AppTrackingTransparencyでトラッキング許可率を上げるための対策
他者のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか?
Appにトラッキングしないように要求 / 許可
Appにトラッキングしないように要求 / 許可
2021年4月27日にリリースされたiOS14.5より、デベロッパーは新規アプリ公開およびアプリアップデート時には、ATT(App Tracking Transparency)の対応が必須になりました。
https://developer.apple.com/jp/news/?id=8rm6injj
ユーザー目線で言えば、最近アップデートしたアプリや新規インストールしたアプリにおいて、アプリ起動時に以下のようなトラッキングの許可をとるためのダイアログが出るようになったと思います。
<アプリ>が他者のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティの追跡することを許可しますか? Appにトラッキングしないように要求 / 許可
要するに、大抵のアプリでは「今までどおり、スマホ内の行動を追跡できるところはして、推測されるユーザーの嗜好・行動の傾向などから、ユーザーに適切な広告を表示したり、おすすめをしたいから許可してね」ということです。
この追跡のために使われるのがIDFAです。広告IDとも言われますが、デバイスでユニークなIDが振り分けられるため、ユーザーのIDとして認識することが可能です。
これは今までユーザーが意識することなく当たり前のように使われてきました。
しかしセキュリティの観点から、このIDに紐付けて、行動を追跡するようなプライバシーに関わる情報を取得するには、ユーザーの許可を取るべきだということになりました。
そこで、ユーザーのプライバシーに配慮すべくAppleのフレームワークであるApp Tracking Transparencyが登場します。このフレームワークを使って、IDFAを取得すること(=ユーザーのアクティビティを追跡すること)のの許可を求めることができるようになりました。
そしてAppleは、iOS14.5でアクティビティのトラッキングを行うアプリ全てに、ユーザーの許可を取得することを義務付けることになりました。今後は、許可なくトラッキングを行うアプリをApp Storeから削除する方針です。
問題
アプリを公開しているデベロッパーの立場から言えば、このダイアログでは許可をして欲しいところです。
広告を表示しているアプリであれば、なるべくクリックに繋がるほうが良いですし、アナリティクスなどでも詳しい情報を得ることができます。
デベロッパーは先程のダイアログに対し文言を追加することができます。
許可することであなたに最適な広告が配信されます。
これは広告を表示するアプリにおける例文で使われ、よくそのまま使われがちな文章です。
しかしながら、ユーザーからすれば、内容にピンとこず理解できないことが多く、許可をすることに抵抗が出ます。それでなくても突然のダイアログの出現に混乱をすることでしょう。
当然このダイアログが出現する以上、許可率は確実に下がります。しかし、その中でもなるべく許可率を上げたいところです。
そのためには、唯一カスタマイズが可能な文言を工夫する必要があります。
対処方法
そもそも最適な広告というのが、広告の仕組みを知っている人でなければピンとこないはずです。
IDFAから行動の追跡がされているからこそ、年齢や性別、最近調べた検索キーワードから関連性の近い広告=最適な広告が表示できるわけです。この情報がなければ、全く興味のない広告が表示される可能性があるということです。
最適な広告という文言では、なかなか多くのユーザーにメリットを感じてもらうことが難しそうです。
メリットを訴求するのが難しそうであれば、デメリットを回避するような文言にすることもできそうです。
全く無関係な広告が表示されてしまうことを回避できるというような、ネガティブ回避の文言にすると少しは許可率があがりそうではないでしょうか。
許可するとあなたに無関係な広告が表示されにくくなります。
なお、このダイアログが表示される前に、説明ページがあるとより親切で、許可を得るための詳しい情報を伝えることもできます。
また、許可されなかった場合にも、あとからいつでも設定アプリから許可することができることを伝えることもよいでしょう。
ニュースアプリの「ニュースパス」でも許可ダイアログ前の説明で、「無関係な広告を表示されにくくする」という文言が使われていました。
参考
https://developer.apple.com/jp/news/?id=8rm6injj