こんにちは、STARTUP DBのPdM 兼子(@S_Kaneko22)です! STARTUP DBは、国内最大級のスタートアップ情報を集約したプラットフォームで、25,000社以上のスタートアップ企業情報を提供しています。
さて最近、米OpenAIがChatGPT Proという新プランを発表しました。従来最高性能と評価されていたモデルをさらに上回る高度な思考モードを搭載し、難問への対応力が一段と高まったとされています。さらに、月額200ドル(約3万円)という強気の価格設定も話題となり、「約3万円も出せば、どれほど質の高い回答が得られるのか?」と、仕事で使うなら相当頼れるアシスタントになるのではと期待が膨らみます。
前回の記事では、ChatEGUことエンジニアの江種(@toshiya_egusa)さんが、ChatGPTやClaude、Perplexityといった複数の生成AIに同じ質問を投げ、回答を比較する手法を紹介しました。今回はその続編として私がバトンを受け、「GPT-4o mini(無料版)」と「ChatGPT o1 pro mode(約3万円)」を用いて、前回と同じ質問で再度検証を行います。UIや有料特典などはひとまず脇に置き、回答内容そのものに焦点を当てることで、価格やモデル特性の違いが回答品質にどう影響するのか、改めて確かめてみましょう。
価格以上の価値を生み出せるか、PdMとしてはROIが気になりますね。
注意
なお、本記事の内容は2024年12月19日時点の情報に基づいています。価格やサービス内容が今後変更される可能性もあるため、最新情報をご確認ください。
目次
- はじめに
- 比較条件
- 問題1:「ドリアとドドリアの違いは何ですか?
- 問題2:「ナシゴレンとキマグレンの違いはなんですか?」
- 問題3:「JavaとJavaScriptの違いについて、よくエンジニアが「インドとインドネシアぐらい違うよ〜」と言うことがありますが、これはセンスの良い答えなんでしょうか?」
- 追加機能まとめ「o1 pro modeとAdvanced Voiceモード無制限アクセス」
- まとめ
はじめに
前回は合計5つの質問を投げて回答の精度を比べましたが、今回はそのうち特に反響の大きかった3つ(問題1〜3)にフォーカスしています。 問題4(gRPCサンプル)や問題5(ミラー対称性とCalabi-Yau多様体など高度な話題)については、また別の機会に改めてご紹介する予定です。
比較条件
- GPT-4o mini(無料版):軽量で無料利用可能な対照モデル
- ChatGPT o1 pro mode(約3万円):より高度な思考力が期待される高額プラン
- 同じ3つの質問を投げ、回答の正確性・情報量・表現力を比較
- UIや速度、有料プラン独自機能は考慮せず、回答内容のみ評価
問題1
Q: ドリアとドドリアの違いは何ですか?
GPT-4o mini(無料版):
「ドリア」と「ドドリア」は全く異なるものです。それぞれの詳細は以下の通りです。 1. ドリア (Doria): - 説明: ドリアは洋食の一種で、グラタンの一種として知られています。ご飯の上にホワイトソースやベシャメルソース、そしてチーズをかけてオーブンで焼き上げた料理です。エビや鶏肉、マッシュルームなどが具材として使われることが多いです。 - 起源: 日本で考案された洋風料理で、フランス料理やイタリア料理の影響を受けています。 - 提供される場所: レストランやカフェ、自宅などで広く食べられています。 2. ドドリア (Dodoria): - 説明: ドドリアは、鳥山明による漫画『ドラゴンボール』に登場するキャラクターです。彼はフリーザ軍の幹部で、強力な戦士として描かれています。 - 外見: ピンク色の肌を持ち、筋骨隆々の体格で、顔にはいくつかの突起があります。 - 性格: 残忍で冷酷な性格として描かれており、主人公たちと敵対する存在です。 以上のように、「ドリア」は食べ物であり、「ドドリア」はフィクションのキャラクターです。それぞれ全く異なる文脈で使われます。
ChatGPT o1 pro mode(約3万円):
