ライブとか本とか猫とか

ライブとか本とかの感想

【読了】「ある閉ざされた雪の山荘で(再読)」東野圭吾

ということで、再読しました。こちらです。

「ある閉ざされた雪の山荘で」著・東野圭吾

これまた超有名作品ですが、今年映画化しましたね。

映像化不可能で謳われていたかと思うのですが、確実に一読してるのにどうしても内容が思い出せない 笑

なので引っ張り出してきました。

思い出せないのも無理はない…こちら奥付を見てみたら2008年発行の第48刷版でした。

少なくとも16年ほど前に読んだのでしょう。

東野圭吾さんはもちろんご存知の方がほとんどだと思いますが、私も著作が好きでほぼ全部読ませて頂いております。そりゃ作品数が多いと覚えきれない…という私の灰色の脳細胞が言い訳をしております。

あらすじ

とある舞台のオーディションに合格した男女7人。

その7人があるペンションへ招待されます。

舞台の演出家の東郷に打ち合わせと称して集められた7人ですが、「記録的豪雪に見舞われ、電話も通じなくなった山荘」という設定で殺人事件が起こる舞台の練習のため、合宿を行えというもの。

ただし、設定を無視したり電話を外部にかけたり(もちろん設定というだけなので実際に電話は通じている)すればオーディションの合格はなかったものとする…というものでした。

 

そんななか、実際に事件は起こり始め…。

王道クローズドサークルもの

…とは言いつつ、実際には全然クローズドサークルではなくて「設定上のクローズドサークル」というのは珍しくって最初から意外性がありました。

実際には電話は通じるし、外は晴れ渡ってて雪も降ってません。

だけどその設定を無視してしまうと、せっかく合格したオーディションがなかったことに…。

外部へ連絡したくてもできない、というのはクローズドサークルではありますが、やろうと思えばできちゃうっていうのは面白いですよね。

久我による一人称

さらに珍しいのは、三人称視点と登場人物・久我の一人称視点で話が進むことでしょうか。

いちいち「久我の視点」が明確に挟み込まれています。

 

どうして三人称視点だけで物語は進んでいないのか?どうして久我だけの一人称視点が入ってくるのか?

色々とすでに違和感はたくさんあります。

 

ちょっとした違和感が結構大事な作品かもしれませんね?

平面図

ちょくちょく書いたことがあったかもしれませんが、やっぱりこういうクローズドサークルものは平面図があってこそ!!

平面図があるとワクワクするタイプです 笑

そしてこの作品にもあるじゃあないか…へいめんず!

で、思ったわけです。

初見で読んだ時には気づかなかったと思うんですが、16年経つ中で私は館シリーズを読みました…それ以外にもミステリーばっか読んでました。

「あれ?この作品の平面図は手書きなんだぁ〜」

 

まさかこれが割とキーワードだったなんて 笑

 

ミステリーというのはそういうもんなのですね。それは分かっていたのになぁ…。

この平面図もヒント盛りだくさんだと思います。

それはやはり読んで見てみないと…ということでネタバレはなしです!

映画化不可能と言われたワケ

そこに触れてしまうと話の全体が楽しめなくなるので伏せますが、再読してみて「なるほど」でした。

確かに映像化するのは難しいかもしれません…けど映画になったんだよねぇ。

観てないので、機会を作って映画もほうも見てみようと思います。

今年というか最近は映像化不可能と言われたミステリーが割と映像化されてますよね。

映像を作る人も頭を捻って、なんとかしてこの面白い原作を世にもっと知ってもらいたい!と思って造られているのかもしれませんね。

 

これまたネタバレ不可避で感想を書けない作品のひとつかと思われます。

レビューを検索してみると評価は結構バラバラだったように思いますが、こちら東野圭吾作品でも初期のもののようで、それで低評価をつけられてる方も見受けられたかなと。

ただ思うんですが、もう「東野圭吾」というだけでもうブランド化しちゃってますよね 笑

だから新作を作られるたびに自分を超えないといけないのではないかと思うと、大変だなぁと、ひとごとながら思ってしまいました…。

 

個人的には再読して良かったー!と思える作品でした。

クローズドサークルという王道ものなのに、ちょっと変わった設定であったり、本格的でちゃんとフェアに感じたかな?

