
正月休みで、幾つか専門雑誌をながら読みしていたら、昨年から何となくモヤモヤしていた「実効線量計は何故無いのか?」という疑問に絡む記事を発見。餅屋さんの間でも相応に問題として取り上げられていたフシがあるようだ。詳しくは改めて備忘録としてツイート予定。(多分今晩は無理)
2014-01-02 19:55:20*

<何故実効線量計は無いのか1>Svを単位とする多くの”線量”が存在する。外部被曝に関しては実効線量、等価線量といった防護量、周辺線量当量や個人線量当量などの実用量がその例である。実測できない防護量に対してその代替として防護量を適切に推定評価するため、実用量という概念が提唱された。
2014-01-03 07:56:14
<何故実効線量計は無いのか2>さらに実用量には実測する測定器を校正する際の目標量となる意味もある。こうした説明はよく目にするので、フムフム、確かに防護量の定義からそりゃ測れないよな、サーベイメータや個人線量計で実測しているのは実用量と呼ばれるものなのか、と理解する。
2014-01-03 08:00:26
<何故実効線量計は無いのか3>この実用量が防護量より小さいと、目に見える実用量では安心できなくなるので、実用量≧防護量じゃないとマズイよな。とは言っても実用量≫防護量だと、測定値よりも実際の影響はずーーっと下にあるので不必要に不安になりかねないよな。まぁ程度が問題なんだ、と理解。
2014-01-03 08:09:20
<何故実効線量計は無いのか4>防護量は実測できないのにどうやって実用量≧防護量であることは判るのだろうか?と調べを進めると、どうやら防護量はコンピュータを用いて推算できるらしい、事が判明。実効線量の推算も放射線の種類や照射する方向を決めて、各臓器の吸収具合を計算できるようだ。
2014-01-03 08:14:57
<何故実効線量計は無いのか5>フムフム、色んな本やウェブサイトに放射線のエネルギーに対しての実効線量と(実用量としての)周辺線量当量や個人線量当量の比が載っていて、確かに着目しているγ線のエネルギー領域では常に実用量の方が大きいのだ、と納得する。
2014-01-03 08:21:52
<何故実効線量計は無いのか6>ところで、サーベイメータで測定される実用量は一般的には空間線量率と呼ばれているが、ICRUやJISでは周辺線量当量という名称が付いている。この定義を改めて眺めると、ICRU球やら拡張・整列場なる言葉が出てきて目が点になる(笑)。
2014-01-03 08:26:16
<何故実効線量計は無いのか7>ICRU球というのは実在するのか、と思いきや、コンピュータ内での仮想球であり、結局周辺線量当量や個人線量当量も定義されているだけで測定出来ない量であることを知り、ちょっとショックが走る。先にツイートした実効線量との比を取ったグラフも計算値である。
2014-01-03 08:36:43
<何故実効線量計は無いのか8>サーベイメータで表示される数値も、定義に従って予め計算される数値となるように値付けされたものである。実際にサーベイメータが検知しているのは放射線の個数であるから、この数を計算値としての周辺線量当量に変換させることは容易である。
2014-01-03 08:41:48
<何故実効線量計は無いのか9>例えの適切さはやや疑問だが、月の体重計なるものが科学館とか行くとある。これは実際の(地球での)体重計のレスポンスに対して表示を1/6になるようにしているのだろう。サーベイメータのレスポンスである単位時間辺りのカウント数を周辺線量当量Sv/hに変換。
2014-01-03 08:47:19
<何故実効線量計は無いのか10>ここまでの理解から、フト疑問が。実測の可否で実用量と防護量の概念が導入されたのに、とどのつまりどちらも計算するしかない?そもそも実用量という概念を導入する必然性はどこにあるのか?サーベイメータのレスポンスを実効線量に値付けしちゃだめなの?
2014-01-03 08:52:40
<何故実効線量計は無いのか11>などといったICRP/ ICRUを敵に回して卓袱台をひっくり返すような大胆な疑問がフツフツと沸いてきて、ずーっとモヤモヤしていた。
2014-01-03 08:56:41
<何故実効線量計は無いのか12>計算して求められる実効線量は照射方向、線種、性別、年齢等で変動するため、可能な限りのパターンで計算される各々の実効線量の中での最大値を、照射する放射線エネルギーごとに値付けした「実効線量計」なるものを作れば良いのでは?と思うようになった。
2014-01-03 08:58:44
<何故実効線量計は無いのか13>外部被曝のモニタリングも場から人へ、個人線量計の活用を、と言い出した行政に対しての「実質的な線量緩和に繋がる」といった批判等、一連の混乱振りを見るに付け、余計に「実効線量」一本でやった方がスッキリするのでは、との想いが強くなっていった。
2014-01-03 09:20:22
<何故実効線量計は無いのか14>一方、各種のシミュレーション結果が続々と公表され始め、今のような地表/地中に線源が広く分布している条件下ではたまたま結果的には実効線量と個人線量当量がかなり近い値となっている事が示された。
2014-01-03 09:25:54
<何故実効線量計は無いのか15>つまり、実効線量計なるものが存在したら個人線量計と同じようなレスポンスとなるのでそれでいいではないか、という考え方も示され一応納得したものの、何となくモヤモヤ感はぬぐえないで年末を迎えた。それを意識していたわけでないが、偶然これに絡む記述を見た。
2014-01-03 09:28:44
<何故実効線量計は無いのか16>JAEAの遠藤章先生が保健物理に投稿された「外部放射線に対する放射線防護実用量に関するICRU委員会出席報告」より、現行の線量体系には提案以降も多くの問題点や疑問点が指摘されている、との事。https://t.co/gfEIjE0msu
2014-01-03 09:35:04
<何故実効線量計は無いのか17>国内でも過去もこうした線量体系についての議論はあったようで、ICRUでも実用量に対して指摘されてきた問題点や課題を整理・検討してICRU51を改訂するためのレポート委員会を立ち上げた(No.26 )。http://t.co/DW4bxilvS8
2014-01-03 09:39:27
<何故実効線量計は無いのか18>先の保健物理は2011年発刊のため、その後の状況は不明だが、第1回会議が2010/11、第2回会議が2011/6。その中で”実用量は必要か?”という点についても話し合われたとの事。実用量そのものの必要性は異論が無かったが、新たな”量”の候補も提案。
2014-01-03 09:45:13
<何故実効線量計は無いのか19>新たな実用量の候補の一つには正に先にツイートした実効線量に基づいた実用量もあったようだ。測定器のレスポンスをAP照射の実効線量への換算係数に併せれば良いのでは?といった考え。しかしながらこれらに対しても幾つか意見があり、スンナリとはいかないようだ。
2014-01-03 09:50:52