ムラ×ムラ120分! バーレスク
クリスティーナ・アギレラとシェール主演の「バーレスク」を鑑賞。
これもそれほど騒がれてないが評価が高い作品でいろんな人の2010年ベストに登場していた。本編前の予告編の時に、数グループ、10人ぐらいの女性がガヤガヤとおそらく服が入っているであろう紙袋を大量に抱えて入ってきたが、おそらくそういう層にアピールする映画なのだろう。僕はTVCMなどを見た限りでは、ポール・バーホーベンの「ショーガール」やブラッカイマーの「コヨーテ・アグリー」とかあんな感じだろう、と思っていた。ところが実際は違った。
物語としては田舎から出てきたヒロインがバーレスクのショーに魅せられ、やがてそこのトップになっていく。というなんら新鮮味を感じない使い古されたストーリーだが、それがいい。店のオーナーであるテス(シェール)とアリ(アギレラ)が擬似母子関係を築いていったり、ライバルが登場したり、金持ちに見初められたり、どこかで見たことのあるエピソードばかり。でも音楽映画なんてそういうのでいいんだよ。シンプルだけど力強い物語とそれを盛り上げる音楽があれば。そして音楽の方は最初のアギレラの歌から一気に引き込まれる。
クリスティーナ・アギレラ
僕がクリスティーナ・アギレラを最初に知ったのはディズニー映画「ムーラン」の主題歌を歌った時で、次がピンク、マイア、リル・キム(&ミッシー・エリオット)と共に「ムーラン・ルージュ」の「レディ・マーメイド」を歌った時。その時はシスター・ジルみたいな格好で歌っていたが、この人の印象は「美人なんだからもっとナチュラル・メイクをすればよいのに」だった。ライバルのブリトニー・スピアーズはたれ目のたぬき顔なのに対し、この人は目鼻立ちのくっきりすっきりした美人なので派手な化粧は不必要だと思った。もちろん歌唱力は申し分ない。
ところで「ムーラン」は1998年でもう12年も前。するとああ見えて結構な歳かと思ったらまだ30歳。あのころまだ18だったのか!
この作品は彼女の女優としてはデビュー作にあたる。その題材としてバーレスク、ショーホールでのショーを選んだのは「ムーラン・ルージュ」に関わったのと無縁ではあるまい。そもそもバーレスクの元祖がパリのムーラン・ルージュなのだから。劇中で歌われる曲もマリリン・モンローの「Diamonds Are a Girl's Best Friend(ダイヤは女の最良の友)」が共通している。
この劇中ではステージでこそけばけばしいメイクだが私服部分ではナチュラルメイクで凄い可愛い。また、歌を歌う時はソウルフルなのに普通に喋る時は高めの声で実にかわいらしいのだ。正直クリスティーナ・アギレラに対して美人とは思っても可愛いと感じるとは思わなかった。
シェール
一方もう一人の主演はシェールである。この人が歌手としても大活躍してる人、というのは知っていたが女優としての印象の方が強く、ウィノナ・ライダーとクリスティーナ・リッチの母親役を演じた「恋する人魚たち」が好きな作品(僕は一時期、というか今でもウィノナ・ライダーの熱狂的なファンでありました)。
この作品は純粋なミュージカルとはいえないがシェール演じるテスが店の存続に悩みながらリハーサルをする「YOU HAVEN'T SEEN THE LAST OF ME」を歌う部分は感情を歌い上げるという意味で立派なミュージカルと言えるだろう。
脇を固めるのはショーの衣装係にスタンリー・トゥッチ。最近だと「ラブリー・ボーン」の殺人鬼役が印象深いがここでの彼は「プラダを着た悪魔」の再来と言ったところ。
後はライバル、ニッキ役にTVドラマ「ヒーローズ/HEORES」や「ヴェロニカ・マーズ」のクリスティン・ベル。この人は最近出てきた印象が強いからまだ若いのかと思ったらアギレラと同い年。アギレラが早くから活躍してるのでもっと上の印象だったのとは対照的。そのほかイケメンたちはどうでもいいか。アラン・カミングが出てるがこれは後で。
ムラ×ムラ+ロッキー・ホラー=バーレスク!
僕は映画「ムーラン・ルージュ」の魅力を、
バッターボックスに立って変化球に備えていたら超剛速球のストレートを投げられ呆然とするしかない作品
とよく説明する。この「バーレスク」もそんなパワーを持った作品だと思う。
で、もう一つ連想したのは「ロッキー・ホラー・ショー」。まあ、「ムーラン・ルージュ」が好きな人は「ロッキー・ホラー・ショー」も好きだと思う。要するにゲイっぽいんだよね。僕自身は(性的には)いたってノーマルなのだが映画とか音楽に関してはゲイ的なものが大好き。「バーレスク」の監督がゲイかどうかは知らないが。
「ロッキー〜」は過去に「ファントム・オブ・パラダイス」、「プリシラ」*1などと同時上映されていたが「ムーラン・ルージュ」とこの「バーレスク」と3本立てで見てみたい。きっと絶対盛り上がると思う!もちろん一緒に歌って踊ってね!
僕としては「ムーラン」と「ムーラン・ルージュ」*2を経たアギレラの真骨頂作品に「バーレスク」を位置づけたい。
最後に、物語的にはたわいもないものなのだがそれでも予想外だった3つのびっくりを紹介。
- アラン・カミングが物語に一切絡んでこなかったのにびっくり(狂言回しですらなかった)。
- ニッキが飲酒運転で事故るかと思ったら事故らなかったのでびっくり。
- 店の財務問題がショーの盛り上がりと一切関係ない法律的なものだったのにびっくり。

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