私はオススメ作品のひとつだと思います。

 

今は積読消化に励んでおりますので、次も東野圭吾作品を読んでおります。

なぜかガリレオシリーズ8作目「禁断の魔術」をすっ飛ばして「沈黙のパレード」を読んじゃってたみたいで、読む順番が混乱してしまって寝かせたままになっておりました。

ということで次は(今は)「禁断の魔術」読みます。

【読了】「公開処刑人 森のくまさん」堀内公太郎

前回の「ハサミ男」を読了してすぐ読み始めました。

今回はこちら↓

「公開処刑人 森のくまさん」著・堀内公太郎

前回の「ハサミ男」がくりぃむしちゅー・有田さんがオススメされていたというのは記述したのですが、今回も芸能人繋がり?でこちら「公開処刑人 森のくまさん」です。

こちらをオススメされていたのは中居正広さんですね。

SMAP当時にオススメされていたようです。

他にも彼のオススメ本一欄をざっと見てみたところ、どうも本の趣味が合いそうだったので 笑

タイトルを存じ上げてなかったこちらを手に取ってみました。

あらすじ

こちらも猟奇的連続殺人事件が題材なのですが(読み始めてすぐ「立て続けだな…」とは思いました 笑)タイトルにもありますが、犯人である「森のくまさん」は自称「処刑人」的な立場で殺人を繰り返しています。

 

いずれも被害者は社会にとって害をなすような人物ばかり。

その情報はインターネット上の掲示板に書き込まれた情報から得ており、すでに社会現象と化していました。

法律をすり抜けた犯罪者を被害者が実名で掲示板に書き込むことで「森のくまさん」なる者が私刑で処刑するというものです。

森のくまさんの存在を否定する声よりもまるでヒーローのように擁護する声が出始める中で、森のくまさんの本当の目的が達せられようとしていました…。

中居くんオススメの流れ

たまたまですが、「葉桜の季節に君を思うということ」も中居くんがオススメされてて、その記憶がある中で「森のくまさん」を読み始めたものですから、どういうトリックが好みなのか何となく分っちゃってですね…。

これもまぁ…そっち系だろうなと何となく勘ぐっておりました。

そっち系とはまぁ…大どんでん返しというやつ、とだけ記載しておきます(センシティブだよねぇ。ネタバレギリギリかな)

なので一応ミスリードは貼られておりますが割とすぐ真犯人は誰なのか分かりました。

ただ、動機が序盤では明確ではないので、動機を追っていく感じでしょうか。

それも中盤にこれば分かるようになっています。

犯人の人物像であったり、協力者の人物像は現代だからこその描写だとは思いますが…今でこそ認識されてるサイコパスだよね、とは思います。

ただ最近こういう犯人像のミステリーは読んでなかったかも、と思ったので少し新鮮味というか面白さを感じて、自分で想定してた以上に早く読み終えました。

 

