天原誠(id:amamako あままこ)氏の論におおむね賛成だが、法的なエクスキューズが足りない。

http://d.hatena.ne.jp/amamako/20090124/1232743732

この無断撤去は器物損壊という犯罪である。京都新聞の記事では、はっきりと返却された写真の状態について触れられている。キャプションをお読みいただきたい。


大学側が無断で撤去し、傷んだ状態で返却された性移行者らをモデルにした写真

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009012500023&genre=C4&area=K00


写真を傷つけなければいいのかと言うかも知れないが、ある写真に傷がついていたときに、それが当局がつけたものなのか、あるいは展示中に他の人がつけたものなのかを証明するのは難しい。よってこの手の問題が起こりそうなときに「無断で」触るのはよろしくないのである。


ではどうしたら良かったのか?簡単である。

  • 物理的に撤去が可能な時間を期限として、撤去を要求する(たとえば「3時間以内に撤去しろ」)
  • その時間をすぎたら当局側で撤去する


通告してから数時間なら組織的な抵抗も抑えられるであろう。まあ実際にやるにはこれ以外にもいろいろな工作が必要であろう。ただこれを押さえておけば「要求したにも関わらず撤去しなかった」ということになり、写真に傷がついたことに対する法的なエクスキューズとなりうる。


私有地を管理するにあたって、いちいち決定の理由を説明する必要はない。天原氏は「撤去の理由を述べなかったこと」ことが問題であるとしながら「理由を説明していたらまたダダをこねられて撤去が先延ばし」になることが問題だなどと言っているが、これはまったく意味不明である。


「強制」撤去は違法ではないのだ。「理由」など説明する必要もない。しかしそれでなお踏まなければならない手続きがある。

「悪事をなかったことにしろ」と要望するバカな匿名ダイアラー


遅刻した社員に反省文を読み上げさせ、その映像をyoutubeにアップロードした企業が攻撃を受けている。僕のスタンスは「とんでもない企業だが、抗議もやりすぎだろう」というのが正直な感想。

で、このたび電凸と称して取引先に攻撃を仕掛けている連中が、そのお粗末な論理を自白した。

http://anond.hatelabo.jp/20081127122415

これは野暮と言われようがきっちり反論しておかないといかんなあ。だって、少数ではあるけれどはてブのなかでも肯定しているバカがいるんだもの。

何がおかしいのか。それはこの「要望」にある。

御社のような有名企業様が、取引先として名を連ねる事でこのような会社の信用を補強してしまっていることです。
つきましては御社の信用上の問題もご勘案の上、削除の依頼を出していただけないでしょうか?

事実として存在している取引関係を削除せよというのはまったく筋が通らない話である。仮に電凸先がこの匿名ダイアラーの要求を受け入れたとしたら、事実関係を隠そうとしていると逆に批判されかねない。存在する事実をネット上から消し去れという要望のどこに正義があるだろうか。個人情報が流出したから削除しろというなら分かる。しかしこれは企業と企業の商行為である。

たしかに削除を要望すること自体は違法ではない。合法である。しかしたとえば僕がこの匿名ダイアリーを書いた人に 「あなたの住所氏名を教えてください」「抗議のためにお電話さしあげたいので番号を教えてください」と要望することだって違法なことではない。だが正当な要求でもない。

仮にこの行為がファーストステップ社の悪事を取引先企業にに知らしめるためであったとしても、取引の実績を削除しろというような不当な要求では、対応した担当者が怒るのも当然である。

もしこれで取引先一覧から削除される企業があったら、逆に私は「どういう理由で削除したのか」と問い合わせの文書を送ることになろう。

バカ晒し上げ

はてなブックマークから。

id:y_arim 勇者/引いているひとが多いのは、そういう電話の対応に苦慮することを実感している社会人だからではないだろうか。

何が勇者じゃ。苦慮というか普通に「申し訳ございませんが削除を要請することはございません」という結論になると思う。というか有村さんは本当に東京大学出てるの?

id:minami0119 やったことはまともだけど、「みんなも電凸しろ」とか煽ってるからdisられてるんでないの?大人数で一斉に電話したらそりゃ迷惑でしょ。

大人数で攻撃することはよくないけれど「やったことはまとも」ですか。どこがどうまともなんでしょうか。

id:redriver ?何が悪いのか全然わからないんだけど・・・。みんなはてな村らしく空気読んでブコメしてるってこと?なんか気持ち悪いよ。小学生なのは明らかに※欄じゃん。え、ホントに本音なの?き、きもっ・・・

