斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「昨年母が死亡。実家で一人暮らす父(70代)に対して今から僕ができることは何か?」

11/21発売予定の紙の本の出版を記念して送る、秘蔵のモヤモヤ特集の3日目は、昨日に引き続いてお父さん特集ということで、『飛行機の距離の実家に住んでいる父親の介護問題』です。

親の介護問題は今どき当たり前ないんですが、相談者さんが男性であり、まだ20代前半で若いというところが少し珍しいと思います。この記事は、まだ介護問題に直面していない方が心構えを持つという意味で参考になるかもしれません。

それでは、どうぞ!

親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと

※こういう本で事前に知識を頭に入れておきましょう。 

 

 

Q1. 実家の父親が元気なうちにできることを考えておきたい

斗比主閲子様

田中と申します。突然のメール失礼します。実家の父親の今後について的確なアドバイスが欲しいのですが可能でしょうか。

私について

  • 20代前半
  • 関西在住
  • 実家には帰りたくない。
  • 一人息子
  • お金に不自由なく育ててくれたことには感謝しているが父のことは好きではない

父について

  • 70代
  • 九州在住
  • 高血圧、酒飲みではあるが早急に命に関わる持病ナシ
  • 社交的で仕事を辞めてからも地域の行事に積極的に参加している
  • 頑固で自分の意見を押し通すタイプ

相談したいこと

父が動けなくなった場合は施設に入れたいと考えています。父が元気なうちに何をしておくべきか(調べておくべき制度・地域の相談窓口・父に話しておくべきことなど)、的確なアドバイスが欲しいです。

田中

 

A1. 本人の意向・介助者の有無・お金・自治体

田中さん

メールありがとうございます!

相談にお答えするためにちょっと教えてください。

  1. 田中さんはどうしてこのタイミングでこの問題を対処しようと思われたのか
  2. お父さんは体が悪くなったらどうしたいと言っているのか(お父さんの意向)
  3. お父さんの世話をする人、例えば、田中さんのお母さん、お父さんの愛人はいるか
  4. お父さんはどの程度の資産を持っているか、年金は月いくらぐらいか
  5. お父さんが住んでいるのはどれくらいの規模の自治体か

簡単に、分かる範囲で結構です。

ではでは!

topisyu

 

■Q2. 母の死亡・父の資産

回答します。

1. なぜこのタイミングか

最近考えはじめたわけではなく、かなり前から悩んでおり、ネットや書籍等で色々調べてはいました。このタイミングで他人(topisyu さん)に相談したのは、会社で長期の休みが取れそうで、色々動けそうだったからです。

また、2. 3. にも関係する内容ですが、昨年、母を亡くしました。長いこと母は体調を崩しており(最期の半年は病院と老人ホームを行き来し、病院で息を引き取りました)、母の死によって私の考えが大きく変わったというわけではありません。

2. 父の意向

母が施設に入ったときに「何かあったら自分(父)も施設に入ることになるから、お金はあったほうがいい」と言ってはいましたが、本心からきた言葉なのかはわかりません。

3. 父の世話をする人

いません。父の兄弟が 2人同じ市に住んでいますが、頼れそうにはありません。

4. 資産

持ち家に住んでいます。年金は270万円です。貯金の額は不明ですが、最高年収は約1000万で退職金は2500万だったと聞いています。

5. 住んでいる場所

人口は 5〜10万人程度の地方都市です。

以上、よろしくお願いします。

田中


A2. 福祉課に話を通しておきましょう

田中さん

大体状況が分かりました。お母さんは残念でしたね。お悔やみ申し上げます。

では、さっそく、

父が元気なうちに何をしておくべきか(調べておくべき制度・地域の相談窓口・父に話しておくべきことなど)

について書きます。

福祉課に話を通す

まずは、お父さんが住む市町村の役所の福祉課(生活課など名前は自治体によってさまざま)にできれば出向いて、お父さんの状況を話し、どうしたらいいか聞いてみてください。(時間がとれなければ電話でも可)そうすると役所がお父さんのことを気にかけてくれるようになります。

70代で一軒家に一人暮らしというのは結構きわどい領域ですよね。一人で生活できるか危うい。どこの地域でも、そういう独居老人を見回る仕組みがあります。警察とか民生委員とかが年寄りに声をかける。役所に話しておくと、そういう仕組みの中で、お父さんを公的に見てもらう環境に置くことができます。

要介護認定

役所にこういう相談すると、要介護認定されているかどうかの話にもなるはずです。要介護認定を受けると、ケアマネージャーがついたり、手当がもらえたり、福祉施設への入居もしやすくなります。すでにお父さんに何らかの兆候が出ているのであれば、そのことも役所に話してみましょう。

サービス付き高齢者住宅

特に健康上の問題はないけれど、お父さんが一人暮らしに困っているようであれば、今からサービス付き高齢者住宅や健康型有料老人ホームに入るのもありです。

健康の度合いによってこういった老人向けの施設というのはかなり多くの種類があります。役所でどういった種類のものがあるのか、パンフレット等をもらっておいて、お父さんと今のうちに話しておくといいかもしれませんね。基本的にお金がありさえすればどこの施設でも利用ができます。時間があるときに施設見学をしてもいい。

まとめ

お話しうかがうかぎり、年金が270万円で、資産がそれなりにあるようだし、地方都市であれば、どのような類の老人向けの施設でも入れるはずです。お金があれば大丈夫。お金がないと大変。

長くなりましたが、結論は、

『とりあえず役所に話を通しておこう!』

です。

お父さんとはkeep in touch

できれば、お父さんとは年に何回か話をして、状況を確認できておくといいですけどね。こういうのって何がもめるって、本人が介護をしてもらったり、施設に入るのを嫌がることです。ただ、嫌がっても結局生活ができないことが分かってみんな諦めるものなんですけどね。

スムーズにそういう施設に入れるように、本人の意思を確認したり、どんな施設があるかを共有しておくといいと思います。

以上です。

こんな感じでいかがでしょうか?

topisyu

 

Q3. 客観的な意見が聞けてよかった

topisyu さん

丁寧な返信ありがとうございます。とりあえず役所へ行くようにします。

現在は要介護認定に該当するようなことはありませんが、実家に帰らざるを得ない状況にならないよう早めに行動しておきたいと思います。友人知人に話すと、どうしても話が感情的な内容に逸れてしまうので topisyu さんの客観的な意見が聞けてよかったです。

父は嫌なことから目をそらすタイプなので今後について話合うことが難しそうです。話をしてみて、話にならなそうだったら、相談に乗って頂ければ幸いです。

田中

 

締め

田中さんのモヤモヤは以上です。まあ、モヤモヤというかストレートに相談ですね。こういうのもたまにいいかもしれない。

やり取りしていて、田中さんはクレバーで知的な人だという印象を受けました。たぶん、読まれた方もそう思われたと思うんですが。とても20代前半という感じはしないですよね。本当は、もう少し、お父さんへの呪詛の言葉を聞いてほっこりしたかったんですけど、それを許さぬ雰囲気があったので諦めました。

  

ちなみに紙の本では介護は直接的には扱っていません。比較的近いのは墓問題ですね。

Q24. 私は一人っ子で両親は離婚し母に引き取られましたが、父方の祖母から墓を継いでほしいと言われました。お墓の面倒まで見られないという気持ちです。

少子化の中で介護も問題だし、墓をどうするかも問題ですよね。日本中で揉め事に発展しているんじゃないかと思います。興味がある方はどうぞ手にとってみてください!