《追及レポート》何も知らない利用者が損をしている【火葬場のタブー】「キックバック」「割引利権」など”利権構造”うずまく不公平な因習の実態(2024年12月12日『女性セブンプラス』)

何も知らない利用者が損をしている【火葬場のタブー】とは?(写真/イメージマート)

「日本の古い商習慣だから」で片付けられる問題ではない。公共インフラの側面を持つ「火葬場」は、利用者は誰でも平等、公平にサービスを受けられることが大切だが、“利権構造”がそれらを妨害している。損をするのは利用者ばかりか――。「値上げ批判」に隠された既得権益の数々で、何も知らない利用者が損をするという「火葬場のタブー」を追及する。

【写真】火葬料金の高騰について陳情が来ているという都民ファーストの会・小池都知事

利用者の目が届かないところで、お金にまつわる歪な因習が残っている
約13万7000人。これは昨年、東京都内で死亡した人数だ。壮麗な葬儀が行われることもあれば、コロナ禍を経て、最近では家族葬などの小規模な葬儀が流行している。身寄りのない人の孤独死であれば、葬儀はなく、ただ荼毘に付されるだけということもある。

しかし、どのように弔いがされようが、最後は誰もが「火葬」され、骨になって旅立つことは変わらない。

「日本では古来より、“死は穢れである”という考え方が根強く、いまでも葬儀に参列した後は”塩で体を清める”という行為が広く行われている通り、死にまつわることは、できるだけ遠ざけたいものなのです。

近年は映画『おくりびと』などの影響で、葬祭業への忌避感はかなり薄まっています。しかし、こと火葬場の中で行われていることについては、社会に広く理解されているというわけではありません。すべての人がいずれは“訪れる場所”なのに。

実は、その火葬場では、利用者の目が届かないところで、お金にまつわる歪な因習が残っていることも、まったく知られていないのです」(都内葬儀業関係者)

「9万円」という数字が独り歩き
全国的に見れば、ほとんどの火葬場が「公営」だ。ただ、江戸時代に爆発的なスピードで人口が増えた東京ではその歴史的な経緯により、自治体による火葬場の整備が間に合わなかったため、多くの火葬場の運営を民間企業が担っている。そんな都内の火葬場では「火葬料金」が最近になって価格改定が繰り返され、話題になっている。

「ここ数年、ウクライナ戦争や円安の影響による燃料費の高騰などを理由に、何度か実質的な値上げが行われ、都内の民間の火葬業者3社では火葬料金は9万円になっています。

公営の火葬場がメインの他県では、火葬料金は無料か、有料でも3000円から1万円程度。それに比べると、都内の火葬料金は明らかに突出しているといえます」(都政担当記者)

祖父母や両親の施主を経験した人ならわかるだろうが、火葬場の窓口に、自分で火葬料金を支払うケースはまれだ。一般には、葬祭業者が喪家から「葬儀料金一式」をパッケージで受け取って、その中から火葬場に支払われる。そのため、「火葬料金」と言われても、すぐにイメージがわく人は少ないだろうが、「東京の火葬料金は高すぎる」「民間の火葬業者がもうけすぎているのではないか」という批判が一部で上がっている。

「人件費や燃料代が高騰しているのは間違いないし、東京にある火葬場は都内の一等地に建つ民間施設なので、固定資産税も高額です。また、人口密集地にあるため、周辺住民への配慮や、滞りなく火葬を進めるための火葬技術の研究など、ほかの道府県にはない事情を抱えています。

公営であれば税金が投入されるので住民サービスとして採算度外視で運営できるが、東京の民間火葬業者は税金の補助を受けているわけではないので、然るべき料金になるのはやむを得ない。ただ、『9万円』という数字が独り歩きしている印象です」(都政関係者)

ある都議はこう指摘する。

「現実として、都内火葬場の多くを運営する民間企業にまずお願いすべきことは、『永続的に運営してほしい』ということ。明日突然、廃業します、と言われたら東京は大混乱に陥る。火葬料金の設定は経営上の判断であり、行政が口出しするところではない。本当に口出ししたいのなら、公営火葬場を作るしかないでしょうが、それを受け入れる地域があるのか……」

