感情レヴュー

中沢忠之、『文学+』を刊行する「凡庸の会」同人

2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ギャグ多重態――現代ギャグマンガ/しりあがり寿論

弥次喜多in DEEP (1) (ビームコミックス)作者: しりあがり寿出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2000/06メディア: コミック購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (30件) を見る ジャンルはギャグマンガなのに、人知れず哀しく、しんみりした…

これはだれの政治か?

「『グランド・フィナーレ』を少女愛抜きで!」。中島一夫さんは、阿部和重さんの『グランド・フィナーレ』をめぐる評価に、際立って症候的な特徴を見出している(「新潮」7月号)。『グランド・フィナーレ』は、冴えない男の少女愛・ロリコンを核となるテー…

鹿島田真希の苛立ち、長崎の苛立ち

今回ここで書くことは、鹿島田真希さんの小品「女小説家」(「群像」5月号)と「俗悪なホテル」(「早稲田文学」5月号)を読んだ印象の諸々。ただし『俗悪なホテル』はこれを100倍くらい増量して展開すると面白そうだけど、これだけだと余りぱっとしないとい…

『現代小説のレッスン』は、現代小説のレッスンたりうるか?

現代小説のレッスン (講談社現代新書)作者: 石川忠司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/06/17メディア: 新書購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (70件) を見る 石川忠司さんの『現代小説のレッスン』。このテキストは、文学の「エンタテイメン…

キレる語り、アミービック・ナラティヴ

註:金原ひとみさん=キレる語り説は、雑誌「an・an」における嵐の二宮和也さんの的確な指摘による。 AMEBIC作者: 金原ひとみ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/07/06メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (94件) を見る 前作『アッシ…

ゲンバク小説

六〇〇〇度の愛作者: 鹿島田真希出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/06メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (49件) を見る「自分の過去のいかに劇的な瞬間を語る時にも、違和感は拭えない。かつて自分の過去を無秩序と見なし、それを秩序…

袋のなかの失楽――「箱男」ならぬ「袋族」2

さよならアメリカ作者: 樋口直哉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/07メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (42件) を見る 樋口直哉さんの『さよならアメリカ』は、頭から袋を被って生活する男の話。箱男たちがそうだったように、袋族の男…

「箱男」ならぬ「袋族」

さよならアメリカ作者: 樋口直哉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/07メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (42件) を見る 今年の群像新人文学賞を勝ち取った樋口直哉さんの『さよならアメリカ』(「群像」05年6月号)。袋を被って生活す…