The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

美味しくいただきました マンイーター

 「バトルシップ」がどうにもノれなくて、なんだかモヤモヤを抱えてしまったので、リベンジとして同日に観たのが「マンイーター」という映画。全く事前情報無しで観たので始まるまでどんな映画か一切分からない(まあタイトルからして人が喰われる映画なんでしょう、という認識)というある意味冒険だったのだが、これは小粒ながらなかなか面白い作品だった。

物語

 オーストラリア、カカドゥ国立公園。シカゴからやってきた旅行ライターのピートは女性ガイドケイトの操縦するボートでリバークルーズに出かける。客は家族連れや夫婦、妻を亡くした男性など様々。途中ケイトにチョッカイを出す地元の若者に絡まれながらクルーズを楽しむが帰路につく途中で救命信号弾が上がるのを見つけたケイトはその場所へボートを走らせる。たどり着いた場所には転覆したボートがあるだけ。そしてケイトのボートも何かに突撃され損傷、乗客達は中洲に避難した。戸惑うなか体長7mはあろうかという巨大ワニが現れ、乗客の一人をあっという間に引きずり込んでしまう。そして彼らの避難した中洲は夜になると満潮で沈んでしまうのだ!逃げ場がない状態で彼らは生き延びることが出来るのか?

 大自然!凶悪な肉食動物!田舎のヤンキー!自己中な客!家族第一の父親!etc…ジャンルとしては「ジョーズ」や「ピラニア」等と同様な動物パニックホラーと言う感じだろうか。原題は「ROGUE」で悪党とかそんな感じだが邦題は「マンイーター」で文字通り人を喰う。冒頭から現地のワニ被害の新聞記事などを映し、また観光客相手にエサで釣られてジャンプするワニなどを見せて緊張感を煽る。この手の映画は「13日の金曜日」などのスラッシャーと親戚みたいなもので観客の側が次の犠牲者は誰か予想しながら、わがままな登場人物に観客がいらいらを募らせた頃に犠牲になって溜飲を下げたり、逆に頼り甲斐のある人物があっけなく退場して意表を突かれたり、といった部分が楽しかったりする。
 今回登場する殺人鬼役はクロコダイルと呼ばれるイリエワニ。実際に存在した「スイートハート」と呼ばれたモデルになった巨大ワニがいたらしい。前半は水中に忍び、一瞬で人を呑み込む。後半はその巨大な体を現し巨体を引きずりながら暴れる。正直丸呑み過ぎていわゆるグロ描写などは少なめ。襲われるさまもほんの一瞬で少し物足りない。また残さず食べる割に(あるいはそのせいか)少食気味であんまり犠牲者が出ないのもちょっと物足りなかったかな。こういう映画に限って言えば主人公以外は全員死ぬぐらいでも全然構わないなあ。

 で、実はこの映画2007年の映画なんですね。日本での公開がここまで遅れてしまったわけだがそのせいで少し面白いのはこの後にブレイクした俳優がちょい役で出てること。僕は観てる最中普通に最近(せいぜい2011年)の作品だと思っていたし、そもそも誰が出てるのかも事前には分からなかったのでサム・ワーシントンが地元のヤンキーとして嫌味ったらしく登場した時は「おお!「アバター」の売れっ子がこんなのにも出るんだ」とか、またミア・ワシコウスカも「なんか以前に観た時(アリス・イン・ワンダーランド)より幼くなってないか?」などと思っていた。それでもサムが観光客にまじり脱出手段を講じた時は「ここからヒーローになるのか」と思っていたらあっけなく退場したので唖然としてしまった。それでも実は生きていて・・・みたいな展開予想してたからスター効果って怖いなあ。ちなみに「T4」で半分機械、「タイタンの戦い」(まもなく続編公開ですね)で半分神様、そして「アバター」で半分ナヴィ、と半分何かな役柄を演じてきたサム・ワーシントンですが先駆けとなる本作では「半分ワニ」・・・では残念ながらありませんが最終的に半分にちぎれます。
 主演に当たるのはおそらく「サイレントヒル(傑作!)」直後と思われるラダ・ミッチェル。ちょっと杉田かおる似で頼りになるガイドを演じている。もう一人はピート役のマイケル・ヴァルタンという人。後半は彼とワニの一騎打ちになる。

 全体として丁寧な作りでB級ぽさはあまりなく、あからさまなグロ描写も少ない。だけど本気で怖がらせようという意気込みは伝わってくるし、軍の生物兵器だとかそういうエクスキューズなしに純粋に大自然の生んだ野生動物が生活領域を侵食した人間を襲う、という構図は逆に新鮮な気がします。

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監督の前作。
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オーストラリア×ワニと言えばこれ!
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