ある都内の葬儀社経営者が声をひそめて明かす。

「火葬料金の値上げに対して“高い”と文句を言っているのは、遺族からパッケージ料金を受け取る葬祭業者でしょう。火葬代が上がったら、それだけ自分たちの取り分が減りますからね。

実は、葬祭業界では現金がやり取りされる因習や利権が存在します。特に都内の葬祭業者の約30%が加入し、政界にも大きな発言力を持つ『全東京葬祭業連合会』(全東葬連)系の同業組合は“既得権益”を握っているのです」

割り引く費用は年間2億円以上
会員が事前に資金を積み立てる互助会型の冠婚葬祭業者とは一線を画し、「全東葬連」系の組合には、町の個人経営の葬儀社が多く加盟する。

この組合と火葬業者の間には、利用者が知らないところで不透明なカネの流れが存在するという。

「火葬業者は全東葬連に加盟する葬儀社に対してだけ、火葬料金の一部を現金で還付するキックバックを行っているのです。加盟していない葬儀社には、キックバックはしていません。

業界では“もどし”と呼ばれています。

20年以上前から、火葬料金の20%を『販売手数料』の名目で葬儀社に払い戻す、という決めごとになっていました。もちろん、そんな裏でのお金のやり取りを遺族が知るはずもありません。

実は3年前、都内の民間火葬業者『東京博善』の親会社が上場企業なので、不透明な金銭の動きはなくした方がいいとなり、一時的にキックバックが廃止されたことがあったそうです。しかし、組合側の反発を招いたので、火葬1件あたり1万円のキックバックが復活し、いまに至ります」(前出・都内の葬儀社経営者)

前述したように、葬祭業者は喪家から葬儀一式の代金を受け取り、その中から火葬場で担当者にお金を払う。その際、現金1万円を受け取るのだという。遺族が知り得ない「裏でのやり取り」だ。

さらに、組合加盟社しか行えない“格安葬儀”にも利権がある。

「区民葬」の名前で知られる、この格安葬儀。最低限の簡素な葬儀を安価で提供する、という名目なのだが、このシステムを使えば、火葬料金も減額される。本来なら9万円の火葬料金が、なんと5万9600円で済むのだ。

区民葬を希望する場合、死亡届を出す際に区役所で発行される「区民葬儀券」を受け取ることになっている。一見、公共の仕組みのように思えるが、そうではない。全東葬連系の葬儀社でしか、この葬儀券を扱えないため、区民葬は彼らの独占状態である。

区民葬の仕組みを担う「特別区区民葬儀運営協議会」の今年度幹事区である東京都北区の担当者が説明する。

「公金などは一切出ておらず、葬祭業者さんと火葬業者さんの善意で成り立っています。運営協議会は23区各区の部長級と、20名ほどの組合関係者で構成されています。

死亡数に占める区民葬の葬儀券発行率は昨年の北区で13%でした。2019年頃まで、23区全域でも交付枚数は3000件ほどでしたが、昨年は1万件を超えるなど、年々、数を増やしています」

もともとは、生活困窮者のセーフティーネットとして設けられたが、火葬料金が3万円も割引されるのだから、利用者が増えているのも当たり前だろう。

「“善意で成り立っている”というと聞こえはいいが、火葬料金の減額に関しては民間の火葬業者の”持ち出し”によって成り立っているんです。たとえば、都内の民間火葬業者『東京博善』だけで、区民葬で割り引く費用は年間で2億4000万円に上る計算です。

この区民葬の費用負担やキックバックがなくなれば、一般の火葬料金をもっと安く提供できる可能性もあるでしょう。古くからの慣習なのかもしれませんが、不明朗なカネの流れは、時代に合わないのではないか」(前出・都政関係者)

