三菱UFJ銀行「貸金庫事件」が開けたパンドラの箱 「現金」を貸金庫の中に入れていたのはなぜ?
元行員が支店の貸金庫から顧客の資産を着服していた問題を巡り、三菱UFJ銀行は近く会見を開く。契約書類や貴金属などの貴重品を安全に保管できる場所と信じられてきた銀行の貸金庫。その信頼を揺るがす事態を招いた同行の経営陣は、何を語るのか。
三菱UFJ銀行のこれまでの発表によると、貸金庫からの資産の窃取は東京都内の練馬支店、玉川支店の2カ店で行われていた。管理職だった女性行員が行っていたもので、被害者は約60人、被害総額は十数億円に上る。
関係者によると、元行員が盗み取った多くは「現金」だった。同行は、貸金庫に格納できる対象を規約で定めて例示しているが、その中に現金はない。一方で、格納できないものは「危険物や変質、腐敗のおそれがある等、保管に適さないもの」としており、こちらにも現金の文字はない。
貸金庫に入れていいかどうかが明示されていない現金はいわば「グレーゾーン」だった。とはいえ、多くの顧客が「格納は問題なし」と判断したとみられる。
現金の格納は合理的な行動といえず
今回の事件では元行員が着服した金額の大きさや、最も安全と考えられてきた貸金庫からの窃取という犯罪行為に目が向きがちだが、もう一つ問われるべき視点がある。それは「なぜ銀行の貸金庫に現金を格納するのか」という疑問だ。
当然ながら銀行の支店には、現金を口座に預けられる窓口もあれば、ATMもある。貸金庫の契約者は口座を持っていることが前提なので、銀行の支店に現金を持って出向いたのならば窓口やATMから入金すればよい。それをわざわざ現金のまま貸金庫に入れている。
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