こちらの記事はWHOMの中島さんにお声がけをいただきまして書かせて頂いている採用 Advent Calendar 2024の14日目の記事となります。
私は元ウェブエンジニアで2019年から人事になりました。エンジニア採用を主に担当し、さらに2021年に転職をしてからは組織開発が主務になりました。もともとは現場で開発業務を担当していた自分が、一定期間採用業務を中心に担当し、最終的に全社の人事として様々な組織課題に対して横断的に関わる立場になっています。
そこで、採用について、あえて認知〜興味〜応募〜選考〜オファー〜内定受諾に至るまでの範囲ではなく、その前後に対して着目したいと思います。
採用の2大要素
採用は選ばれる活動であり、選ぶ活動でもあります。
選ばれる活動では、採用広報・面談・選考・オファーの際に、働きたい会社として選ばれるために会社や職務の魅力を伝えたり、本人が転職に求める条件に関して満たすことができる部分を伝えたりします。
選ぶ活動では、会社のカルチャーにマッチするのか、募集ポジションが求めるスキルの要件を満たすのかなどを確認します。
採用の前後
採用その前後について考えてみます。
採用前
採用活動の前に選ばれる活動、選ぶ活動としての前提が必要になります。
組織の魅力を高める
選ばれる活動として採用広報・面談・面接中に魅力を伝えるためには、その魅力が実在している必要があります。
従業員にとっての組織の魅力は EVP ( Employee Value Proposition )とも呼ばれます。EVPについて詳しくは以下の記事を参照ください。
職務分析
選ぶ活動として十分なスキルやマインドを持っている方を見極めるためには、募集ポジションの職務がどのような要件を求めるのか整理できている必要があります。
職務の要件を整理する方法として、職務分析があります。職務分析について詳しくは以下の記事を参照ください。
採用後
採用において入社がゴールではなく継続的な活躍がゴールになります。その意味で、入社者が適応に苦戦した場合のサポートと、サポートをしたうえでもアンマッチだった場合に採用関係者に選考時のアンマッチをフィードバックし、協力して選考の改善をする必要があります。
入社後の受入範囲を広げる
選ぶ活動としての選考がうまくいき、通常のオンボーディングプロセスでうまく軌道に乗って活躍に至る場合が典型的な採用の成功パターンです。一方で、課題が残る場合もあります。
大きく分けて次の2パターンです。
- 受入課題 - 期待よりスキルが下回っていた場合や、カルチャーの適応に苦戦するがサポート次第でなんとかなる場合
- 採用課題 - 期待よりスキルが下回っていた場合や、カルチャーの適応に苦戦するがサポートではどうにもならない場合
ここで重要になるのは、マネージャーを中心とした受入体制の質によって、採用で多少の見極め不足があったとしても組織への適応を促せるかどうか変わってきます。つまり、マネジメントの質が高いと、採用の失敗が失敗ではなくなる範囲が広くなります。逆に、完全に入社者本人に入社後の適応を任せていると、採用の失敗の範囲が広がります。 入社時のオンボーディングにはじまり、オンボーディング後の継続的なメンバーサポートを拡充し、適応の成功率を高めることは、結果的に定着率を高め、長期的な組織の運用コストも押し下げることになるはずです。
採用課題を検出する
採用は内定を受諾してもらい、入社が決まれば成功というわけではありません。仮に入社後にカルチャーアンマッチやスキル不足が発覚して早期離職や低パフォーマンスが継続するようなら、失敗になります。そのため、採用の継続的な改善のためには採用後の状況確認が必要ですし、発見したギャップを選考の関係者に共有し、対策をする必要があります。この際に、書類選考~1次選考~最終選考までのステークホルダーが別の部門の別の担当者に跨る場合、関係者で協力してアンマッチが発生した箇所を見極め、該当部分に対する対応をする必要があり、お互いに様子見をしてこぼれ球にならないようにする必要があります。
まとめ
- 採用の成否は採用活動だけではなく、採用前・採用後も含めた活動が大事
- 採用は選ばれる活動であり、選ぶ活動である
- マネジメントの質を高めると採用の失敗が失敗ではなくなる
- 入社後のギャップを検出し、改善につなげるサイクルが必要