そうしたキックバックや「割引利権」は全東葬連に加盟する葬儀社だけで、非加盟社にはない。ある非加盟の葬儀社の経営幹部はこう憤る。

「不平等そのものでしょう。なぜ彼らだけに、利権があるのか。そうした歪なルールは、“葬祭業界の闇”と言っていいですよ。

私の知人の業者が以前、全東葬連に加入しようとしたことがあるのですが、門前払いされたそうです。高額な入会金を求められたり、『組合の秩序を守り、悪徳業者が加入するのを防ぐための身体検査』などと称した不透明な審査があったりと、新規加入は実際にほとんどできない。既得権益を守るためにほかなりません。

葬祭業者の自由な競争を完全に妨げていますね」

「不公平だという意見も頂戴する」

火葬の現場で働くスタッフに、遺族が現金を手渡しする「心づけ」という慣習も存在する。

「最近は減っているようで、ある民間火葬業者ではこの『心づけ』が禁止されたと聞きました。社員のかたによれば、社内で罰則規定が設けられ、『心づけ』を受け取ると処分されるそうです。慣習的に給与の一部という認識でしたが、『心づけ』を廃止した分、給与体制も見直されたそうです」(前出・都内の葬儀社経営者)

一連の因習について、当事者たちはどう答えるのか。

全東葬連は女性セブンの取材にこう答えた。

「日本の古くからの商習慣として、キックバック、いわゆる“もどし”はたしかに存在します。ただし、それは本来、私たち葬祭業者が遺族に売るはずの『骨壺』を、火葬業者側が売っているから、その分の販売手数料をもらっているという認識です。

また、区民葬については長い年月をかけて組合が行政や火葬業者と話し合いを重ねてきた歴史があります。資質のある会社であれば、組合加入を拒否することはありませんし、加入せず区民葬だけ使わせろというのは承服できない」

23区内に9つある火葬場のうち6か所を運営する民間企業「東京博善」はこう回答した。

「古くからの習慣として、全東葬連系の組合に加入する葬儀社のかたがたとの商習慣が残っていることは事実です。また、実際に、それをご存じの、全東葬連系の組合外の葬儀社様からは不公平であるというご意見を頂戴することもございます。

(区民葬については)当社は、『特別区区民葬儀運営協議会』の主体ではなく、協議会からの要請を受け、自主的に協力させていただいている協力団体・協力事業者という立場です。従いまして、区民葬そのものに関する見解についてコメントすることは控えさせていただきます。なお、公的な補助は受けておらず、当社の費用負担でご協力させていただいております」

また、「心づけ」の廃止についてはこう回答した。

「火葬料金には透明性が求められます。古くから続いてきた『心づけ』の慣習は、火葬料金を不透明にしておりました。『心づけ』の廃止は、火葬料金の透明性を高める目的が1つ、また、実際に、ご喪家様に火葬料金プラスアルファの費用負担を強いてしまうことでもあり、実質的な火葬料金の低減として廃止しました」

前出の都議が声を大にして言う。

「都は特別区からの要請があれば、都営火葬場建設のために臨海部の土地を用意すると言っているが、区側が火葬場建設に積極的でない実態もある。都営火葬場の瑞江葬儀所も場所が遠く古いなどの理由で都民に敬遠されることがあるとのことで、抜本的な改革が必要なのは間違いないでしょう」

火葬場には、一面的には捉えられない根深い問題がある。不透明な因習から脱却し、公平な料金で私たちが最期を迎えられる体制を構築することが急務だ。

※女性セブン2024年12月19日号



日本被団協を紹介する展示会の開会式 ノーベル平和センター(2024年12月12日『NHKニュース』)



 ノーベル賞2024

ノーベル平和賞を受賞した日本被団協を紹介する展示会がノルウェーの首都オスロで始まるのを前に、被爆者たちが出席して開会式が開かれました。

ノルウェーの首都オスロにあるノーベル平和センターでは、毎年、受賞者に関連する展示を行っていて、12日からは日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会をテーマとした展示会が始まります。