概要: 「ドリア」は日本で生まれた洋食風のオーブン料理で、ホワイトソースをかけたバターライスの上にチーズをのせてオーブンで焼いたものが一般的です。一方、「ドドリア」は『ドラゴンボール』シリーズに登場するフリーザ配下の戦闘員で、ピンク色の肌を持つ屈強なエイリアンの戦士として描かれています。 詳細な違い: 呼称・由来: ドリア: 「ドリア」は元々スイスの都市「ドリア」に由来するとの説や、日本のホテルニューグランドでシェフが考案した際の由来が様々語られていますが、現在の日本では「グラタン風のライス料理」のイメージが定着しています。 ドドリア (Dodoria): 「ドドリア」は鳥山明の漫画『ドラゴンボール』に登場するキャラクター名で、食べ物由来のネーミングが多い同作品において、「ドドリア」の元ネタは果物「ドリアン」からきていると考えられています。 分類・性質: ドリア: 洋食・イタリアン風の料理ジャンルに属します。米料理の一種で、ホワイトソース、チーズ、様々な具材(エビ、ホタテ、鶏肉、ほうれん草など)が用いられ、オーブンで焼き上げることでこんがりとした表面とクリーミーな中身が特徴となります。 ドドリア: 漫画・アニメ作品『ドラゴンボール』のキャラクターで、作品中では悪役サイドの戦士として登場します。戦闘力は高いものの、冷酷非道かつ粗暴な性格が特徴的であり、主人公サイドの敵役として描かれます。 文化的影響: ドリア: 日本で独自に発展した洋食メニューの一つとして、家庭料理やレストランメニューとして広く普及し、そのクリーミーな味わいと食べ応えから日本人に愛されています。 ドドリア: 世界的に人気を博した『ドラゴンボール』シリーズに登場するキャラクターであり、多くの読者・視聴者には「フリーザ軍の一員」として認知されています。食文化とは無関係ですが、作品自体が世界中で親しまれているため、それなりの知名度を持っています。 まとめ: 「ドリア」は食べ物、「ドドリア」はフィクション作品のキャラクターというように、まったく異なるジャンルで用いられる言葉です。前者は美味しい洋風オーブン料理、後者は人気漫画・アニメに登場する戦闘員として、その性質やイメージも大きく異なっています。
比較
情報の深さや説明の丁寧さに違いが見られました。無料版はシンプルで分かりやすく、気軽な疑問に答えるのに便利です。一方、有料版は背景知識や詳細な情報がしっかり補足されており、より深い理解を求める場面で役立っていますね。この違いを踏まえて、次の質問でさらに具体的な比較を見ていきましょう。
問題2
Q: ナシゴレンとキマグレンの違いはなんですか?
GPT-4o mini(無料版):
ナシゴレン(Nasi Goreng)は、インドネシアを代表する炒めご飯料理です。主な材料はご飯、鶏肉やエビなどのたんぱく質、野菜、卵、そして特有のソース(ケチャップマニスやサンバルなど)です。これらの材料を一緒に炒めて、独特の風味と味わいを持つ料理です。 キマグレン(Kimaguren)は、日本の音楽デュオです。メンバーはISEKI(伊勢木卓己)とKUREI(栗原暁)で、2005年に結成されました。彼らはポップス、レゲエ、ヒップホップなど多様な音楽スタイルを取り入れた楽曲を制作し、特に「LIFE」という曲が広く知られています。 簡単にまとめると、ナシゴレンはインドネシア料理の一種であり、キマグレンは日本の音楽デュオです。それぞれ全く異なる分野のものです。
ChatGPT o1 pro mode(約3万円):
違いの概要 「ナシゴレン」と「キマグレン」は全く異なるカテゴリーに属します。 ナシゴレン(Nasi Goreng):インドネシア発祥の炒めご飯料理 キマグレン(Kimaguren):日本の音楽ユニット(男性デュオ) 詳細 語源と由来: ナシゴレン:インドネシア語で「ナシ(Nasi)」は「ご飯」、「ゴレン(Goreng)」は「揚げる・炒める」を意味し、その名の通り「炒めご飯」を表します。 キマグレン:グループ名としての「キマグレン」は、彼らが自身を「気まぐれ」なスタイルと音楽性で表現することから来ており、英語ではないものの「気まぐれ(kimagure)」という日本語の感覚を反映しています。 ジャンル・カテゴリー: ナシゴレン:料理・食文化。インドネシアやマレーシアなど東南アジアを中心にポピュラーなメニューで、日本国内でもエスニック料理店やカフェなどで提供されることがあります。 キマグレン:音楽ユニット。2000年代後半〜2010年代にかけて活動が目立ち、「LIFE」などのヒット曲で知られています。 本質的な違い: ナシゴレンは「食べ物」であり、主に味覚や食文化の領域に属する存在。 キマグレンは「人間(アーティスト)」から成る音楽的表現者で、聴覚的な楽しみやエンターテインメント性が重視される存在。 まとめると、「ナシゴレン」は国際的に愛されるインドネシア料理であり、「キマグレン」は日本で活動していた音楽デュオであるため、両者は食べ物と音楽アーティストという全く異なる分野に位置しています。
比較
問2でも、無料版はシンプルに要点をまとめ、有料版は語源や背景まで詳しく解説するなど、スタイルの違いが際立ちました。無料版は手軽さが魅力で、有料版は深い理解を求めるときに最適です。次の質問でも違いがどう現れるのか楽しみですね。
問題3
Q: JavaとJavaScriptの違いについて、よくエンジニアが「インドとインドネシアぐらい違うよ〜」と言うことがありますが、これはセンスの良い答えなんでしょうか?
