まじかよ、タイドラマ!タイポップ!

タイのカルチャーと音楽(T-POP/タイポップ)にハマって遂にタイ移住してしまったZ世代男子

トムヤム的!今週のTPOP・タイポップ (2024/5/20~26) #75

D-NA BRIQ Entertainment タイ T-POP 音楽 2024

直近一週間で気になったT-POP/タイポップを、タイのカルチャーと共に紹介し、タイの音楽の今を捉えるコーナー。今週は女性アーティストが豊作です!第75回目。(Cover: D-NA)

紹介した曲は以下のプレイレストでもお聴きになれます。

前回の記事はこちら。

 

 

【目次】

 

 

 

 

1. MXFRUIT - so good so bad

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曲 名:so good so bad
歌手名:MXFRUIT
発表日:2024年05月22日

 

今人気のタイの12人組BG・BUS (バス) の姉グループの新曲!MXFRUIT (ミックスフルーツ) で『so good so bad』。

 

MXFRUIT は2023年3月に『strawberry ice cream (สตรอว์เบอร์รีไอศกรีม)』(さとーbりーあいさkりーm) でデビューした、タイの5人組ガールズグループ。

国際色豊かなルーツと、圧倒的なボーカルに代表される高い実力が特徴で、その実力は T-POP ダンス&ボーカルグループ界でも随一。こちらはデビュー直後の映像なのですが、K-POP 音楽番組のアンコールステージと同じ完全生歌にして、この実力。見るたびに圧倒されます。

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(ちなみにデビュー1周年時に記念としてデビュー前映像も公開。周囲の大人たちがザワツくのがリアルすぎる)

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そんな MXFRUIT の新曲『so good so bad』は、繰り返されるサックスとブラスのフレーズが印象的な、ソウルフルなディスコR&B。

サックスとブラス、パーカッションはおそらく生演奏の録音で、楽曲にグルーブ感をプラス。グループの長所である上質なボーカルが際立ちます。

 

また、定番のディスコと比較するとややゆったりとしたテンポからは、バンコクの体に纏わりつくうだるようで妖しい空気を感じます。タイで生まれた音楽であることを認識します。音楽におけるタイの遺伝子は、強い。

 

 

率直に言うと、よっぽど歌が上手くないと生演奏にボーカルが負けてしまう場合があるのです。考えてみれば、最近は電子音楽寄りのグループが多いですよね。流行である以外にも、ボーカルの実力の無さをカバーしやすいことが一つの理由にあげられます。(電子音楽寄りでないアイドル曲を思い浮かべると NMIXX『DICE』や BABYMONSTER『SHEESH』で、実力が際立つグループばかり。笑)

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そんなダンス&ボーカルの潮流において、圧倒的な実力で光を放つ MXFRUIT。今後も注目し続けたいと思います。

 

 

 

 

 

2. D-NA - BYE BYE

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曲 名:BYE BYE
歌手名:D-NA
発表日:2024年05月21日

 

2010年前後に一世を風靡したタイの音楽レーベル・Kamikaze の系譜を継ぐ新興 T-POP レーベル「BRIQ Entertainment」からまたもや新たなアーティストがデビュー!D-NA で『BYE BYE』。

 

BRIQ Entertainment のデビュー済みアーティストは2組で、どちらも今年デビューというフレッシュな面々。最初のグループとなった「Wizzle」(2024年2月)、

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初のボーイズグループ「NEVONE」(2024年5月)。

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そこに初のソロアーティストとして D-NA が続くかたちになりました。2006年11月生まれの17才。ちなみに、タイっぽく読むと「ディー(↓)ナ(↑)ー(↓)」。京都弁の「ええなぁ」と同じイントネーションです。

 

 

それはさておき、NewJeans の新曲『How Sweet』や、いま注目の UK ガールズグループ・FLO の楽曲にみられるように、女性側に主導権があることを示す歌詞のアイドルポップスが増えている昨今。本楽曲がデビューとなった D-NA も、