終わり方が続編に続くような感じだったので調べてみたら続編も出てますね…登場人物たちのその後が気になるので、続編ももちろん読んでみようと思います。

続編も読んでみよう!と思えるほど楽しめたということでしょうか。

表紙

パッと最初見た時に脳裏に浮かんだのが中山七里さんの「カエル男」なのですが、やはり調べてみたら同じ方のデザインというか装丁でした。

この見た目、ちょっと可愛いんだけどよく見たらこっわ!っていうのが味があって良いですよねぇ。

表紙が内容をちゃんと表現してる感じなのも好感でした。

現代ミステリー

おそらく意図なくだとは思いますが、それでも現代の闇…というか、現代にある問題が割と表現されてるかなと思ったり。

いじめであったり性同一性障害(に近い問題)だったり、タガが外れたやり過ぎな犯行だったり…それを犯行だと思ってない未熟な学生の思考だったり。

他人の痛みを考えられないことが前面に出ていたかなとも感じました。

特別グロくもないと思うので、私もオススメしたい一冊かもしれません。

積読

そういえばたまたまですが、積読リストをXで上げてる方がおられて、その積読一式が割と「これはw」だったのですが、

・ハサミ男

・公開処刑人 森のくまさん

・殺戮に至る病

・連続殺人鬼 カエル男

だったんですよね 笑

また揃いも揃ってそこだけ残してるって…病むぜ?と思いましたがw

もし仮にこの4冊を読もうとされてる方がおられましたら…

・ハサミ男

・公開処刑人 森のくまさん

・連続殺人鬼 カエル男

・殺戮に至る病

の順番で読むのが良いかもしれません。完全に個人的見解ですが…下にいくにつれグロさが増していく気がします。

でもいずれも面白いよね。

 

次は初めての(?)再読本の感想を書きます。

・

 

【読了】「ハサミ男」殊能将之

読了してから感想を書くのに時間が空きがちです。今回はこちら↓

「ハサミ男」著・殊能将之

帯にある通り過ぎてアレなんですが 笑

古典にして大傑作、え?まだ読んでないの??な一冊。

かなり前にくりぃむしちゅーの有田さんがオススメされていた記憶があります。

なので存在は存じ上げてましたが、私の悪い癖で「絶賛されてる本は絶対に面白いの確定」なので後回しにしがち…のやつで今まで読んでませんでした。すみません…(?)

あらすじ

巷を賑わす連続殺人犯、その名も「ハサミ男」。

女子高生ばかりを狙う犯人は毎回必ず現場にハサミを残しています。

鋭利なハサミを必ず少女の喉元に突き刺したまま立ち去るハサミ男ですが、主人公の「わたし」こそがハサミ男。

犯人とハサミ男を追う刑事、両方の視点で物語は進みます。

そして3番目の事件を決行するため、ハサミ男は目星をつけた女子高生をストーキングするわけですが、ある日その少女の死体の第一発見者になってしまいます。もちろん身に覚えはありません。

しかも少女はまさにハサミ男の犯行によるとしか思えない状態で見つかり、本物のハサミ男である「わたし」はやむなく3番目の被害者の真犯人を探すことになります。

話題になるのも納得の展開

ネタバレになってしまう部分は触れずに感想を言いたいところですが…。

こちらも読み始めの時点から全てを疑って読んでおりました 笑

やはり大絶賛される作品というものは最初から伏線が張り巡らされており、読者がビックリする真相だからなんですよね…もう今年はこういうミステリーばっか読みましたので、最初から全てを疑うのが癖になってしまいました…よくない 笑

 

あと余談ですが「ハサミ男」と聞いて最初に浮かんだのは…何ですか?

映画のシザーハンズでしょうか?

私は完全に「クロックタワーのシザーマン」でした 笑 あれ、怖いよねぇ。

 

そんな感じでイメージだけは固まっていたハサミ男ですが、冒頭から気になる部分というか違和感はあります。これ気づく人は絶対気づくと思います。分かりやすいかと。

なので、ハサミ男の正体自体は割と気づく人は多かったんじゃないかな?

ただ、第3の事件の真犯人は分かりませんでした 笑

というか、確実に本格ミステリーのはず…と思っていたので、すでに登場している人物の誰かかなとは思ってましたが…。

ただ、解答編に入ってから分かりますが、確かにきちっとそれまでにヒントというか真犯人に関するフラグはあるんですよね。そこに気づくかどうかで分かるかもしれませんね。

私は分かりませんでした。ていうか真犯人よりハサミ男のほうに気が向いてて気づかんかったと言いますか 笑

 

ただ、この本の真髄は多分ハサミ男の正体にあると思います。

なので、そこをいかに紐解けるか?で最後のビックリ度合いが変わってくるんじゃないかな?

