plain
Photo by  Muband / CC BY-SA 3.0 / trimmed from original


ファミコンとだいたい同じです、操作感も同様。ボタン名はファミコンの「十字ボタン・SELECT・START・B・A」から「方向キー*1・SELECT・RUN・Ⅱ・Ⅰ」と少しずつ変わっています。A・BがⅠ・Ⅱに。

STARTではなくRUNなのが、BASIC(プログラム言語。プログラムを開始するコマンドが"RUN")も作ってるハドソンが関わっているハードらしいかもしれないとか言いながら実際は関係ないかもしれない。

ドラクエヒット後なので決定ボタンはファミコンのAボタンに相当するⅠボタン。

 

メガドライブのコントロールパッド(88年10月)

f:id:u_mid:20201009014617j:plain

手のひらに当たる部分がグリップを意図して丸みを帯びていて手にフィットする形になっています、そして厚め&大きめ。アメリカンサイズ?マスターシステム同様ボタン名が書かれるようになりました。

方向ボタンが意図せず斜めに入ったりA・B・Cボタンも硬めだったりで、慣れないと使い心地が悪い部分も。

独立したSTARTボタンが追加されましたが、ファミコンと違って少し斜めです。右親指を伸ばすとちょうど垂直に当たるので押しやすい。A・B・Cボタンの配置も同様に斜めに並んでます。

さてボタンが3つに増えましたが決定ボタンはどれなのか。主にCで決定・Bでキャンセルでした。右端のボタンが決定ということですね。Cに加えてAでも決定できるゲームも多いです。

ときどきAで決定・Bでキャンセル(Cは別の役割)なゲームもあります。「A決定Bキャンセル」は言葉の響きではファミコンと同じだけど位置は別物。

 

ゲームボーイ(89年4月)

f:id:u_mid:20201009043137j:plain


ボタン構成・配置はファミコンと同じですが、START・SELECTの向きやA・Bの並び方が半年前発売されてるメガドライブ同様斜めになっています。後に出る小型化したゲームボーイポケットとそれ以降はSTART・SELECTは斜めでなくファミコン同様に戻ります。

決定ボタンはこの頃のファミコンと同じくAで決定・Bでキャンセル。ボタン構成同じですしね。

 

ゲームギア(89年4月)

f:id:u_mid:20201013080405j:plain

セガマークⅢをベースにした携帯ゲーム機。
こちらも右側の2ボタンで決定、左の1ボタンでキャンセル。

 

スーパーファミコンのコントローラ(90年11月)

f:id:u_mid:20221017085500j:plain

右親指で押すボタンが増えました、ファミコンでは横にA・Bと並んでいたのがひし形状にA・B・X・Yが配置されています。ボタン名のアルファベットやボタン周りの明るいグレー部分を見るに、AとB、XとYがそれぞれ別にグループ分けされてるようにも見えます。また、人差し指で押せる位置にL・Rボタンも追加されています。

スーパーファミコンは本体の発売と同時にスーパーマリオシリーズの最新作スーパーマリオワールドが発売になっていますが、その操作ボタンの変化がこちら。
 

  ダッシュ ジャンプ
ファミコンのスーパーマリオ1~3 B A
スーファミのスーパーマリオワールド  Y B

 

f:id:u_mid:20201008064643j:plain

ファミコンのAとBがそのままYとBに変わっています(Aボタンはスピンジャンプという新技)。その他の任天堂のゲームも、メインはBとYでサブにAやXという操作が多い。

両手でコントローラーを持って右手親指を伸ばすと親指が斜めにYとB(またはXとA)に乗る形になる一方、AとBの間に少し隙間があるためBを押しながらAも押すというのはファミコンと比べてやりにくくなっています。

任天堂としては、BとYをファミコンのAとBに相当するものとして作っていた節があります。余談ですが、ファミコンとスーファミのコントローラーは互換性がありシリアル通信でボタン情報を受け取っていて、そのボタン情報の受け取る順番が以下のようになっているのです。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
FC A B SELECT START 上 下 左 右        
SFC B Y SELECT START 上 下 左 右 A X L R

ボタン名ではABとXYなのに、ハードウェア的には追加ボタン扱いはXYLRではなくAXLRで、BとYはファミコンのAとBに相当します。*2 …となると何故ボタン名がA・BじゃなくてB・Y?「右端はAボタン」というのを変えると混乱を招きかねないという判断?