なぜ屈服しなければいけないの?
離してちょうだい、私のこと
ごめんね、もう謝罪は受け入れない
もう気にしたくないわ 私は自由なの

と、今のクソ彼から独り立ちして主体性を持った一人の人間として生きてゆくことを高らかに宣言した楽曲でタンサマイ (タイ語で「最新の、モダンな」) さを見せつけています。

 

 

また、気になったのが作曲のクレジット。韓国出身の複数のコンポーザーによる作曲ののち、タイ人ミュージシャンが加筆修正を加えています。

K-POP の音楽制作キャンプを主催している企業のクレジットが多数連なっており、優秀作は会社が買い取る*1と記載されていることから、もしかしたらキャンプで生まれた作品を BRIQ Entertainment が購入したのかもしれません。

 

どの程度加筆修正があったのかは分かりませんが、この曲は K-POP らしい洗練さがありながらも、タイの音楽だと判別できるギリギリのラインを攻めています。つまりリスナーからすると、タイのポップスってこのような都会的なものもあるんだな、と思ってしまう。(笑)

僕の耳からすると、韓国産の音楽はタイ産とは明らかにテイストが違うのです。温度感が冷たかったり、ボーカルの加工が強めだったりして、耳から入ってくる空気が違う。

 

 

例えば、一ヶ月前に紹介した Fyeqoodgurl というアーティストの『Now Or Never』という楽曲。

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ミキシング、マスタリングという作曲工程(これも楽曲の雰囲気を決める大きなファクターとなるのですが)こそタイ人ではあるのですが、楽曲のプロデュースから作詞作曲、楽器の演奏、アレンジまでを全て韓国人ミュージシャンに依頼した形です。

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K-POP が西洋のコンポーザーから楽曲を買うように、同じクオリティの作曲技術を蓄えている韓国のコンポーザーから楽曲を買うことも戦略の1つではあると思うのですが、

タイの音楽は独特な旋律、リズム感を持っているため、完全なる海外産の音楽を「T-POP です」と言われて出されると、どこか違和感を感じる瞬間があるのです(個人の見解です)。あと勿体ないなあとも思う。それで売れればいいんですけど、音楽市場がグローバルな規模感へと変化したいま、ドメスティックなものが個性として魅力になる時代なので。

 

 

そんな Fyeqoodqurl と似たような手法を取りながらも、タイ人コンポーザーによる加筆修正を加えることで、韓国産楽曲ならではの質の高さを取り入れながら、タイの音楽らしさも取り入れることに成功した D-NA。

あくまでドメスティックな要素は忘れない、という信念を持った BRIQ Entertainment のアーティスト達に今後も注目です。

 

 

また、もう一つ忘れてはいけないのが BUS (Because of you, I shine) とのコラボ!恵まれた容姿で俳優もモデル経験も豊富な Khunpol (クンポン) さんが、クソ彼役として (?) 出演しています!

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そしてこちらも同日にデビューした LOVEiS+ Entertainment の女性ソロアーティストの MV にも BUS のメンバーが出演!?次曲に続きます。

 

 

 

 

 

3. MOBYe - มีใจทำไมไม่จีบ (ASAP)

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曲 名:มีใจทำไมไม่จีบ (ASAP)
読み方:みーぢゃぃたmまぃめぃぢーp
邦 訳:気持ちはあるのになぜ気を引かないの (できるだけ早く)
歌手名:MOBYe
発表日:2024年05月21日

 

タイのOST王子・NONT TANONT らが所属する音楽レーベルから大物新人女性アーティストがデビュー!MOBYe (モバーィ) で『มีใจทำไมไม่จีบ (ASAP)』(みーぢゃぃたmまぃめぃぢーp / 気持ちはあるのになぜ気を引かないの (できるだけ早く))。

 

お顔が綺麗で表現力もある……アイドルグループに似合いそう、というか見たことあるような……と思ったら、元 BNK48 の Mobile (モバイル) さんではありませんか!