GPT-4o mini(無料版):
「JavaとJavaScriptの違いを説明するのに『インドとインドネシアぐらい違う』という表現」は、センスの良い答えとされています。なぜなら、これらの言語は名前が似ているものの、技術的には非常に異なっているからです。この比喩は、名前が似ているだけで内容が全く異なるという点を強調しています。 ### JavaとJavaScriptの主な違い: 1. 起源と開発者: - Java:サン・マイクロシステムズ(現在はオラクル)によって開発されました。 - JavaScript:ネスケープによって開発され、現在はECMAインターナショナルによって標準化されています。 2. 用途: - Java:主にサーバーサイドのアプリケーション、Androidアプリの開発、デスクトップアプリケーション、組み込みシステムなどで使用されます。 - JavaScript:主にウェブブラウザ内で動作し、クライアントサイドのインタラクティブな機能を実現するために使用されます。また、Node.jsを使ってサーバーサイドでも使用されます。 3. 実行環境: - Java:JVM(Java Virtual Machine)上で動作し、プラットフォームに依存せずに動作します。 - JavaScript:ウェブブラウザ上で動作しますが、Node.jsを使うことでサーバーサイドでも動作します。 4. 構文と特性: - Java:クラスベースのオブジェクト指向プログラミング言語です。静的型付けが特徴です。 - JavaScript:プロトタイプベースのオブジェクト指向プログラミング言語で、動的型付けが特徴です。 このように、JavaとJavaScriptは名前こそ似ているものの、技術的には大きく異なるため、比喩的な表現である「インドとインドネシアぐらい違う」という説明は非常に適切でわかりやすいものです。
ChatGPT o1 pro mode(約3万円):
エンジニア界隈で、「JavaとJavaScriptはインドとインドネシアくらい違う」という表現は、しばしば冗談めかして使われます。 このたとえは「名前が似ているが、実態は全く別物」という点を強調するためのものです。 JavaとJavaScriptは両方とも「Java」という単語が含まれているため、初心者には関連があるように思えますが、実際には用途、設計思想、言語仕様、実行環境など、ほぼすべてが異なります。 同様に、「インド(India)」と「インドネシア(Indonesia)」は名前こそ似ていますが、地理・文化・民族・歴史など多くの点で異なる独立した国です。 このたとえが「センスが良い」かどうかは文脈や受け手にもよります。 技術者同士の軽いジョークとしては、十分にウィットに富んでおり、「似た名称だからといって近しい存在とは限らない」ことを瞬時にわかりやすく表現しています。 一方で、あまりにも短絡的な比較であり、文化的背景や国際関係といった現実世界の複雑さを考慮せずに用いる場合、安易すぎる印象を与える可能性もあります。 総じて、この表現はエンジニア同士のカジュアルな会話の中では、それなりに「センスがある」と見なされることが多いでしょう。 ただし、公式の場や、国の比較がデリケートな問題になるような文脈では避けたほうがよいかもしれません。
比較
問3では、無料版と有料版の回答の焦点に違いが見られました。無料版は主に技術的な違いを詳しく説明し、JavaとJavaScriptの用途や構造の違いを明確に伝える内容でした。
一方、有料版は「インドとインドネシアぐらい違う」という表現そのものに注目し、そのセンスや使われる文脈に焦点を当てています。技術的な比較というより、言葉の持つ意味や適切な使い方を深掘りしており、視点の広がりが特徴的でした。それぞれのモデルが異なるアプローチで問いに答えているのが興味深いですね。
追加機能まとめ
o1 pro modeとadvanced Voiceモード無制限アクセス
