アイマスが世界で発売されない本当の理由について

おかげさまで英語コンテンツもけっこう増えてきまして、予想通りと言いますか、YouTubeで「なぜアイドルマスターが英語圏で発売されないんだ」というような意見をよくいただきます。それで説明用の記事を書こうかなと調べていたところ、でかだんびより : Dekadenbiyori アイマスって海外だと児童労働扱いされちゃうの?という記事に行き当たりまして。

以前から私はアイマス開発スタッフ陣へのインタビューの中で坂上陽三プロデューサーが

かーず
「アイマスのPVがネットで公開されたときの海外の掲示板での反応です。(開発陣は知っていたご様子)、この反響を見る限り海外市場は受け入れてくれると思うのですが、海外ローカライズの予定はあるんでしょうか?」

坂上
「アメリカから熱心にファンレターを送ってくるファンの方もおりまして、海外でも発売を期待している声があるのは知っています。ただ海外は海外でいろいろ考え方がありますから。こういう絵をジャパニメーションの延長線上とは見てくれないところがあって、『子供を働かせているゲーム』みたいな考え方をされることもあるんです」
かーず
「そんな解釈をされてしまうんですか!」
坂上
「それこそパイタッチなんて、『コラーッ!』ってなりますよ、セクハラですからね(一同笑い)。真のコミュニケーションパートで空手の練習で叩かれるイベントにも、『えー!女の子を殴るだなんて!』みたいな反応があるので、そういうところをクリアしていかないと海外版は難しいと思います」
http://moura.jp/frames/report/070129/

と語っているのを結構そのまま受け止めていて、じゃあ「未成年のアイドルが“プロデューサーとともに苦難を乗り越えて”成功をつかむ」というストーリー自体が無理なのかなと感じてたのですが、前述の記事は、この件で実際に欧米の人に聞いてみたというお話だったんですね。

結論としては

この問答を読む限り、少なくとも欧米でアイマスが問題ある児童労働と見なされる可能性は少なそう。あくまで英語圏に限った話だけど。他の文化圏について話してたんだとすると自分の見当違い。

とはいえだからといって、海外版のハードルが低くなるとも思えず。結局、未成年設定とコンセプトそのものは問題なくても、その設定と肌の露出度(ビキニ水着とか)が組み合わさると火種の匂いがするのには何も変わりなく。他所でも指摘されてるように、音声・歌どうすんのさ、という問題もあるし、それだけの手間隙リスク背負える売り上げが期待できるか、というと微妙。結局根本的な問題は、たとえ出しても話題になるだけで投資とリターンが全然つりあわなそう、ってとこですよな。

でかだんびより : Dekadenbiyori アイマスって海外だと児童労働扱いされちゃうの?

となっていまして、要するに、そんなに売れないだろうから、という所に行き着くわけですよね。

私がアップした英訳コミュでも、議論になるのは美希のエロさぐらい。今のところ、の話ではありますが、あとはせいぜい天ぷら弁当を食べて吐きそうになってる伊織がかわいそうとかぐらいで、30代以上の視聴者も非常に多いようなのですが、児童労働の問題について特に意見をいただいたことはありません。

むしろ膨大なシナリオ量をあらためて実感しまして、普通のアニメの何倍かという密度で台詞のあるコミュを含めた翻訳作業など、制作コストの問題という理由付けに納得できます。あと英訳コミュは女性の視聴が半分くらいありまして中でも10代が多く、彼女たちがアイマスのゲームに日本のファンのようにお金を投じてくれるとは思えません。ギャルゲービジネスのマスも小さいでしょうし、ビジネスモデルの輸出が難しいかも。

というわけで、これは坂上氏の弁を鵜呑みにしすぎていたかも? ちょうどインタビュー記事で懸案の真の道場コミュの英語字幕動画(女の子を殴る上に、パイタッチでパーフェクト)をbennetngさんが上げてくださいましたので、そちらのなりゆきにも注目してみたいと思います。

逆にそう考えますと、今度発売のPSP版では倫理的にもっとも問題視されやすく且つクリアしにくいであろう美希のコミュが(おそらく)削られているわけで、売れると分かれば、海外版の発売も絶対不可能ではないのかな……と。