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(サムネの方です)

 

「一世を風靡した」という言葉に偽りなしの BNK48 の 2nd Single『Koisuru Fortune Cookie』(タイでは "フォーチュンクッキー" という名前で親しまれています) でセンターを務めた Mobile さん。2018年には AKB48 に1ヶ月間の交換留学をしたこともあるそう (若干16歳のことでした、大変だったでしょう)(茂木さんとか込山榛香さんいるー!というか峯岸さんいる!)。

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2022年12月に BNK48 を卒業後、現在の LOVEiS+ Entertainment に移籍。活動名を Mobile (モバイル) のタイ語読みである MOBYe (モバーィ) に表記変更し、このたびめでたくデビューを果たしました。

 

 

楽曲『มีใจทำไมไม่จีบ (ASAP)』(みーぢゃぃたmまぃめぃぢーp / 気持ちはあるのになぜ気を引かないの (できるだけ早く)) は、LOVEiS+ が得意とする、メルヘンかつ妖艶でありながらセツナエモい、タイが創り出す Kawaii ポップス!

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エレキギターとシンセサックスがタンサマイな基盤を作ったうえで、バイオリンの音色で高級感を、そして加工のないパーカッション類でメルヘンさをプラス。

シャム猫の如く可愛く上品な MOBYe の魅力が伝わる楽曲になっています。

 

 

そして、D-NA と同じく同日デビューとなった MOBYe の MV にも、今をときめくタイの12人組ボーイズグループ BUS のメンバー・Alan が出演!(BUS の営業担当、優秀すぎる)

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Khunpol (クンポン) さんとは違ってクソ彼役ではないのですが、よくみたらベランダから部屋に入ってくる (0:04~) あたりに違うヤバさを感じます。嘘です、たぶんあれはベランダだけどベランダではないのだ。きっと玄関なのだ。失礼いたしました。(#saveALANfromBUS)

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4. Quadlips - Overdrive

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曲 名:Overdrive
歌手名:Quadlips
発表日:2024年05月20日

 

日本初の T-POP ショーケースにも出演した、AKB48グループのグローバルユニット!Quadlips で『Overdrive』。

 

歌唱力がエグい。歌い出しを担当する赤髪の方が MNL48 の Cole さん、続く金髪の方が JKT48 の Feni さんだそうなのですが、大半の K-POP 勢を一蹴しそうなくらいには表現力が高くて、楽曲前半で一気に引き込まれてしまいます。48グループの音楽にたかを括っていたら度肝を抜かれます。抜かれました。

カッティングギターが心地よい軽快なサマーチューンで、日本の夏に彩りを与えてくれそうです。ちなみにタイは夏が終わり雨季に入りました。(笑)

 

 

一方で悲しいのが日本語のコメントが少ないこと。AKBファンの皆さん、海外は苦手ですか……?僕、2010年とか11年のAKB公式サイトに乗っているメンバー一覧の顔と名前と所属チームを全員完璧に言えるくらいにはガチヲタだったので、声を大にして言いたい。たぶん運営は日本の盛り上がりも期待しているよ!勇気出して応援しよう!タイもインドネシアもフィリピンも親日国だよ!

 

 

日本の48グループファンを惹き付ける目的で、ごく僅かではありますが MV に水着シーンが加えられているのかと拝察いたしますが提言させてください。おそらく、グローバルガールズグループと水着は食い合わせが良くありません。そこで、先述の D-NA や英ガールズユニット FLO みたいな、男をコテンパンにこき下ろすような歌詞の、トレンド感の強い楽曲を出してみるのはいかがでしょうか。

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全編英語詞で世界に届きやすいこと、ボーカルスキルがかなり高いこと、そして国籍不明感が Quadlips ならではの魅力だと思うんです。質が高いのに謎なもの、チグハグなものに人間惹かれますから、Quadlips は思わずクリックしたくなったりシェアしたくなったりする存在。

 