これを前に11日、広島と長崎の被爆者やノーベル委員会のフリードネス委員長などが出席して開会式が開かれ、田中熙巳代表委員があいさつしました。

田中さんは「核兵器は、被害の中身を実際に目で見て耳で聞き、頭で考え、心で受け止めることがないかぎり廃絶への努力はできない。そのために見たり聞いたりする場所が必要であり、その中で被爆者の真実の声を聞くことが一番大事だ」と述べました。

そして3人の代表委員に、建築家の隈研吾さんが制作した被爆者の証言をテーマにした木製のオブジェが手渡されたあと3人で「オープン」と声をそろえて開会を宣言しました。

日本被団協をテーマにした展示会は、来年11月まで開かれます。

オスロ大学で代表団メンバーによる被爆証言会

日本被団協の代表団のメンバーがノルウェーの首都オスロで被爆証言を行い、地元の大学生など多くの参加者が耳を傾けました。

証言会は現地の複数のNGOによってノルウェーのオスロ大学で行われ、大学生のほか、幅広い年代が集まりました。

このなかでは、日本被団協の代表団のメンバーでいずれも代表理事を務める、松山市の松浦秀人さん(79)と名古屋市の金本弘さん(80)、それに被爆2世としては初めて代表理事になった松江市の本間恵美子さん(74)の3人が証言を行いました。

このうち松浦さんは、みずからが母親のおなかの中で被爆した「胎内被爆者」だと紹介したうえで、「報復の連鎖を断ち切り、不幸な出来事は繰り返さない『ノーモアの精神』を大切にしてほしい」と呼びかけました。

また、本間さんは参加者から「被爆体験を思い出したくない人もいる中、話し始めたのはなぜか」と問われ、「母親に原爆について聞いても『ひどかった』としか言ってくれず、平和記念式典の中継も『すぐに消してちょうだい』と言われた。被爆者は高齢化しており、少しでも母が語らなかったものを語らなくてはいけないと思った」と答えていました。

証言を聞いたノルウェーの大学生は「とても力強いメッセージでした。現在まで続く影響についてもよく分かりました」と話していました。

証言をした人は

証言を終えた松浦秀人さんは、「思っていることを率直に申し上げ、非常に多くの人に熱心に聞いていただいた。私たち被爆者が伝えたいことをしっかり受け止めてくれたと思う。人道的な兵器はないが、とりわけ核兵器はだめだ。放射能の影響も含め、恐ろしさをこれからも伝えていきたい」と話していました。

また、被爆2世の本間恵美子さんは、「母は被爆の話は全くしなかったが、その気持ちを私が伝えることで分かってもらいたいと思った。被爆当日のことだけでなく、その後の人生に及ぼした影響についても、熱心に聞いてもらえてうれしかった。被爆者団体の活動の中心は被爆2世にかわっていく時だと思うので、2世の私たちが被爆者の思いをつないで、間接的にはなるけれども伝えていく必要がある」と話していました。

オスロの高校では約200人の生徒に証言

日本被団協のノーベル平和賞の受賞から一夜明けた11日、代表団の被爆者たちがオスロの高校を訪問し、原爆がもたらした悲惨な現実を証言しました。

ノルウェーの首都オスロにある高校には、長崎で被爆した日本被団協の代表理事を務める横山照子さん(83)など3人の被爆者が招かれ、およそ200人の生徒を前に原爆の悲惨さを証言しました。

このなかで横山さんは、爆心地から4.1キロの自宅で被爆した3つ下の妹、律子さんのことを振り返り、治療のため学校に満足に通えず、44歳で亡くなるまでほとんどを病床で過ごしたことを語りました。

そのうえで、「被爆者はいろんな形で悔しい思いをしながら生き、早くに亡くなっていかなければならなかった人もたくさんいた。たった1発の原子爆弾で何万の人たちが亡くなり、身体や心、希望を失わせる。そういう原爆はこの地球上には1発もいらない」と述べ、核兵器廃絶に向けて若い世代に行動してほしいと呼びかけました。