さて、上記の3つの比較で、有料版の回答がいかに専門的・包括的かを感じていただけたと思います。ここで最後に、公式サイトから得たChatGPT Proの追加機能を簡単にまとめましょう。 ChatGPT Proで追加された機能は「o1 pro mode」「advanced voiceモード(無制限アクセス)」の2つです。
o1 pro mode
公式サイトによれば、ChatGPT Pro(o1 pro mode)は、「最も信頼性の高い応答をより長く考える、最もインテリジェントなモデル」へのアクセスを提供するとされています。
特にデータサイエンス、プログラミング、判例分析などの高度専門領域で、より正確で包括的な回答が得られるという外部専門家テスターの評価結果もあります。
さらに、数学や科学、コーディングにまたがる困難なMLベンチマークでも、o1 / o1-preview と比較して優れたパフォーマンスを発揮すると公式にアピールされています。
advanced voiceモード(無制限アクセス)
advanced voiceモードは、音声入力や音声操作を通じて手を動かさずにGPT-4oへ質問できる機能です。バリエーション豊富な声のトーンを選べるため、雑談モードから落ち着いたアシスタント風まで、状況や目的に合わせて使い分けが可能です。雑談感覚で話しながら頭の中を整理できるのは大きな魅力だと感じます。
実際に音声でPdMの悩みを相談してみた
ここでは、「プロダクトを世界レベルで成長させるプロダクトマネージャーは何を学ぶべき?」というテーマを、音声でGPT-4oに相談している場面のスクリーンショットを掲載しています。 デフォルトでは音声の履歴が残らなかったため、あとで見返せるように、同じく音声で「内容を残しておいて」と設定しました。
実際に音声で会話してみた感想
実際に音声モードを利用してみると、手を動かさずに雑談感覚で質問ができるため、まだ思考がまとまっていない段階でも気軽に相談しやすい印象です。
さらに、声のキャラクターを切り替えられる機能が予想以上に面白く、同じ内容の回答でもイントネーションやアクセントが変わることで、不思議と受け取る印象が違って聞こえます。
そしてもう一つ驚いたのは、スクリーンショットをご覧いただくとわかるように、文字起こしされた回答がかなり“話し言葉”に近い口調になっている点です。
これまでのAIに比べ、会話の自然さが格段に向上していると感じました。正直、うちのAlexaとは比較にならないくらい快適ですね。
まとめ
本記事では、「GPT-4o mini(無料版)」と「ChatGPT o1 pro mode(約3万円)」の回答を比較し、その違いや特徴を検証しました。
前半では「ドリアとドドリア」「ナシゴレンとキマグレン」「Java vs JavaScript」の3つの質問を通じて、無料版がシンプルでライトな回答を得意とする一方、有料版は由来や背景、コミュニケーション面の工夫など、より深い解説を行ってくれることがわかりました。
後半では、ChatGPT Proの「advanced voiceモード」を取り上げ、音声による質問が手軽にできるうえ、声のキャラクターを切り替えられる点がユニークだと感じました。
実際に使ってみると、考えがまとまっていない段階でも雑談感覚で問い合わせられるうえ、同じ内容の回答でもイントネーションやアクセントの違いから受け取る印象が変わるという、新しい体験が得られました。
ただし、月額約3万円という費用は決して安くありません。日常的な質問や問い合わせにはやや過剰かもしれませんが、専門的な問い合わせや高度なリサーチが頻発する現場であれば、十分に元が取れる可能性があります。
最後にChatGPT Pro(o1 pro mode)は、思考力と音声操作の快適さが融合した、頼れるアシスタントのような印象を受けました。どのプランを選ぶにしても、自分の利用シーンやROIをしっかり見極めることが、AIツールを賢く使いこなす近道だと感じます。
参考文献・リンク
- OpenAI公式:ChatGPT Pro
- ChatEGUこと江種(@toshiya_egusa)さんによるドリアとドドリアの違いは何ですか(真面目な話)
- STARTUP DB公式サイト