わからないならあなたが小学生です。厳然と存在する事実を隠すのは悪いことではないというなら、それはもはや宗教が違うのかも知れません。

id:highcampus こういう行為を感覚だけで拒否するのはやめた方が良いと思うなあ

はてなブックマーカーはあえてすべて説明しようとしていないようにも見えます。そのあたりが「感覚」で否定しているように見えるのかも知れません。
できれば「取引の実績を削除せよという要望は不当である」という主張に対して反論をお願いしたい。

虚構か、現実か。


sjs7くん、君は以前ゆと部報に寄稿した「はてなアイドル列伝」という文章のなかで虚構、おふざけに自らの存在を賭けるという趣旨のことを語っていました。文脈から言って君が「はてなアイドル」と名指しした人や、君自身のはてなでの言動が「虚構」であり「おふざけ」であるという意味なのでしょう。


しかし、君からブログで攻撃を受けたことで現実に傷ついている人がいます。ネット上で公然となっている範囲だけでも、君から攻撃を受けてブログを閉鎖した人がいる。君が虚構と称するものを私は虚構とは呼びません。


かくいう私も、結果的に2度ほど君のブログを「停止」させています。
君はブログを再開したことがあるので閉鎖ではなく停止といいます。


9月ごろ、君は「殴っても結構」「新宿駅西口の動く歩道の一番新宿駅に近い側......で僕は待っています」などと発言しました。そのとき、私は110番ほどの緊急性はないし警察署か交番に直接行くか……と警察に持っていくために直筆の文書を作成していたのです。
君が発言を撤回したとき、ほっとしました。私は虚構のなかにいるという意識はない。


もしかすると現実とて虚構かも知れません。しかし、世の中にはあなたのような意識を持った人ばかりでない。


本物志向の価値観、「マジになれよ」という価値観にとことん反抗する。

君は「はてなアイドル列伝」のなかでそう言いました。マジの人たちから逃げ、一切言及しないというのならともかく、「反抗」するのであればそれ相応の覚悟を持ってください。

「殴っても結構」こそ目立ちたがりの発言ではないか。そうでないなら意図を語れ。

id:sjs7が新宿駅での「決闘」宣言はなかったことにするということなので、警察や警備会社への通報はとりあえず控えるとして。


前のエントリで僕は、同意があっても傷害罪が成立しうるのだから「殴っても結構」という発言は犯罪の教唆になると思われると書いた。そのうえでsjs7に対して、その発言の撤回と、そのことについて「率直な感想」を聞きたいと書いた。僕はsjs7が何を考えてああいうことを書いたのか聞きたいと思っている。別にそれは「殴られる側の同意があれば犯罪にならないと思っていた」「殴るというのもコミュニケーションの手段だと思っていた」というようなことでも良い。


そのことに対する説明なくして、id:kajuntkさんに対して「ただ『注目されたい』だけの人間」呼ばわりもあるまい。はっきり言おう。目立ちたがりとはsjs7のことではないか。「ホームレスは死ねと本気で思っている人がいるのか確かめたい」という君の主張からは「殴っても構わない」という発言は導き出せない。だから僕はsjs7が目立つために人目をひくことを書いたという風に考えている。


そう言われたくないのであれば、まずあの発言に込められた思いを語るべきだ。文章にしにくいなら、実際に会って話すのでも構わない。


むろん僕は君に面会を強要することはできない。文書やメールであっても回答を強要することもできない。ただし、君が回答をよこさない場合において、僕はさまざまなルートを使って君を問いただすことになろう。僕は君が通っている大学を知っている。君がブログで回答をよこさないのであれば、君の通う大学に事情を説明したうえで質問状を取り次いでもらうということもありうる。この件については、徹底的に追及するつもりである。


ネットだけで完結させずに現実に動くという趣旨は結構だ。しかしsjs7がネットで見せているような「過激さ」をそのままリアルに持ち込むことはできない。「殴っても結構」発言について、きちんと筋を通して欲しい。

違法行為を教唆したsjs7くん、ちゃんと責任を取ってもらおう

id:sjs7とid:kajuntkの罵り合い。
論争そのものはどうでも良いのだが、


せめて俺に「死ね」と、目の前で俺の顔を見ながら言おうじゃありませんか?もちろんそう言ったからといって、別に僕が死ぬわけではありませんが、要するにあなたの「覚悟」のほどを知りたいんです。もし「言うだけじゃ満足できない。一発殴らせろ」って言うんなら、殴っても結構ですよ。
http://d.hatena.ne.jp/sjs7/20080908/1220877507

本人が殴って良いと言ったからといって実際に殴ったら必ずしも傷害罪を免れるわけではない。そう考えてみると殴ってよいと言っているのは犯罪を教唆しているということになる。