ゆえに、大衆が自信を持って「好きだ」と言える、すなわちトレンド感の強い楽曲で攻めてみるのはいかがでしょうか、と思った次第でした。

 

JKT48 の Feni さんと MNL48 の Cole さんの世界レベルの歌唱力と、BNK48 の Fame さんと SKE48 の Hina さんのキュートさが一つのグループに同居するのは、Quadlips にしかない強み。今回の世界基準のダンス・ポップで「歌唱力」という根幹的な強みを感じられたので、今後も楽しみにしています。

 

 

タイポップス外で恐縮なのですが、MNL48 って以上に歌唱力高いですよね。(笑)なぜか分かる方いらっしゃったらご教授いただけると幸いです。

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5. BOWKYLION - ส่วนต่าง (do it without me)

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曲 名:ส่วนต่าง (do it without me)
読み方:すわんたーん
邦 訳:違い
歌手名:BOWKYLION
発表日:2024年05月10日

 

Y世代・Z世代のヒロインがリリースした、『วาดไว้ (recall)』のアンサーソング。BOWKYLION で『ส่วนต่าง (do it without me)』(すわんたーん / 違い(あなたなしでやる))。

 

大盛況に終わった「タイフェスティバル東京2024」特設ステージにも出演した BOWKYLION (ボーキーライオン) は、タイを代表する女性シンガーソングライター。美しい声と端麗な容姿が目を引きますが、彼女の魅力の根底にあるのは圧倒的な音楽的センス。企画に始まり、作詞作曲は全て自らで担当。さらには編曲にも関わっているのだから、その才能はとどまるところを知りません。The Toys とコラボが多いのも納得。才能がある者同士気が合うのでしょうか。

 

 

そんな BOWKYLION の新曲『ส่วนต่าง (do it without me)』(すわんたーん / 違い(あなたなしでやる)) は、別れを告げた者からの温かいメッセージが込められた歌謡チルR&Bポップス。ジャジーなドラムと2本のピアノ、カッティングギターが心地よく、所々で鳴り響く鍵盤打楽器が楽曲に親しみやすさを加えています。

 

また、個人的に気になったのが重層的なコーラス。

これまでも BOWKYLION はその美しい歌声を活かし、バックコーラスをふんだんに取り入れてきてはいたのですが、メロディーの一部に繋がるような、自由で不規則な旋律で主張の強いコーラスは新鮮さを感じます。もしかしたらですけど、昨年のアジア横断的な大ヒットソング・PONCHET の『พี่ชอบหนูที่สุดเลย (I Like You The Most) ft.VARINZ』が影響しているかもしれません。

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フックで聞こえる『ドゥーレー、トゥアエン ディッディー』とは「体に気をつけてね」という意味。「あなたは私なしでもよくやってるよ」という歌詞が言い方を変えながら繰り返される楽曲は、何かを頑張る私たちへの応援ソングであり、心にぽっかりと空いた穴を癒やしてくれるヒーリングソング。皆さん、お疲れさま。T-POP 聴いて、タイの空気を体に入れて、今週もサバーイにやっていきましょう。

 

 

 

 

 

 

[後記] Sabaai Sabaai ! Thailand ありがとうございました

本日26日10:00〜、札幌のラジオ局・FM NORTHWAVE で放送中のタイ総合情報番組「Sabaai Sabaai ! Thailand」に出演させていただきました!

 

6月以降に予定されているタイの音楽フェス「CAT TSHIRT」「MIXEDPOP BANGKOK 2024」の情報と、

tomyumakt.hatenablog.com

tomyumakt.hatenablog.com

 

その両方に出演する予定のボーイズグループ BUS (バス / Because of you, I shine) についてお話ししました。

tomyumakt.hatenablog.com

 

デビュー曲も流していただきました!

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まずは CAT TSHIRT に参加いたしますが、イベントとはしごするかたちでタイ語検定も受験しに行きます(笑)勉強しないと……。

 

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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

今後も引き続き、ホットな T-POP・タイポップス情報をトムヤム視点でお届けしていきます。
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