2020年、大林宣彦監督の訃報をきっかけにわたしが大林映画および大林監督にまさしく心酔してしまったことは、本ブログを読んでくださっていた方であれば嫌というほどご存知かと思います。
一気見した関連作品は50本超、本も読み漁り、得られる情報は得られるだけ得て、「大林宣彦監督について書いた記事一覧」なんていう目次記事も作ったほどでした。
2020年の10月には、深谷シネマにて開催された『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の上映&舞台挨拶にて、奥様の恭子さんと、ご息女の千茱萸さんに初めてお会いしました。映画をもっと広めてください、とお二人からそれぞれ使命をいただき、当時できることはブログを書くことくらいだったのでひたすら書いていました。
そののち、現在でもヘビーリスナーであるTBSラジオ「アフター6ジャンクション(アトロク)」をきっかけに映画のアクセシビリティに興味を持ったわたしは、東京・田端のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」と出会い、なんという巡り合わせか『海辺の映画館』に音声ガイドを付ける、という大役をさせてもらえることになります。
主演の厚木拓郎さんに観に来ていただけたり、アトロクで宇多丸さんにこの件のメールを読んでもらえたり、この時も一体何がどうしてこうなったのかという夢見心地でした。
気付けば、わたしは17年間続けていた食品製造業を辞め、シネマチュプキに就職していました。どういうわけか、映画館スタッフになったわけです。それが今です。
そしてこの度、大林監督2012年公開の作品『この空の花 長岡花火物語』を、チュプキにて上映できることになりました。上に貼った記事にも詳しく書いてありますが、チュプキは上映する全ての映画にバリアフリー日本語字幕と音声ガイドを付けて上映している映画館です。『この空の花』には、それらがありません。付ける=作る必要があります。言わずもがな、ガイドはわたしが担当です。
前回『海辺の映画館』では、台詞データの提供は公式にいただきました。しかしコロナ禍真っ盛りだったこともあり、以降の作業はこちら側で完結させてしまいました。今回はというと、2020年の深谷以来何度かお会いする機会のあった大林千茱萸さんにご連絡をし、バリアフリー版制作の全面協力をいただけることになりました。
5月中旬には千茱萸さんご同席のもと「音声ガイド検討会」を実施。並行して字幕制作(制作は外部の専門チームに委託)も細かく監修いただき、きわめつけとして「音声ガイドのナレーション」も千茱萸さんのお声で収録させていただきました。一昨日が、その収録日でした。
🎆上映迫る『この空の花 長岡花火物語』#音声ガイド ナレーションは #大林千茱萸 さん!
— Cinema Chupki(シネマ・チュプキ・タバタ) (@cinemachupki) 2024年7月5日
大林宣彦監督との父娘共演をイヤホンからお聴きいただけます。長時間にわたる収録、ありがとうございました😭
上映は7月14日(日)から。
既に満席の日もございます。ご予約推奨です!https://t.co/SgIIC8dIcM https://t.co/BfFsPIN6su pic.twitter.com/PpPYP1aj1u
雲の上の存在だった千茱萸さんに自分の書いた原稿を読んでいただくという経験。『この空の花』はラストに監督自らの声でナレーションが入りますが、そこから引き継ぐかたちで入れた千茱萸さんのナレーションの、感慨深さ。どれぐらいすごいことなのか、まだ客観視できていません。
そんなわけで、その上映告知です。もうまもなく、2024年7月14日(日)から30日(火)まで、定休日の水曜をのぞき、連日14時25分からの固定スケジュールで上映いたします。チュプキは「総席数20」の非常に小さな劇場なので、ご来館の際はご予約ください。こちらからご予約いただけます。
なお今回は豪華アフタートークも企画がございまして、既に満席の日もあります。トークゲストは、高嶋政宏さん、根岸季衣さん、石川浩司さん、作編曲家の山下康介さん、ふ、震える…。さらにこれはわたしがブッキングさせていただいた夢の極み企画なのですが、宇多丸さんのトークもあります…! どうするわたし、死ぬのか。死なずとも、この先しっかり生きていけるのか。
長くなりまして、すみません。どうか、もし比較的お近くにお住まいで、かつご興味ございましたら、まずは映画そのもの、加えて千茱萸さんナレーションのイヤホン音声ガイドと、千茱萸さん監修の日本語字幕、情報の嵐ですけれども、ぜひ浴びに来ていただけたらと、切に願っております。何卒、よろしくお願いいたします。
以上、わたし的いま一番のビッグニュースでした。お騒がせしました。