決定ボタンもBボタンなマリオワールドやマリオカートをプレイして「スーファミではA・BボタンではなくB・Yボタンメインで行くんだな!」と子供心に思ったものです。

 

スーパーファミコンの決定ボタンはどれなのか?

ということで各タイトルの決定ボタンを確認してみましょう。めーっちゃ検索しました。説明書の記載や検索して出てきたサイト等の情報です、実際にプレイしてみると説明書に記載されていないものの他にも同様に機能する別のボタンがあったりします。*3 もちろん検索しても情報が見つからなかったのでリストに無いという理由のタイトルもかなり多いです。

決定する場面がない・STARTボタンのみ・ABYどれかで決定・ABXYどれでも決定というケースはリストから省いています。

まず90~91年。

タイトル メーカー 発売時期 決定 キャンセル
スーパーマリオワールド 任天堂 90/11 B  
ボンバザル ケムコ 90/12 AX  
アクトレイザー エニックス 90/12 B Y
ジャンボ尾崎のホールインワン HAL研究所 91/02 AB XY
ダライアスツイン タイトー 91/03 A  
シムシティ 任天堂 91/04 B  
ドラッケン ケムコ 91/05 A B
ガデュリン セタ 91/05 A B
イースⅢ ワンダラーズフロムイース トンキンハウス 91/06 B Y
機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122 バンダイ 91/07 A B
がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻 コナミ 91/07 B  
ファイナルファンタジーⅣ スクウェア 91/07 A B
エリア88 カプコン 91/07 B  
スーパー三國志Ⅱ 光栄 91/09 A B
悪魔城ドラキュラ コナミ 91/10 A B(サウンドテストでの音停止のみ)
ゼルダの伝説 神々のトライフォース 任天堂 91/11 B  
スーパーワギャンランド ナムコ 91/12 AB XY
ちびまる子ちゃん 「はりきり365日」の巻 エポック社 91/12 A B
ラグーン ケムコ 91/12 A B
ダンジョンマスター ビクターエンタテインメント 91/12 B A
SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産 エンジェル 91/12 A B
バトルコマンダー 八武衆、修羅の兵法 バンプレスト 91/12 B A


すっごいバラバラ。

10本くらいで済ますつもりが、あまりにバラバラすぎてどんどん調べてしまった。

メーカー毎に方針が違い、任天堂やエニックスはB決定ですがケムコ・スクウェア・光栄あたりは最初からずっとA決定で行く気満々です。

これはやはりファミコン時代のドラクエの影響力の凄さというか、「Aボタンで決定、Bボタンでキャンセル」という言葉の響きがそのままスーファミにも適用された結果なのでしょう。配置よりもボタン名。B決定と比べて、A決定のゲームでBキャンセルがセットになってることがわりと多いのもそのせいかも。

スーパーファミコンでは、売上や人気度的にはまずFF4が「RPGはA決定Bキャンセル」を決定づけたのではないでしょうか。

ダライアスツインはゲーム中の他操作でもY・B使わずA・Xを使うという特異な例。Y・Bの方が持ちやすくない?