証言を聴いた高校生は「原爆について、ただ爆発したものとしか思っていなかったが、多くの人がさまざまな形で影響を受けたことが理解できた。核兵器がもたらす被害の実態を理解し、現状に変化をもたらしていけるよう努力していきたい」と話していました。

被爆者で医師の朝長さんは若者との対話集会に参加

ノーベル平和賞の授賞式に合わせて、ノルウェーの首都オスロを訪れている長崎の被爆者で医師の朝長万左男さんが、若者との対話集会に参加し、原爆による人体への影響が生涯にわたって続くことを伝えました。

オスロ大学の講堂で11日行われた対話集会には、現地の高校生や大学生などおよそ70人が集まり、長崎の被爆者で医師の朝長万左男さんと広島の被爆者の小倉桂子さんが講話を行いました。

このうち朝長さんは、原爆の熱線で背中に赤い大やけどを負った谷口稜曄さんなどの写真を紹介し、原爆による人体への被害がいかに大きいかを伝えました。

また、原爆投下後からがんや白血病の患者が増えていったことを示すグラフを示しながら、「原爆の放射線の影響は生涯にわたって続くことをしっかりと覚えていてほしい」と訴えました。

そして、講話の最後に朝長さんは「核軍拡の時代を生きていて大変だと思うが、核兵器をなくすことは次世代のあなたたちの責任でもある」と述べ、若者たちに期待をかけていました。

参加した高校生は「被爆者の体験を聞いて、涙が出てきそうになった。いま安全な国にいる私たちが原爆の被害を想像するのは難しいが、今の世界の情勢を考えると、自分にも起こることかもしれない」と話していました。

日本の刑事裁判は有罪率99.83%…“逆転無罪”を連発した裁判官 カンテレのドキュメンタリーが受賞(2024年12月12日『オリコン』)

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『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』(C)カンテレ
 カンテレが2023年11月に初放送した『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』が、このほど発表された「第33回FNSドキュメンタリー大賞」で特別賞を受賞した。

 カンテレの『ザ・ドキュメント』作品が「FNSドキュメンタリー大賞」で表彰されるのは、5度目で、2018年特別賞「ふたつの正義 検証・揺さぶられっ子症候群」以来。
 「逆転裁判官の真意」は、“逆転無罪”を連発した裁判官に、弁護士資格を持つ異色の記者が迫ったドキュメンタリー。「地方の時代」映像祭2024・放送局部門優秀賞も受賞している。
■『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』番組内容
2017年7月、1人の刑事裁判官が定年退官を迎えた。その名は、福崎伸一郎。最高裁判所の調査官を務めたエリート裁判官である福崎は、大阪高裁裁判長としての約1年半、一審の有罪判決を35件破棄、そのうち7件もの逆転無罪判決を出した。
日本の刑事裁判の有罪率は99.83%。一審での無罪は珍しいが、二審での逆転無罪はもっと珍しい。そのため、退官直前に週刊誌でも取り上げられるなど一時話題となるが、福崎自身は何も語らず、その真意は今も謎のまま。
退官直前の告発か、それとも偶然か。福崎の判決文を集めて読み込み、関係者に話を聞いていくと、福崎のさまざまな側面が浮かび上がっていく…。
ナレーション:豊田康雄(カンテレアナウンサー)
ディレクター:上田大輔
撮影:小松和平
編集:高澤宏
撮影助手:高島歩乃華
プロデューサー:宮田輝美
※敬称略

韓国ユン大統領が談話発表 弾劾への対決姿勢を鮮明に(2024年12月12日『NHKニュース』)

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は12日、午前9時半過ぎから発表した国民向けの談話のなかで「大統領の『非常戒厳』を宣言する権利の行使は司法審査の対象にならない統治行為だ」と正当化し、弾劾の動きに対決する姿勢を鮮明にしました。

ユン大統領 野党を強く非難

この談話のなかで「弾劾を乱発し、国政をまひさせてきた」と述べ、野党を強く非難しました。

“選管などに 北朝鮮からのハッキング攻撃”

