『ホテル・ルワンダ』なんか何の役にも立たない!  この人を見よ!

こんなものにリンクされて、ものすごく脱力した。

http://blog.livedoor.jp/mahorobasuke/archives/50487989.html


僕は『ホテル・ルワンダ』を日本で公開してもらうために、いろいろ尽力してきましたが、あの映画を観た後でも、こんなことを書く人がいるのを見ると、絶望的な気持ちになります。
この人は、僕が『ルワンダ』のパンフに関東大震災の朝鮮人虐殺事件について書いた意味がわからないようなので、もう一度書きます。


このルワンダの事件を、遠いアフリカの出来事として観ても意味がない。
虐殺は、どこの国でも起こってきたし、これからも起こり得ることであって、
私たちは誰でも、人を差別して迫害する、虐殺の種を秘めているんだということを自覚し、
ルワンダみたいな状況になった時、ポールさんのように行動できる人間にならなければ。


ところが、この人は、虐殺の種を抱えている自分に全然気づいていない。
このような人がルワンダと同じような状況に置かれた時、虐殺を止める側に回るとは非常に考えにくいです。映画を観てもこれだから。
というか、この人は、自分がやってることは、ツチ族虐殺を煽っていたルワンダのラジオと同じなのに、まるで気づいていない。


僕が例として朝鮮人虐殺を挙げたのは、もちろん日本の観客に虐殺が他人事だと思って欲しくないからで、それには日本で起こった例を挙げないと意味ないでしょ?
別に朝鮮人じゃなくてアイヌや沖縄人の例を挙げてもよかったし、
トルコによるアルメニア人虐殺でもいいし、ユーゴでの民族浄化や、
アメリカでのインディアン虐殺、NYのアイルランド人虐殺、ニューオリンズでのイタリア人虐殺、アイルランド系労働者による中国人鉄道工夫虐殺、日系人収容や今も続く黒人へのヘイトクライム、
それにもちろんナチスによるユダヤ人虐殺でもいいのです。
先日、オーストラリアでアラブ人に対する集団暴行事件があったばかりだし、
どんな国でも、それこそ韓国でも起こりうるし、中国でもどこでも、誰でも虐殺に加担する加害者になる危険性を秘めています。
人を差別し虐殺するのは日本人や特定の民族ではなく、まさにこの人のような人が原因なのです。
韓国や中国で反日反日と騒いでる連中は、きっとこの人と同じ種類の人間なんでしょう。


まあ、それはいいとして、面倒くさいですが、わざわざこっちにリンクまでして挑発しているので、答えてみます。
まず、この人が書いていることを箇条書きにしてみます。

①関東大震災時の朝鮮人虐殺は、「説」であって事実ではないらしい。
②ルワンダは同じ国民同士であって、朝鮮人は外国人だから引き合いに出すのはおかしい。
③当時の日本には朝鮮人は虐殺されるほど大勢いなかったはずだ。
④朝鮮人は戦後、日本人に悪いことをしたから大震災の時、虐殺されても当然だ。
⑤外国人は日本に来て住んではいけない。
⑥アメリカに住んでいる僕は韓国に帰るべきだ。


この人、ちゃんと国民の義務である中等教育を受けたのでしょうか?


①は、どうも南京大虐殺と勘違いしてるようですが、関東大震災の虐殺に関しては、それを否定する見解など存在しません。これは当時の日本政府と警察が止めようとした事件だからです。
当時の日本政府や軍や警察は虐殺を必死で止めようとして、朝鮮人を救出して保護し、また虐殺をした日本人を逮捕しました。
刑事事件なので、ちゃんと警察に事実として記録が残っています(日本人や中国人も間違われて殺されています)。
被害者も加害者もかなり特定されていて、戦前の日本政府は被害者やその遺族に謝罪し、補償しています。


②この人は、朝鮮人は外国人だったと思っていますが、日韓併合の後なので、当時の朝鮮人は外国人ではなく、日本臣民でした。


それもあって、ルワンダにおける多数派で政府を支配しているフツ族による少数派ツチ族虐殺に最も近い例を日本史に探すなら、やはり震災時の朝鮮人虐殺事件を挙げるのが適切だと思いました。
ナチが政策として行ったホロコーストと違い、メディアに扇動された民衆が隣人をその手で殺したことだからです。