 

続いて92年。

ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説 バンダイ 92/01 A B
ロマンシング サ・ガ スクウェア 92/01 A B
ソウルブレイダー エニックス 92/01 BY  
ドラゴンスレイヤー英雄伝説 エポック社 92/02 A B
弟切草 チュンソフト 92/03 A B(文字入力時1文字戻す)
カードマスター リムサリアの封印 HAL研究所 92/03 A B
ウルティマVI 偽りの予言者 ポニーキャニオン 92/04 A B
ヘラクレスの栄光Ⅲ 神々の沈黙 データイースト 92/04 A B
斬Ⅱスピリッツ ウルフ・チーム 92/05 A B
キャプテン翼Ⅲ 皇帝の挑戦 テクモ 92/07 A B
スーパー桃太郎電鉄Ⅱ ハドソン 92/08 A B
スーパーマリオカート 任天堂 92/08 B  
ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁 エニックス 92/09 A B
真・女神転生 アトラス 92/10 A B
ウィザードリィ・Ⅴ 災渦の中心 アスキー 92/11 A B
タイニー・トゥーン アドベンチャーズ コナミ 92/12 B Y(一部ボーナスゲーム)


あーもう趨勢はA決定です、B決定が続いていたエニックスもドラクエ5でとうとうA決定Bキャンセルに転向、これがトドメとなったかこれ以降国内サードパーティ製は調べても調べても9割がたA決定です。

ちなみにスクウェアの中でも聖剣伝説2(93年8月)はB決定Yキャンセルです、突然どうした?聖剣伝説3(95年9月)は他同様A決定Bキャンセル。

任天堂とコナミでB決定を見かけたので、A決定だらけの他社はここらで調査を打ち切って両社のゲームを確認してみました。

まず任天堂、96年まで。なお93年はスーパースコープやらマウスやらでそもそもABXYじゃなかったり、決定ボタンの記載が無かったり(スターフォックス*4とマリオコレクション)でリストにはありません。

ファイアーエムブレム 紋章の謎 任天堂 94/01 A B
スーパーメトロイド 任天堂 94/03 A Y(アイテム選択キャンセル)
ワイルドトラックス 任天堂 94/04 B Y
MOTHER2 ギーグの逆襲 任天堂 94/08 A B
カービィボウル 任天堂 94/09 A B
マリオのスーパーピクロス 任天堂 95/09 A B
パネルでポン 任天堂 95/10 A B
スーパーマリオRPG 任天堂 96/03 A B
星のカービィ スーパーデラックス 任天堂 96/03 A B
ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 任天堂 96/05 A B
マーヴェラス 〜もうひとつの宝島〜 任天堂 96/10 A B

 

とうとう任天堂もAボタン決定Bキャンセルに屈している。

任天堂内製に限るならBキャンセルまで採用したのはマーヴェラスまで無かったとも言えなくもない?

 ヨッシーアイランド(95年8月)はABXYどれでも決定でした。実際にプレイしてみたら文章送りがAのみでBが使えないのが任天堂の変化を感じる。

 

次にコナミ。少し遡って既出の91年から。

がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻 コナミ 91/07 B  
悪魔城ドラキュラ コナミ 91/10 A B(サウンドテストで音停止のみ)
タイニー・トゥーン アドベンチャーズ コナミ 92/12 B Y(一部ボーナスゲーム)
Pop'nツインビー コナミ 93/03 B A(文字入力時1文字戻す)
魍魎戦記MADARA2 コナミ 93/07 A B
実況ワールドサッカー PERFECT ELEVEN コナミ 93/11 A B
がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス コナミ 93/12 B  
実況パワフルプロ野球'94 コナミ 94/03 AB XY
がんばれゴエモン3 獅子重禄兵衛のからくり卍固め コナミ 94/12 B  
悪魔城ドラキュラXX コナミ 95/07 A B
実況ワールドサッカー2 FIGHTING ELEVEN コナミ 95/09 A B
ときめきメモリアル 伝説の樹の下で コナミ 96/02 A  


ん?「コナミがB決定」というより「ゴエモンがB決定」だな?コナミも他社よりはB決定が続いた方ですが。ゴエモン関連作はこの後にも2作出ていますが(「きらきら道中」と「それ行けエビス丸」)、そちらは確認できませんでした。B決定を貫けたのだろうか。

極上パロディウスと実況おしゃべりパロディウスはABYどれかで決定でした。

 

じゃあアメリカのスーファミことSNESの場合は?

