冒頭のVTRが流れます

<ナレーション> 今もまだ東京電力福島第一原発では、メルトダウンした核燃料を冷やす作業が続いています。地震と津波によって引き起こされた原発事故。日本は想定すらできませんでした。福島事故のショックは世界に広がっています。
2012-04-29 23:06:04
元スイス原子力会議・副議長:地震国の日本では地震や津波は想定されていたはずです。それなのに予測できた自然災害に耐えられなかったことに驚きました。憤りすらおぼえます。
2012-04-29 23:09:17
NRC・クリスフォース:日本の非常用発電機はアメリカより性能がよかったはずです。しかし、彼らは津波で使えなくなることは考えもしなかったんです。
2012-04-29 23:13:04
米・サンディア国立研究所・元調査員:原子力発電所はギリシャ悲劇のようなものなんです。ギリシャ悲劇の英雄は生まれつきの弱点を持っています。でもそれは時間がたたないと分からないんです。原発も同じなんです。
2012-04-29 23:18:22
<ナレーション> 福島ショックのあと、世界は安全対策に動き始めています。104基の原発を持つ、世界一の原発大国アメリカ。特別チームが福島事故を分析、アメリカの原発の安全性を高める勧告をまとめます。特別チームが強調したのが、深刻な事故を防ぐために国の規制を強化すること。
2012-04-29 23:23:30
<ナレーション> 原子力規制委員会・NRCは公開の場で議論を始めました。福島の事故を受けて、安全対策のため国の規制を強めるのか。むやみに規制を広げなくても対策はできると考えるのか。広く会議を公開し議論を進めています。
2012-04-29 23:28:53
特別チーム: 特別チームは現在の規制では、原発は重大なリスクには対処できないと結論づけました。NRCには原発を守るため、より厳格な規制をするよう勧告します。
2012-04-29 23:32:34
NRC委員:勧告はフクシマに照らして、米国の規制の枠組みを再検証するようにと言っているわけですが…これはかなり重大な変更をしろということですよ。
2012-04-29 23:35:30
特別チーム:すべての原発をテロや飛行機激突・火災・洪水などからどう守るのか。そうした事態をあらかじめ想定しておくシステムが必要です。それがフクシマの事故から得られた結論です。
2012-04-29 23:38:37
NRC・タスクフォース:フクシマのあと原発は日本の人々の信頼を失ったのです。原発事故はそれが世界のどこで起きても、原発への信頼を失墜させます。とても重い問題なんです。
2012-04-29 23:44:35
<ナレーション> 電力の4割を原発に頼るスイスもまた、福島の原発事故を深刻に受け止めました。スイスには福島第一原発と同じ型の原発があり、強い危機感を持ちました。国が各原発に対して矢継ぎ早に改善命令を出しています。
2012-04-29 23:50:55
原発職員:新しく追加するパイプの工事中です。使用済み燃料プールに冷却水を注入するパイプを2系統設置します。フクシマの事故を受けての対策です。
2012-04-29 23:53:35
元スイス原子力会議・副議長:絶対に100%安全な原発などないのです。そこに近づくことはできますが。 そのためには現状に満足せず、常に向き合い改良を重ねるべきです。問題を次の世代に先送りしてはいけないのです。
2012-04-30 00:00:51
<ナレーション> 一方、アメリカは福島の事故後も原発の推進を掲げています。今年、34年ぶりに新たな原発の建設を許可しました。福島の教訓を活かしながら、原発の推進を図る方針です。
2012-04-30 00:04:03
NRC・タスクフォース:100%安全な技術などないのです。常にリスクを抱えています。そのリスクを社会がどこまで許容できるかにかかっています。それは世界でも難しい産業のひとつといわれる、原子力産業にとっての挑戦でもあります。だからフクシマの影響はとてつもなく大きいのです。
2012-04-30 00:09:33
<ナレーション> 同じ100%安全な技術はないという考えに立つスイスは、全く反対の選択をしました。政府は段階的に原発を閉鎖することを決めます。福島事故から2ヶ月半での決断でした。
2012-04-30 00:14:39ここから本編