もちろん犯罪の教唆は実行にうつされない限り処罰されることはない。すなわちsjs7がネットだけでガタガタ言っている分には無害である。だが万一不測の事態があれば、殴った相手も、殴られたsjs7も処罰されることになる。つまり喧嘩両成敗となるということだ。


応じなかったkajuntkさんは普通の感覚を持っているといえるだろう。


sjs7の非常識さにはほとほと呆れる。俺もリアル対決は好きだが、せいぜい「抗議文を渡しにいきます」という程度である。


僕はとある非公開の場で「襲われないようじゃ評論とは言えない。批判された相手の心臓を貫くような文章を書きたい。」というようなことを言った記憶はある。そういうクォリティの高い批判をしたいと思ったことはある。事実に根ざした正論は、ときに相手に殺意を抱かせることもあろう。


しかし、具体的な論争の場で「殴って結構だ」とは絶対に言わない。なぜかといえば、自分の立場を考えない発言だからだ。sjs7は自分のことを考えよと言う。しかし、自分のことを考えていないのは、ほかならぬsjs7自身ではないのか。自分のことを考えているのに「殴って構わない」という発言が出てくるはずがない。


sjs7くん、君はもう大人だ。「責任」を取って以下のことをするよう要請する。

  • 殴ってよいという部分について、訂正線を入れること
  • 犯罪の教唆を行ってしまったことについて、君自身の率直な感想をブログに書き込むこと
  • 14日に俺と昼メシを食い、俺のお説教を聞くこと


12日夜までに回答をお願いしたい。

ストリートビューよりはるかに怖いもの


「監視社会」に対するネット上の反応には奇妙な印象を受ける。ある情報が、個人に対する危険性を持っているのか、あるいは社会全体に対する危険性を持っているのかということを峻別していない。そして「気持ち悪い」だとかいうような感覚的な反応をしているように見えるのである。ある情報を使って実際に何ができるのか、どのように危険なのかということを細かく考えることが必要なのではないだろうか。

ストリートビューが持っているのは、社会全体に対する危険性である。すでに指摘されているように、泥棒が街をすべて歩かなくても盗みに入りやすそうな家を探すことができる。あるいは大げさな話をすると、どこかの国の軍隊が東京を占領しようと考えたときに使えるだろう。あのデータを使えば、実戦に近い形での演習をバーチャル空間で実施できるかも知れないからである。

その一方で個人に対する危険性はそれほど大きくはない。実はストリートビューで僕の自宅周辺も撮影されている。しかし、僕の自宅の画像だけで何かができるとも思えないのである。僕の自宅に誰が出入りしているか、僕が出勤・帰宅するのはおおむね何時ごろか、などといった情報を知るためには実際に自宅前に張り込むことが必要になろう。ストリートビューではこのようなことはできない。僕を気に入らない誰かが僕を狙ってきたときにストリートビューの情報が使えるかどうかというと疑問が残るわけである。建物の外観で生活水準を知ることができるというが、それはこれまでもできたことを素早くできるようにしたということである。

ストリートビューで顔が写ってしまった人が削除を求めたり訴訟を起こしたりしているが、それは文字通り「偶然」写ってしまった人たちによるものである。このプライバシー侵害はたしかに深刻な問題なのだろうけれど、ストリートビューが持っている本質的な問題ではないと思う。

むしろ個人に対する危険性をはらんでいるのは、さまざまな施設に設置されている防犯カメラ、監視カメラといった存在である。全国のコンビニに置いてある防犯カメラの情報を集約・解析すれば、ある人がどこで生活しているのかを知ることができるだろう。駅に設置されている監視カメラの情報を集めれば、勤務先を推測する手がかりになる。最近では新幹線内にも防犯カメラが設置されているという。長期的に解析すれば、ある人の田舎(出身地)がどこなのかといったことまでも推測できるだろう。

幸いにしてこれらの情報は個人情報として厳重に管理されている(はずである)。監視社会反対を唱える市民団体のひとたちが質問状を出しており、それに関連したメディアからの取材で鉄道会社から「個人情報として厳正に取り扱う」という言質をとっているからだ。新幹線に防犯カメラが設置されたとき、ネット上で「やましいことはしてないからどんどん監視して欲しい」といった意見があったことは残念である。ストリートビューなんかよりも、はるかにひとりひとりに対する深刻な脅威になりえる情報だからである。

関連情報

「ネット族議員」化する松下政経塾出身者

有害サイト規制の要所で見かける松下政経塾出身の議員


今年六月に成立した有害サイト規制法には、松下政経塾に関係する国会議員が与えた影響が大きい。私の言う松下政経塾に関係する議員とは、同塾出身の議員のほか、同塾出身の議員を明瞭に、かつ組織的に支持する国会議員のことを指す。したがって、2005年の民主党代表選で前原誠司を支持した民主党内のグループ「凌雲会」に所属する議員は同塾に関係する議員である。