結末に関して

トリックそのものとは関係ない部分ではありますが。

お話自体の結末に関して、賛否両論なのかもしれません。

こちら…ハッキリ分類できないと思うのですが…いわゆるイヤミスかもしれません。

でもそこまで嫌な終わり方でもないよね…とも思うのでどうなんでしょう?

というかイヤミス大好きな私の感想なので、嫌いな人にとっては完全なるイヤミスに入るかもしれませんけど 笑

 

ただ、終わり方だけではなく全体を通してもちょっと重めな内容かもしれません。

あとちょっとだけグロい…?というか、まぁ…ちょっと痛々しい描写はあるのかもしれません…そこらへん麻痺してて判断つきにくいのですが。

 

なので、面白いのですが重い話とか痛々しいのが苦手な方は少し注意が必要かもしれません。

そこまで身構えなくても良いかもしれませんけど…難しいな…。

必読なのも納得

今でこそ、こういったトリックものは沢山ありますが、古典と言われる謂れはあるのかもしれません。今の時代に読んでも面白かったです。

ちなみに刊行年は99年なので約25年前の作品ですね。古さを感じない内容だと思います。

まだ未読の方はぜひご一読下さい!

 

【読了】「#真相をお話しします」結城真一郎

今回は個人的にはサクッと読めた一冊。

「#真相をお話しします」著・結城真一郎

こちらもまた有名作品ですが、やっと文庫化しましたので早速購入。

手にとってみたら思っていたより薄くて(悪口ではないですよ!)ちょっとびっくり。

しかも短編集と知ってさらにびっくり。

これは全ての短編が評価されての本屋大賞ノミネートなのかな?とか色々考えてワクワクしました。

後々調べたら「#拡散希望」が受賞作品だったようです。

それでも全てが同じくらいに面白かったので、どれが受賞してても不思議じゃありません!

 あらすじ

どんな人にもある日常。その中に潜んでいるちょっとした歪つだったり違和感から派生していく短編5編です。

・家庭教師の派遣サービス業務をする大学生が、ある日問合せにきた家庭へと訪問営業へと行くのですが、その家族には何か異変が纏っており…。

・不妊に悩む夫婦がやっとの思いで授かった子。その不妊治療の一環で知った「精子提供」をすることを決意した夫の元に、ある日「あなたの精子提供で生まれた者です」と名乗る娘が現れます。

そこから明らかになっていく真相とは。

・子供が4人しかいない島で、子供たちはiPhoneを手に入れ、そこから知った動画配信の世界。彼らは「ゆーちゅーばー」になることを決めます。しかし、ある事件が島で起こり、それをきっかけに島の人達がやけによそよそしくなっていきます。その裏にある真相は何なのか?

それぞれの短編

先述しましたが、これは「全ての短編が評価されたのかな?」と思ったように全ての短編が傑作というか面白かったです。

どんでん返し…になるのかな?叙述トリックもあったように思います(いかんせん読み終わったのがちょっと前なので曖昧)。

これがまた、絶妙なヒントの出し方で書き方といいますか。

全てのお話に違和感があるんですよね。

読み始めて半分ぐらいになるまでずっと違和感があります。違和感にも気づくし、この違和感はこういう真相のためだろう、という見当もつきます。

ただ、タイトルの通り「#真相をお話しします」ですから、真相に行き着くには二重にも三重にも伏線が張り巡らされている、という感じでした。

きっとこうだろう!と予測はできますし、実際その通りなのですがそれだけでは終わらないってやつですね。

なので全てのお話し共通して最後の最後で「そっちかー!」となってしまいました 笑

だからこのタイトルなんだなと思ったかな。全てが真相に至るまでのミスリード(とも言い切らない)があるので…。

なので短編のどれも「#真相をお話しします」というタイトルがついた物はなく、全て全然違うお話であり、タイトルもそれぞれにあります。

ただ、おそらく表紙を見た限りでは表紙の題材は最後のYouTuberになりたい小学生のお話かなと思うので、いわゆる音楽でいうところのシングルカット的な作品は最後の小学生の物語かと思われます。

