岩佐まもる『コードギアス 反逆のルルーシュR2 TURN-1-』

『コードギアス』のノベライズも『R2』に! 発売されたのは数ヶ月前ながら、今更ながらに感想を。
 内容は『R2』本編が始まる以前からスタート。
 ナナリーやラウンズを中心に、ブリタニアサイドから『コードギアス』を描いているのが特徴。後半からは本編の内容に入り、黒の騎士団サイドも描かれ始め、ナナリーを奪還し損ねるまでで終了する。
 しっかし、アニメでは最近「王の器」を見せ始めているルルーシュだが、こうやってブリタニアサイドから物語を見ると、いかにもルルーシュがみみっちくて泣ける。
 何が正しくて何が正しくないとかそういう事ではなく、何が起こったのか、それを知らないで突っ走るルルーシュには空しささえ感じさせる。まぁ、『R2』序盤のルルーシュってそういう子なんだけど。
 ……そういえばひそかに驚いた事実が、コーネリアが生きていた事。いや物凄く失礼な事だとは思ったのだけれども、死んでしまったものとばかり……。
 以下感想。

ブラックリベリオン後のナナリー

 ノベライズで描かれるのは、ブラックリベリオン後のナナリーの姿。
 V.V.に連れ去られた事は知らされず、皇帝によりルルーシュや学園の皆の安否確認も出来ないまま不安な日常をブリタニアで過ごすナナリー。
 この頃から、護衛としてラウンズの三人アーニャ、ジノ、そしてスザクがついている。中でもアーニャはナナリーの事を気に入っている様子。モルドレッドでハドロン砲ぶっ放したのも、純粋にナナリーを守ろうとした結果なのです(笑)。
 ブラックリベリオンの被害者に手紙を書いたり、遺族のための支援を上奏したり、姉のイヤミに耐えながら、それでもその生活の中で、自分がルルーシュにどれだけ守られていたか、与えられていたかを痛感したナナリー。
 考えた結果、総督としてエリア11に赴任する事になるのだが。
 実はこの時からユーフェミアの遺志を継ぎ、特区日本を再建しようと考えていたようだ。
 足も不自由、目も見えない。そんなナナリーはブリタニアからエリア11に与えられる「飴」の象徴としての役割を担う事になる。だがそれでも、総督が生中継でした発言を無碍にひっくり返す事も出来ない。ナナリーは最初から、その一撃にかけていたフシもある。
 そんなナナリーは、シュナイゼルの副官カノンからも、「何かやらかすのではないか」「怖い」と評価されたほどだった。
 結果としてそれは証明され、ナナリーの決意の強さをうかがわせる。

ナナリーの本音

「君のために世界を壊す」
 ナナリーのため、ナナリーが幸せに暮らせる世界を。そのためにブリタニアを、皇帝をぶっ壊す!
 そう一身に願ってきたルルーシュ。だが、往々にして人は「いや、そこまでしてもらわなくても……」と思ってしまうもの。
 ノベライズ本編で、兄・ナオトに戦う事を望まれていなかったカレンが言及しているように、ナナリーはルルーシュのように皇帝を憎んでいる、と言うわけでもいなかったらしい。
 母・マリアンヌは皇帝の事を話す時は優しい顔をしていたようで、(何せ兄妹疑惑が浮上中だ)そこまで憎しみは無かったらしい。
 だがそれをナナリーがルルーシュに言えなかった理由は、言ったらルルーシュが可哀想だったから、それに尽きる。

兄に守られ、兄に従う妹。同じ思いを共有する存在。もし、そうでなかったら、そうでないと知ったら、どんなに哀しまれるだろう。
あんなに懸命に私のことを考えて下さっているのに。こんなに愛されているのに。できるはずがない。私はお兄さまを裏切ることだけはしてはいけない――

 ってなわけで……ルルーシュ……何と言うか、哀れな……。

アーニャとナナリー

 護衛と護衛対象、と言う形だが、結構アーニャはナナリー本人を気に入っている様子。しかし、皇位継承権から遠いナナリーに皇帝直属のラウンズがついているのもおかしい話。本編ではすでに提示されているが、アーニャはルルーシュ達と何か深い関係があり、その一端がここにも現れている。

