「雑談ができない」

最近ネット遍歴自己紹介的なことする機会が立て続けにあり、ふと脱オタした25年くらい昔のことを思い返していた。24歳ごろの話だ。

当時、私は「彼女ができた」ことで脱オタ達成としたけれど、本当の目的はもっと大きく「社会不適応のコンプレックス解消」のようなことだった。


私は学生時代ものすごいコミュ障で彼女はおろか友達すらぜんぜんできなくて、それが辛くて高校中退もして*1。みんな知ってる芸能人も遊びも知らない世間知らずな自分。それで学校やバイト先の雑談についていけず休憩時間いつも寝たふりをしたり図書室やトイレの個室へ逃げ出してしまうこと*2。そうしたコンプレックスを解消することが目的だった。産まれてこのかた20年来の、そういうコンプレックスが限界にきていた。


クラブでナンパを始めたのもいわゆる「世間知」の勉強のためだった。クラブナンパするためには音楽に詳しい方がいいし*3、外見もお洒落でなきゃダメだし*4、もちろんトークで相手を楽しませなくちゃいけない。ナンパで求められる技術は当時私が求めて止まなかった技術と完全に一致していた。私のナンパは女性とセックスしたいとかお付き合いしたいとかそういう話ではなくて、社会適応の練習だった。


こういうことを書くと「女性をおまえのコンプレックス解消の道具として使うな」的な怒られが発生するのはまぁわかる。でもそれじゃあ当時の私はどうすればよかったのか。あのときの「努力」があったからいまの私がある。当時の「努力」をいまの私はまったく後悔していない。だから私はコンプレックスからナンパ師になってしまうような弱者男性たちを、あんまり否定できないんだよな。私が後悔していないのは、社会が「そういう人間」を求めているからでしょう?


いまではもう当時の「雑談できない自分」のみじめな気持ちは思い出すのも難しいほど遠いものになってしまったけれど、ふとそんな当時の自分を思い出した。


「雑談ができない」。できない者には深刻だが、できる者にはそんな悩みが存在することに想像すら及ばない。そんな悩みを持つ者たちは、いまでもたくさんいるのだろう。

*1:その後、通信制高校を卒業している。

*2:「便所飯」という言葉もあった。残酷な言葉だ。

*3:いまは亡き神保町のレンタルショップ「ジャニス」で勉強した。

*4:いちからはじめるファッション入門マニュアル!脱オタクファッションマニュアル!