タイトルにはハッシュタグもついてるしね。SNS関連ではありますよね。

自分好み

個人的に気に入った短編はどれか…と考えたのですが、全てが同じくらい楽しめたので全部好きかもしれません。

最後の小学生のお話は一番印象に残ってるので、あえて言えばそれかもしれません。

あと全部が今の現代に基づいた背景で書かれているのも印象強く覚えています。

コロナ禍で一気に広まったリモート会議だったりYouTubeだったり。出会い系アプリのお話もありました。あとは精子提供も。

それぞれが世間でも話題にのぼったものを扱っているので話自体は入りやすい…ようで、実はよく分かっていないものだったりするのかなと。

全部どういったものなのか知ってるけど詳しくは知らないってものばかりではないでしょうか?

そこに潜む罠や法の穴みたいなものを感じる短編集だったかもしれません

次は…

個人的に結城真一郎さんの入口としては最適解だったかも、と思える作品だったので、次はどれか長編もチャレンジしてみようかなと思えました。

とりあえず調べてみて一番オススメの高そうなものを次は探してみようと思います。

他にどんなトリックを使って騙そうをしてくるのか、非常に楽しみな作家さんだなと感じました。

【読了】「アクロイド殺し」アガサ・クリスティ

一冊読み終わりました。

「アクロイド殺し」著・アガサ・クリスティ

かの有名なアガサ・クリスティです。

推理作家の文豪ではコナン・ドイルのホームズシリーズは流石に本を持ってて既読ですが、なかなか他の作家さんに手を伸ばす前に現代の作家さんに行きがちです。

 

ポワロシリーズは映像化したものは見てますが、本は初めて。

中でも「アクロイド殺し」は必読とのことで、いざ!読んでみました。

帯にあるけんごさんの動画、大変参考になっております 笑

あらすじ

とある村の未亡人が亡くなるところから話は始まります。

彼女は村の富豪ロジャー・アクロイド氏との再婚も噂されていたのですが、検死をおこなった主人公(医師)は睡眠薬の過剰摂取による自殺/事故と判断します。

そんな主人公は友人でもあったロジャーから相談があると館に誘われますが、彼の相談内容というのが「亡くなった未亡人が何者かから恐喝を受けていた」ということ。彼女が亡くなる前に出した手紙をロジャーは受け取っていたのでした。

その手紙を主人公が辞去後に一人で読もうとしたロジャーでしたが、その夜にロジャーは死体となって発見されたのでした。

容疑者たち

ポワロシリーズは数作品しか知らないのですが、今作も割と容疑者は絞られています。

ちなみにクローズドサークルではないのですが、死体発見時からみた死亡推定時刻などにより、殺害当時に館にいた者たちに限られてきます。

主人公の医師はロジャーの館から辞去する際に館方面へと歩いてくる何者かとすれ違っているため、その時に失踪していたロジャーの養子が犯人ではないかという疑いも浮上します。

 

割とそこそこ容疑者がいるんですよね…なので冒頭の人物紹介を何度も見返さないと誰が誰だか分からなくなりがちでした(海外の人の名前も覚えにくいw)

あと全員が何かしらの秘密を抱えていて、真実を全て話していないんですよ。

ポワロはそれを一人ずつ自白に導いていくわけですが、それぞれが黙っていた真実に関しては「え!そうなんすか!」という驚きがありました。

必読と言われる理由

前情報は一応こちらもなしで読みましたが、ミステリーといえば必読!と言われてるだけあってですね…あぁ、やっぱりそうですかぁって結末だったんですが、あんまり普段ミステリーを読まない方や「必読」といったような情報すらもない状態で読むと良い作品かなと思いました。