また、「去年下半期に選挙管理委員会や政府機関などに対して、北朝鮮からハッキング攻撃があったことを国家情報院が発見した」と主張しました。

その上で、国家情報院によるサーバーシステムの点検について「選挙管理委員会は憲法機関であることを理由に強固に拒否した」と強調しました。

与党代表「即時の職務停止が必要だ」

与党「国民の力」のハン・ドンフン代表は12日午前、記者団に対し「大統領に早期退陣の意思がないことが確認された。即時の職務停止が必要だ。みずからの考えと良心に従って議員たちは議場に出席して採決に参加しなければならない」と述べました。

与党「国民の力」はこれまで、党として弾劾の議案に反対する方針を示していて、先週7日の採決ではほとんどの議員が出席しなかったため議案は廃案となっていました。韓国メディアによりますと「国民の力」からはこれまでに少なくとも5人の議員が弾劾に賛成する考えを示しています。

「死ぬ前に地球上から核兵器がなくなるのを見たい」広島の被爆者が証言 ノーベル平和賞フォーラム(2024年12月12日『TBS NEWS 』)

ノーベル平和賞の授賞式から一夜明けたノルウェー・オスロで、核の脅威について話し合うフォーラムが開かれ、広島で被爆した小倉桂子さんが自らの体験を証言しました。
フォーラムには、広島で被爆した通訳者の小倉桂子さんや長崎で被爆した医師の朝長万左男さんらが登壇し、核軍縮について議論を交わしました。
広島で被爆した小倉桂子さん(87)
「怖かったのは、周りのたくさんの人々が、傷もやけどもないまま亡くなっていったことです。それが放射能によるものだとは理解できませんでした。私が死ぬ前に、地球上から核兵器がなくなるのを見たいです」
自らの被爆体験を伝えるため、独学で英語を学び発信を続けてきた小倉さん。ノーベル平和賞は、その活動に大きな機会をもたらしたと言います。
広島で被爆した小倉桂子さん
「私はより遠くへ、より広く伝えたくて、40年やってきました。この(ノーベル賞の)一瞬が、その40年を上回るくらい」
小倉さんは13日までオスロに滞在し、自らの被爆体験を地元の中学生に証言する予定です。

脚本、主題歌、キャスト全てがハマった… NHKドラマ『宙わたる教室』が視聴者に与えてくれたものとは? 最終話考察レビュー(2024年12月12日『映画チャンネル』)

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物理準備室のドアが、学会発表の舞台の上に繋がっていた…。

 

 