当時、少なくとも法律や政治的には、日本人と平等で、共存することが建前でした。
ですから、当時の日本政府や政治家や警察官や軍人には、同じ臣民を虐殺するなど許し難いことだ、と嘆き、怒り、それを国民に伝えようと、あらゆる手段を尽くして訴え、戦った人々がいました。
この人の「外国人は殺されても当然」といわんばかりの論調は、虐殺と戦った軍や警察の人々の努力を踏みにじり、八紘一宇の理想を無にする、まさに非国民としか言いようがないものです。


③この人は、強制連行の前には朝鮮人は日本にいなかったと思っていますが、
実際は一つの国だったので、震災前から韓国の人々は仕事を求めて日本に押し寄せていました。
貧しい植民地から豊かで進んだ宗主国に、職を求めたり勉強のために来るのは当たり前です。
プエルトリコ人はアメリカに、トルコ人はドイツに、アルジェリア人はフランスに、インド人はイギリスに移住し、今も住み、子孫を増やしています。それと同じです。
もちろん、それを虐殺していいわけがありません。


④この人は、第二次大戦敗戦後に関東大震災が起こったと思っていますが、
順番は逆で、大震災のほうが敗戦より22年も前です。
これは日本の歴史でしょう? 小学校でも習うでしょう?


また、第二次大戦直後の「三国人」も日本人を「虐殺」はしてません。


あと、「はだしのゲン」には金持ちになって日本人に厳しくする朝鮮人が登場しますが、彼は悪人どころか逆に主人公ゲンに対して最も優しい大人です。そしてゲンは朝鮮人を悪く言う日本人に対して「朝鮮の人をバカにするな」と怒る場面があります。


⑤うちの父が勉強のために日本に来たのは戦前で、韓国は日本だったので、当時の父は外国人でなく日本人でした。移住はもちろん合法でした。
それは僕が生まれる前のことで、赤ん坊は親を選ぶことはできないので、僕の父が韓国人であることに僕は何の責任もありません。僕が韓国系であることは僕の意志ではありません。

日本で生まれた韓国系・朝鮮系の人(今は半数を超えるでしょう)のすべてが、韓国・朝鮮系であることに対して何の責任もありません。望んでそう生まれた人は一人もいません。
きっと、この人は、幼い韓国・朝鮮系の子供にも「日本を出て行け」と言うんでしょう。


韓国については今まで行ったこともないし、言葉だけでなく歴史も文化も何もまったく教えられずに育った僕は(歴史については教養として自分で勝手に知ったけどね)、韓国にアイデンティティを持つことができませんでした。そういう韓国籍の人は大勢います。もちろん本人の責任ではありません。
父と母は中学の頃に離婚し、母は日本人なので、私は成人するとき日本人になることを選択し、日本国籍を取得しました。ちゃんと税金も払ってきました。
この僕を日本人でないとするこの人は、いったい何パーセントの血が入ってれば日本人だとするんでしょうか? 今の天皇陛下は「桓武天皇のお母様は朝鮮からいらっしゃいました」とご自分で仰っいましたが、天皇家はどうなるんでしょうか?


⑥いったいどうして? 理由がさっぱりわかりまへん。僕は日本国民なので憲法に定められている権利に従ってアメリカに移住し、両国に税金を納め、国民の義務を果たしていますがそれが問題なのでしょうか? 
あと、僕は今まで日本を批判したり、いわゆる反日的な発言というのはしたことないんで、何も帰れとか言われる筋合いはありません。
「ホテル・ルワンダ」上映に関して、このような傑作を公開しない日本の映画業界はおかしい!と書いたぐらいですね。


僕のように日本で生まれ育った韓国系の人に対して韓国に帰れというのは、アメリカの黒人にアフリカに帰れ、日系アメリカ人に日本に帰れと言うのと同じことです。
言われた人の気持ちを少しでも想像できませんか?


ところで、この人は道端や職場で偶然出会って好きになった人がたまたま韓国や朝鮮系の人だったらどうするんでしょうか?
そんなことは絶対にない、とでも思ってるんでしょうか?
この人の学校時代の友達や、職場や仕事先、それ以外の知り合いにも、お父さんやお爺さんが韓国や朝鮮系の人は絶対に、絶対にいるんですよ。
また、この人のように、人間を出自で差別する人を愛することができる異性はいるのでしょうか? 


もし、本当に、本当に日本人であることを誇りに思うならば、
虐殺を止めようとした日本の人々を見習ってください。
彼らこそ、日本民族の誇りではないでしょうか?
あと、せめて関東大震災と第二次大戦の順番くらいは知らないと非国民でしょ、義務教育で習うんだから。


で、これが先方の反応。はー。
http://blog.livedoor.jp/mahorobasuke/archives/2006-02.html