いやでもそこを制限しちゃうと感想なんて何も書けないんですけどね 笑

ただ、確かに必読と言われるほど面白くよく書かれた作品だなぁと思いました。

かのヴァン・ダインには批判的感想だったようですが、これを書いたのが当時の女性であると思うと時代背景等々を鑑みても凄いなと思わざるを得ません…。

今でこそ作家さんの性別なんて関係なしに面白いぜ!って感じですが、時代背景をね、考えるとね…。

中にはちょっとメタ的なジョークも入ってたりして、アガサ・クリスティってこういうのも書いたりする人だったんだ!とちょっと親近感さえ湧きました。

 

エルキュール・ポワロのエルキュールってヘラクレスって意味だったんだねぇ。

 

映像作品を見てしまってることで、ポワロ作品の時系列はめちゃくちゃに追いかけてる状態になっていますが、できれば最初から読んでみようかなと思います。

こういった海外有名ミステリーを読むのもまた一興です。

余談

余談になりますが、日本でも映像化されております。

「オリエント急行」も「そして誰もいなくなった」も映像化されてますが、こちらは「黒井戸殺し」というタイトルで実写になってます。

しかも割と最近。2018年で三谷幸喜さんが脚本(監督もかな?)されてて、ポワロ役は野村萬斎さん、主人公医師は大泉洋さんです。

アマプラで見れるのかな?

私もリアルタイムで見た記憶はあるんですがすっかり内容を忘れておりましたw

こちらも是非、観てみてください。

 

【読了】「黒猫館の殺人」綾辻行人

色々と積読本はありますが、一旦また戻って館シリーズ6冊目です。

6冊を短期間で読むと、もはやホーム感すら感じるようになりますね 笑

確実に殺人事件が起こってるのに、馴染みのキャラクターたちが出てくるだけでホッとします。

「黒猫館の殺人」著・綾辻行人

今回も中村青司が手がけた館を舞台に繰り広げられるミステリーです。

あらすじ

今や有名小説家として名が知られている鹿谷門実の元に、ある日読者の一人から手紙が届きます。

内容は記憶喪失になった送り主自身の正体と、手元にある手記に綴られた殺人事件の解明を依頼するものでした。

なぜ鹿谷の元に依頼したのか…手記に登場する館を建てたのが、かの中村青司と書かれていたためでした。

鹿谷に手紙を送りつけ、記憶を失った鮎田老人の正体は誰なのか?

手記に綴られている事件の真相とは?

今回は考察なしで読んでみた

ついつい最近はミステリーを読むとなんとなく考察しつつ…になってきていたのですが、あえて考察しないで読むミステリーもこれまた面白いものです。

「逆転美人」を読んだ直後だったので、ちょっと脳みそを休憩させつつ読もうかなと思い、館シリーズに戻りました。

前述しましたが、もう鹿谷(島田)の名前や江南が出てきてくれると、それだけでホッとします 笑

なので、今回は考察なしで。何も考えずに読むミステリーにしようと思ってました。

綾辻さんもあとがきで仰ってますが、8割は読者も気づけるトリックだったようです。

私も考察しないで…と言いつつも、途中で依頼人の鮎田老人が実は誰なのか、正体は気づきました。

ただ、残りの2割!ここがミソだそうで、この2割はなかなか…ええ、面白かったです…!(ニッコリ)

私好み

今回もなるべくネタバレなしで感想を書きたいところですが…。

そもそも猫飼いとして「黒猫館」だなんてねぇ…それだけでワクワクしますよ!