 いよいよ迎えた本番当日。藤竹に「好きな格好で」と言われた通り、岳人と佳純、アンジェラ(ガウ)はいつも通りの格好で、長嶺(イッセー尾形)はスーツに身を包んでやって来た。制服姿の生徒が多い会場では、4人の姿は異質だ。
 だけど、それに引け目を感じず堂々と立っていられるのは、ここまでの経験が力になっているからこそ。
 壇上に現れた岳人と佳純から、緊張感が伝わってくる。司会から学校名を読み上げられ、「定時制」に会場内はざわついていた。しかし、臆することなく岳人は「教室に火星をつくることに成功しました」と話し出し、空気を掌握した。
 堂々としてはいるが、いつもより少し上ずったような岳人の声色に、思わず、頑張れ…!と祈ってしまった。
 まるでバトンのように岳人から佳純に話者が引き継がれ、重力可変装置から火星の土の再現の話に。木内に言われた通り、佳純はしっかりと声を張り、前を向いて話す。みるみる聴衆の耳目を惹きつける2人がなんとも頼もしかった。
 発表も終盤、岳人が急に黙る。なにかを追いかけているような表情に見えたが、このとき、岳人は「終わりたくない」と思ったと語る。藤竹が誘った物理準備室のドアが、学会発表の舞台の上に繋がっているなんて、誰が想像しただろうか。
全てがピタリとハマっていた傑作
 もともとは藤竹が“実験”のためにはじめた定時制高校の科学部。最初は藤竹が「諦めたものを取り戻す場所」と部員たちを“その気”にさせて突き動かしてきたが、いつしか藤竹自身も彼らに励まされるようになっていた。そして、“その気”の先で、学会での口頭発表のみならず、優秀賞まで受賞した。
 しかし、歓喜に湧く部員たちのなかで、佳純だけは悔しさに涙を滲ませていた。「最優秀賞が欲しかった」と言う佳純に対し、長嶺たちは「また来年だな」と笑顔を浮かべる。
 人の探求心は尽きない。岳人もまた、壇上で「これからやりたいことがいっぱいある」と語っていた。藤竹が与えた“その気”が、それぞれに芽吹き、ぐんぐん育っている証拠だろう。
 そして、藤竹自身にも魅力的な誘いがきていた。学会発表を控える大事な時期に、時折物思いにふける様子を、岳人だけは見逃さなかった。そして、帰り道に「迷ってんなら気にすんな。ワクワクは止められない」と声をかける。
 教師と生徒というよりは、まるで同じ道をともに歩んできた同士のよう。握手を交わす2人の関係性が、このままずっと変わらずにいることを願いたい。
 これにて、多くの人を魅了した『宙わたる教室』が完結した。練られた脚本、力強い主題歌。窪田正孝にイッセー尾形という技巧派が屋台骨となり、それを温かく包み込むガウの空気、小林虎之介や伊東蒼といった実力派若手俳優の熱演…すべてがピタリとハマっていた。
「諦めたものを取り戻す場所」という藤竹の言葉に勇気づけられ、その気になれば変わっていける岳人たちの姿に背中を押された人も多かったはず。ままならない世の中に、ピュアな原動力を与えてくれる作品だったと言えるだろう。
【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

自民、立民への働きかけで国民に揺さぶり…補正予算案賛成方針引き出す(2024年12月12日『読売新聞』)

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 2024年度補正予算案を巡り、自民党は、立憲民主党への働きかけを強めることで、国民民主党を揺さぶり、賛成方針を引き出した。立民の主張する予算案の修正要求も一部受け入れ、12日の予算案の採決につなげた。自民は今後も複数の野党との交渉を並行して進め、少数与党としての国会運営を少しでも優位に運べる環境を整えたい考えだ。
 「国会として一定の責任を果たせた」
 自民党の森山幹事長は11日、公明、国民民主両党幹事長と「年収103万円の壁」見直しなどに関する合意文書を交わした後、ほっとした様子で記者団にこう語った。合意を踏まえ、国民民主が補正予算案の採決で賛成に回り、成立が確実となったためだ。
 合意文書では、国民民主の看板政策である「年収103万円の壁」の見直しについて「178万円を目指し」、「来年から」との文言を受け入れた。税収減を懸念する自民内からの反発も予想されたが、補正予算の成立を優先した。自民の宮沢洋一税制調査会長は記者団に「(合意は)釈然としない」と述べ、不快感を隠さなかった。
 衆院選で少数与党に転落した自民、公明は、一部の野党の協力がなければ経済対策の財源の裏付けとなる補正予算案を成立させられない。特に、政策が近い国民民主の協力は25年度当初予算案の審議を見据えても欠かせず、自民党は「譲歩してでも国民民主との協力関係を維持するしかない」(幹部)との判断に傾いた。
 もっとも、自民内には「カードが国民民主1枚だけでは押し込まれるばかりだ」(ベテラン)との危機感も広がっていた。自民は国民民主との協議と並行して、立民との交渉も進めた。10日には、立民が補正予算案に賛成に回る可能性があるとの観測が飛び、国民民主内に「立民に賛成されたら埋没する」(幹部)と動揺が走った。
 自民とすれば、衆院予算委員長ポストを握る立民が抵抗すれば、自民が目指す12日の衆院通過に向けた採決に入れない可能性もあり、立民の顔を立てることも欠かせなかった。修正案の提出という異例の対応で、立民を引き寄せた。