スザクとナナリー

『R2』序盤では人非人だの何だのルルーシュに寝ぼけた戯言ほざかれていたスザクだったが、彼がナナリーの側にいる理由にはもっと、ある意味で想像もつかないような深い理由があった。
 まず一つは、スザクはナナリーを見張り、殺す役割を果たしていると言う事。ナナリーが「あの男」の記憶を思い出したら殺せ、と皇帝に命令されている。ラウンズのスザクとしては、絶対に拒否できない問題だ。
 ここで問題なのがこの「あの男」。ルルーシュの事か? とも思ったが、基本的にナナリーの記憶は改竄されていないのでルルーシュは除外してもいいだろう。
 となるとやはり、V.V.の事だろうか? ナナリーには「奇妙な少年」程度であるが、知る人間が知れば(他ならぬスザクが)面倒な事になるのは必定、と言うわけか。
 そして二つ目が、ナナリー自身がスザクを騎士として側に置くと決めている事。
 スザクがナイトオブワンになるより、ナナリーがエリア11で提督になるほうが早い。まだスザクがユーフェミアの夢を追っていると知り、また自身にその代わりは出来ないと悟った上での決定だった。
 ナナリーにとってスザクが「初恋の人」なので、この決定には物凄く重みがある。いきなりポンとルルーシュの目の前に現れられたらそりゃムカツクだろうが、こちらにもこちらで色々あったと言うわけだ。

水面下の策謀

 天子様とオデュッセウスとの婚約はルルーシュにとって寝耳に水の最悪のケースだったわけだが、実は当然ながら、もっとずっと前から計画されていた事だった。
 ここらへん、シュナイゼルの恐るべき政治手腕に慄く所だ。そしてその裏で、さらに皇帝につながるものに探りを入れてもいる。ラウンズ(特にスザク)をキャメロットつながりで側においているのも、仮面の下のゼロと皇帝の両者に直接あった事のあるスザクを手元に置いておきたいからかも知れない。

皇帝の思惑

 ブリタニア側を覆っているのが、絶対権力者としての皇帝の威光と策略。
 そもナナリーがブリタニアにいる理由。エリア11で総督になった事。また、黒の騎士団の残党(藤堂達)が、なぜ一年も処刑もされずに生き延びていられる事が出来たのか? などなど、様々な所に皇帝の権力・策略が関わっている。
 ルルーシュやシュナイゼルが相手取ろうとしているものは、限りなく巨大な相手である事が分かる。

ノベライズでも大活躍の玉城

 ノベライズでもその無駄な才能を遺憾なく発揮している玉城!
 最初は「黒の騎士団の『自称』エース」だったのが、「幹部だったら即死刑」と言う脅し文句にビビリ、「俺はただの下っ端だ」と意見をひるがえす(笑)。
 あまりにころころ供述が変わるので、自白には信憑性がないと判断されたらしい。もはや玉城はどこでもおいしい男wwww

その後の女性陣

 神根島からルルーシュがスザクに連れて行かれた後の、カレンとC.C.の二人のその後も少し明らかになった。
 カレンはゼロ=ルルーシュと言う事にショックを受け、その場で動けなくなってしまう。そこに現れたのがガウェインから脱出してきたC.C.。海中から上がってくるため、何と素っ裸で登場(笑)。何でこんなに男前なのかこの人wwww
 そこでC.C.からカレンへ、ルルーシュの事情が明らかになっていく。そして色々あって、『R2』のバニーとキスにつながるようだ。

黎星刻対スザク

 ノベライズオリジナルシーンとして、星刻とスザク、剣による一対一の決闘が挙げられる。ルルーシュと星刻は後半嫌となるほど対決するが、スザクとの対決は無かった。
「武威はスザク。頭脳はルルーシュ」
その「武威」の部分を、きっちり見せてくれたシーンだった。

次回は

 次回はやさぐれルルーシュの復活から百万のキセキ、そして中華連邦とラウンズ転校、ぐらいか? 天子様が今から楽しみ(コラ)!