で、実際お話の中にも黒猫ちゃんも出てきます。かわいいです。癒しでした。

表紙にもあるのですが、風見鶏ではなく風見猫なるものが屋根の上についていて、外壁も内壁も壁は黒で統一されており、床は二色の市松模様です。

窓もステンドグラスですし。

置いてあるバスタブなんかも猫足の、よく海外で使われているようなバスタブです。あ〜かわいい 笑

その内装を想像しただけでも素敵!だったのですが、まぁ…ここで事件が起こります。

例によって例の如く人が死にます…曰く付きの建物になっちゃって残念過ぎますが、何よりもまずやはり中村青司の建てた館ですから、一体どこに地下通路や隠し部屋みたいなのがあるんだろうか!?が気になりますね。

そういった意味でも館自体が主役なのは今回も違いなく、特に黒猫館の内装や外装は自分好みだなぁと思っていつもより館自体に興味がひかれた作品でした。

 

十角館も水車館も、今まで出てきた館全てにおいてテーマがあるわけですが、今回は黒猫がテーマかと思いきや…な部分もあります。これ以上はネタバレになるので伏せますが…。

ネタバレなしで、といいつつ…

前情報一切なしで今作は読ませていただいたので、トリックが全て明かされた時も「は〜〜〜なるほどぉ〜」となったわけですが。

これ…読了後に思いましたが…これも叙述になりますよね…?

叙述トリックですって書いちゃうとそれだけでネタバレにもなるっちゃなるので迷いましたが…多分こちらの作品もそうだと思います。

ただし、やはり綾辻行人作品だけあってしっかりガッツリまさに納得の本格ミステリーだぁと思いました。

全部のヒントが絶妙に散らばってたように思います。

気づこうと思えば気づけたことばかり。最大のヒントも多分調べればすぐ真相に辿りつけたかと思います…面倒臭くて調べなかった私が悪い😂

そして、この真相で分かる館の本質…それがまた私好みだったんですよね…最高やん何それってなりました。

中村青司の建築ではなく、曰くもない建物だったなら訪れてみたいとさえ思いました。

素敵なんですよ…今までの館の中でも一番素敵。

建築について

私はズブの素人ですので、建築云々は全然知らないし分かりません。

ですが、今まで出てきた館どれもが建築の際にはかなりの苦労が必要だったのではないかと思われるものばかりです。

今回の黒猫館もそうだったろうなと思わずにはおれません…これは相当の費用もかかってるよね 笑

中村青司の建てた館はいずれにしても薄暗い闇のようなものが漂ってばかりですが、本人は遊び心満載で設計して建てたのだろうなと思わされるのものでもありますよね。

クローズドサークルものは数多くありますし、ミステリーの一定義でもあると思いますが、やはり建物自体への魅力もある方が絶対に面白いです。

そういった意味でも館シリーズはどれも魅力あふれる館でワクワクさせてもらえるシリーズですね。

 

次は暗黒館…ついに4巻まで出ている館シリーズの中でも最長の話に突入です。

まだ手元にありませんが、4冊揃ったら読み始めようと思います。

【読了】「逆転美人」藤崎翔

結構前に読み終わってましたがこちらにアップするのに時間がかかってしまいました…。

「逆転美人」著・藤崎翔

こちらシリーズ化しているようでして、まずは第一作目です。

一番新しいのは「逆転ミワ子」かな?逆転美人は話題作だったようですね。

あらすじ

美人は得をするのかーー

ルッキズムによって苦しんだ、いわゆる「美人」の部類に入る主人公の手記が主な内容です。

あ、もちろん(?)ミステリーです。フィクションです 笑

こちらも作中作というやつで、「逆転美人」というタイトルの手記を香織(仮名)という名の人物が今までの人生を手記として綴っており、本編の後には追記という形で続いています。

手記を綴るきっかけになったのは主人公が美人であるが故に引き起こされたとある事件でした。

その事件は世間にも知られることとなり、事件を巡って有る事無い事を記事にされメディアに晒されたため、主人公の香織(仮名)は手記として今までの人生を綴ることになったのでした。

 

果たして美人であることは得なのか?この手記を読んでどう思いますか…

 