自民・民主党で法案作成のトップは同塾関係者が務めている。自由民主党の青少年問題委員長は同塾出身の高市早苗衆院議員が務め、法案作成の「中心的な役割」を果たしているとしてオーマイニュースのインタビューを受けた。これはよく知られているところであろう。また、民主党の「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム」の松本剛明座長、高井美穂事務局長の両名は凌雲会に所属している。

そして国会においても同塾に関係する議員がさまざまな影響力を行使している。衆議院の青少年問題特別委員会は同塾出身の玄葉光一郎衆院議員が務めている。国会の委員長は委員会を代表し、議事の整理、秩序保持を職務としており、具体的には委員会の日時の設定、討論時間の制限などの権限が与えられている。玄葉委員長が具体的にどのような役割を果たしたかについて公表された資料に記述はないが、ある委員は法案審議の最後で「委員長の労を多とする」と発言している。そして、参議院では凌雲会所属の松井孝治議員が付帯決議案を提出し、可決されている。参議院では議案に対して修正が加えられておらず、参議院としての意思表示は松井議員提出の付帯決議だけである。松井議員は審議の際、衆議院から出席した松本剛明氏、高井美穂氏に対して積極的に質問している。言い方は悪いが、凌雲会出身者による茶番劇のようにさえ見えてしまう。

20年前に「ネットの政治利用」に論及していた松下政経塾出身者

今回の有害サイト規制法案で松下政経塾出身者が主導的な役割を果たしたのは、他の議員よりもネット社会に通じているからだと考えられる。なおここでいう「ネット」とはインターネットに限らず、パソコン通信も含む。同塾は1985年(昭和62年)に国内でのパソコン通信の実験を始め、1987年には国際的なネットワークの実験を始める。そして1988年には実際にネットワークが稼動を始めたようである。

同塾は松下幸之助が掲げた「衆知を集める」という言葉のもと、明確な目的を持ってパソコン通信を導入したのである。1989年に出版された「パソコン通信はあなたの組織を変革する」という書籍がある。著者は松下政経塾の塾生であった宇佐美泰一郎氏と木村孝氏である。この書籍によると、同塾の講義の内容をオンラインで見れるようにしたほか、海外研修に行った塾生たちの連絡手段として利用したという。著者は、パソコンに触ったこともない講師・塾生たちに「政経ネット」を広げるための苦労を語っている。

驚くべきことに、この本を読むと、著者たちがネットを政治に利用できると認識していたということにある。いわく、アメリカの地方議会の選挙にあたって、パソコン通信上で立候補者のひとりが議論に参加したという。そして議論を見て感銘を受けた人たちがおり、彼らはパソコン通信上での議論をプリントアウトして配り歩き、最終的にその候補者が当選したというものである。このパソコン通信は、もともと過疎の村を再生するために設けられたものだったという。

「ネット族議員」化はこれから


松下政経塾に関係する議員たちは、なんらかの思想を持ってネット規制に乗り出しているのだろうか。その可能性はゼロではないだろうけれど、かなり低いと思う。与野党の調整の結果、最終的には国家の介入がなくなった。町村官房長官が懸念を表明するほどだ。同塾関係者が何らかの思想に基づいて一致団結しているのなら、こうはなるまい。

ただし、サイトを評価して審査料を取るという「利権」的な部分は厳然として残っている。審査料はかなりの高額で、一社あたり100万円近くになるという。これでは個人がつくったサービスは「健全サイト」認定を受けることができない。結果として、子供向けになんらかのサービスを提供しようとするのであれば、すでに健全サイト認定を受けているサービスに対してお金を払ってやったほうが良いということになる。こうしてインターネット界は利権のピラミッドのなかに組み込まれていくことになるだろう。

パソコンやネットに詳しい同塾の関係者たちは「ネット族議員」になる力を持っている。この問題に関連するエントリのブックマークに「こういった法律の問題はいわゆるギークたちしか知らないわけで、彼らと交流のある政治家がほとんど居ない。」というという意見があったが、これは見当はずれである。参考人として国会に出席した楠正憲さんは「野党」の質問によって法文のあいまいな部分の「輪郭がくっきりした」と評価している。しかし楠さんが指していると思われる質問をしたのは同塾の関係者である松井議員なわけである。彼らはネットのことを知っている。

これから、同塾に関係する国会議員たちにどういう風にお金が流れるのか、しっかり監視していこう。

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