スーファミの決定ボタンについて検索してて思ったんですが、「日本はドラクエのヒットでA決定が広まりスーファミになっても任天堂のB決定を覆したけど、ドラクエが日本みたいにヒットしてないアメリカでは?」という疑問が湧いてきました。

ということでSNESでも少し調査してみました。主に国外開発ソフトについてです、国内開発ソフトのSNES版は省いています(SNES版でもA決定の場合が多い)。

タイトル 発売時期 決定 キャンセル
NCAA Basketball 92/10 A B
Cal Ripken Jr. Baseball 92/12 B  
Wing Commander: The Secret Missions 93/09 A  
The Wizard of Oz 93/10 B Y(文字入力時1文字戻す)
NHL Stanley Cup 93/11 AB XY
Super Solitaire 94/01 B Y
Rex Ronan: Experimental Surgeon 94/05 A  
TNN Bass Tournament of Champions 94/11 A  
Addams Family Values 95/02 B  
Kyle Petty's No Fear Racing 95/04 A B
Doom 95/09 A B
Madden NFL '96 95/11 B X
War 2410 95/12 A B
Wayne Gretzky and the NHLPA All-Stars 95/12 A  
Bass Masters Classic: Pro Edition 96/07 B  
NBA Hangtime 96/11 B  
NHL 98 97/12 B  

 

リストで見ると時期に関わらずA決定とB決定が混在している感じに見えます(国内開発ソフトを加えるともっとA決定が増える)。が、実際はA決定よりもB決定よりも多かった、とあるタイプがあります。リストに載せてない「STARTボタンのみ・ABYどれかで決定・ABXYどれでも決定」というタイプです。

RPGが強い日本と比べてスポーツものやシューティング、アクションが多いアメリカでは「1つ前に戻る」という場面が相対的に少なく(モードセレクト画面やオプション画面だけだったり)、1つ前の画面に戻る場合はボタンキャンセルが無くても「Exitを選んで決定」で戻るケースが多いのです。

どのボタンでもいいからExitを選んで押せば戻れる形式なら、どれが戻るボタンか知るというステップが必要無く、文字でもExitと書いてあってわかりやすいんですね。キャンセルボタンがすでに共通認識としてあるならボタン一発で戻れる方が手っ取り早いのですが。

ということで、あくまで自分で確認した一部のソフトからの個人的印象ですが、「決定ボタン・キャンセルボタンのセットがある」というドラクエでは普通の概念自体が日本と比べて薄い印象です。説明書に書いてないだけで実際にプレイしたらキャンセルボタンもあるのかもしれませんが。

晩年の方のB決定は当初の任天堂のB決定の名残というよりアメリカのPS1の✕決定の影響かもしれない(右親指で押す4つボタンの下のボタンという点で)。

 

こういう配置だったら?

元々ハードウェア的にBとYがファミコンのAとBに相当する上任天堂がB決定でゲームを作るなら、最初からBとYの位置のボタンをAとBにしていればよかった気もします。

f:id:u_mid:20201012102224p:plain

これはスーファミのABXY配置を時計回りに90度回転させた図です(ボタン名だけ変えれば別に色まで変える必要は無いですが)、こうすることで、

  • 右親指のホームポジションにしやすい位置(下ボタンと左ボタン)で、決定もキャンセルも親指を移動させずにすぐ押せる
  • 「A決定Bキャンセル」という言葉ををファミコンからそのまま受け継げる(決定ボタンが各社バラバラにならない・ユーザーも混乱しない)
  • X・Yという、横軸縦軸を意識させる名前(数学のグラフなど)でありながらYが横・Xが縦に位置するという状態を解消できる(Z・YとかではなくわざわざXから開始でX・Yなのに何故Xが上でYが右なのか)