からの

 

どんでん返し

 

というやつですね 笑

ミステリーではあるが…

カテゴリで括るのであれば間違いなくミステリーになると思うのですが、こちらもまた電子書籍化不可能・紙でしか読めない本なのです。

以前に「世界でいちばん透きとおった物語」や泡坂妻夫さんの本など紙でしか読めない本の感想だったり触れたりしたのですが、今作の「逆転美人」もそれにあたります。

つまり、分かる人は分かると思いますが…そういうギミックが施されている、ということですね。ギミックが分かれば全てのトリックも分かると言っても過言ではないかもしれません。

 

私も「紙でしか読めない本」ということだけは知った上で読み始めました。

本編と追記

まず、作中作として本編が刊行されたあとで追記がついた第二版が刊行された…という形でしょうかね?

なので追記の部分で全てのトリックが明かされているので、追記編=解答編という形になっています。

で、主人公の香織(仮名)は作文が苦手と前もって注意書きがされているので、本編もサクサク読めません。これは私が読むのが遅いせいかもしれないと思いもしましたが…そうではないようです 笑

 

まぁ…それには理由があるわけですが。

 

そういった「なんだか読みにくいなぁ」を含めて、随所随所で実はヒントが散らばっています。そこにいかに気付けるか?になってくるのですが、本編最後の最後に大きなヒントが明確に書かれています。

私はやっとそこで気づきました😂おっそ😂

ただ、追記に入る前に気づけたので「まさか」からのページを前にめくって遡りギミックの確認をしたときはもう。そりゃもう!すっごい爽快感でした!

なんならスッキリしすぎて泣いた 笑

あとやっぱり感動の方が強かったです。よくもまぁ…この藤崎翔さん(元芸人さんだそうですが)ほんと…よくぞこれを実現しましたね????

いやもう、ほんと「世界でいちばん透きとおった物語」もそうだったけど…作者の努力たるや本当に脱帽すぎた。

 

そして全体のお話を通しても間違いなくミステリーなんですよね。

ただ、本編の主人公が辿ってきた人生の手記内容はね、文脈的以外にも内容としてサクサクはいかなかったかな。

ちょっと「いやそんなことある??」感はありました。

というのも、少し考えれば経験上回避できたでしょ?どうしてそこまで馬鹿なの?(ごめん)とイライラする部分もありまして😂

この「一回経験すれば、そこから学ぶことがあるでしょう?どうして回避できないの?」という一見主人公の馬鹿さ加減が何かしらヒントなのかなと思ったりもしたのですが、どうやら真実っぽいんですよね…ただし、追記を読んで全てが分かった後に反芻してみれば結局その「主人公の学ばないところ」「経験から知恵を絞れない」といった、あまり賢くない部分が彼女自身の人生を左右したのは間違いないのかもしれない…と思いました。

ルッキズムへの問題提起

いつの時代もそうかもしれませんが、ルッキズムっていまだに蔓延っていますよね。

某テレビ局の女子アナなんかは顔で選んでるんじゃないのか?とかさ、一昔前から結構言われてるし…やっぱり見た目が美しいかどうかで人を選ぶ傾向というのはいまだにあると思います。

それに対する風刺でもあるのではないか、とはこの作品の感想を検索するとよく目にしました。

なるほどねぇ…と言った感じでしょうかね。

美人=得をする

というのも結局は固定概念なのかもしれません。

まとめ

前述しましたが、本編を読んでる間は結構もやもやするかもしれません。

そのせいでなかなか読むスピードも上がりにくいかと思いますが、追記に入ったら一気に加速する本だと思います。

個人的に「世界でいちばん〜」と合わせてぜひ読んでみてほしい本だと思いました。

いつものミステリーとはちょっと違ったロジックを楽しめると思います。

 

とりあえず逆転シリーズも全部読んでみよう。ミワ子もだいぶ面白いそうです…!

 

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