3つ目はまぁどうでもいい話ですが、右手側に上下左右4つボタンが来るケースではこのスーファミ配置踏襲以外の機種ではどれもXが横・Yが縦に来てるんですよね。無用な混乱を防ぐためでしょうか。

このスーファミの「決定ボタンの翻意」という経験も影響しているのか、この後任天堂の据置ゲーム機では「まず押すボタン」のわかりやすさが意識されていきます。

 

 

その1はここまで。

その2では「ストリートファイター2、ご家庭に降臨」「デジタル機器にアナログが追加」「3機種ついに決定ボタン統一(一部地域を除く)」あたりまで書くつもりです。

11/21追記:その2をアップしました。

u-mid.hateblo.jp

が、「デジタル機器にアナログが追加」の時点でその1の文字数を超えてしまいました、このペースじゃその4まで続きそう…。

 

追記2:

id:gaball スーファミのプロトタイプはAが下、Bが上、XとYが座標通りなんだよね。製品版でわざわざ変えたのは理由があるはず。 http://captain-alfred.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/prototype-0792.html 

うわーホントだ!「こういう配置だったら?」で挙げたボタン配置そのまま!XYというアルファベットといいコントローラーの信号でのボタン順といい、この配置である方が自然ですよね。

調べてみたところ、最初のボタン名はABCDEFで、その次にCDボタンがXYボタンに・EFボタンがLRボタンに、と位置に合わせたボタン名に変わり、最後にABXYボタンが90度左回転しXYボタンが位置に合わせた名前じゃなくなった&ハードウェア内部は変更されていないのでコントローラーの信号としてはファミコンのABボタンに当たるのがスーファミではBYボタンになった、という流れのようですね。

となると何故製品版でボタン名を90度左回転させたのか…。やはり一番外側に1つ目のボタン(Aボタン)を配置したかったとかか。

topics.nintendo.co.jp

そしてこのインタビューではAボタンとBボタンの並び方について「ゲームボーイのボタンに合わせて、そのような配置にした」とあります。
Aボタンを右に置いた上でBボタンをAの左上に置くか(Bを押しながらAを押すのがやりやすくなる)Aの左下に置くか(ゲームボーイのAB配置と統一)で迷ったとのことで、なんらかの理由によりAボタンを右に配置する事を重視しているようにも見えますね。

当時のゲーム誌に公開されたスーパーファミコンの画像を見ると、Bの配置を迷ったというよりAを下に置いてBをその左上に置くのかAを右に置いてBをその左下に置くのか迷ったようにも見えますが(Aを右に置いてBをその左上に置いた画像が見当たらない)。

あとボタン数の検討に6ボタン格ゲーのスト2も考慮した話が書いてありますが、スト2の稼働は91年3月、スーファミの発売は90年11月なので、スト2が稼働前で今ほど大ヒットするかまだわからないような当時ではボタン数の検討と無関係なんじゃないかとも思います。それはうまく6ボタンを取り込んだ64の時の話かもしれない。

製品版もこのプロトタイプの形のまま出ていれば、Switch等でも採用されるスーファミ配置のABXYも、日本のPS1の◯✕△□も、下のボタンが決定になっていたかもしれませんねぇ。ただ日本で◯決定・海外で✕決定の分断は変わらないかもしれないので、今とは別の一波乱が起きているかもしれない。✕ボタンが左に配置とか。

 

*1:PCエンジンのゲームソフトの説明書を見ると、初期の数本だけ「十字キー」表記で、その後すぐ「方向キー」に変更されています。何かあったんですか?形状的に十字ではないってなった?

*2:ファミコンにスーファミコントローラーを繋いでスーパーマリオ1をプレイすると勝手にYダッシュBジャンプになります。

*3:例えばマリオワールドは実際はAB決定XYキャンセル、マリオカートはB決定Xキャンセル、ゼルダはABXY決定、と、試しに押してみたら同じ役割の別ボタンが色々ありました。

*4:実際に押してみるとAB決定XYキャンセルっぽい。